ファイナンス理論から結論を言えば、無借金経営は有利子負債を活用した資金調達に比べてコストが高くつく。かつて日本では無借金経営が良いとされたが、それは中小企業のオーナー企業が無借金だったら良いという意味だったか、大企業に対して良いと言っていたのなら、それは誤りである。(財務レバレッジ参照)
中小企業で、高い金利からしか銀行から資金を調達できないとか、オーナーの資産が莫大で自己資本でまかなえるならいざ知らず、大企業で上場企業であるならば有利子負債と株主資本のバランス調整が非常に重要になってくる。
株主から要求されるリターン(配当要求もしくは株価の向上)の方が銀行からの要求より厳しいということだ。しかし銀行からの負債というのは返す必要があり、負債超過になると会社の格付けに響き、また調達金利も厳しくなってしまう。ここのバランスが難しいというのがファイナンス理論の山場だ。
だが、無借金経営をしている優良企業もある。
例えばキーエンスだ。かつては日経優良企業ランキング1位を何度も獲得している。製造業相手にセンサーを売っている会社だ。
元々はオムロンの独壇場だったセンサー分野に入り込んでいる会社だ。
キーエンスの売上高対営業利益・経常利益率は50%を超えている。製造業としては突出した数字である。
オムロンと比較してみると、
・総資産経常利益率:
キーンス:22.35%
オムロン:8.57%
・平均年齢:
キーエンス:31.9歳
オムロン:39.5歳
・平均年収
キーエンス:13,330千円
オムロン:7,990千円
キーエンスからセンサーを買っている企業の友人何人かに聞いてみたところ、
「キーエンスはとにかく高い」
「営業がしつこい」
「対応が非常に良い」
「試作品をすぐ(頼んでもいないのに)貸してくれる」
「勝手にメールやFAXを送ってこられて迷惑」
「営業マンが面白い」
「担当じゃない営業がやってきたが、ムカついた」
「たいした製品じゃ無いものでも、とにかく製品に業界1位とついてるカタログが多い」
「オムロンはどっちかというと製品も人も古いイメージだけど、キーエンスは若いイメージ」
といった回答が得られた。
高いコストで資金調達(有利子負債の不活用)しているし、従業員にも高い給料を払っているし、財務諸表を見ると、私の考える良い企業の範囲外なのですが。。。非時価総額経営ですね。
経営面(営業面)でこれだけの成績を出せれば、文句は言えないって感じでしょうか。あと、光通信が株主にいるんですね。
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