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›9 22, 2014

問屋・商社といった中間業者が生産性低下の原因

Posted by skillstorage at 01:04 / Category: オペレーション / 0 Comments

どの業界にも生産者と小売の間に介在する問屋・商社が入り込んでいる。もちろん問屋・商社が必要な業界や製品は存在する。
問屋・商社の機能には以下のものがある

(1)調達機能
  例えば、数円単位の電子部品の集合からなる電子機器は1つづつ調達するコストが高くなってしまうので集約する必要性が有る
(2)物流機能
  在庫をストックし、流通させる機能である
(3)金融機能
  購入側はモノを受け取ってから手形で支払いたい、販売側は知らない会社には前金で売りたい、その中間に介在して支払条件や与信を負担する機能
(4)情報提供機能
  多くの商品やメーカーの知識からユーザー(顧客)に最適な情報提供ができる機能

問屋・商社は歴史がある会社が多く、中小企業でも名家が多い。そして驚くことに現代でも大した仕事をしていないにもかかわらず収益が非常に高い企業が存在する。
これはその業態で培った顧客との信用や経験といった歴史があるからだろう。

しかしながら、実は問屋・商社の存在意義は高度な流通ができ、情報化社会では年々低下している。例えば、紙を運ぶには(本や雑誌や新聞として手元に届くまで)驚くほど複数の問屋が存在する。
しかし、ペーパーレスの時代では電子書籍化がどんどん進み、紙自体の存在が不要になる。物質的なモノとしての価値がゼロで、内容と販売だけが介在する世界だ。
紙にかぎらず、このような革新的な変換は多く存在する。

農家にしても、農協を通さず、直接販売する流れも加速している。
今のところ、全国の農家が出荷したコメや野菜などの農産物のうち、農協に卸した金額の割合が2012年度に50%を割り込んでいるのだ。

国内で生産性が比較的高い製造業でさえ、問屋・商社の弊害が大きい。
例えば、工具、ガス、溶材といったものは問屋・商社だけでなく、ディーラーと呼ばれる販売店が存在する。工具、ガス、溶材なんかは単価が小さいために、過去にはそれなりに問屋・商社・ディーラーの存在感があった。しかし、わざわざ人が運ぶのは当然コストがかかる。ネットで購入し宅急便で届くのが当たり前になってきている。

これを妨害する事件が過去に起こった。MonotaRoという工具通販のネットストアに対して、全日本機械工具商連合会が妨害したというのだ。当然このような行為は不正競争防止法に触れることとなる。

MonotaRoパブリシティ情報より
「これは当社の提示している価格が現在の機械工具流通業者が提示している価格を下回っている事より、全機工連の地方組織である両毛機工会が全機工連に対して、各メーカー並びに卸業者に圧力をかけ、 各メーカー並びに卸業者から当社への販売を妨害する決議を求めたのに対し、そうした決議は違法なので、止めて欲しいと申し立てたものです。」
https://www.monotaro.com/main/media/n/645/

当時の全日本機械工具商連合会の中道真蔵という人物は工具問屋の山善の社長だった人物だ。

この工具、ガス、溶材の問屋・商社・ディーラーという存在は、小単価のモノを売るだけでなく、工作機械など高単価の製品を売るのにも介在しているのだ。
そもそも工作機械なんかはネットや展示会でみて、メーカーの営業を呼べば買えそうなものだが、そうではない。大企業以外にはメーカーの多くは直販をしないのだ。

どうやら、過去から商圏を持っていて、重要な販売網であった問屋・商社・ディーラーという存在を今でも恐れていて、これら中間業者を飛ばすと悪い噂を流されたり、競合メーカーの製品を担がれてしまうことを心底恐れているようだ。
また、メーカーは吹けば飛ぶような零細企業や町工場に手形や後払いで売りたくない。トンズラして逃げられる可能性や倒産して入金されない可能性があるからだ。

そんなこともあって零細企業や町工場は非常に高い値段(中間業者のマージン分)を支払って買わなければならず、メーカーは薄利に苦しむ結果となっているのだ。

›10 25, 2012

生産性向上が世界的な失業時代をつくる

Posted by skillstorage at 03:04 / Category: オペレーション / 0 Comments

過去100年間で人類はこれまでにない進歩を遂げ、豊かになった。それは産業革命と情報通信のもたらした恩恵だ。
日本の農業の従事者は10分の1に減ったが、生産量はそれほどまで減っていない。生産量が増えても人員増加しない製造業も沢山ある。
それこそが生産性の向上だ。

農業などは昔は人手で畑を耕していた。それが馬などを使い、やがてトラクターなどに変わり、人手の作業の何十倍もの効率で仕事ができるようになった。
10人必要だった人が1人で同じ作業ができるのであれば、その1人が利益を独占して残り9人分の利益を得ることができる。残りの9人もそれぞれまた仕事をすれば良いのだ。
このようにして人類の供給能力は劇的に高くなった。またその供給力を満たすだけの潜在的な需要が膨らんでいったのだ。

製造業においてもこの考え方は同じで、ロボットによる自動化が進み、安い人件費の他国での生産というグローバル化によって生産性を高めてきた。
今ある生活は高度に分業化されているがこれもまた生産性向上という効率を劇的に高めた結果である。

生活に必要な製品をつくれば売れ、娯楽や満足を得る製品をつくれば売れ、といったように需要は無限にあるように思えたのだ。しかし、現在は需要が限られている。新しい需要をつくりだすようなイノベーションがなかなか登場しなくなってきたのだ。

先ほどの農業の例でいえば、1人で10人分の作業ができるトラクターを納入して9人が仕事を失ったら、その9人は新しい土地が無いため次の仕事ができない状態、もしくは新しい土地で生産を同じように始めても、そもそも需要が増えないため倍の生産量になてっても元の生産量しか必要ないと言われてしまったような状態だ。

半導体や電機メーカは相次ぎ巨額の赤字決算で大量のリストラを断行中である。これまでは生産性を高めた分だけ新しい仕事があったのに対して、今はもう新しい仕事が無いのだ。スペインやギリシャの失業率は20%を超え、若者の失業率は50%を超える。

生産性の向上で利益を得た人は利益を独占するが配分はしない。現代社会ではこれは政府が税金で徴収し、失業者に配分する仕組みで誰もが飢え死にしないで生きられるようにしている。

日本が20年もの長い年月不況に陥っているのは需要不足によるデフレだ。企業は利益を出し続けなければ存在できない。だからリストラやコストダウンによる生産性向上を行う。新しい需要を生み出さなければ、ますます失業者は増えていくだろう。

›7 01, 2012

ものづくり白書2012

Posted by skillstorage at 16:30 / Category: オペレーション / 0 Comments

ものづくり白書2012」では、苦戦の続く日本の製造業について細かく分析されている。

かつては「産業の米」と言われた半導体産業はエルピーダの倒産やルネサスの経営不振、大リストラが象徴するように儲からない産業に変わってしまった。半導体をはじめとした電子部品は付加価値が大きく、米粒ほどの大きさで数千円という単価が付いたものが、今では数円、もしくは1円以下という電子部品もざらにある。米粒より安くなってしまうのではないかと言われているものもあるほどだ。

もはや時代が大きく変わったことがデータで見てとれる。

モジュール化によって、これまですり合わせ技術でしか作れなかった製品が、買い物を集めれば作れるようになった。この典型がパソコンだ。日本ではまだカメラメーカは電機メーカと比べ世界的に競争優位を保っているが、レンズ製造の技術などまだ「すり合わせ」技術が残っているからと言われている。この分野でも海外勢の追い上げがすごく、またモジュール化が進んでおり、デジカメは海外メーカが多くなった。サムソンなどが本気でカメラにリソースを投入すれば、日本のカメラメーカは電機メーカのようになってしまうかもしれない。

工作機械のシェアは中国が30%で日本が18%、ドイツが15%と中国メーカの躍進が目立つ。工作機械の出荷先は中国が47%と、中国は世界の工場となった。
中国のNC工作機械の生産額は1999年に1万台弱から2003年の3万6千台と、とんでもない急カーブで上昇している。日本が製造立国となった過程を真似ればよいタイムマシン経営で、資本を投入すれば成功のチャンスが大きかったのがここ10年程の中国の設備産業だろう。

CADの普及率も日本も中国でも大差が無い。むしろ、若者が多い中国の方がこれから有望だとも思えてくる。日本では未だにプロッタで図面を書いている町工場、町の設計事務所の多いこと。日本の町工場は、2ちゃん、3ちゃんなど、父ちゃん・母ちゃんの数名で行っている事業者がかなり多く、資本効率が悪い。中国では中小企業でも農民工数百人いたりする。

iPhone4Sの利益配分の図も改めてみると、日本の部品メーカが弱くなったと実感させられる。
小売価格600ドルに対して、Appleの利益は270ドル、部品メーカの日本はわずかに0.5ドルであり、韓国の80ドルよりもはるかに小さいのだ。
さらに重要なのは、図には無い、ものづくり以外のコンテンツ収益はAppleが独占していることだ。

国際分業体制の確立が企業の存続で重要ということもわかる。これまで日本企業は垂直統合、系列、下請けといった身内の経営が中心であった。
CPUのインテルは、インターフェースの標準化によりパソコン価格下落にもかかわらず、CPUの価格は維持されているという例を見てわかるように、プラットフォーム確立が重要だろう。

10年前は大きな赤字を出した小松製作所のV字回復は、KOMTRAXというGPSを搭載した遠隔機械稼働モニタリングシステムによりアフターサービスを強化して、収益源をものを売ることからサービスに移行したことだ。

これは、ソフトウェア会社やIT企業が築いてきたビジネスモデルで、ものを無料で配ってでもサービスで課金するといった新しい方法になるのかもしれない。

製造業の就業者数は約1000万人で2000年から200万人以上減った。他方、サービス業就業者は約2200万人と2000年から370万人増加した。尚、サービス産業の平均公用車報酬は製造業より約150万円低い。賃金が低い産業にわざわざ移る馬鹿はいないわけで、リストラ、解雇がいかに大規模に行われたかがわかる。

自前主義を辞めることは、ものの調達だけに限らない。これからは製品開発、研究開発といった分野でもグローバルな協業体制が大切になことが実感できる。

人材の流出が海外への技術流出につながっていることもデータでわかる。また、日本企業はグローバル人材の不足している。
英語力、異文化コミュニケーション力のある人材、マネジメント教育を受けた人材が極端に少ないのが日本だとわかる。

様々なデータを見ると、日頃感じていることが納得できることが多い。


›7 25, 2011

マルマエの事業再生ADR成立

Posted by skillstorage at 03:57 / Category: オペレーション / 0 Comments

東証マザーズに上場するマルマエの事業再生ADRが成立した。
マルマエに関しては上場前からある意味注目していた会社である。というのも、マルマエの事業内容は切削加工と装置組立の受託業務であり、これらの事業は下請け業と呼ばれるものであり、さらに上場時の売上高も町工場レベル、売上高の7割を4社が占めるという会社だったからだ。下請け業者が上場するということに違和感を感じると同時に、上場後の発展やメーカーへの変貌を期待したものである。

マルマエの上場が、多くの下請け業者を励まし希望を与えたのは事実である。

しかし、リーマンショック後の受注低迷と過剰な設備投資により私的整理の一種である事業再生ADRを申請するに至ったのだ。
その内容から廃業を選択せず、再生に注力する姿勢が感じ取れる。

取引金融機関の一部に対しては、負債を資本に変えるDES(デッド・エクイティ・スワップ)や負債の劣後化を行うDDS(デッド・デッド・スワップ)を行うが、大部分が李スケジュールによる返済方法の変更である。
上場維持のための債務超過回避に全力を尽くす姿勢が見て取れる。

この事業再生ADRの実施のために行われている、代表取締役の債務に対する連帯保証、私財提供には驚いた。

中小企業が上場する大きな目的の中に、「銀行借り入れに対する連帯保証の解除」があげられる。
下請け中小企業は、資金繰り、設備投資のために多大な銀行借り入れを要し、そのことが会社社長に対する過剰な責任とリスクとして重くのしかかっているのである。

今回、上場しながらもあえて非公開企業のような債務に対する連帯保証を入れたり、私財提供という私企業のような決断をしたことに大きな決意を感じ取ることが出来た。

上場を社長の資産形成といった目的であったら、このような形での事業継続はありえなかっただろう。
現在の日本においてマルマエのような下請け製造業の立場は非常に苦しい。製造業自体が、円高や新興国製造業の台頭により斜陽化している。
だから、このような決断をしたことに大きな驚きを感じたのもである。

›6 22, 2011

労働生産性と付加価値

Posted by skillstorage at 19:10 / Category: オペレーション / 0 Comments

労働生産性とは、従業員一人当たりにつき、どれほどの付加価値を生み出したかを測る指標であり、「付加価値生産性」とも呼ばれる。
財務計数の基盤を適切に表現すべきため、単に労働者の生産性を示すだけでなく、企業のすべての財務計数に先行すべきである。

以下の計算式で表すことが出来る。

労働生産性=付加価値÷労働量(従業員数)

付加価値とは利益概念であり、次の項目がある。
・人件費
・減価償却費
・支払利息
・租税公課
・賃貸料
・税引前利益

先ほどの労働生産性の計算式を分解する次のようになる。

労働生産性=(資本ストック÷労働量)×(付加価値÷資本ストック)
       =資本装備率×資本生産性

ここで資本ストックとは、生産に使われる固定資産である。

資本装備率とは労働装備率とも呼ばれる。
資本生産性は設備投資効率とも呼ばれる。

更に労働生産性は次の式になる。

労働生産性=売上付加価値率×1人当たり売上高


運転資金の管理
経営上必要な運転資金需要には、売上、仕入れにかかる所要資金、現金・預金・棚卸資産にかかかる資金需要がある。
厳密には、売上再建に含まれる未回収の利益は、資金需要として考慮しなければならない。資金需要の大きなものは支払利息などを含む営業費と売上原価である。

営業費の資金需要は、

 月営業費×売上債権サイト÷30

売上原価の資金需要は、

 月売上原価×(売上債権サイト-買入債務サイト)÷30

買入債務の残高は、

 月売上原価×買入債務サイト÷30

税引き前利益は資金の供給であるが、その半分ほどは後に税金その他で社外流出してしまう。また、一部は売上債権中に未回収として残っている。

一般的には下記のように簡略化して捉える。

 売上、仕入に関わる所要運転資金=売上債権残高-買入債務残高

全所要資金は、

 (売上債権-買入債務)+現金預金+棚卸資産

›5 18, 2011

落書きの法則(割れ窓理論、腐ったミカン理論)

Posted by skillstorage at 14:59 / Category: オペレーション / 0 Comments

現在起こっている事象には、その前兆があると様々な理論が実証している。
リスク・マネジメント(リスク管理)という観点から特に注目されている。販売している製品の大事故には前兆がある。
以前も紹介したハインリッヒの法則「1:29:300の法則」(ヒヤリ・ハットの法則) が有名である。
ヒヤリとしたり、ハッとしたことの積み重ねは大事故につながる。
身近な例では自動車の運転が挙げられる。ヒヤリとしたのは偶然に大事故を避けられた結果かもしれないし、大したことのない不注意でも偶然が大事故につながる。

落書きの法則というのも有名である。
ある自動車関連会社の工場の便所には、会社の悪口を書く無数の落書きがあり、定期的にペンキで塗りつぶされている。
これは最初に1人が書くと他の者が書き込み、繁殖するケースである。

同様の理論には、米国では割れ窓理論(Broken Windows Theory)というのがある。窓を割るという軽微な犯罪が、窓を割る者を増加させ犯罪を増加させ大事件にまで発展するという理論である。

日本では腐ったミカンという話があり、腐ったミカンに例えられる非行少年がいると良人にも非行が感染するという話である。

リスク管理の観点から、このような少数の問題に意識を払い排除することで大事件を未然に防ぐことが可能という考え方がある。
例えば、六本木ヒルズの自動回転ドア死亡事故の前には32件の小規模の怪我をするという事故があった。この時点で改善しておけば死亡事故までは発展しなかっただろう。

現在も小規模の問題、顕在化されていない問題が様々なところで噴出しているはずである。それらを未然に排除することが大事故防止につながる。


›2 02, 2011

アップル社の見えない能力

Posted by skillstorage at 19:40 / Category: オペレーション / 0 Comments

アップル社というとCEOのスティーブ・ジョブスの斬新なアイデアとプロモーションというイメージが先行する。その一人の能力が突出しているのは紛れもない事実である。
しかし、アイデアを具現化するために、裏方を支えるビジネスモデルがまた優れているのだ。
米ARMリサーチ社の調査によると、アップルは、サプライ・チェーンの技術ランクは圧倒的で世界一の数値を獲得した。

サプライ・チェーンとは原材料・部品の調達から最終製品の販売にいたるプロセス・チェーン(鎖)で、全体を最適化することを目的としている。
例えば、サプライ・チェーンで90年代有名となったのは、トヨタのカンバン方式である。最終製品メーカであるトヨタは必要な部品を必要な数量と時間を管理して、在庫を持たず、サプライ・チェーンの上流に在庫を持たせることによるコストダウンを実現した。全体としてサプライ・チェーンは効率的になったというのがカンバン方式である。


›9 07, 2010

国の助成金や施策が逆効果に

Posted by skillstorage at 18:42 / Category: オペレーション / 0 Comments

国や地方自治体が中小企業向けに助成金や施策を行っている。この中にはもちろん中小企業のためになることも沢山ある。資金繰りの借入だったり、設備投資の制度融資だったり、起業のサポートだったり、研究開発だったり。

しかし、期待していた効果どころか逆効果になったという話をある中小企業の経営者から聞いた。国のものづくりを支援するための研究開発補助金を貰い、新しい技術開発を挑戦していたその企業は、急激な企業を取り巻く環境変化から脱却を目指している。研究開発の助成金は、開発終了まで支払されない。そしてその報告や監査が非常に厳しいものであると終わってからようやく分かったそうだ。それまでの研究開発に係る費用は全部その会社持ち。研究開発なので当然その成果の見込みは最初からは分からない。できるかどうかやってみて、かんばしくない結果もある。しかしそんな中小企業を支援する目的のはずの補助金が、最終的になかなかもらえないようだ。

限られた人員で非常に多い分量の報告書の作成などによる労働工数もばかにならない。本業の事業環境もかんばしくないために資金繰りに常に追われている。そんな状態で研究開発費やその事業に費やす時間と金が大きいせいで、さらに本業がおろそかになってしまうような事態になってしまったようだ。

雇用調整の助成金だとか、すぐに役立つ不景気対策型の助成金もあり、ほとんどは中小企業のためになっているとは思うが、中には逆効果だったりすることもあるようだ。最近は助成金を貰うためのコンサルティング会社も多いようだ。助成金を申請段階から資料作成のコンサルをして、もらったらその成果報酬を受け取るようなビジネスモデルみたいだ。金貸しもそうだが困っている企業をたかるような連中もいるので注意が必要だ。

›6 10, 2010

世界の工場「中国」の変化~人から自動化への流れ|Foxconn事件

Posted by skillstorage at 12:42 / Category: オペレーション / 0 Comments

中国が世界の工場になったのは誰もが認めるところだ。その中でも特に象徴的な中国の生産工場として有名なのがFoxconnだ。
台湾の鴻海グループ 「富士康(Foxconn)」はブランドイメージは一般消費者にはほとんどない。それは、自社ブランドで生産を行っておらず、EMSと呼ばれる製造の受託を事業としているからだ。
メーカはファブレスという流れが主流になってきており、自社で製造・生産をせずに外部企業に委託する。そうすることで自社は商品の企画・開発といった上流工程と販売といった下流工程に集中することができる。スマイルカーブと呼ばれ製造プロセスの付加価値は低いいう議論が盛り上がったこともある。

さて、Foxconnが生産している主要なメーカは、アップル、デル、任天堂、ヒューレットパッカード、ソニ、ー・エリクソン、ノキアといった世界のトップブランドがひしめく。メーカの製品はどこの会社でつくったかなど書かれていないが、自分の手持ちの製品のいくつかはFoxconnでつくられたものだ。

このEMSという業態、とりわけFoxconnは中国の発展と共に90年代後半から飛躍的な成長を遂げた。話題となったシンセン工場は広大な土地に工場があり、労働者の数はなんと42万人とのことだ。中国の他の場所にもFoxconnはいくつかあるが、その規模に驚かされた。数年前、ある地域でFoxconnの看板の工場を見たが、その通りの遠くのかなたまで工場建設を進めていたのに驚かされた。敷地内には生活に必要な商業施設もあるという。もはやそれだけの人数が勤めているというのはアイスランドの人口30万人を超え、地方都市や小国にも匹敵するコミュニティだ。

そのFoxconnにおいて自殺者が相次いだことから一躍脚光を浴びた。会長が取材を応じている間にも自殺者が出て、14人もの自殺をはかる従業員が出たということでアップルや任天堂からも懸念が出た。相次ぐ自殺者を防ぐために飛び降り防止ネットが張られるなどの対策も話題となった。そしてFoxconnの低い労働賃金と労働環境が注目されることとなり、賃金引き上げを短期間で決定するに到った。
よくよく考えると、これだけの大人数の労働者がいるのだから自殺者の数というのは多いのかわからないが、労働環境以外の問題もあるのではとも思ってきた。

Foxconnの強みは売上高の急激な成長に伴う労働管理であり、金融危機後の需要の落ち込みの際には労働者を大量に解雇などしたことも伝えられた。
労働集約業務に頼っており、マージンとして取れる利益は非常に低い為、徹底した労働管理が求められるというのは想像できる。

他方、ホンダ佛山工場においても現地日本人との賃金格差に対する不平・不満からストが実施され、ホンダもまた賃金を上げざるを得なくなった。
このように中国工場では労働賃金がインフレとなっていく。大量の人口と農村部の貧困層を抱える中国においても労働者の数には限りがあり、これまでのように低賃金・劣悪な環境での採用はできなくなっている。

先日、TVでユニクロの上海開業のドキュメンタリー番組を見たのだが、300人採用したオープニングスタッフのうち60人もの退職者が出て現地責任者が焦っている場面があった。退職の理由は、競合企業のほうが賃金が高いためという理由があったが、驚いたことに「残業ばかりで自分の時間が無い。親も辞めろと言っている」と訴えた従業員がいたことだ。中国では残業の賃金は厳しく、かなり高額となるため誰もが残業をしたいものだと思い込んでいた。しかし上海のような都会で一人っ子政策で育てられた若者は、賃金よりも自分の時間を重視している者もいて、親も容認しているというのが衝撃的だった。

このような事例から、今後の労働集約的な工場生産は中国では非常に厳しい局面を迎えると思われる。

中国経済は、GDPに占める、官民の設備投資が200兆円を超え、47%と破格に大きい。日本が100兆円を下回るのに対して2倍以上もあり、これが中国の世界の工場をに無い、年率10%を超える経済成長につながってきた。

今後は労働者に頼らない生産というのが重視されるだろう。日本が世界的に技術優位にある自動化技術、産業用ロボットというのが中国の工場に展開されるようになると大きな期待がされている。企業のオーナーも労働者という不安定なコストよりも自動機、ロボットといった資産を重視する国柄である。
ただし、リードタイムが短い製品というのは労働者による生産が非常に短期に立ち上がり、管理がしやすいという面もある。

中国は世界の工場という立場を貫きとおすのか、その地位を労働賃金の安い発展途上国に譲ることになるのか注目しているところである。


›6 03, 2009

多すぎる製造業で働く労働者

Posted by skillstorage at 19:45 / Category: オペレーション / 0 Comments

日本における労働者の構成として製造業、とりわけ電機、自動車、その周辺産業に働く人が多すぎるのではないかと思っている。
建築、土建はもちろん多すぎると思っているが、今回は電機、自動車を見てみたい。

産業を大きく3つにわけるクラークの産業分類は以下のようになる。

第一次産業 - 農業、林業、水産業など、狩猟、採集。
第二次産業 - 製造業、建設業など、工業生産、加工業。電気・ガス・水道業
第三次産業 - 情報通信業、金融業、運輸業、小売業、サービス業など、非物質的な生産業、配分業。

第一次産業は戦後就労人口の60%を占めていたが、現在は5%程度、そのうちの多くが兼業農家である。
第二次産業が25%程度、第三次産業が70%程度だろう。
統計データもあるが、集計や分類にもよって時代によっても変わる。

この数字からみると第三次産業が多いように感じられるが、先進国においては第三次産業の就業者が70%を超えるは一般的だ。
日本においては第二次産業の就業者が多すぎると感じている。他の製造業主体の先進国(ドイツなど)と比べても割合は大きい。

1999年の経済白書において雇用、設備、債務の3つの過剰が指摘された。その後2005年の経済財政白書」では、3つの過剰はほぼ解消したとされたが、それはサブプライムと新興国のバブルによる一時的な生産過多であったと今は考えられる。債務については減らした会社も多いが、雇用、設備の過剰は大きい。

生産過剰だったのは電機と自動車が大きい。つまり海外へ輸出している割合が大きい業種だ。

現在名古屋地区など自動車業界や電機業界が集積している地域というのは、製造者派遣の契約が切れた者が多い。彼らの多くは正社員では無いが、設計など専門的技術を持つエンジニアだ。
これらの者は製造業での仕事に再度従事したいと思っているが、雇用が回復するのは厳しいだろう。かつて農民が工場の労働者やサラリーマンになったように、製造業を捨てサービス業など人手不足の業界に本来は行かないとおかしい。

実際は、製造業で働く人はコミュニケーションが苦手な人も中にはいるので、サービス業は行きたくないと思う人がいるだろう。
このようなミスマッチは存在するが、将来的に雇用が無ければあるところに移らないといけないだろう。

›6 24, 2008

画像処理市場

Posted by skillstorage at 16:20 / Category: オペレーション / 0 Comments

画像処理市場が成長しているようである。ここでいう画像処理とは主に外観検査であり、人間の目視に変わる機械・ソフト・システムのことを指す。

例えば、電子部品、自動車部品と世の中に大量に出る電化製品、自動車、医薬品などは、製造の過程で不良を識別するため、多くの人員が目視で検査している。国内では検査員を集めるのが容易でない(老眼では検査できないので若い人が必要といわれる)が、海外(とりわけ中国)では10代の労働者が大量に目視で検査しているのが一般的だ。(組立も人がやっているのだが)

このような分野はFA(Factory Automation)分野と言われるが、にわかに注目を浴びているのは、部品が微細化してきており目視では検査できず、顕微鏡を使うにしても大量に必要でコストが掛かるという点、人件費が向上している点、外観検査装置が安くなってきている点、外観検査の機能が向上している点、人の検査では品質が一定にならない点などが上げられる。

そもそも検査なので付加価値を産まない工程ではあるが、部品等の製造には欠かせない工程でもあるため、有る程度の投資が必要という認識が生まれてきたのかもしれない。これまでも外観検査導入を試みた企業は多いようだが、多品種少量生産の時代になり、検査装置導入よりも人のほうが手っ取り早く、段取り代えも楽だったために導入が進まなかったのかもしれない。
PCB(print circuit board)や半導体分野では、そもそも人の目視の能力では限界であり、早い段階で画像検査装置が導入されていた。

最近で画像処理分野が盛り上がる背景のコストの安さ、機能の向上に関しては、PC(パソコン)の価格が劇的に下がり、処理能力が劇的に向上したことが大きいと思う。また、画像処理アルゴリズムも向上され、市場が形成されたことにより、これまで自社開発していた画像処理ライブラリ(アルゴリズム)が、特化した企業から買えばシステムを構築することができるようになったことも大きいと思う。これはIT(SI)業界の発展と同じで、システムエンジニアはプログラム能力やハードウェア知識よりも顧客の業務知識が重要になったのと同じ現象に思える。

他の画像処理市場では、車載(ITS)分野やセキュリティ分野が注目される。これらも価格下落と機能向上が利用価値を生み出している。

›3 06, 2008

中国での対応を迫られる日系製造業

Posted by skillstorage at 15:55 / Category: オペレーション / 0 Comments

ここ5年ほどの間に中国進出した製造業が数多くある。80年代、90年代に進出した企業と比べると法制度やインフラ環境が整備され、かなり進出しやすい環境にあるようだ。

進出は大手企業から始まり、その下請け業者が生き残りをかけて追従した。2000年に入ってからは、低賃金労働者の活用や中国本土の工場向けの生産で進出した企業が多いだろう。

かつて日本で生き残りを図った部品メーカーは、工場の省力化、自動化といった生産性合理化を図る努力をした。中国進出リスクと国内の高い人件費を合理化で削減することを天秤にかけた訳だ。

ところがその後の経済状況の変化を見ていると、中国進出した企業のほうが成功例が多い感触を感じる。それは製品がそれほど高度化せず、高い技術力を要せずつくれる製品が多いことと、多品種少量でリードタイムの短い製品が多くなったことがあると思う。

中国進出のメリットというのは労働集約型の作業であり、これは高度な技術を要しない製品に適する。多品種少量の短リードタイム製品というのも、作業の段取り(セットアップ)はやはり装置よりも人を動かすだけのオペレーションということで適するのである。

そのようなことも背景にありEMSが成功し、また部品メーカーも中国で成功した企業が多かった。

しかし時代は急速に変化しているように感じる。まずは賃金の上昇スピードがあげられる。中国での生産メリットというのは低賃金で労働者数が圧倒的に多いことだ。それが今崩れている。

新規に中国工場で人を集められなくなってきているのだ。また賃金の上昇スピードも5%、10%など非常に高く、今年に入ってから労働者保護の法律も強化されている。

そのようなことから、低賃金、労働力を中国に求められなくなってきているのが現状だ。

そのため、付加価値の低く、簡単な製品製造は他の東南アジア、アフリカなど移転が進むだろう。一度中国に進出した企業がまた他国に移るのは大変なので、かつての日本のように設備、装置の導入も進んでいく。

更に注目しているのは、中国の上がってきた技術レベル、教育レベルを活用するために研究開発や技術の拠点としての参入だ。

これも間違いなく進むことであり、注目している。

›2 20, 2008

EMS/ODMの台頭

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聯想集団と鴻海精密工業、サンミナのPC事業を買収【WSJ】
 香港(ウォール・ストリート・ジャーナル)電子機器受託製造(EMS)大手の米サンミナSCI(Nasdaq:SANM)は、パソコン事業撤退に当たり、一部資産を聯想集団(レノボグループ,0992.HK)、残りを売上高で世界最大のEMS、鴻海精密工業(2317.TW)に売却することで合意した。

電化製品のブランド名は形だけのものになりつつあるのか?
中身はブランド名のついた企業とはまったく違う会社で作られている時代になった。

その原因は、色々ある。
・デジタル化が急速に進み製品の機構の重要性の低下
・多品種・少量生産・商品ライフサイクルの短縮化に垂直生産で対応できなくなった
・部品のデジタル化に伴う汎用化
・デジタル製品の高級品から汎用品への変化
・グローバル化・物流の効率化
・情報伝達スピードの向上

上げればきりが無いが、日本製造業の伝統的な、商流から企画・設計・製造までの垂直型の生産方式は過去には技術の内部蓄積、品質と大切にされたが、これからはこのやり方では生き残れないだろう。

企画・設計・製造・物流それぞれを全て水平型に、専属企業にアウトソーシングしないとスピード、価格、生産、販売で勝てない。

かつて製造はOEM(相手先ブランドでの販売)という考え方だったがより進化され、EMS化され、ODM化となってきている。

EMS(Electronics Manufacturing Service)とは電子機器製造受託サービスのことである。自社ブランドでの生産を行わず、アセンブリ(組立)に特化する。最近では、資材の決定もEMSが行うケースになりつつある。これはコンポーネントがデジタル化した影響であり、労働集約業務である。

ODM(Original Design Manufacturer)は相手先ブランドによる設計・生産を行う企業であり、 顧客の要求する商品を自ら設計し、相手先(顧客)ブランドで製造、供給する企業である。OEMと似ているが、自社での販売をまったく行わない下請け的要素が特徴である。

iPod等のmp3再生機、Wii、NintendoDS、PSP等ゲーム機、iPhone、Nokia、モトローラ等携帯電話、簡易型カーナビシステムのPND(Personal Navigation Device)、HP、Dell、東芝、ソニー等のノートPC、ネットワーク機器、バカチョンデジカメなど至る所でEMS化している。

液晶テレビも一部EMS化、ODM化が始まっており、デジタル部品の組合せで作れるのでこの流れは変えられないだろう。既にVISIOというメーカーは自社で生産していないが、一時的に米国での販売台数トップに躍り出た。これは品質でなく価格を重視した戦略で量販店を押さえた結果である。

かつての電化製品は、分解すると複雑な機構、部品が沢山あった。それらの多くが内製であり、モーターを専用につくり、機構(からくり)を自社でつくりあげて、コンパクトで高品質な製品ができ、それが日本の強みだった。
一世を風靡したウォークマンにしても、ばらして同じものをつくろうとしても多くの時間を要した。時間がかかるので、参入障壁が高かった。リバースエンジニアリングと呼ばれるやり方であった。

ところが、mp3プレイヤーのように買ってきたものを組み合わせればつくれてしまう。iPodの成功は先行者メリットというよりも、優れた部品の調達(筐体やイヤホンは高品質のもので、電子部品はどこでも手に入るもの)とソフト(iTune)、音楽の買い方の転換(ダウンロード)である。

さて、中国が世界の工場となっている。ブランドは欧米・日本でも生産は中国化という流れは変えられない。
2000年は中国の世界の電子機器シェアは10%弱だったが、今は30%弱まで増加している。
EMSは市場全体が拡大している。

EMS代表格のHon Hai(Foxconn)は急激に成長しているが、2007年はさらに38%も売上高を延ばし5兆円企業になったようである。


・EMS企業リスト
Foxconn http://www.foxconn.com/
jabil circuit http://www.jabil.com/
flextronics http://www.flextronics.com/
solectron http://www.solectron.com/
celestica http://www.celestica.com/
Venture http://www.venture.com.sg/
Sanmina-SCI  http://www.sanmina-sci.com/
elcoteq http://www.elcoteq.com/

・ODM企業リスト
全て台湾企業だ。
ASUSTeK http://www.asus.com/
Quanta http://www.quanta.com.tw/
Compal http://www.compal.com/ 
TPV tech http://www.tpvholdings.com/
Inventec http://www.inventec.com/
Wistron http://www.wistron.com/
Innolux http://www.innolux.com/

こうして見てみると製造業(セットメーカ)の強みは技術力で無くなりつつある思う。
企画力、物流支配力、販売力、ブランド力、管理能力(アウトソーシング能力)といったトータルの能力、プロセス管理能力が問われているのだと思う。

›11 30, 2007

厳しくなる製造業

Posted by skillstorage at 16:02 / Category: オペレーション / 0 Comments

ものづくり白書によると、工場用立地が増加している。2002年から増加しており、立地件数は02年の2倍以上、敷地面積も2倍以上である。

これは、国内製造業の回復のための設備投資の一貫とした用地取得である。07年も国内製造業は増収増益傾向にあり設備投資意欲も旺盛である。ところが、利益率の増加は過去数年間の伸びから鈍化している。

国内製造業の復活と盛んに報道されたが、大企業は確かに利益率も向上し、売上も伸びているが、製造業の大部分を占める中小企業にいたっては大企業ほどではないことをデータが示している。

但し、利益率は悪くとも親会社(メイン顧客)への生産義務(生産しないと他社に取られるという焦り)から、中小企業も旺盛に設備投資をしているのではないかと思う。

設備投資をすると、キャッシュはその時点で出て行くが、その後金利負担と減価償却費(会計上の費用)負担が響いてくるだろう。

さらに、昨年の今頃と比べて経済状況はどうか。昨年は絶好調という雰囲気が、今年はサブプライムローンによる信用収縮から、萎縮している状態であろう。

中小企業にとって痛いのは、日本よりも韓国・台湾といった製造業国家の方が国から手厚い施策により優遇されている点である。

また、研究開発費の伸びについても、中国・韓国と比較すると伸び率は停滞している。

液晶テレビ、半導体は特にそうだが、日本の技術がそれらの国に移管が進んでいる。上場企業をウォッチしていると、液晶・半導体の装置メーカーがそれらの国の顧客からのコストダウンが効いてきているように感じる。

もちろんこれはマクロ的に感じる事であり、個別には大企業の恩恵や県などの施策を享受している企業が伸びている。

›11 28, 2007

日本製造業の構造的欠陥

Posted by skillstorage at 10:09 / Category: オペレーション / 0 Comments

ものづくり白書に企業の課題として熟練労働者の退職と労働力確保が書いてある。つまり労働力・技能といった目には見えない経営資源の喪失が重大な問題として認識されつつある。

だが私は少子高齢化といった国内構造的問題以外にも、企業側(メーカー)の構造にも問題があると思う。

国内メーカーのほとんどが労働集約型の労働力に依存している。つまり機械やロボットが作業できない、代替出来ないから人間を使っている。よって賃金は低ければ低いほど良いという前提があるだろう。他方、開発サイドは知識集約業務であるため、本来成果に応じて給与を上げなければならない。日本のメーカーであれば、本来開発者は高賃金のはずであるが、同一企業内で労働者の賃金格差をつけたくないだとか、労働組合の反発とかから大部分を占める低賃金労働者の基準に近くなっているようだ。

このことから賢い人間は国内メーカーでは働きたいとは思わないだろう。知識集約業務を行っても成果に応じた賃金が得られないのだから。それよりも、サービス業・金融・商社といった低賃金者があまりいない業界の方が高給を得られるから。もっとも企業の国際競争力の観点からは日本メーカーが圧倒的なのだが。

製造業でもものをつくらない製造業(ファブレスメーカー)は、労働者は高付加価値の知識集約業務に専念できるため高賃金を得られる傾向がある。キーエンスなどはまさにその例だろう。

自分が理想と思う日本のメーカーは、世界中から超優秀な知識労働者に開発させ、世界中の低賃金の労働者に生産させる会社である。もっともこのような体制をつくると労働者間の格差が問題となるので、現実的にはファブレス企業として開発体制に特化し、労働集約業務はEMSや外注にアウトソーシングということになるだろう。

マクロの視点で考えると、90年代のように国内製造業の空洞化に拍車が掛かる内容ではあるが、少なくとも現在の知識労働者が低賃金、労働集約労働者が高賃金(例え請負や派遣を増やしても充分高い)の体制は限界があると感じるのだが。

›4 19, 2007

中国版RoHS

Posted by skillstorage at 19:03 / Category: オペレーション / 0 Comments

2007 年 3 月1日より中国版 RoHS(電子情報製品汚染予防管理方法)が施行された。
2007年3月1日以降生産の対象商品を中国で販売する場合、中国版RoHS対応表示が義務付けられる。また中国に製造装置や製造用部材を持ち込む際には、規程を満たす必要がある。

RoHSとは有害物質の規制法案であり、欧州で施行されたRoHS同様に鉛(Pb)と水銀(Hg),カドミウム(Cd),6価クロム(Cr6+),ポリブロモビフェニル(PBB),ポリブロモジフェニルエーテル(PBDE)の6物質を規制対象とされている。

実際には店頭で並ぶ製品には未だRoHSと表示されていないし、形だけ先行したようだ。そもそも中国の役所はアレだから。明確な基準は無いし、力があれば裏でどうとでもなりそうである。

›3 02, 2007

儲からない液晶テレビメーカー

Posted by skillstorage at 18:57 / Category: オペレーション / 0 Comments

液晶テレビを取り巻く企業は非常にコストに厳しい環境にある。液晶テレビの価格下落を見ればわかるだろう。研究開発や設備投資を回収するのさえ困難な環境にある。

かつてのテレビ(CRT)であれば、一部のメーカーが保有技術で独占的に売っていたが、今の液晶テレビ業界は、パネルメーカーは設備がものをいうスケールメリットの世界であり、売り先は選ばない。セットメーカーは部品の標準化を進め、これまたどこでも売れる体制をつくっている。

要するにかつてのテレビと違い、部品を買ってきて組み立てればつくれてしまうのだ。

米国では、そのようなメーカーが調達の合理化(サプライチェーン・マネジメント)とオペレーションの合理化によって利益を確保しながらシェアを拡大する戦略をとっている。

デル(Dell)モデルだ。

例えば、ウエスチングハウスはかつて有名メーカーだったウエスチングハウス(同名)の商標とロゴを取得し、ブランドを購入したが中身はただの組立メーカーだ。

ビジオ(VIZIO)という新興ベンチャーも同様に組立メーカーだが、急速にシェアを伸ばしている。

日本でもバイデザイン社を始めとして、組立メーカーが保有技術を持たずに、しかも自社ブランドで液晶テレビを格安販売している。

しかし、格安販売メーカーはギリギリの戦略を取っているとも思える。液晶テレビは組み立てればつくれるが、そこには高度な組立技術もあるはずである。高圧電流やガラス管(ランプ)があるので、品質基準が大手メーカーと比べるとどうかと思う。

一度でもリコールだしたら大変なことだろうと思うが。

›12 25, 2006

原価計算制度

Posted by skillstorage at 19:35 / Category: オペレーション / 0 Comments

製造業においては、原価計算が必要となってくる。コスト管理だ。原価計算は百社百様と言われるが、上場するにあたっては、精確で正当な原価計算が必要となる。
具体的には、原価管理が財務会計と連動している必要がある。単に部材費用を原価に入れるだけでなく、OH(間接費)を適切な基準で配賦する必要がある。

□製品別原価計算
製品別原価計算においても、生産形態に応じた原価計算方法が複数存在する。

1. 個別原価計算
個別に直接費および間接費を集計する方法
多品種少量生産、オーダーメイド生産向け。

2. 総合原価計算
2-1. 単純総合原価計算
一定期間に発生したすべての原価要素を集計し、製品単位に均等に算定する。
リピート生産形態向け。

2-2. 等級別総合原価計算
一定期間の発生源かを適当な等価係数によって按分し算定する。
単一製品大量生産向け。

2-3. 組別総合原価計算
組直接費と組間接費に集計し、組間接費を各組の製品に按分し算定する。
(組とは製品群を指す)
複数製品大量生産向け。

2-4. 工程別総合原価計算
発生費用を工程別に集計する方法。
標準品の工程別大量生産向け。

›12 04, 2006

燃料電池車と電気自動車

Posted by skillstorage at 14:55 / Category: オペレーション / 0 Comments

ガソリンという資源はそもそも限りがあるし、排気ガスは削減の方向に動いているとはいえ環境にとって有害で、車の生産量が増えれば増えるほど、環境を破壊する。

そこで日本の自動車メーカーを中心に電気自動車と燃料電池車の開発が進められている。さて、この2種類のガソリンに変わる代替エネルギー自動車はそれぞれどのようなものかを見ていこう。

ちなみにソーラーカー(太陽光発電車)もあるが、やはり電力不足である。

□燃料電池車
燃料電池はそもそも電池というよりは、発電機である。水素と酸素からエネルギーを作り出し、その電力を利用する。小学校で水に電気を流して水素と酸素に分解したのとちょうど逆のプロセスである。

まだ実用化には至っていないレベルだが、2次電池というLi(リチウムイオン)電池搭載型ハイブリッドなどが研究されている。

低コスト化が課題である。


□電気自動車
電気自動車はガソリン車に比べエネルギー消費量、効率が非常に良い。また、電気自動車は効率以外にも燃料電池と比べ、搭載設備費用も安く済む。

問題は充電する電池のコストだが、こちらもどんどん安くなっているようである。

かつては燃料電池が優勢といわれていたが、電気自動車が逆転してきているようである。それは、携帯電話などの急速な普及から充電方法やLi電池をはじめとした電池の研究とコスト削減が進んだからだ。

いずれにしても早く、害のあるガソリンの車がなくなって欲しいと思う。都内に住んでいると空気が悪くて鼻毛が早く伸びるし、そもそも健康に悪い気がする。

›11 17, 2006

シリコンサイクルとクリスタルサイクル

Posted by skillstorage at 19:27 / Category: オペレーション / 0 Comments

昨年度から今年度にかけて、急激に利益を伸ばしているのが日本の製造業である。
製造業の中でも、自動車、半導体、液晶が特化している。
その中で半導体、液晶には特有の景気サイクルが存在する。

半導体は材料であるシリコンになぞり、シリコンサイクルと呼ばれ、液晶はLCDのクリスタルからクリスタルサイクルと呼ばれる。

よってどの製造メーカーもこれらのサイクルに景気が左右される。これらの業界の特徴としては、新世代の製品が定期的に誕生することである。市場に登場後は装置も完成品も価格が上昇するが、各社が大型の設備を増産し生産のキャパシティが増加すると、需要と供給のバランスが逆転し、値崩れが起こる。これらが世代ごとに製造装置が改良されることによって、定期的に景気の波が引き起こされる。

このサイクルは約1年で起こると市場で想定されている。このため設備産業、装置メーカーにとってはサイクルに合わせた研究開発、販売、資金回収が大きな経営課題となる。また景気の波に左右されない経営を行うことも各社目指している。

シリコンサイクルは緩和されつつあるが、急成長の液晶テレビ分野においてはシリコンサイクルという想定困難な景気の波に現在各社悩まされているのが現状である。



›10 30, 2006

中国工場でも自動化

Posted by skillstorage at 13:16 / Category: オペレーション / 0 Comments

本日の日経新聞で台湾のEMS企業が中国へ工場自動化機器(FA機器)の大量販売を予定しているという記事があった。中国における人件費の急上昇から日本の工場のような自動化、合理化が必要であるとのことだ。

工場生産分野では、日本企業が工場ロボット分野では世界の圧倒的な市場シェアを持っていて、ファナックを初めとしたロボットメーカーは大きく発展している。
だが、あくまでも大規模な工場設備であり、人ができない作業を行うロボットであった。

これからは人が行うライン作業の分野が大きな市場となる。この分野こそが日本が最も得意である。そしてこの分野の技術が無くなれば、日本の技術国家としての地位は揺らぐ。

そして刻々と工場内設備が日本から輸出され、コピーされ、同等機能の製品が中国も独自に生産できるようになってきている。
そう考えると、日本製造業は工場生産設備を売りつつ、いっそうの努力を行い更なる自動化、革新技術の研究開発が今重要となってきている。



›10 16, 2006

歩留まりが製品の市場性を決定する(薄型テレビ市場を見る)

Posted by skillstorage at 09:27 / Category: オペレーション / 0 Comments

歩留まり(ふどまり)とは、生産面における良品の割合のことである。つまり、不良品ではない製品の割合である。
電化製品、工業製品というのは、いつも同じ条件で製品がつくられるわけではない。
今から10年程度前、初めて液晶ディスプレイを購入したとき、それはパソコン用のディスプレイであったが、液晶表面に何箇所か色が付きっぱなしの場所(ゴマ粒程度)があった。一度気になってしまうとどうも気になってしまい、文句を言いに行った。
すると、それは液晶ディスプレイの特性であり、不良品ではないと突き放された。
それでも文句を言って結局交換してもらったのだが、また同じように光りっぱなしの箇所があってがっかりした。

今ではそんなことはないし、その後なんどもノートパソコンを購入したけどそんな酷い品質は無い。

しかし、当時は液晶はその程度の品質だったのである。

現在薄型テレビ(FPD)は様々なプレイヤーがひしめいている。液晶(LCD)、プラズマ、有機EL(OELD)、SEDとあり、まだ有機EL、SEDは市場に出回っていないが、その高度な技術と品質の高さは液晶、プラズマの比ではないと、もう5年以上期待されている。

それでもまだ市場にそんなテレビな存在しない。

せいぜい、展示会に試作品がある程度だ。

これは多くが歩留まりが影響している。良いものが売れるとは限らないとは、マイクロソフトが証明している。
マイクロソフトのWindowsはマーケティング面からの成功から、PC分野の市場で圧倒的な地位を取り、さらにUNIXなど企業の基幹業務に使われるサーバー分野でも多くの市場を取っている。
これも歩留まりの影響があると思う。MacやUNIXと違い、マイクロソフトのWindowsはハードウェアに依存しない。
その分だけ大量に売ることができるという面では歩留まり的な要素が高いといえる。

また機器では無いので、プログラムにバグがあっても回収しないでオンラインでパッチ(修正プログラム)を配布できる。これもまた歩留まりが高いのに似ている。Windowsはパッチだらけだ!

さて、薄型テレビの話に戻すと、液晶が圧倒的なシェアを取っている。当初は大型はプラズマと言われていたが、液晶が薄型テレビ市場の92%のシェア、プラズマが8%のシェア(日本)である。品質面では液晶とプラズマはメリット・デメリットがあり五分五分であるが。

液晶は品質面、技術面で劣っていても量産化技術が確立されており、歩留まりが高い。有機EL、SEDは歩留まりが原因で製品化できていない。

これもまた品質が良いものが売れるとは限らないことを示している。



›7 07, 2006

ISO 9000(品質管理規格)

Posted by skillstorage at 15:36 / Category: オペレーション / 0 Comments

ISOとは国際標準化機構(International Organization for Standardization)のことであり、「サービスの国際的な交換を容易にし、知識・科学・技術・経済に関する活動において、国際的な交流を助長するため、国際的な規模の標準化とこれに関する様々な活動を発展・促進すること」を目的としている。また非営利団体で本部はスイスのジェネーブにある。あいそ、あいえすおー、いそなど呼び名がいくつかある。

ISO 9000に関しては、品質マネジメントシステムであり、企業などが顧客の求める製品やサービスを安定的に供給する“仕組み(マネジメントシステム)”を確立し、その有効性を継続的に維持・改善するために要求される事項などを規定している。この品質保証に関する要求事項の標準として規格化されたものが、ISO 9000シリーズである。

この規格に基づいて、供給側企業が社内で品質管理システムを自己評価し、第三者(審査登録機関)に依頼して客観的な評価を受け認証取得(審査登録)を行う。

ISOのシステムは、明確な方針・責任・権限の下、業務プロセスをマニュアル化して、それを仕組みとして継続的に実行、検証を行うことである。

ISOのメリット(1) 品質保証マークの意味合いで自社製品の品質をアピールできる。逆に今ではISO9000を取得していないと取引をできない会社も出てきている。
(2) 融資や損保の企業評価項目で優遇される場合がある。
(3) その他各種優遇制度が受けれる場合がある。
(4) 社内の業務フローの確立、実際の品質の向上、社員の品質への意識向上

が上げられる。

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›6 14, 2006

グリーン調達(Green Procurement)

Posted by skillstorage at 09:39 / Category: オペレーション / 0 Comments

環境に配慮した経営の一環として、製品の原材料・部品や事業活動に必要な資材などを環境への負担が少ないものから優先的に調達しようとする活動のことである。
ISO14001が環境マネジメントの規格として取得企業が増加しており、その先をいくのがグリーン調達である。

そもそも企業が環境に配慮するようになったのは、最近のことでありそれは企業の社会的責任(CSR)が重要であるとの認識が社会的に広まったからである。

グリーン調達を行う企業は使用禁止物質一覧などを作成し、社内はもちろん調達先にも使用禁止物質が含まれる資材は調達しないよう徹底したガイドラインを設ける。

ガイドラインは法根拠から使用禁止物質を決められるようにしているのが一般的だ。
例えば、鉛などはRoHS、ポリ塩化ナフタレンは化審法1種特定、オゾン層破壊部室は76/769/EEC、放射性物質は原子炉等規正法、六フッ化言おうは京都議定書、その他にもモントリオール議定書指定物質、EU指令などがある。

›6 06, 2006

ムサシカーブ

Posted by skillstorage at 09:29 / Category: オペレーション / 0 Comments

ソニー中村研究所の中村氏がスマイルカーブとは対極のカーブに対してムサシカーブと名付けた。
世界的にはムサシカーブではなく、スマイルカーブつまり製造工程において最上流、最下流こそが付加価値が高いとされている。他方中村氏は日本の製造業の強みはむしろ製造工程の真ん中に位置する製造・組立であると主張する。

そして「平成16年度ものづくり白書」の報告書によると最も利益率の高い工程は中村氏のムサシカーブそのもの、つまり製造・組立であった。

何故、これほど両極端になるのであろうか。

スマイルカーブの利益率の高い点は、上流工程の研究、開発、設計、そして下流工程の販売とアフターサービスである。

ムサシカーブが日本で見られる原因を自分なりに分析してみたのだが、まず第一に製造が複雑になって、製造・組立においても高度な技術、熟練度が必要となってきているため、技術力、品質で差別化できる要素がある。

第二に、日本が好景気に入り製造業の設備投資が増加したことが挙げられると思う。つくれば売れる(例えば液晶テレビ)のように、むしろ部材不足(パネルは過多ぎみだが)状況においては、部材設備を早く供給できる(つくれる)製造・組立メーカーは競争力があり利益率が高いと思慮される。

そして、製品開発、アフターサービスよりも需要不足のため供給が優先され、まだ価格競争になってきておらず販売において高い利益率が得られるところにあると思う。ワールドカップ、北京オリンピック、デジタル放送化以降にもこのような特需が発生するのであれば、そして日本が製造業として確固たる地位を占め続けることができるのであれば、ムサシカーブを描き続けるのかもしれない。

日本の製造業の空洞化、つまり製造業において部材メーカーは賃金の安い海外に移ったといわれていたが、それも違ったらしい。むしろ国内回帰の動きがある。

部材、材料は高度化され、成分の調整や処理がブラックボックス化されているので、国内メーカーが競争力が強い状況が続いている。


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債務超過

Posted by skillstorage at 09:05 / Category: オペレーション / 0 Comments

債務超過とは、バランスシート上の負債が資産を上回った状態のことを指す。

そもそも企業の決算はどうなっているか考えてみよう。
売上高からコストを引いた利益、販売管理費(給料など経費)を支払い、銀行の利子を払い最後に税金を払って当期利益が出る。そこから役員賞与、株主への配当を行う。それでも余った利益は資本の部に組み込まれる。

バランスシートは貸借対照表という名前どおり、左側の資産と右側の負債+資本はかならず一致する。

しかし、赤字を続けた場合はどうなるか。

税金は支払わないが、当期未処理損失となり資本を食い潰すことになる。こんなことが続くと資本の部の資本金よりも当期未処分損失が大きくなり、資本の部がマイナスとなる。資本の部がマイナスとなったら最後負債は資産合計を超える。

債務超過の状態では、資産を全て売却しても負債を返済することはできない。


      B/S
 ┏━━━━━┳━━━━━┓
 ┃       ┃ 負 債  ┃
 ┃ 資 産  ┃       ┃
 ┃       ┣━━━━━┫
 ┃       ┃ 資 本  ┃
 ┃       ┃       ┃
 ┗━━━━━┻━━━━━┛

›6 02, 2006

プロジェクト

Posted by skillstorage at 11:31 / Category: オペレーション / 0 Comments

あなたの仕事に問題を感じているとすると、それはプロジェクトの問題である。
かつてプロジェクトとは「特定の目的を遂行する為の活動」と書いた。
またその際、プロジェクト管理の世界標準であるPMBOK(A Guide to the Project Management Body of Knowledge)についても紹介した。

但し現実的にはプロジェクトを管理するのはソフトウェアを用いないと厳しいだろう。日々修正作業は発生するし、プロジェクトメンバーへの通知、数値的な予測、集計など、人的作業では追いつかないからだ。

そして恐らく最もよく使われているのはMicrosoftのProjectというソフトであろう。別にProjectが一番優れているのかはわからないが、PCのほとんどがMicrosoft Windowsだし、ビジネスで使われる主要ソフトがMicrosoft Officeなんだから、一緒に使うのはProjectが楽なため良く使われるのであろう。

ところが、使っている人に結構話を聞くとその使い方が間違っている。

ProjectはPMBOKを満たしている製品であり、スケジュール管理ソフトでは無いのだ。ところが現実的にはスケジュール管理機能しか使っていない人が多すぎる。これはそもそもプロジェクトに対する概念、知識が無いからだろうと思う。

ところが、Projectは「時間」「コスト」「リソース」というスケジュールのコスト、リソース部分も同時に管理しないとプロジェクトでは無いという発想から生まれている。社内でスケジュールがあるとういことは、そこにはコストとリソース(人)が動くではないか。そしてそれらは一元管理されなければならない。さらにその3つは三位一体で相互補完の関係にあるのだ。

しかたなしにProjectでプロジェクト管理している人も一度プロジェクト理論から見直したほうが良いと思う。

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›5 17, 2006

CCPM(クリティカルパス管理)

Posted by skillstorage at 09:24 / Category: オペレーション / 0 Comments

多品種少量生産の世の中になった。創造してみて欲しい。

工場内にはいくつもの機械が複数の用途で使われる。ひとつの製品を組み立てると、また別の製品のために再セットアップも必要となる。完成品自体は誰が作っても同じものが作れる。

結局工場が生産性を上げる為には、製品を組み立てる為の機械の配置、人の動き、機械を使う順番、部材発注のタイミング、機械のセットアップを減らす、などなど。

要するに多品種少量生産の低価格商品は、設計や商品企画では差別化できない。差別化するためにはオペレーション管理によるコスト削減こそ重要なのだ。

ここで、製品ができるまでの工程を考えてみよう。単純な例でCが完成品を組み立てる機械でA->C、B->CとつまりAの機械、Bの機械からそれぞれそれぞれ完成品の部品(それぞれ必要な個数は同じとする)ができてくるとする。

A->Cは10分、B->Cは20分かかるとする。そうなるとB->Cが2倍の時間がかかるので、結局A->Cの生産性を向上しても最終製品ができる時間は向上できない。

実際には工程(ライン)はより複雑だ。このように最も時間のかかる工程、製品の完成を遅らせないためには絶対に遅らせてはならない工程の組み合わせのことを「クリティカルパス」と呼ぶ。

クリティカル・チェーンとはそのラインが鎖(チェーン)のように長く複数組み合わさったものである。

CCPMはクリティカルパスを管理する手法でCritical Chain project managementである。

工場の制約を見つけることによって生産性を向上する方法TOC(小説「ザ・ゴール」で有名)の中核をなす管理手法だ。

実際には複雑な工程が工場内に存在し、その組み合わせは無限に近く、パズルを解く感じである。そのパズルをコンピューターソフトのスケジューラーによって見つけ出す手法(アルゴリズム)がCCPMの現実的な対処法である。

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›8 23, 2005

工程能力指数(シックスシグマ実践)

Posted by skillstorage at 15:21 / Category: オペレーション / 0 Comments

工程能力(Process Capability)とは,定められた規格限度内で製品を生産
できる能力のことである。

その評価を行う指標が工程能力指数(Cpk)である。

(1)上限規格のみの場合:Cpu = (上限規格値 - 平均値)/3σ
(2)下限規格のみの場合:Cpl = (下限規格値 - 平均値)/3σ
(3)両側規格の場合:Cpu と Cpl の小さい方の値

.Cp で表示されるのは両側規格の場合に平均値が規格の中央にある時

Cp=(上限規格-下限規格)÷6s
(ここでsはシグマであり分散)

具体例で見たほうがわかりやすいと思う。

金属棒をつくる工程があり、平均3.47cmで分散が0.003とする。
規格値と上限・下限はそれぞれ、3.5cmプラスマイナス0.02cmとする。
つまり3.48cmから3.52cm以内が許容範囲である。
この範囲外は不良品となる。ではやってみよう。

 Cp=(3.52-3.48)/(6*0.003)=2.222

Cp=2以上がシックスシグマの許容範囲とするとOKということになる。

しかしながら、平均値が3.47cmだから軸をずらして考えないといけない。
つまり分散値は基準値以下だけれども、平均値が果たして基準以下なのか
を考えないといけない。

 3.47プラスマイナス0.003=[3.452,3.488]

である。

Cp=2以上がOKという前提でも軸がずれているので、軸をシフトして考えて
みると、

 Cpk=min(Cpu/3s,Cpl/3s)
※小さいほうが適用となる

問題に果てはめてみると、

 Cpk=(-1.111,5.556)=-1.111

である。

Cp=2以上がOKという前提にたいして、Cpk=1.5以上がOKという前提を与え
たとしたら、この値は基準値以下である。

さて対応策は、まず平均値をどこにもっていくかを考える。

Cpk=1.5以下をOKという前提のもとに、Cpu、Cplを算出すると、

平均値は3.4955から3.5045の範囲内であれば良いとわかる。

つまり結論としては、この工程はシックスシグマ基準を満たしていない。
満たすためには、平均値をずらしてやる必要がある。分散は基準を満たして
いるので問題は無い。


□ 手順

さて以上を踏まえて手順を見てみると、

(1)Cpを求める。Cpが2以上であれば次のステップにうつる。
   Cpが2以下であれば、シグマ(分散)を減らす必要がある。
(2)Cpkを求める。Cpkが1.5以上であれば基準を満たしている。
   Cpkが1.5以下であれば平均値を基準値に収める必要がある。

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DMAICモデル

Posted by skillstorage at 15:20 / Category: オペレーション / 0 Comments

以前シックス・シグマについて紹介した。


簡単に説明すると、シックスシグマは品質管理であり、モトローラによって
開発され、ジャックウェルチのGEが工場の品質管理のみならず、経営戦略
に取り入れる成功したことによって一躍注目を浴びた。

DMAICモデルとは、シックスシグマを管理するシステムモデルである。
DMAICはそれぞれ、以下の略である。

シックスシグマはシグマ6個のことでシグマは標準偏差のことを指す。
規定値を用意しておいて、実際に製造で作られた製品をサンプリングして、
正規分布を取り、そのばらつきを表すのが標準偏差であった。

品質特性値が正規分布に従えば、6シグマの外に出る確率は、100万回に
3.4回ということになる。それほどの精度を要求する。
シックスシグマとは品質保証を6シグマに抑えようとする方法である。

さて、理念がわかったとしてもその導入が難しい。
そこで、DMAICモデルがある。これは下記の頭文字をとったものである。

定義(Define)
測定(Measure)
分析(Analyze)
改善(Improve)
管理(Control)

さて、個人的な意見を言わせていただくと、このシックスシグマの理念は
単なる統計の問題である。そしてシックスシグマに品質精度を要求すること
も高品質な生産ができると思う。

だから何だ?

というのが実際にGEの製品を多く使っての感想である。
技術大国日本ではGEの製品を見ることは非常に限られていると思う。恐
らく病院にあるCATやMRIのような機器くらいじゃないだろうか?
だが、米国生活をしているとGEの製品は非常に多かった。アパートでは
備え付け白物家電がGE製だったこともあり、使うことを余儀なくされた
のだが、これがまたよく壊れた。というか製造元に言わせると壊れたので
は無くそういった仕様だと言われるのかもしれない。

ちなみに、電話機はコードレスにもかかわらず1時間しか充電が持たない。
なので1時間以内しか離せない。コードレスだから充電しながら話せないし。

洗濯機・乾燥機はやたらうるさい。しかも服がすぐ駄目になる。タオルにし
ても服にしてもすぐ毛玉ができてしまう。

まあ、これは品質的にはOKなのかもしれないが、日本の電化製品と比べて
しまうと設計ミスに感じるのだが。
それにも関わらず、日本の白物家電は米国ではまったく見なかったのは何故
だろう。

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ブルウィップ効果(Bullwhip Effect)

Posted by skillstorage at 15:15 / Category: オペレーション / 0 Comments

ブルウィップとは鞭(ムチ)のことであり、ブルウィップ効果とは、ムチが
しなって先っちょに行くほど力が加わるように、サプライチェーンにおける
変動は上流工程に行くほど拡大されることを表す。

顧客時点での変動は小売、卸、工場、工場のサプライヤーへと変動が伝わり、
その変動は増幅されていく。

これは小学校の頃やった伝言ゲームと一緒で、何故か伝言が婉曲されて伝わ
るにしたがって伝言の婉曲は増幅されていたのと似ている。

サプライチェーンにおけるこのような情報の婉曲は、需要予測、注文処理、
価格変動などが原因で引き起こされる。このようにして、実際の顧客の望む
需要を超えた在庫量が必要になってしまうのである。

リーン生産方式

Posted by skillstorage at 15:13 / Category: オペレーション / 0 Comments

アメリカ製造業がどうしてもかなわないと思っている日本企業がトヨタで
ある。
トヨタはアメリカでも多くの学者によって研究されている。
以前トヨタ・ウェイについても紹介した。

トヨタ方式「ザ・トヨタウェイ」

今回はリーン生産方式についてである。

リーン(Lean)とは痩せたという意味であり、リーン生産方式は無駄なもの
(つまり贅肉・脂肪)を取って全体のトータルコストを削減しようとする
ものである。つまり痩せるということである。

結局トヨタといえば、カンバン方式、ジャストインタイム(JIT)と米国で
は脅威の戦略、オペレーションを行っていると見られているようだが、極め
てシンプルなことをしているように感じるのだが。

日本の製造業の仕組みはボトムアップ(すなわち現場主導)であるのに対し
て米国ではトップダウン(マネジメントの戦略主導)である。
そんなことから、米国でのオペレーション手法であるMRP(資材調達計画)
などは、日本のカンバン方式と正反対、即ちPushとPullであるとこ
ろがある。
日本では必要なものを必要なだけ調達するという考え方が米国では作ったも
の次の工程には作ったものをさばく工程が必要と考えるわけだ。

とまあ、日本人がノコギリを引いて切るのに対して、アメリカ人は押す(つ
まり歯の向きが逆)のと同じような次元・発想が正反対である。

そんなことからトヨタの生産方式は米国では新鮮な驚きを持って受け入れら
れたのだろう。

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スマイルカーブ(Smiling Curve)

Posted by skillstorage at 15:07 / Category: オペレーション / 0 Comments

スマイル・カーブとは台湾のコンピューター製造業エイサー(Acer/宏碁電脳)
の会長スタンシーが提唱した概念である。

これはパソコン製造業界の描く付加価値曲線を表し、縦軸に付加価値、横軸
に製造工程(左からコンポーネント製造、アセンブリー、ディストリビュー
ション<流通>)のグラフを描くと、アセンブリーが付加価値が低いため、
ちょうどUを描きあたかもスマイル(笑顔)のように見えることから名付け
られた。
要するに付加価値の高い部分は川上のキーデバイスの製造と川下の流通(こ
れにはブランド、サービス、ロジスティックも含む)ということだ。

□ ファーストフード・モデル
また、エイサーはそのビジネスモデルがファーストフード経営に似ていると
ころも注目された。
ファーストフード業界では、食材の鮮度が重要で、品質管理にはかなり力を
入れている。パソコンにおいてもそれは同様で、コンポーネントは時間が
たつと流行からすぐ遅れてしまう。そのため、新鮮な食材を扱うかのように
重要なコンポーネントは空輸をするほどだ。
さらに、ファーストフード経営の特徴であるセントラルキッチン方式も採用
している。これは、ファーストフードは食材をある程度加工、もしくは調理
を済ませて配送し、販売店では最小の労力で調理することができる仕組みに
している。
エイサーもまたコンポーネントは販売店の近くの低賃金国家で生産し、素早
い配送を可能にしている。

ものづくり国家日本にはエイサーだとか台湾企業・韓国企業の電化製品は
なじみが無いのだが、実は世界的にはかなりの売れ行きを見せている。
エイサーは圧倒的な高品質を誇る日本企業、低価格の韓国企業との先進国で
の競争を避けるため、後進国に販売地域を集中させ圧倒的なシェアを取る
ような戦略も立てた。
また、ブランドも劣るためあえてOEMによるIBMへ供給する戦略も効果
を発揮し注目を浴びた。

□ ムサシカーブ
ムサシとは宮本武蔵で、刀の軌道が∩でスマイルカーブの∪とちょうど逆に
なっている。
これはソニー中村研究所の理論で、スマイルカーブと正反対の理論であり、
組立加工工場こそ付加価値を生むというものである。(参考まで)

エイサー
http://global.acer.com/

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