›6 06, 2006

ムサシカーブ

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ソニー中村研究所の中村氏がスマイルカーブとは対極のカーブに対してムサシカーブと名付けた。
世界的にはムサシカーブではなく、スマイルカーブつまり製造工程において最上流、最下流こそが付加価値が高いとされている。他方中村氏は日本の製造業の強みはむしろ製造工程の真ん中に位置する製造・組立であると主張する。

そして「平成16年度ものづくり白書」の報告書によると最も利益率の高い工程は中村氏のムサシカーブそのもの、つまり製造・組立であった。

何故、これほど両極端になるのであろうか。

スマイルカーブの利益率の高い点は、上流工程の研究、開発、設計、そして下流工程の販売とアフターサービスである。

ムサシカーブが日本で見られる原因を自分なりに分析してみたのだが、まず第一に製造が複雑になって、製造・組立においても高度な技術、熟練度が必要となってきているため、技術力、品質で差別化できる要素がある。

第二に、日本が好景気に入り製造業の設備投資が増加したことが挙げられると思う。つくれば売れる(例えば液晶テレビ)のように、むしろ部材不足(パネルは過多ぎみだが)状況においては、部材設備を早く供給できる(つくれる)製造・組立メーカーは競争力があり利益率が高いと思慮される。

そして、製品開発、アフターサービスよりも需要不足のため供給が優先され、まだ価格競争になってきておらず販売において高い利益率が得られるところにあると思う。ワールドカップ、北京オリンピック、デジタル放送化以降にもこのような特需が発生するのであれば、そして日本が製造業として確固たる地位を占め続けることができるのであれば、ムサシカーブを描き続けるのかもしれない。

日本の製造業の空洞化、つまり製造業において部材メーカーは賃金の安い海外に移ったといわれていたが、それも違ったらしい。むしろ国内回帰の動きがある。

部材、材料は高度化され、成分の調整や処理がブラックボックス化されているので、国内メーカーが競争力が強い状況が続いている。


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