IRR(Internal Rate of Return)とは内部収益率と呼ばれ、NPV(正味現在価値)がゼロとなる割引率である。
NPVを求める場合は、初期投資額、毎年のキャッシュフロー、割引率(ハードルレート)から求める。
n CFn
現在価値=Σ――――――――― -I
n=1 (1+r)n
※文字化けして読めない場合のために。
現在価値=(毎年のCF÷毎年の割引率)これを設備が使えなくなる年数(n年)まで加えたものから、投資額を差引く。
年 :1年 2年 3年 4年 5年
CF : CF CF CF CF CF
設備投資:1000
IRRでは同じ式をNPVがゼロになるときのrの値を求めることによって得られる。
NPVの使い方だが、ファイナンス的には次のように事業を評価することができる。
NPV>0 企業はその事業に投資するべき。
NPV<0 企業はその事業を却下するべき。
NPV=0 その事業に投資しても企業価値は変わらない。
そしてIRRは次のように投資判断として使える。
IRR>割引率 企業はその事業に投資するべき。
IRR<割引率 企業はその事業を却下するべき。
IRR=割引率 その事業に投資しても企業価値は変わらない。
何故、割引率が出てきたのか?割引率とはそもそも何か?
ファイナンスでは、現金を持っているということは企業価値を損なうことだと何度も説明した。無駄にキャッシュを持っている会社には、村上ファンドが乗り込んできて、「無駄なキャッシュは配当するか、事業に投資せよ」って言ったであろう。
それは現金(キャッシュ)は時間とともに目減りするものだからだ。現金を持つことはリスクは何も無い。しかし同じくリスクが何も無い(に等しい)国債を持つと利回り(クーポン)が入ってくる。つまりそのリスクが無い国債の利回り(リスクフリーレート)以下のものは時間と共に価値が目減りするということだ。
この割引率というのは企業によって異なる。何か事業を行う為に設備投資しようと思っても、例えば安定企業であれば割引率が低く、ベンチャーであれば高い。それはWACCによって変わってくる。要するに株主と債権者の求めるリターンに影響される。
リターンが高ければ、その分リスクも高い。ファイナンス(統計)的にはリスクとリターンは二律背反の関係にあるのだ。
IRRは非常に明快でわかりやすいのだが、ネックは結局割引率を出すところにある。
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