›6 29, 2006

YouTubeのすごさ

Posted by skillstorage at 11:50 / Category: IT / 0 Comments

さて、多くの人が中毒になっているYouTubeについてである。

Blogやソーシャルネットワーキングが報道や情報発信のやりとりからライフスタイルまでを変えてしまったが、YouTubeもまたすごいインパクトがある。

ユーザーが動画をアップロードし、広く情報発信をすることができるというサービスだが、使われ方としては著作権のあるTVやビデオを見るという使われ方が多いと思う。

ユーザーがアップロードするというアイデアはカメラ付携帯電話の普及で非常に面白いと思う。事件や衝撃映像(スクープ)の投稿という報道がらみの使われ方だ。

だが、現実には著作権映像配信というNapsterWinnyのようなP2Pの代替的サービス(誰でも入手できるし、合法だし、簡単)という位置づけの気がする。

でもそれなりにスゴイことだと思う。P2Pからサーバサイドでの処理という技術的後退を象徴しているし、Web2.0技術も垣間見れる。何よりYouTubeはサーバサイドのため通信費だけで月間1億円以上も支払っていると聞いた。

Napsterと基本的には一緒に見えるが、ブラウザで誰でも全て見れる、しかもファイル交換では無いというだけでこんなにもYouTubeが注目されるところがスゴイ。

NBC(米国大手テレビ局)も著作権で問題視していたのに、提携する始末。

Napsterは潰されたが、YouTubeはどうなるのだろうか?法的にOKであるのであればそれこそライフスタイルは変わると思う。

著作権映像公開ではなく、ニッチ分野、報道分野などで使われると、バイラルマーケティング、紫の牛的に新らしい価値観がYouTubeを通して色々と広まると世の中活性化すると思うのだが。。

マネジメント日誌009「危機感の欠落」

Posted by skillstorage at 09:59 / Category: マネジメント日誌 / 0 Comments

入社して4ヶ月、緩やかに四季は移ろいで行った。これまで経営コンサルタントとしてに実績を出していたと自負していたが、それも崩れかけて来ていた。以前には感じたことの無い孤独感とプレッシャーに押しつぶされて来ている気もした。

社内の風景や人の表情に変わりは無い。朝出社して挨拶して、仕事をする。そんな単調な日々の繰り返しだ。会社の製品は順調で、いくつかの引き合いがある状況だった。

だが、そのブームが消えかかっていることを認識している者はどれほどいるのだろうか。社長は認識している。だが、これまで数々の倒産の危機から立て直してきた経験からか、不明確な将来に対しても余裕を感じる。

自分ひとりが焦っているのか。

これまで自分は短期に利益を上げること、プロジェクトを実施し成功させることに注力してきた。ベンチャーは短期に市場シェアを取ることが宿命だと思っていたが、ここではどうもそのような意識の者はいないようであった。

ミドルとの経営改革会議では、誰もがうつむいていた。自主的な意見や主体性は見られなかった。

コンサルタント時代には、自分の考えを論理的に説明してきてクライアントに受け入れられてきた。だが、ここでは自分の説明がまったく通用しない気がした。

会社で自分はずいぶんと大人ぶって振舞ってきた。そんなことから友人と会うときは自我を剥き出しにしてきた。

本来の自分はどっちなのだろうか。恐らくそうとう幼稚でいい加減でヤンチャなんだろうと思う。

会社での自分は作り上げられたもう一人の自分なのだ。

たまたま自分と同じような立場の友人がいた。コンサルタントから引き抜かれベンチャーのトップになっていた。

彼は良き理解者になってくれた。彼もまた本来は相当に精神的に幼く、だらしの無い性格だ。いつも仲間内で弄られるようなキャラだ。だが、恐らく職場では孤高に振舞っていることが話すたびに感じられた。

そして精神的プレッシャーをものともせず、常に前向きに考えていた。その点では自分よりも遥かに大人なのだと感じさせられた。

彼と会うといつもあっという間に深夜まで飲みながら話した。帰りのタクシーでも仕事のことを多く話した。自分が先にタクシーから降りる時、もう少し話せたらといつも思った。

社員と経営者の意識が違うのは当たり前
完璧な人間などいないので、大きな期待をすることは無駄
社員には危機感など無い

そんなことを聞きながら、彼自身も自分に言い聞かせているようであった。

自分がいた職場、そしてクライアント企業というものは意識が非常に高かった。それ自体が特別なことなのだと認識した。

彼は、自身のことをよく熟知していた。弄られ役のためか、自分は馬鹿なんだとよく言った。プライドが高いコンサルタントの中では珍しいタイプだ。

自分は馬鹿だから、馬鹿の気持ちがわかる。馬鹿には何度も言わないと駄目なんだ。

彼はそうやって社員と接しているのだ。

これまで自分は、自分の話は理解してもらえるという前提で話していた。だが彼のそんな一言にハッとさせられた。

次の日の会議でもまた社員の表情はいつもと変わりなく曇っていた。危機感の欠片も無い。仕事が目いっぱいなのに会議は面倒くさいと言いたげだ。

駄目な会社はどこも社員の危機感が欠落していると三枝氏の本に再三書かれていた。その重要性は認識していたが、危機感を感じてもらうことの難しさこそが重要なテーマだとひしひしと感じた。

›6 28, 2006

マネジメント日誌008「経営革新」

Posted by skillstorage at 08:52 / Category: マネジメント日誌 / 0 Comments

社長命令で自分を含むミドル層が集められた。20台後半から30代後半までのメンバーだ。ベンチャーだから年齢層が若いが、人を管理している連中だ。

社長からの指示は、「このメンバーで将来の当社の戦略、方向性を構築しなさい。今後私は口を出さないから自分たちで全て決めて、取締役会で定期的に報告しなさい」ということだけだった。

ようやく自分がこの会社に必要な経営革新が実行できると意気揚々とした。だが、集められた他のメンバーは違ったようだった。

キックオフ・ミーティングに出席した彼らの表情に違和感を感じた。忙しい業務の合間に出席しているから面倒くさいのかなどと勘ぐった。

しかし、どうも彼らは何をすれば良いのかといった根本的なことから、経営戦略の方向性をつくりあげる方法も何も知らないのだということがわかった。

キックオフは何でも言いたいことを言ってもらうようにしたが、彼らから積極的に発言されることは無かった。自分が質問しないと出てこない。主体性の低さに嘆いた。

どうやら経営革新は自分が思っていたよりも時間がかかりそうな気がした。

›6 27, 2006

WACC (Weighted Average Cost of Capital

Posted by skillstorage at 16:49 / Category: ファイナンス / 0 Comments

バリュエーションでやったWACCやEVAを書いたがWACC自体がファイナンスで非常に重要なので説明しておこう。

会計上の財務指標である売上高や経常利益、経常利益率といった指標があまり役に立たないことは散々書いてきた。理由は大きく2つある。

まず、会計上の利益は設備投資に要したキャッシュが減価償却費に変換されてしまっている。その他にも損益計算書が信用できない点が多々ある。

2つ目が重要なのだが、損益計算書の売上高、経常利益、営業利益だけの指標は結果論であり、初期投資のコストが考慮されていない。

例えばパチンコでも株でも100万円稼ぐのには元手がいるでしょう。その元手のコストです。

企業においても同様でその元手のコストのことが簡単に言えばWACC(ワックと読む)である。

企業における元手のコストは何かというと、有利子負債(銀行からの借入、社債)のコストと株主資本(投資家の出資)のコストの2つにわけられる。その2つを同時に見て、加重平均したものがWACCである。

WACC=(D/V)Rd(1-T)+(E/V)Re
(V=D+E)

ここでReは株主資本のコストで、これは言い換えると株主の求めるリターンであり、期待収益率と呼ばれる。求め方はCAPM参照

Re=Rf+β(Rm-Rf)

ここでRfとはリスクフリー・レート(リスクの無い債権の利回り)
β(ベータ)とは株式のリスクである。
(Rm-Rf)はマーケット・リスクプレミアムである。

とβという統計のヒストリカルデータを用い、1のとき、その企業の株価はマーケットと同じ動きをするためリスクが無いと考えられ、1以下のときは、マーケットより価格変動が少ない、1以上のときは、マーケット平均より価格変動リスクが高い。

このβに対する批判は多いのだが、多くの批判がトンチンカンである。投資家それぞれで期待収益率は違うでしょうという批判は、α(アルファ)という指標で投資家それぞれの期待収益率を計るという非現実的な理論がある。ちなみにαはインデックスに対しての利回りの高さの差というファンドを構成するときのリターン測定では使われる。

有利子負債のコストは、金利なのだが、税控除されるため税引後に換算する。

さて、WACCが小さいほうが、小さいコストで資金を調達しているということになる。現実的には株主資本コストの方が有利子負債コストより高い。そのため有利子負債を多く活用しようとする(DE比率を高くする)と今度は、会社の格付けが下がってしまう。

DE比率が高くなると株主の期待収益率が高くなるという記述があったが、βではDE比率は無関係である。現実的には会社の格付けの影響を株主も考慮するということはある。

βでは、会社はマーケットに対して株価の変動が小さいほうがコストが小さいとする。この考えが理解できない人はβを批判する。コストとはあくまでもマーケット平均に対する変動の差ということが理解できないのであろう。

さて、WACCの概念について理解できたかと思う。
WACCつまり調達資金のコストと比較して初めて売上高、利益といった数値が尺度として測れるのである。(利益の信憑性は置いておいて)

株主投資利回り:TRS(Total Returns to Shareholders)

Posted by skillstorage at 16:40 / Category: ファイナンス / 0 Comments

株主投資利回り(TRS)とは主に、1~3年の期間での株主価値の上昇率を示す。株主価値の上昇には、株価の上昇、配当を指標とする。そのため上場企業でないと評価が困難である。

企業の過去の株価、配当から企業価値(投資に値するか)を主に判断する。企業価値は上場企業であればヒストリカルデータが得られるので非常にわかりやすい。また企業価値が株価という財務諸表とは直接関係無い評価で得られることも重要視されている。

但し欠点として、株価の変化を最重要視しているところ、将来を判断するのに不確定なところが多いことがあげられる。

株価は企業努力だけで変化するのではなく、経済状況、将来の期待値が反映され大きなインパクトを与える。
例えば、CEOが変わると発表したため株価が急上昇することがあるが、その時点では会社の状況はまったく変化していない。将来の期待値が反映されているだけだ。だがその時点でのTRSもまた高く出てしまう。

›6 26, 2006

シンクライアント

Posted by skillstorage at 19:08 / Category: IT / 0 Comments

Windows95以降の10年間強の間、クライアント(PCのこと)側で処理をさせることがメインとなっていた。クライアント・サーバと呼ばれ、クライアント側でアプリケーションを動作させ、サーバからは情報を伝送するだけの使われ方をしてきた。一時期はサーバなんかいらない、クライアントを寄せ集めて処理をさせようというグリッドコンピューティングというブームも起こった。今でもWinnyに代表されるP2Pはグリッドコンピューティングだ。

それ以前はダム端末(ダムとは馬鹿のこと)と呼ばれる端末で、クライアント側ではサーバで処理をされた情報を見るだけの使われ方だった。

クライアント・サーバの大きな問題点である、クライアント側での処理の大きさ、コストの高さは以前から問題となっており、Webシステムと呼ばれるクライアント側では処理をせず、情報を見せるだけといった使われ方が模索されていた。
だが、現実的にはWebシステム(ブラウザ)でできる処理は限られており、利便性が非常に薄かった。
Web2.0http://skillstorage.com/archives/000413.htmlと呼ばれるようなインターネット技術の発展はインターネットだけに留まらず、イントラネット(社内環境)でも整備されてきている。

その結果として、クライアントには高級なアプリケーション、高スペックなハードウェアが不要となりつつある。そのようなクライアント環境をシンクライアント(シンとは薄っぺらいの意)と呼ばれる。

シンクライアント化で企業はTCO(トータルコスト)の大幅な削減が実現できる。これはクライアントの費用が10年前に下がったほど、現在は下がっていない。むしろサーバのコストの方が下がっているからだと思う。

シンクライアント化でPCメーカー(PC用CPUからデスクトップからOS、アプリケーションまで)は今後は辛い展開になるのではないだろうか。サーバサイドで進んだオープンソース化(例えばLinuxをOSにApacheをWebサーバにといった使われ方)がシンクライアント化を加速させる気がする。

リアルオプション

Posted by skillstorage at 13:43 / Category: ファイナンス / 0 Comments

企業の投資判断材料として、ファイナンス理論としてこれまでNPV、DCFを紹介した。

NPV法(Net Present Value)
DCF法(Discounted Cash Flow)

ファイナンス(数学的)として非常にわかりやすい理論であった。しかし問題点もある。NPVでは将来の戦略の変更が考慮されていないのだ。現実の投資(設備投資)においては、経営状況によってうまくいかなければプロジェクトの短縮、撤退、うまくいけばプロジェクトの拡大、延長といった戦略の変更の意思決定を行うことができる。

リアルオプションは、そのような将来の戦略の変更を考慮した、投資判断を行うファイナンス手法である。

リアルオプションはオプション理論を取り入れている。

デリバティブ・オプション理論で本来欠かせないブラック・ショールズ・モデルは今回は扱わず2項モデルで見てみる。

※オプションとは、ある資産を一定期間中(行使期間中)に、あらかじめ決めた価格(行使価格)で買う・売る権利である。

例)初期投資に1500万円必要なプロジェクトがあるとする。この設備投資によって平均して毎年200万円のCF(キャッシュ・フロー)が得られる。但し、CFは1/2の確率で300万円であり、1/2の確率で100万円である。
資本コストは10%である。

【NPVの場合】
書き公式を用いる
     n      CFn
現在価値=Σ――――――――― -I
     n=1  (1+r)n 

ここでNPVはn=0からn=∞(無期限)で考える。

NPV=MAX[(-1500+Σ(200/1.1)),0]

※MAX[A,B]はA、Bの大きいほう。この場合投資をするか、投資をしないか(しない場合0)
NPV=-1500+2200=700

でNPV>0なので投資をする。

【リアルオプションの場合】
プロジェクトの開始を延期するというオプションがあるという前提である。
つまり、コール・オプション(行使価格1500万円、行使期間1年間、一設備投資当たりのCFを見て投資を行うか判断する)

プロジェクトを実施すべきかどうかという判断を1期遅らせて、投資をするかしないか判断する。
ここでNPVはn=1からn=∞(無期限)で考える。

リアルオプション
 =1/2*[MAX((-1500/1.1+Σ(300/1.1)),0]+1/2*[((-1500/1.1)+Σ(100/1.1),0]

※1/2づつの確率(期待値を反映させて意思決定を行っている)

 =1/2*[1800/1.1]+0

※CF=100の場合、現在価値に割り引くとマイナスのため投資を行わない。

 =818

NPVとの差は118万円である。
この差は投資判断を延期するオプション(コール・オプション)があるか無いかの差である。NPVでは現時点における予測のみで投資判断を行っている。CFが100か300のどれかわからないという非確実性の高さがリアル・オプションの現在価値の高さに繋がっている。

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イノベーションのジレンマ

Posted by skillstorage at 11:18 / Category: マーケティング / 0 Comments

ハーバード・ビジネス・スクールの教授クレイトン・クリステンセン氏の論文「イノベーションのジレンマ 原題:The Innovator's Dilemma: When New Technologies Cause Great Firms to Fail)」はイノベーション(技術革新)を起こし成功している企業が客のニーズに忠実に応えているために、次のイノベーションに乗り遅れ結果として市場を奪われてしまうという逆説的コンセプトで多くの成功企業を驚かした。

しかしその具体的事例が真実を物語っている。IBM、DEC、HP(ヒューレット・パッカード)と確かにイノベーション企業と言われている成功企業が市場シェアを失っているのである。

クリステンセン氏は、破壊的イノベーションという言葉で表現している。

優良企業が市場を失なうのは、競合他社が成長した為ではなく、むしろ技術革新を起こしたというよりは質の高くない製品・サービスを提供する新規参入企業による。

優良企業は、顧客ニーズに応える為、より高機能な商品の開発に注力する。要するに性能向上だ。これを「持続的イノベーション」と呼ぶ。

この技術性能向上が顧客の実際の全体ニーズを凌駕すると、技術性能は行き過ぎとなる。新規参入企業はより安価で、単純で、低機能しかしながら顧客ニーズを満たす機会を見出す。これを「破壊的イノベーション」と呼ぶ。

この新規参入企業は低価格化・全方位戦略を追求し、シェアを拡大していくのである。

これは優良企業がどんなに顧客に正しい行動を取ったとしても起こりえる、いやむしろ顧客に忠実な一般に優れているといわれる経営者にとってこそ起こりえる重大な隠れた問題である。When great firms fail by doing the 'right' things


例えば、HPのインクジェットプリンタ がある。HPは既存のプリンター部門の中でレーザーに特化していた。インクジェットの性能向上が新規参入企業群で起こっていた。ここはさすがHPで、インクジェットは別に開発していた。

このようなことは多々ある。Microsoft Windowsに対するLinux、メインフレームに対するパーソナル・コンピューターなど。

今までの正しいと言われていた経営が正しくなくなってきているとも言えるのではないか。これからのITを初めとするハイテク企業は古い技術に対する注意・危機感も忘れてはならないのだ。


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マネジメント日誌007「ミドルの育成」

Posted by skillstorage at 10:23 / Category: マネジメント日誌 / 0 Comments

地方都市に位置する当社にとって人材は貴重だ。町を見渡すと大企業の工場がいくつもあり、駅前には大企業の支社が軒を並べる。地方とはいえ好景気の兆しが見え始め、活気付きはじめている。

当社も大手企業に出荷している自社製品の売れ行きが好調で業務は忙しく状況が続いている。当社ではやはりベンチャーであり中小企業であるため、優秀な人材の確保が困難である。社員を見渡しても優秀と呼べるような人材は少ない。ただ優秀では無くても、忙しい業務をこなす士気は高いと感じている。それはただ単に優秀であるだけの人材よりも貴重だと思えた。

しかし、やはり優秀な人材を入れないことには会社は伸びないと感じた。社長もそのことを痛感しているらしく、業務も当分忙しいことを予測して優秀な人材の採用を行うよう指示された。

ただ、やはり地方都市であることと、景気が向上していることから、当社を希望する人材はろくな者がいないことが送られてくる履歴書を見ながら感じた。能力の低いものを採用することは会社にとってコストである。他の社員にも迷惑をかける。そのため採用は控えざるを得ない状況であった。

やはり既存社員の育成が必要だと改めて痛感していた。そんな折、若手社員の一部を集め経営革新を行えという社長命令が下ったのだった。

私が入社して4ヶ月ほど経った時だった。

最初は誰もが私のことを警戒していたように感じていたが、だんだんと話す機会が増えてきていた。そんな次期だった。

最初のキックオフミーティングを開いた。

だが、そこに集まった生え抜きの社員達は、そんな会議をさも面倒くさそうに出席した。自主的な発言もほとんど見られなかった。

経営陣と一般社員の意識の壁をこんなところにも見た。

彼らミドルが駄目なら意識改革は進められない。いかにして彼らの意識を変えるか。

また胃がきりきりと痛み出してきた。

›6 22, 2006

マネジメント日誌006「チーム」

Posted by skillstorage at 09:00 / Category: マネジメント日誌 / 0 Comments

高い技術力とリーダーシップを持つワンマン社長のかかえる問題はどこでも後継者である。

単なる社長の後継ぎということではなく、社長の行っていた技術、経営、人事、組織運営、オペレーションのあらゆる指揮を複数の人材にそれぞれ責任と権限を持たせ継承することだ。

結局ワンマン社長というのはどこでも人を育てるのが下手なのだと思う。

当社の社長もその点を非常に危惧していた。他の役員はイエスマンの集まりで、能力も低い。私もその点が非常に気がかりであった。

そこで、社長とのさりげない話から、これから5年後、10年後を背負っていける人材の育成が必要であるということを提案した。

これはミスミ社長三枝氏の「戦略プロフェッショナル」を初めとした全ての本からヒントを得た。

三枝氏は経営コンサルタントとして、経営の悪化した企業の再生に取り組んできた。その経験を小説仕立ての本(3冊)にしているのだが、どの本でも必ず再建に当たり主人公は社内から複数のキーマンを見つけ出すのだ。

どんなに経営が悪化して低い意識の組織でも気概のあるミドル社員がいるということも三枝氏は書いていた。

当社に当てはまるか半信半疑のところはあったが、各部署のミドル的ポジションにいる人材(20代後半~30代後半)の10人ほどをピックアップしてみた。

社長と何度か話し、彼らを経営陣と一般社員の間の溝を埋める役割を持たせようということになった。ピックアップされた人材について自分はよく知らない。だが、賭けるしかないと思った。

選ばれた人材ががいずれは会社を率いるまでに発展させたいという社長の希望も感じられた。そのためにあえて年齢の高い社員は入れないことにした。

だが彼らにやる気と能力そのものがあるのかはまだわからなかった。

›6 21, 2006

ナナロク世代

Posted by skillstorage at 14:52 / Category: アントレ(起業) /

1976年前後生まれのITベンチャー経営者のことを指す。彼らより上の世代のITベンチャー陣(33歳以上40歳未満)との対比として使われる。

ナナロク世代と一般的に言われている人物は下記の通り。

・株式会社はてな  近藤 淳也社長
・株式会社ミクシィ  笠原 健治社長
・株式会社ドリコム  内藤 裕紀社長
・ペーパーボーイ(株式会社paperboy&co.)  家入 一真社長
・グリー株式会社  田中 良和社長

全員がWeb2.0系コミュニティサイトをつくっている。彼らのほとんどと会って話をしたことがあるが(もう2,3年経つが)、なんだか大学のサークル活動のような感覚を感じた。きっとライブドア初期もこんな感じだったのだろうと思った。

だが、彼らは成長してもかたくなにサークルの雰囲気を保っているようだ。はてなやミクシィはテレビや新聞でもよく取り上げられるので見ているととても企業という感じではなくサークルのようだ。
利益を目標としているのではなく、あくまでも楽しんで仕事できる業務内容、そして喜ばれるサービスを提供しているように感じる。

ドリコムなんかは売上は町工場レベルだが上場してしまった。そして高い株価が付いている。彼らはブログやSNS(ソーシャルネットワーク)で日記をつけているが、それを読んでいてもサークルの雰囲気が漂う。

堀江容疑者がブログで日記を最初に始めたが、サークルの雰囲気が無くなりやがて金の匂いのする人物へと変貌を遂げた。同じ世代の楽天の三木谷やサイバーの藤田もやっぱりビジネスっっぽい雰囲気がする。彼らは業務を拡大する為にマネジメントを取り入れ、M&Aによる業務拡大も積極的に行う。

金と株主(彼ら自身なわけだが)を向いている。

ナナロク世代というのは、感性豊かだとも表現されている。

ところで49's(フォーティ・ナイナーズ)と呼ばれる昭和49年生まれ世代という言葉もある。彼らの中からぱっとする人物はなかなか出てこない。埋もれてしまっている世代だ。昭和49年生まれと昭和51年(ナナロク)生まれに何故、これほど差が出ているのか。

大きくは、昭和49年生まれは大学時代にほとんどITやインターネットが使えなかったが、昭和51年生まれは、大学時代にIT、インターネットが非常に活発だった点が上げられると思う。さらに大学時代の就職活動のスタイルや就職希望先、就職活動状況も大きく違っていた。

昭和50年というのはちょうど境目で、両方の特徴が混在しているようだ。

たった2年違いでも、メンタル面、パーソナリティ面で大きく違うのが面白い。

そんなナナロク世代も経営者それぞれの能力や考え方には大きく違うところがとても面白い。本を読んでこんなにも違うのかと驚いた。(ブログもほとんど読んでいるけど)

特にはてなの近藤 淳也氏は変わっているが能力の非常に高い経営者だと思う。

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田中 良和氏はまだ学生のような感じがする。考え方もちょっと甘い大学生感覚な気がする。

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笠原 健治氏は話しても全然しっかりしている人物とは思えない。家入氏はかなり変人ぽいです。

ハーツバーグの動機づけ理論

Posted by skillstorage at 11:17 / Category: HR(人事) / 0 Comments

人間の欲求には大きく分けて2種類あるというのがハーツバーグの理論だ。

・衛生要因「ハイジーン」
  ->不満の種となる要因、不満足要因

・動機づけ要因「モチベーター」
  ->満足感を感じるの要因、満足要因

ハイジーンは例えば報酬・給与、職場環境、労働条件、会社の政策などがあげられる。もっと言うと仕事そのもの、働く最低限の理由がハイジーンになり得る。衛星要因と名づけられているが、例えば便所は衛生的にすることが必要だが、それでは満足にならない。またすぐに不満が出てきてしまうからだ。

モチベーターは例えば、仕事での満足感・達成感、やりがいといった心理的な要因による。

ハイジーン、モチベーターどちらもコインの裏と表のようなものだ。コインは仕事そのものだ。仕事自身がハイジーンにもモチベーターにもなり得る。

マネジメント日誌005「社員の理解」

Posted by skillstorage at 09:29 / Category: マネジメント日誌 / 0 Comments

入社して3ヶ月の間、自分の業務は将来への備えを中心に考えていた。そのためのビジョン・計画をなんとしてでも作り上げたいという気持ちだ。しかし、そのような業務が一般社員から理解されることは無いと感じつつあった。私の仕事は自分で作らないといけないため、暇だとも思われているようだった。

そこで、一般社員の仕事を夜遅くまで手伝うようにしてみたところ、なんとそのような足元の仕事を手伝うことの方が一般社員からは評価される気がした。しかし、自分の給料では雑務(誰でも出来る仕事)を手伝うなど本来許されるはずが無い。社員の気持ちはつかむことはできるかもしれないが、そんなことを続けたら社長から雷が落ちて首を切られるだろう。

かといって社員の理解を得られないことには、これから自分が進めるであろう経営改革・組織改革は断行できないとも感じる。

コンサルタント時代にはまったく気にもしなかったことだ。これがコンサルティングを受ける側の立場ということなのだろう。

このような微妙な状況を維持しながら何か方法は無いかと苦悩し続けた。

自分には経営に対する知識、戦略を実行する力もあると過信していた。しかしそのためには一般社員に広く理解してもらう必要がある。

恐らく同じような経験をしたであろうミスミ社長の「戦略プロフェッショナル」を読み直してみた。他のシリーズも読み直した。経営戦略知識があっても実行できないのは、強力な銃(ウェポン)を持ってはいるが使えないのと一緒だと揶揄していた。

まさに自分だと思った。

自分は「自衛隊」なんだと感じた。決して国民から理解されず、武力行使することもできない軍隊。国民から無用の長物なんていわれる姿は、自分なんだと感じた。

だが、「戦略プロフェッショナル」を読んでいて、そんな状況を打破するアイデアが湧き出してきた。

福井総裁、村上ファンドで7年で資産2倍に

Posted by skillstorage at 09:05 / Category: 日々雑感 / 0 Comments

日銀の福井俊彦総裁が村上ファンドに1000万円投資し資産が2231万円に増えていた問題である。

根本的には以下の問題のことを言っているのであろう。

資産が2倍にもなるようなファンドに投資するのはずるい。

新聞などから一般庶民の感情を分析すると、いくつの問題に分けることができる。

(1) 7年で資産が2倍にもなるようなファンドに投資していたのはずるい
(2) 一般庶民が投資をできない村上ファンドに投資をするのはずるいしインサイダー取引だ。
(3) ゼロ金利政策をしておきながら高い利率のファンドに投資をするのはずるい

まず、(1)についてだが、資産が2倍に増えるファンドなんていうのはいくらでもあるのだ。7年で2倍ということから複利で約10%である。

モーニングスターでリターンを調べてみよ。
30%のリターンの投資信託だって存在するし、一般庶民だって買える。

(2)に関しては、確かに一般庶民の羨望を感じるだろし、インサイダー取引と言われていて大問題になっている。これは日銀総裁という職務上の倫理的に職責違反だと思う。

(3)も一般庶民からの単なる羨望であろう。

スポニチではこんな風に書かれていた。

庶民には考えられない話≫一般庶民が1000万円を銀行の普通預金に預けた場合、金利は0・001%で、年間の利息はたったの100円。普通預金よりも金利が高い大口(1000万円以上)の定期預金でも金利は0・8%ほど。年間で8000円しか増えない。http://www.sponichi.co.jp/society/news/2006/06/21/01.html

今回の福井総裁の問題は、職務倫理違反、インサイダー取引が問題であったと思うが、いつの間にか金を稼いだことに対する羨望から怒りへの転換になってきていると思う。
これはおかしい。
一般庶民は金融商品に対して無知であることが露呈された。

›6 20, 2006

マネジメント日誌004 「ビジョン」

Posted by skillstorage at 14:58 / Category: マネジメント日誌 / 0 Comments

社長にビジョンを打ち出すよう促したことが社長の怒りを買ってしまった。最初は何故社長は怒っているのかも理解できなかった。一方的に自分は怒られている。こうなってしまうともう何を反論しても無駄であることも知った。自分は雇われている身であり、この会社では社長が絶対的な権限を持っているのだ。

どんなに理不尽なことでも雇われている身であるため従わなければならない。そんなことは他の従業員はとっくに知っていることであった。だが、大企業でしか働いたことの無い私は社長も社員も発言することに関しては同権だと勝手に思い込んでいた。

そもそも何故社長は激怒したのか。これは根本的には性格の問題なのだとその後わかった。今までワンマン経営者として活躍してきて、誰にも指示などされたことはなかったのだろう。人に指示をされるのを何よりも嫌うのだろう。これは徐々に理解できるようになった。中小企業の経営者というのは工場を建てるにしても担保として自分の資産を差し出しているのだ。従業員やその家族に対する責務もある。そのような重荷を背負って生きてきた人に対して、ただのサラリーマンの提案なんていうものは無責任に感じられるのであろう。

それともう一点理由があった。社長はビジョンを十分に示していると思い込んでいたのだ。

社長に怒られ、その日はその屈辱感と理不尽さからとても気分が滅入った。そしてあまりにも打たれ弱い自分を知り悔しくなった。

所詮自分は今までサラリーマンというぬるま湯にいたのだ。だが自分は今後さらに自分を磨きプロの経営者になりたいと思っていることを再確認した。

そしてこのようなことでは決してめげてはいられないと思った。

自分の提案は間違っていない。ただ伝え方が下手だったのだ。そこでビジョンがどんなに大切かを様々な情報を集めて社長に伝えることにした。

例えば、資金調達、国からの助成金などには計画書を出すことはつきものであった。また社員がビジョンを知りたいということも伝える努力を考えた。遠回しな表現で伝え、諦めずに伝えていることによって徐々にではあるがその重要性について認識はしてくれているようである。このようなことは時間が掛かるということも認識した。

だが、このような動きはあまりにも経営サイド寄りであり、自分の業務がますます現場の社員から冷ややかな目で見られ始めていることも気になっていた。

マネジメント日誌003 「ミッション」

Posted by skillstorage at 09:37 / Category: マネジメント日誌 / 0 Comments

入社してからの3ヶ月間、特に社長から個別に指示は与えられなかった。ただ、話す機会はあったので、考え方や方針を探り出すように心がけた。この社長は創業者であり、オーナーであり、実質指揮官である。小さな町工場から売上高30億近くを稼ぐ中小企業へと発展させた。全て社長の意思決定によって会社が動いていた。

だが社長はエンジニア出身であり、経営については自身の判断のみで動かしている状況を心配し、コンサル出身の私を採用し会社のミドルへと配置したのである。

だが、実質的に私は社長直轄の部署ではあるが、管理部門のためいわゆる現場へは口を出せない立場にいる。

そのような状況から会社をより良くするにはどうすれば良いか、毎日が苦悩であった。現場は過剰な業務、納期に追われている。自分だけが社内で業務が与えられていない情況である。将来を考え自分で業務を作っていかなければならないのだ。それができなければ私は用済みとなってしまう。

現場からは冷ややかな目で見られている状況は続いている。なんとか自分の居場所を探し出さなければならない。そんなことから社長の考えをなんとか知ろうと努力したのだ。

ここの社長はビジョンを示すのが非常に下手であることがわかった。特に将来への展望など持ち合わせていないのかもしれない。ビジョンを持つには年を取りすぎてしまったのか。いずれにしても、誰もがただ客の引き合いが多くなりすぎて、それをこなす事で精一杯のように感じる。

私は自社に類似する企業を調べまくった。そうするとやはり伸びている会社はビジョン、経営手法が優れていると感じさせられた。現場社員からも将来の方針がわからないという不安が聞こえてきた。

そこで私は社長のビジョンをつくるのを手伝うことこそが今会社に最も求められていることだと感じた。そしてそれこそが自分のミッションだと思った。

そして社長にビジョンと経営計画をステークホルダー(社員、株主、取引先など自社の関係者)に示しましょうと提案した。

だが、そのような提案に社長は激怒し一蹴された。

›6 19, 2006

ポートフォリオ理論と効率的フロンティア

Posted by skillstorage at 17:17 / Category: ファイナンス / 0 Comments

ポートフォリオとは「組み合わせ」を意味する。辞書的にはフォルダと同意語で複数のファイルを入れるもののことだ。

ファイナンスでは、株式や債権、現金など金融資産の組み合わせのことを意味する。

ポートフォリオの中のそれぞれの金融資産ごとにリスクとリターンが各々に存在する。ポートフォリオではその全体としてのリスクとリターンを求める。すると理論上では”あら不思議”リスクを減らしリターンを増やすことができるのである。

このようにポートフォリオを組んで、リスクを減らしリターンを向上させる曲線を効率的フロンティア(有効フロンティア)と呼ぶ。

この計算は個別の金融資産のリスク(βベータ)とリターン(期待収益率)からポートフォリオ内の個別の金融資産の相関係数を求め合算することにより求めることが出来る。簡単に説明すると次のようになる。

個別のリスクの計り方:株式市場の平均(日経平均やTOPIX)指標に対してどの程度+か-に動いていたか。

例)
株式A:リスク:+1、リターン:100
株式B:リスク:-1、リターン:200
※簡単の為、持ち分は一緒とする。

このような場合、リスクは相殺され、リターンは(100+200)÷ 2 = 150

こうしてみると、リスクのブレが無くなり、市場平均と同じように動くようになった(リスクが無くなった)にもかかわらず、高いリターンを実現している。

ファイナンス理論では、株価と過去データを絶対的なものとしている。そしてこの理論だ。理論によれば、株券など金融資産はリスクを低減するモノを組み合わせればよいと、それだけになってしまう。

過去のデータのみで判断しているところがこのポートフォリオ理論の弱点か。

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IRR 内部収益率

Posted by skillstorage at 16:24 / Category: VC(ベンチャーキャピタル) / 0 Comments

IRR(Internal Rate of Return)とは内部収益率と呼ばれ、NPV(正味現在価値)がゼロとなる割引率である。

NPVを求める場合は、初期投資額、毎年のキャッシュフロー、割引率(ハードルレート)から求める。

     n      CFn
現在価値=Σ――――――――― -I
     n=1  (1+r)n 

※文字化けして読めない場合のために。
現在価値=(毎年のCF÷毎年の割引率)これを設備が使えなくなる年数(n年)まで加えたものから、投資額を差引く。

年 :1年 2年 3年 4年 5年
CF : CF CF CF CF CF
設備投資:1000

参考)
正味現在価値 
バリュエーション 

IRRでは同じ式をNPVがゼロになるときのrの値を求めることによって得られる。

NPVの使い方だが、ファイナンス的には次のように事業を評価することができる。

NPV>0 企業はその事業に投資するべき。
NPV<0 企業はその事業を却下するべき。
NPV=0 その事業に投資しても企業価値は変わらない。

そしてIRRは次のように投資判断として使える。

IRR>割引率 企業はその事業に投資するべき。
IRR<割引率 企業はその事業を却下するべき。
IRR=割引率 その事業に投資しても企業価値は変わらない。

何故、割引率が出てきたのか?割引率とはそもそも何か?

ファイナンスでは、現金を持っているということは企業価値を損なうことだと何度も説明した。無駄にキャッシュを持っている会社には、村上ファンドが乗り込んできて、「無駄なキャッシュは配当するか、事業に投資せよ」って言ったであろう。

それは現金(キャッシュ)は時間とともに目減りするものだからだ。現金を持つことはリスクは何も無い。しかし同じくリスクが何も無い(に等しい)国債を持つと利回り(クーポン)が入ってくる。つまりそのリスクが無い国債の利回り(リスクフリーレート)以下のものは時間と共に価値が目減りするということだ。

この割引率というのは企業によって異なる。何か事業を行う為に設備投資しようと思っても、例えば安定企業であれば割引率が低く、ベンチャーであれば高い。それはWACCによって変わってくる。要するに株主と債権者の求めるリターンに影響される。

リターンが高ければ、その分リスクも高い。ファイナンス(統計)的にはリスクとリターンは二律背反の関係にあるのだ。

IRRは非常に明快でわかりやすいのだが、ネックは結局割引率を出すところにある。

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マネジメント日誌002「コミュニケーションの問題」

Posted by skillstorage at 15:29 / Category: マネジメント日誌 / 0 Comments

入社して3ヶ月が経った。以前として社員の中には溶け込んでいない。だがポツリ、ポツリと話を色々してくれる人は増えている。コミュニケーションには非常に時間が掛かると認識させられた。

特に今回は経営戦略の企画及びその指揮という経営者側のポジションである。当然社員達は警戒しているし、コミュニケーションが取りにくいのはしょうがない。私は常に彼らより上のポジションとして振舞わないといけない。自分のようなマネジメントというポジションでさえこのような緊張感、孤独感を感じるのであるから、世の中の経営者の孤独感というものは計り知れないと思った。

私の場合、会社では本来の自分よりもしっかりとした、より大人の自分を作り上げ振舞っている。その分家庭、そして友人と会うときには本来のいい加減な自分をこれまで以上に露呈している。そうでないとなかなかバランスが取れず、精神的な調和が取れないのだ。やはり友人達とは楽しんで話すことが出来る。学歴もほぼ同じ、仕事のポジションも同じため、趣味が似ていて、価値観が近いからだ。彼らには本当の自分をさらけ出すことが出来る。また同じようなポジションにいる

社員と話すことは飲み会が中心だ。あとは休憩時間に少々話す程度だ。

ベンチャー企業のため、社員の教養レベルは低く感じる。大卒者はわずかだ。普段の会話もこれまでの自分が所属していた組織、友人達とは異なる。飲み会においてさえ居場所が無く感じる。

だが、このような飲み会には積極的に参加し、ノムニケーションでコミュニケーションを深める必要性は大きいことを認識している。組織内での派閥(インフォーマルグループ)を把握しておかないといけないからだ。
まだ3ヶ月しか経っていないが、この会社の問題点の多くがコミュニケーションの不足、不調和から来ていることが肌身に感じられるのだ。

目標とする組織は、社員から活発に会社を良くする提案が出てくるような組織である。

今の社員は不満を抱えながら、それさえも口に出来ないような組織なのである。

ワンマン社長は会社を自らの意思決定で強引にも引っ張る。いかに社員が従順し、社長を慕い、モチベーションを上げるかが良い企業とされている。当社もそのような流れの中、ヒット商品が出てきて急成長して来た。しかし、今後もさらに会社を伸ばしていく為には、この組織体系を崩す必要が出てくる。

社長はもう60歳を超え、一線で活躍できなくなりつつある。また会社も業務拡大が続き、社長の指揮統制にも限界が出始めている為だ。また、若い社員も増え、社長の考えがダイレクトに伝わっていないとも感じる。

私の責務として、コミュニケーション向上がとても重要であると今認識している。

・一般社員の抱える不満・不安をミドル層に上げるシステム
・社長のビジョン、経営計画を一般社員に伝えるシステム

今は社長と一般社員の考えには乖離が激しく、まだ社員からの信頼を得ていない自分がどのような役割を果たすことができるのか、とても苦悩している。

参考)コミュニケーション


マネジメント日誌001

Posted by skillstorage at 09:19 / Category: マネジメント日誌 / 0 Comments

これから小説風にマネジメント知識を学べ、マネジメントの心情も知ることのできる「マネジメント日誌」を連載していきます。これまでの知識が体系だって理解できるよう勤めます。

ハイテク機器ベンチャー企業の経営戦略指揮者として採用され1ヶ月が経った。この企業は長年細々と活動していた企業だが、近年自社の技術がヒットし急激に成長するベンチャー企業となった。従業員もここ3年間で2倍となったため様々な問題が勃発している。特に社長でありオーナーでもある人物は、典型的なワンマン経営者であり、全指示が彼の元から発せられる。経営幹部(役員会に名を連ねる人物たち)はイエスマンもしくは、そもそもマネジメントに対する知識が無く、自分の部署の業務で精一杯という感じである。

私のミッションはこの企業の急速な成長に伴う様々な問題を解決し、経営を安定軌道に乗せ5年を目標に上場させることである。

1ヶ月間を過ごしたわけだが、第一印象は、社員が非常に暗いというか仕事に対して情熱だとかやりがいというものが感じられないことであった。ワンマン経営者そしてイエスマンで固まる経営幹部の下において、ただ従順に仕事をこなすだけというイメージである。
当然私の立場はマネジメントサイドのため、社員からは警戒感を持って見られている。経営幹部の連中も何を考えているのかはイマイチまだつかめていない状況である。

だが、1ヶ月しか経っていないなりにも感じるのは、社長の考え、経営方針と実際の現場の不満というギャップは非常に深まっており、今後会社の急速な成長に社員が着いてこれるのかが心配である。また社員は小さいベンチャー企業であることからも全社員が猛烈に働き、必要とされていない人材はいないことである。

しいて言えば、私は今までいなかったポジションでの採用ということもあり、社員から「こいつは必要な人物なのか?」とう視点で見られていることをひしひしと感じる。またこのようなワンマン経営者の下にいるため、当分私の意見、経営戦略は実行できそうもない。そうなると給与に見合った仕事が実行できなくなる。

それよりも必死で働いている社員の気持ち、すなわち「今忙しいのだから、何か手伝えよ」という感情に答えるべく、緊急性の高い雑務を手伝うことがメイン業務となりつつある。

要するに一般社員は会社の将来なんかより、足元の仕事、納期に間に合わせることだけしか頭が行っていないのである。

なんとか自分の居場所を作りつつ、組織力のある会社にしていかなければならない。孤独感と責務の非常に高い仕事であるが、一般社員に流されないように仕事を進めていかなければならない。過度にストレスが溜まるが、そのストレスは日々完全に解消されなければならない。高いモチベーションを社員にも示す必要があるからだ。

だが、業務においても日常の生活においてもガンバルことをこれで決意できた。暫くは充実した生活を送れそうだ。

›6 16, 2006

就職適性検査(SPI)

Posted by skillstorage at 17:55 / Category: HR(人事) / 0 Comments

就職活動の基本は書類選考(学歴・職務経歴)と面接である。だが書類選考と面接だけでは判断できないことが多々ある。

一言で言ってしまえばポテンシャル(潜在的能力)である。

磨けば光るダイヤの原石、醜いアヒルの子といった例えをすればわかりやすいだろう。

就職適性検査の大きな目的は、面接で評価するまでも無いこと、事前に知っておきたいことの調査と書類選考、面接では測定できないことの検査である。

しかも面接や書類選考に比べて結果が統計化され、数値・グラフとして表現されるので判断しやすい。面接だったら面接者の主観がどうしても入ってしまう。

具体的に分類すると下記のようになる。
・性格検査
・能力検査
・学力検査
・常識検査
・適性検査
・ストレス耐性検査

書類・面接だけで特に測れないものが能力検査だと思う。数的処理、言語的処理、論理的思考能力だ。面接でさえない人物でも能力検査が高い、逆パターンもよくある。特にエンジニアには対人コミュニケーション能力が低いパターンがあるが、能力検査では高い評価の者がいる。そのような人材から企業の研究開発そして自社製品が産まれてくる。


人間には大きく分けて3つの側面がある。
・知能能力:IQ、創造性など
・態度能力:人間性、価値観など
・技術・技術的能力:技術力、業務遂行能力など

別の側面から見ると、見えやすい箇所としては、技術・経験・学歴、態度といったところになり、人間の本質的なところ、性格、価値観、特徴、モチベーションといったところはなかなか見えにくい。

但し、このような適性検査も対策本が出ているのは大きな問題だ。適性検査で適切に測定できなくなるからだ。特にポテンシャルの部分が適切に測定できないのであれば、まったく無用の長物となってしまう。


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›6 15, 2006

第三者割当増資

Posted by skillstorage at 19:50 / Category: ファイナンス / 0 Comments

現在の株主以外に新株式を割り当てたり、もしくは株主であっても特定の者にだけ新株式を割り当てる増資のことである。
特定の取引先や金融機関、自社の役職員などに第三者割当を行うのが一般的であるが、この際時価発行するのが基本である。時価発行することによって株主間に課税の問題は生じなくなる。

時価発行の評価方法は様々である。

第三者割当は、発行か部数に対する既存株主の持分の減少(希薄化、ダイリューション)を伴うので、既存株主の持ち株価値が減少する。

同族関係者に安い価額で第三者割当増資をした場合には、相続税評価額との差額が贈与となり課税対象となる。

›6 14, 2006

私募債

Posted by skillstorage at 13:06 / Category: ファイナンス / 0 Comments

私募債は非公募債あるいは縁故債とも呼ばれる。一般的な社債が証券会社を通じて一般に募集される公募債なのに対して、私募債は少数の特定先が直接引き受けることによって発行される社債である。また、社債の勧誘者が50名未満のものを少人数私募債と呼ばれる。

大きな特徴は、私募債は社債の一種なので、銀行借入とは異なり直接金融でありしかも中小企業が利用しやすい点にある。銀行借入においては、担保や保証人が必要となり、毎月の利払いと元本返済も必要となる。

私募債は有利子負債(銀行借入)と違う視点から資金調達の監査がされ、一定の財務水準が無いと発行できない。逆に言えば私募債を発行している企業は優良企業としての評価をPRできる。

発行者(企業)のメリットとしては、銀行と比べ金利を1年後などまとめ払いが設定できるので、ゆとりを持った返済プランを作成できる。さらに利息の支払面で損金扱いできるため節税メリットが享受できる。物的担保や保障料が不要である。


引き受け側のメリットとしては、オーナー企業の場合、社長が私募債を引き受けることによって、社債利子の分離課税税率(20%)が社長の収入に対する総合課税利率より下回るケースが多く、節税効果が得られる。


発行に当たっては、満期償還期間(元本を返済するまでの期間)、金利(クーポン)を取り決める。非常に魅力的な私募債ではあるが、引き受け先(社債権者)を見つけることができるかが重要なポイントだ。


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グリーン調達(Green Procurement)

Posted by skillstorage at 09:39 / Category: オペレーション / 0 Comments

環境に配慮した経営の一環として、製品の原材料・部品や事業活動に必要な資材などを環境への負担が少ないものから優先的に調達しようとする活動のことである。
ISO14001が環境マネジメントの規格として取得企業が増加しており、その先をいくのがグリーン調達である。

そもそも企業が環境に配慮するようになったのは、最近のことでありそれは企業の社会的責任(CSR)が重要であるとの認識が社会的に広まったからである。

グリーン調達を行う企業は使用禁止物質一覧などを作成し、社内はもちろん調達先にも使用禁止物質が含まれる資材は調達しないよう徹底したガイドラインを設ける。

ガイドラインは法根拠から使用禁止物質を決められるようにしているのが一般的だ。
例えば、鉛などはRoHS、ポリ塩化ナフタレンは化審法1種特定、オゾン層破壊部室は76/769/EEC、放射性物質は原子炉等規正法、六フッ化言おうは京都議定書、その他にもモントリオール議定書指定物質、EU指令などがある。

›6 12, 2006

いくら応援しても報われない

Posted by skillstorage at 23:54 / Category: 日々雑感 / 0 Comments

日本負けましたね。
観戦というのは大嫌いです。観戦なんていうのは、占いと一緒なんだと思います。
他人に自分の人生を委ねているという点が。
自分がいかに努力しても報われることのない世界。

応援して損した。見て損した。後味悪いじゃないですか。

やっぱりどんなことでも自分がプレイヤー、主人公になれる世界じゃないと。
勝っても負けても自分の実力。
それならば納得できるでしょう。


キャッシュフロー計算書

Posted by skillstorage at 20:02 / Category: ファイナンス / 0 Comments

利益は決算方針によって変動するものである。会計基準によっても変わる。また減価償却費がコストとして複数年続くものである。
そうなるとP/L(損益計算書)によって、その会社の真の利益(つまりどれくらいキャッシュが入ったのか)を見るのは難しい。

減価償却費はくせもので、自己資本で設備投資したとしてもP/L上は費用として毎年(期間中)計上される。つまり減価償却費分逆にキャッシュが溜まる。

他にも売掛金は儲けに見えるが、キャッシュがまだ入ってきていない。逆に買掛金はまだ金を払っていないのでキャッシュが出て行っていない。

要するにP/L、B/Sだけを見ても会社についてはよくわからない。会計基準によっても変わるし、概要を知れるだけだ。もちろん企業の提示する財務諸表の脚注をしっかり読めばわかる。でもそこまでするのは大変だ。

現実の動きはキャッシュフロー計算書の現金の動きを見ることによってわかる。


営業活動によるキャッシュフロー
まず税引前当期純利益を基準として考える。そこから実際に入ってきたキャッシュ、出て行ったキャッシュを考える。
これが現実にモノ・サービスを売って入ってきたゲンナマだ。


投資活動によるキャッシュフロー
土地・建物の取得・売却
投資有価証券の取得・売却
貸付金の実行・回収
など営業活動以外のキャッシュフローだ。通常企業は先に投資活動を行い、設備などを整えてから後から利益が入ってくる。投資を行ったときは現金が出ていくのでマイナスになる。

営業活動によるキャッシュフローと投資活動によるキャッシュフローを足したものがフリーキャッシュフロー(FCF)だ。

財務活動によるキャッシュフロー
借入金による調達・返済
社債の発行・償還
増資など要するに資金調達に伴うキャッシュの動きだ。投資活動(設備投資など)を行うには、資金を調達するのがメインだ。利益を内部留保し、借金返済に充てるとキャッシュは出て行く。借り入れるときは入ってくる。

このようにキャッシュフロー計算書を見ると企業の状況が現実のモノとして見えてくる。
つくっていない企業はぜひつくって見て欲しい。

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AjaxとWeb2.0

Posted by skillstorage at 16:25 / Category: IT / 0 Comments

それぞれエイジャックス、ウェッブ・ツー・ポイント・オー(ゼロ)と読まれる。

Ajaxとは、Webページのリロードを伴わずにブラウザをアプリケーションとして使うことの出来る実装形式である。

これまでデータをサーバに通知して処理結果を得るにはページ全体をリロード(もしくは別ページ移動)しなおさなければならず、クライアント・アプリケーション(PCにインストールして使うソフトウェア)と比べ、利用者の使い勝手が悪かった。現在はあたかもクライアント・アプリケーションのように使用できる。ブロードバンド化によって大容量のデータ送受信ができるようになったのと、それ以上に技術発展(イノベーション)があったからだろう。

劇的に変わったのは、2年前のGoogleMapの登場だと思う。最初に使ったときは、あたかもPCにある地図を触っているかのような感じだった。これがクライアント用アプリケーションではなく、インターネットをブラウザを介して使用できるところが画期的だった。

Web2.0は様々な定義があるようだ。

Tim O'reilly氏の「What is Web 2.0」による定義もあるが、広い意味では下記を満たすものとされる。

Rich Internet Applications
 Ajaxに代表されるリッチ・インターネット・アプリケーション技術を利用しているもの
Server-side software
 ブラウザで操作でき、処理はクライアント側(PC側)ではなく、サーバサイドで行うもの。

Client-side software
 利用者側が自由にカスタマイズできるもの。
RSS
 RSS、RDF、XML等共通のフォーマットかつ発信型のデータ送受信機能を持つもの。

Web protocols
 REST、SOAPといった最新プロトコルを利用したデータ送受信機能を持つもの。

非時価総額経営(会社の価値と時価総額は一致するのか?)

Posted by skillstorage at 10:10 / Category: 経営戦略 / 0 Comments

時価総額経営とは、株価を最大限に上げることを経営目標とする経営スタイルのことである。顕著なのが、ソフトバンクや楽天、ライブドアであり、上場しているITベンチャーの多くが時価総額経営と言われている。米国では時価総額を最大限に高めるこの時価総額経営が当たり前のように言われている。

さらに言うと、株主の利益を最優先させている経営とも言える。

時価総額経営の特徴としては、利益が得られていなくても将来の利益を期待して高株価が得られる。利益や資産に対する株価の割合(PERやPBR)が高い。この高い株価を利用して株式交換によるM&A(つまり金は無くても企業が買える)により将来性の高い企業を買収し、さらに株価を上げるということだ。
配当は当然行わず、将来への投資(資本へ組み込み)を行い、さらなる株価の上昇により株主へ利益を還元する。

将来への期待というものが市場から失われた場合、株価は当然下落する。
株価が低くなった場合、もともと利益が株価に対して少ないので、資金繰りに苦しむことになる。

将来の利益を現在価値に直しているのが株価だが、その将来への展望というのは非常に不確定である。だが、その不確定を見越して投資家はその企業に投資する。

時価総額経営を行う経営者は、将来への明確なビジョンとその実行可能性を持つことが必要である。

他方、非時価総額経営の企業は多数ある。明確に時価総額の増大を狙わないと決めている企業である。

はっきりと時価総額の増大を目指さないなどと当然投資家には説明しないが、そう感じる企業はある。多くが駄目な経営者であるが、優れていると思う企業もある。

例えば、キーエンス。この会社の利益率の高さは群を抜いていると以前説明した。=>無借金経営キーエンス

この会社の製品開発プロセスや、ファブレスによる合理化は素晴らしいものを感じるが、時価総額経営とは思えない行動を取っている。

無借金経営
営業利益率50%以上
従業員平均年齢31歳で平均年収1300万円
顧客1社における割合は1%以内に留め、それ以上になる場合は受注を拒否する。
利益率20%に満たない事業は売却
ゴールデンウィークは全社員に10万円を支給し、休ませる。
年3回の連続休暇は7日以上
(慶応ビジネススクールケースより)

例えば、無借金経営であるが、これは会社の利益を実は圧迫させる。株主の求めるリターン(配当)の方が有利子負債(銀行)や社債よりも遥かに高いからだ。株主から見たら利益はどんどん上がってきて、内部留保は増えるがその金(キャッシュ)の使い方が見えてこない。金がじゃぶじゃぶ余っているように見える。キャッシュを眠らせていることは、利子も付かないので最低な経営者と見られる。

利益率が高いから気にしていないだけかもしれないが、このような高いコストによる資金調達、キャッシュを有効活用していない経営は、例えば村上ファンドのようなもの言う株主の絶好のターゲットになってしまう。

その他、業界内で高すぎる従業員の給料、待遇は経営を圧迫させる材料になるので、物言う株主だったら下げるよう言うだろう。

キャッシュで自社ビルは買っても、他事業で利益を出そうとしない点も詰められるだろう。

将来への大きな展望(他分野M&Aなど)も特に無い。アピールしていないだけか?
自社内でのIR情報の扱いも非常に小さい。単に過去の利益の推移があるだけ。

これほどの収益力があるのであれば、新分野進出による更なる付加価値製品を創出することで社会的地位向上だとか、競合と住み分けしていないでシェアを取るという戦略があっても良いかと思う。(競合のオムロンは利益率はキーエンスに比べるとだいぶ低いが売上高、社会的名声は遥かに高い)

こうしてみると、キーエンスは自社内、社員に利益を還元させることを目的としていると見れる。株主への還元を目標にしているとは感じられない。

社員に利益還元といっても金銭面での還元だ。

これは時価総額経営の企業とは大きな違いだと言える。

ただし、キーエンスはもし物言う株主がいたとしても、それを黙らせるほどの大きな営業利益率(製品開発プロセス、合理的な製造プロセス、顧客フォローが超優れているから)を維持している。

でもなんで上場している意味あるんだろうか?
する必要があるのだろうか?していないのだったら、株主からつつかれるようなことは一切無く最高なんだけどなぁと思う。

›6 06, 2006

インサイダー取引(村上世彰タイーホ)

Posted by skillstorage at 14:37 / Category: 日々雑感 / 0 Comments

村上世彰の子供のころ」を以前紹介した。そしてついに逮捕。
インサイダー取引とは、株価を左右するような未公表の重要事実を基に、その企業の株を売買することである。

インサイダーとは内部の者である。

米国ではカリスマ主婦であり、現在はアプレンティス(米国版マネーの虎)のマーサ・スチュワートがインサイダー取引容疑で逮捕され騒然となった。

村上世彰容疑者は「聞いてしまった」、「プロ中のプロと自認していたが、、、、失格だ」と記者会見で答えていたが、そもそもグレーゾーンの箇所に自己判断を下していたところはプロ失格だと思う。

とはいえ、大企業の多くもインサイダー取引で逮捕者(西武鉄道株の堤義明容疑者など)も出ていて、見つかっていないインサイダー取引は腐るほどあるだろう。堀江容疑者の利益付替の粉飾決算も大企業にも見受けられるという記事が多くあった。

ようするに村上世彰容疑者本人も言っているように、叩かれたのだ。


村上世彰容疑者の簡単なプロフィール

ニックネームは「せしょう」。
M&Aコンサルティング取締役。「村上ファンド」の中心人物
「もの言う株主」と呼ばれるアクティビストとしての手法を用いる。株を購入し経営者に迫ることからグリーンメーラーとも呼ばれる。悪質な言い方として総会屋呼ばわりされることもあった。

父親は台湾出身の華僑。村上世彰容疑者は灘高、東大法学部、通産省とエリートコースを歩む。

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ムサシカーブ

Posted by skillstorage at 09:29 / Category: オペレーション / 0 Comments

ソニー中村研究所の中村氏がスマイルカーブとは対極のカーブに対してムサシカーブと名付けた。
世界的にはムサシカーブではなく、スマイルカーブつまり製造工程において最上流、最下流こそが付加価値が高いとされている。他方中村氏は日本の製造業の強みはむしろ製造工程の真ん中に位置する製造・組立であると主張する。

そして「平成16年度ものづくり白書」の報告書によると最も利益率の高い工程は中村氏のムサシカーブそのもの、つまり製造・組立であった。

何故、これほど両極端になるのであろうか。

スマイルカーブの利益率の高い点は、上流工程の研究、開発、設計、そして下流工程の販売とアフターサービスである。

ムサシカーブが日本で見られる原因を自分なりに分析してみたのだが、まず第一に製造が複雑になって、製造・組立においても高度な技術、熟練度が必要となってきているため、技術力、品質で差別化できる要素がある。

第二に、日本が好景気に入り製造業の設備投資が増加したことが挙げられると思う。つくれば売れる(例えば液晶テレビ)のように、むしろ部材不足(パネルは過多ぎみだが)状況においては、部材設備を早く供給できる(つくれる)製造・組立メーカーは競争力があり利益率が高いと思慮される。

そして、製品開発、アフターサービスよりも需要不足のため供給が優先され、まだ価格競争になってきておらず販売において高い利益率が得られるところにあると思う。ワールドカップ、北京オリンピック、デジタル放送化以降にもこのような特需が発生するのであれば、そして日本が製造業として確固たる地位を占め続けることができるのであれば、ムサシカーブを描き続けるのかもしれない。

日本の製造業の空洞化、つまり製造業において部材メーカーは賃金の安い海外に移ったといわれていたが、それも違ったらしい。むしろ国内回帰の動きがある。

部材、材料は高度化され、成分の調整や処理がブラックボックス化されているので、国内メーカーが競争力が強い状況が続いている。


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債務超過

Posted by skillstorage at 09:05 / Category: オペレーション / 0 Comments

債務超過とは、バランスシート上の負債が資産を上回った状態のことを指す。

そもそも企業の決算はどうなっているか考えてみよう。
売上高からコストを引いた利益、販売管理費(給料など経費)を支払い、銀行の利子を払い最後に税金を払って当期利益が出る。そこから役員賞与、株主への配当を行う。それでも余った利益は資本の部に組み込まれる。

バランスシートは貸借対照表という名前どおり、左側の資産と右側の負債+資本はかならず一致する。

しかし、赤字を続けた場合はどうなるか。

税金は支払わないが、当期未処理損失となり資本を食い潰すことになる。こんなことが続くと資本の部の資本金よりも当期未処分損失が大きくなり、資本の部がマイナスとなる。資本の部がマイナスとなったら最後負債は資産合計を超える。

債務超過の状態では、資産を全て売却しても負債を返済することはできない。


      B/S
 ┏━━━━━┳━━━━━┓
 ┃       ┃ 負 債  ┃
 ┃ 資 産  ┃       ┃
 ┃       ┣━━━━━┫
 ┃       ┃ 資 本  ┃
 ┃       ┃       ┃
 ┗━━━━━┻━━━━━┛

›6 05, 2006

考える組織

Posted by skillstorage at 17:46 / Category: リーダーシップ / 0 Comments

考える組織とは、主体的に判断して行動する社員の集合、部下の意見を束ねて現場の情報をもとに戦略を組立て実施するリーダーの集合である。

かつての組織は戦略が組織をつくった。

つまり、先に戦略ありきで部下、社員はそれにいかに忠実に従うかによって戦略の実行力が決まり、会社の業績を左右した。軍隊がそうだ。

しかし、このような組織はあるところで行き詰まりを迎える。

まず第一に、先に明確な戦略を提示することが難しくなった。何をつくれば売れる時代かわからなくなったからだ。多品種少量生産だとか、商品寿命の短命化のため、現場から上がってくる情報がマネジメント層に上がりそこで戦略を練って実施というプロセスではスピードについていけなくなってきている。

2番目に、戦略に忠実に従う社員の仕事、それはつまり機械やコンピュータでは実施できないだけの単純労働というものが、そもそも日本のホワイトカラーからは消えつつあることだ。マネジメントの業務、つまり情報から判断する業務を一般サラリーマンも行わないと高い付加価値をその会社は提示できない。

また、社員自体の意識、考え方も大きな変化がある。「マズローの欲求段階説」の自己実現欲求に限りなく近いことを社員は求めだしてきているのだ。つまり、社員はもう生活の為だとか、衣食住のためだけには働かない。やりがいを求めている。それを満たすのは判断業務になってきている。

考える組織は、全社を通してのエンパワーメント、つまり社員への権限委譲にもつながる。

しかし、権限を委譲しただけで社員はそう簡単に主体的な考える社員にはなってくれない。会社側から押し付けるだけでなく、社員の考え方も根本的に変わらないといけない。自分から考えるようになること、それは業務をさんざん押し付け、意見なんか聞かなかった会社にとっては痛いしっぺ返しではなかろうか。そう簡単には人の性格は変わらないから。

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特許|知的所有権|IP

Posted by skillstorage at 09:50 / Category: 経営戦略 / 0 Comments

特許や実用新案権については以前書いた。=>「特許

特許とは、
発明を保護する法律であり、技術社会に貢献し産業上利用可能な新規発明を公開する出願人に対して、公開の代償に期間を限定した排他的独占権を与えることであり、

実用新案権とは、
物品の形状・構造またはこれらの組合せである「考案」という小さな発明・アイデアに対して与えられる独占権のことである。

発明者が苦労して研究開発した成果に一定の法的保護を与えることによって、発明を奨励し、産業の発達に寄与しようというのがその目的なのだが、一定期間、販売・製造の独占権を与えるという特権を享受すること自体が目的ともなっている。

知的所有権とは、
人間の知的活動によって生み出された無形の財産にかかわるすべての権利のことである。

土地や住宅、預貯金などの財産権と同一レベルの基本的な権利として法律で保護されている。「知的財産権」を侵害する「コピー商品」は、製造することも、売ることも、輸入することも禁止されている。
 知的財産権を保護するための法律として、「商標法」「意匠法」「特許法」「実用新案法」「著作権法」「不正競争防止法」「関税定率法」「関税法」等がある。

但しここで問題となるのは、コピー商品が見つからない時である。例えば工場内で使われている産業用設備などは、コピーされても発見することが困難である。
特許守るはずが逆に特許で技術情報を公開してしまうことになる。ここに特許取得に二の足を踏む企業がいる現状がある。


›6 03, 2006

細野真宏で検索が引っかかるな

Posted by skillstorage at 23:36 / Category: 書評 / 0 Comments

細野真宏の本は色々なところで批判されているのでそういうところを読んだり、調べたりしてみて。何故かGoogleで検索するとトップページに出るけど。

私自身は数回直接会ったことがあるだけ。しかもまだ自分が大学生で友人が合コンに連れてきた。でもそのときのことなんて全然覚えていない。パッとしない人だった。嫁はスッチーとか後で聞いたな。第一自分は細野真宏の本なんか読んだこともないし、塾の授業も取ったことが無いから。

ただ、その当時もかなり参考書が売れていたらしい。その本を見せてもらったら、数学の本なのだが、大学受験用とは思えないほど低レベルな内容だった。マンガというか落書きみたいな感じが沢山書かれていて、基礎的なことを教えるのに本を丸々一冊使っているという代物だった。

ここまでレベルを教えないと高校生は数学を理解できないのかって愕然とした。株の本、経済の本もすごい売れたけど、やっぱり低レベルだと思うし、株の本に至っては、色々批判されているように、チャート(テクニカル)なんか書いているし、数学の教師なのに複利やΒについて理解しているの?って思います。

細野真宏でググって来た人は、こっち読んだほうが良いでしょう。
おいおい間違っているよ細野!
それにしても、基礎的なことも知らず、良く本を出しますね。
呆れてしまいます。

花には水をやるな

Posted by skillstorage at 23:29 / Category: 日々雑感 / 0 Comments

花を美しく育てるには、水をやらないことだと言われた。土に水が少ないと、花は栄養がうまく吸収できなくなる。苦しくなる。でも一生懸命に根を伸ばし、少しでも多くの栄養を吸収させようとする。水をやるのはそれからだ。

人の教育にも同じことが言える。

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›6 02, 2006

プロジェクト

Posted by skillstorage at 11:31 / Category: オペレーション / 0 Comments

あなたの仕事に問題を感じているとすると、それはプロジェクトの問題である。
かつてプロジェクトとは「特定の目的を遂行する為の活動」と書いた。
またその際、プロジェクト管理の世界標準であるPMBOK(A Guide to the Project Management Body of Knowledge)についても紹介した。

但し現実的にはプロジェクトを管理するのはソフトウェアを用いないと厳しいだろう。日々修正作業は発生するし、プロジェクトメンバーへの通知、数値的な予測、集計など、人的作業では追いつかないからだ。

そして恐らく最もよく使われているのはMicrosoftのProjectというソフトであろう。別にProjectが一番優れているのかはわからないが、PCのほとんどがMicrosoft Windowsだし、ビジネスで使われる主要ソフトがMicrosoft Officeなんだから、一緒に使うのはProjectが楽なため良く使われるのであろう。

ところが、使っている人に結構話を聞くとその使い方が間違っている。

ProjectはPMBOKを満たしている製品であり、スケジュール管理ソフトでは無いのだ。ところが現実的にはスケジュール管理機能しか使っていない人が多すぎる。これはそもそもプロジェクトに対する概念、知識が無いからだろうと思う。

ところが、Projectは「時間」「コスト」「リソース」というスケジュールのコスト、リソース部分も同時に管理しないとプロジェクトでは無いという発想から生まれている。社内でスケジュールがあるとういことは、そこにはコストとリソース(人)が動くではないか。そしてそれらは一元管理されなければならない。さらにその3つは三位一体で相互補完の関係にあるのだ。

しかたなしにProjectでプロジェクト管理している人も一度プロジェクト理論から見直したほうが良いと思う。

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