›6 26, 2006

イノベーションのジレンマ

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ハーバード・ビジネス・スクールの教授クレイトン・クリステンセン氏の論文「イノベーションのジレンマ 原題:The Innovator's Dilemma: When New Technologies Cause Great Firms to Fail)」はイノベーション(技術革新)を起こし成功している企業が客のニーズに忠実に応えているために、次のイノベーションに乗り遅れ結果として市場を奪われてしまうという逆説的コンセプトで多くの成功企業を驚かした。

しかしその具体的事例が真実を物語っている。IBM、DEC、HP(ヒューレット・パッカード)と確かにイノベーション企業と言われている成功企業が市場シェアを失っているのである。

クリステンセン氏は、破壊的イノベーションという言葉で表現している。

優良企業が市場を失なうのは、競合他社が成長した為ではなく、むしろ技術革新を起こしたというよりは質の高くない製品・サービスを提供する新規参入企業による。

優良企業は、顧客ニーズに応える為、より高機能な商品の開発に注力する。要するに性能向上だ。これを「持続的イノベーション」と呼ぶ。

この技術性能向上が顧客の実際の全体ニーズを凌駕すると、技術性能は行き過ぎとなる。新規参入企業はより安価で、単純で、低機能しかしながら顧客ニーズを満たす機会を見出す。これを「破壊的イノベーション」と呼ぶ。

この新規参入企業は低価格化・全方位戦略を追求し、シェアを拡大していくのである。

これは優良企業がどんなに顧客に正しい行動を取ったとしても起こりえる、いやむしろ顧客に忠実な一般に優れているといわれる経営者にとってこそ起こりえる重大な隠れた問題である。When great firms fail by doing the 'right' things


例えば、HPのインクジェットプリンタ がある。HPは既存のプリンター部門の中でレーザーに特化していた。インクジェットの性能向上が新規参入企業群で起こっていた。ここはさすがHPで、インクジェットは別に開発していた。

このようなことは多々ある。Microsoft Windowsに対するLinux、メインフレームに対するパーソナル・コンピューターなど。

今までの正しいと言われていた経営が正しくなくなってきているとも言えるのではないか。これからのITを初めとするハイテク企業は古い技術に対する注意・危機感も忘れてはならないのだ。


イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき
イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすときクレイトン・クリステンセン

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