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›12 22, 2006

創業者は町工場のオヤジ

Posted by skillstorage at 13:35 / Category: マネジメント日誌 / 0 Comments

いくら急成長しているからとはいえ、それは市場が上向いたことと、製品がヒットしただけに過ぎなかった。社長の感覚は相変わらず町工場のオヤジであり、典型的ワンマン社長であった。役員にいたっては町工場の従業員レベルである。つまり全員独裁政権を恐れたイエスマンである。

さらなる成長の為に、大企業経験、急成長企業のコンサルティングを手がけた自分を採用したはずであったが、相変わらず権限は社長に集中していた。

意見を言える環境では無いのだ。

聞いてみるとこれまでも何度か自分のような経験を持った人材を採用したとわかった。だが結局大企業気分、サラリーマン気分でベンチャーには馴染めないということで首を切ったと聞いた。

だが、実際にはガンコ親父である社長に提案しても、結局気に入られずそのようなことを言われたのではないかと思う。また首を切ったのでなく、本人が会社に対して見込みが無いと思い自主退職したのではないかと思う。

このような環境で社員の意識改革、経営ビジョンを用意しろと言われても非常に困難だと痛感した。

会社をこの社長以上のものにするには、たいした権限を持たない自分ではどうしようもない。何しろすべて社長の同意が無ければ動かすことができないのだ。

そんな中良い方法を思いついた。社長以上の経歴、経験、年齢の人物を採用すればよいのだ。大企業を育て上げた幹部社員で退職した人などがそれに当たる。

そのような人物が入ることで、社長も口出しできない改革が必要だと感じた。

›12 05, 2006

完璧な人材などいない

Posted by skillstorage at 11:09 / Category: マネジメント日誌 / 0 Comments

ベンチャー企業で働いてみてわかったこと重要なことは、人材の質がどうしても偏っているということである。社長のカリスマでベンチャーは成り立っていて、経営陣、一般社員にいたっては凡人というか、技術面など突出している部分はあっても、顧客折衝面などで問題があるといった人物がほとんどなのだ。

創業時に優秀な仲間と立ち上げたという会社であれば、また違ったのかもしれないが、ここの会社は創業者であり経営者は自己の能力のみで会社を拡大し、自分の手足となる兵隊のような人材を集めて成長してきた。

つまり、複数の起業家センスのある経営陣がいるのではなく、あくまでも指揮・命令は社長からであり、取締役会など会議は社長の意思発表の場でしかないのだ。つまりその他の人物はイエスマンである。

ただ、イエスマンであるような人物でも権限を持ち、発言はする。その発言のほとんどが一般社員などの批判である。

確かに社員は能力面だとか性格面が偏っているため不満は多い。だが逆に言えば長所と短所が偏っているのであり、長所はすばらしいものがある。

不満ばかり言っている雰囲気の会議の中、自分の立場として彼らをかばう役にいつしかなっていった。

「あんな奴だめだ」、「クビにしたほうが良い」などと言う者がいるときには、周りも同調しがちであるが、そんなダメな社員でも、実は彼しかできない業務をやっていたりする。

採用も手伝っていたが、やはりベンチャーには人材は集まらない。求める理想の人物など来ないのである。ではあきらめるしかない。

完璧な人間なんてそもそも存在しないのだし、育てればよいのだと、その後考え方を切り替えたのである。

›7 07, 2006

マネジメント日誌010「資本政策」

Posted by skillstorage at 13:09 / Category: マネジメント日誌 / 0 Comments

会社は目の前にある危機を抱えつつも当面順調に受注が続いていた。従業員は製作に役3ヶ月かかる自社製品を変わらず同じやり方で生産を続けていた。
本来製作が難しいはずのハイテク機器であるにもかかわらず、何度も製作をしているうちに頭を使わずに生産が出来る体制になっていた。未だに誰もこの自社製品が売れなくなるなどという心配をしている気配は感じられなかった。

急激な需要過多であり、これは偶然とも単なるブームとも私は感じているのだが、一般社員がこのような心配などするはずもなかった。一時的なブームの恐ろしさは、将来すぐに財務面への負担としてのしかかってくることを危惧していた。

マーケットシェアが非常に高いが、かといってそれほど自社の競争優位は単なる先行者メリットしかなかったのだ。他社が追従してくれば、やがてシェアが奪われる。

社長の考えは、そのシェアが奪われては困ると考えていた。この自社製品は今までにない利益率を上げていたからだ。

そのために積極的に人材を採用し、設備投資を行った。だが、次の自社製品に対する投資は行える状況ではなかった。

当社の資本政策は銀行からの有利子負債にたよっていた。自社製品のブームのためキャッシュフローは潤沢であったが、かつて貸し渋りを経験していた社長は、業績の良い時期に必要でなくても銀行からの資金調達を行っていた。

自己資本比率は非常に低かった。それは利益を税金で取られた後の内部留保や役員賞与からの自己資本増加は社長は馬鹿らしく考えていたからだ。

それよりは、人材採用や設備投資に金を使ったほうが良いという考えであった。

私は、内部留保、自己資本比率の低さが気になっていた。この自社製品が売れなくなったときが恐ろしかった。会社を維持するコストが億を超えていたからだ。さらに一般的にこの業界での製品の売上高利益率が非常に低いこともある。客の仕様変更やちょっとした設計ミスですぐに赤字になってしまうのだ。

私はなんとかして直接金融を通じて資金を調達できないか模索していた。

›6 29, 2006

マネジメント日誌009「危機感の欠落」

Posted by skillstorage at 09:59 / Category: マネジメント日誌 / 0 Comments

入社して4ヶ月、緩やかに四季は移ろいで行った。これまで経営コンサルタントとしてに実績を出していたと自負していたが、それも崩れかけて来ていた。以前には感じたことの無い孤独感とプレッシャーに押しつぶされて来ている気もした。

社内の風景や人の表情に変わりは無い。朝出社して挨拶して、仕事をする。そんな単調な日々の繰り返しだ。会社の製品は順調で、いくつかの引き合いがある状況だった。

だが、そのブームが消えかかっていることを認識している者はどれほどいるのだろうか。社長は認識している。だが、これまで数々の倒産の危機から立て直してきた経験からか、不明確な将来に対しても余裕を感じる。

自分ひとりが焦っているのか。

これまで自分は短期に利益を上げること、プロジェクトを実施し成功させることに注力してきた。ベンチャーは短期に市場シェアを取ることが宿命だと思っていたが、ここではどうもそのような意識の者はいないようであった。

ミドルとの経営改革会議では、誰もがうつむいていた。自主的な意見や主体性は見られなかった。

コンサルタント時代には、自分の考えを論理的に説明してきてクライアントに受け入れられてきた。だが、ここでは自分の説明がまったく通用しない気がした。

会社で自分はずいぶんと大人ぶって振舞ってきた。そんなことから友人と会うときは自我を剥き出しにしてきた。

本来の自分はどっちなのだろうか。恐らくそうとう幼稚でいい加減でヤンチャなんだろうと思う。

会社での自分は作り上げられたもう一人の自分なのだ。

たまたま自分と同じような立場の友人がいた。コンサルタントから引き抜かれベンチャーのトップになっていた。

彼は良き理解者になってくれた。彼もまた本来は相当に精神的に幼く、だらしの無い性格だ。いつも仲間内で弄られるようなキャラだ。だが、恐らく職場では孤高に振舞っていることが話すたびに感じられた。

そして精神的プレッシャーをものともせず、常に前向きに考えていた。その点では自分よりも遥かに大人なのだと感じさせられた。

彼と会うといつもあっという間に深夜まで飲みながら話した。帰りのタクシーでも仕事のことを多く話した。自分が先にタクシーから降りる時、もう少し話せたらといつも思った。

社員と経営者の意識が違うのは当たり前
完璧な人間などいないので、大きな期待をすることは無駄
社員には危機感など無い

そんなことを聞きながら、彼自身も自分に言い聞かせているようであった。

自分がいた職場、そしてクライアント企業というものは意識が非常に高かった。それ自体が特別なことなのだと認識した。

彼は、自身のことをよく熟知していた。弄られ役のためか、自分は馬鹿なんだとよく言った。プライドが高いコンサルタントの中では珍しいタイプだ。

自分は馬鹿だから、馬鹿の気持ちがわかる。馬鹿には何度も言わないと駄目なんだ。

彼はそうやって社員と接しているのだ。

これまで自分は、自分の話は理解してもらえるという前提で話していた。だが彼のそんな一言にハッとさせられた。

次の日の会議でもまた社員の表情はいつもと変わりなく曇っていた。危機感の欠片も無い。仕事が目いっぱいなのに会議は面倒くさいと言いたげだ。

駄目な会社はどこも社員の危機感が欠落していると三枝氏の本に再三書かれていた。その重要性は認識していたが、危機感を感じてもらうことの難しさこそが重要なテーマだとひしひしと感じた。

›6 28, 2006

マネジメント日誌008「経営革新」

Posted by skillstorage at 08:52 / Category: マネジメント日誌 / 0 Comments

社長命令で自分を含むミドル層が集められた。20台後半から30代後半までのメンバーだ。ベンチャーだから年齢層が若いが、人を管理している連中だ。

社長からの指示は、「このメンバーで将来の当社の戦略、方向性を構築しなさい。今後私は口を出さないから自分たちで全て決めて、取締役会で定期的に報告しなさい」ということだけだった。

ようやく自分がこの会社に必要な経営革新が実行できると意気揚々とした。だが、集められた他のメンバーは違ったようだった。

キックオフ・ミーティングに出席した彼らの表情に違和感を感じた。忙しい業務の合間に出席しているから面倒くさいのかなどと勘ぐった。

しかし、どうも彼らは何をすれば良いのかといった根本的なことから、経営戦略の方向性をつくりあげる方法も何も知らないのだということがわかった。

キックオフは何でも言いたいことを言ってもらうようにしたが、彼らから積極的に発言されることは無かった。自分が質問しないと出てこない。主体性の低さに嘆いた。

どうやら経営革新は自分が思っていたよりも時間がかかりそうな気がした。

›6 26, 2006

マネジメント日誌007「ミドルの育成」

Posted by skillstorage at 10:23 / Category: マネジメント日誌 / 0 Comments

地方都市に位置する当社にとって人材は貴重だ。町を見渡すと大企業の工場がいくつもあり、駅前には大企業の支社が軒を並べる。地方とはいえ好景気の兆しが見え始め、活気付きはじめている。

当社も大手企業に出荷している自社製品の売れ行きが好調で業務は忙しく状況が続いている。当社ではやはりベンチャーであり中小企業であるため、優秀な人材の確保が困難である。社員を見渡しても優秀と呼べるような人材は少ない。ただ優秀では無くても、忙しい業務をこなす士気は高いと感じている。それはただ単に優秀であるだけの人材よりも貴重だと思えた。

しかし、やはり優秀な人材を入れないことには会社は伸びないと感じた。社長もそのことを痛感しているらしく、業務も当分忙しいことを予測して優秀な人材の採用を行うよう指示された。

ただ、やはり地方都市であることと、景気が向上していることから、当社を希望する人材はろくな者がいないことが送られてくる履歴書を見ながら感じた。能力の低いものを採用することは会社にとってコストである。他の社員にも迷惑をかける。そのため採用は控えざるを得ない状況であった。

やはり既存社員の育成が必要だと改めて痛感していた。そんな折、若手社員の一部を集め経営革新を行えという社長命令が下ったのだった。

私が入社して4ヶ月ほど経った時だった。

最初は誰もが私のことを警戒していたように感じていたが、だんだんと話す機会が増えてきていた。そんな次期だった。

最初のキックオフミーティングを開いた。

だが、そこに集まった生え抜きの社員達は、そんな会議をさも面倒くさそうに出席した。自主的な発言もほとんど見られなかった。

経営陣と一般社員の意識の壁をこんなところにも見た。

彼らミドルが駄目なら意識改革は進められない。いかにして彼らの意識を変えるか。

また胃がきりきりと痛み出してきた。

›6 22, 2006

マネジメント日誌006「チーム」

Posted by skillstorage at 09:00 / Category: マネジメント日誌 / 0 Comments

高い技術力とリーダーシップを持つワンマン社長のかかえる問題はどこでも後継者である。

単なる社長の後継ぎということではなく、社長の行っていた技術、経営、人事、組織運営、オペレーションのあらゆる指揮を複数の人材にそれぞれ責任と権限を持たせ継承することだ。

結局ワンマン社長というのはどこでも人を育てるのが下手なのだと思う。

当社の社長もその点を非常に危惧していた。他の役員はイエスマンの集まりで、能力も低い。私もその点が非常に気がかりであった。

そこで、社長とのさりげない話から、これから5年後、10年後を背負っていける人材の育成が必要であるということを提案した。

これはミスミ社長三枝氏の「戦略プロフェッショナル」を初めとした全ての本からヒントを得た。

三枝氏は経営コンサルタントとして、経営の悪化した企業の再生に取り組んできた。その経験を小説仕立ての本(3冊)にしているのだが、どの本でも必ず再建に当たり主人公は社内から複数のキーマンを見つけ出すのだ。

どんなに経営が悪化して低い意識の組織でも気概のあるミドル社員がいるということも三枝氏は書いていた。

当社に当てはまるか半信半疑のところはあったが、各部署のミドル的ポジションにいる人材(20代後半~30代後半)の10人ほどをピックアップしてみた。

社長と何度か話し、彼らを経営陣と一般社員の間の溝を埋める役割を持たせようということになった。ピックアップされた人材について自分はよく知らない。だが、賭けるしかないと思った。

選ばれた人材ががいずれは会社を率いるまでに発展させたいという社長の希望も感じられた。そのためにあえて年齢の高い社員は入れないことにした。

だが彼らにやる気と能力そのものがあるのかはまだわからなかった。

›6 21, 2006

マネジメント日誌005「社員の理解」

Posted by skillstorage at 09:29 / Category: マネジメント日誌 / 0 Comments

入社して3ヶ月の間、自分の業務は将来への備えを中心に考えていた。そのためのビジョン・計画をなんとしてでも作り上げたいという気持ちだ。しかし、そのような業務が一般社員から理解されることは無いと感じつつあった。私の仕事は自分で作らないといけないため、暇だとも思われているようだった。

そこで、一般社員の仕事を夜遅くまで手伝うようにしてみたところ、なんとそのような足元の仕事を手伝うことの方が一般社員からは評価される気がした。しかし、自分の給料では雑務(誰でも出来る仕事)を手伝うなど本来許されるはずが無い。社員の気持ちはつかむことはできるかもしれないが、そんなことを続けたら社長から雷が落ちて首を切られるだろう。

かといって社員の理解を得られないことには、これから自分が進めるであろう経営改革・組織改革は断行できないとも感じる。

コンサルタント時代にはまったく気にもしなかったことだ。これがコンサルティングを受ける側の立場ということなのだろう。

このような微妙な状況を維持しながら何か方法は無いかと苦悩し続けた。

自分には経営に対する知識、戦略を実行する力もあると過信していた。しかしそのためには一般社員に広く理解してもらう必要がある。

恐らく同じような経験をしたであろうミスミ社長の「戦略プロフェッショナル」を読み直してみた。他のシリーズも読み直した。経営戦略知識があっても実行できないのは、強力な銃(ウェポン)を持ってはいるが使えないのと一緒だと揶揄していた。

まさに自分だと思った。

自分は「自衛隊」なんだと感じた。決して国民から理解されず、武力行使することもできない軍隊。国民から無用の長物なんていわれる姿は、自分なんだと感じた。

だが、「戦略プロフェッショナル」を読んでいて、そんな状況を打破するアイデアが湧き出してきた。

›6 20, 2006

マネジメント日誌004 「ビジョン」

Posted by skillstorage at 14:58 / Category: マネジメント日誌 / 0 Comments

社長にビジョンを打ち出すよう促したことが社長の怒りを買ってしまった。最初は何故社長は怒っているのかも理解できなかった。一方的に自分は怒られている。こうなってしまうともう何を反論しても無駄であることも知った。自分は雇われている身であり、この会社では社長が絶対的な権限を持っているのだ。

どんなに理不尽なことでも雇われている身であるため従わなければならない。そんなことは他の従業員はとっくに知っていることであった。だが、大企業でしか働いたことの無い私は社長も社員も発言することに関しては同権だと勝手に思い込んでいた。

そもそも何故社長は激怒したのか。これは根本的には性格の問題なのだとその後わかった。今までワンマン経営者として活躍してきて、誰にも指示などされたことはなかったのだろう。人に指示をされるのを何よりも嫌うのだろう。これは徐々に理解できるようになった。中小企業の経営者というのは工場を建てるにしても担保として自分の資産を差し出しているのだ。従業員やその家族に対する責務もある。そのような重荷を背負って生きてきた人に対して、ただのサラリーマンの提案なんていうものは無責任に感じられるのであろう。

それともう一点理由があった。社長はビジョンを十分に示していると思い込んでいたのだ。

社長に怒られ、その日はその屈辱感と理不尽さからとても気分が滅入った。そしてあまりにも打たれ弱い自分を知り悔しくなった。

所詮自分は今までサラリーマンというぬるま湯にいたのだ。だが自分は今後さらに自分を磨きプロの経営者になりたいと思っていることを再確認した。

そしてこのようなことでは決してめげてはいられないと思った。

自分の提案は間違っていない。ただ伝え方が下手だったのだ。そこでビジョンがどんなに大切かを様々な情報を集めて社長に伝えることにした。

例えば、資金調達、国からの助成金などには計画書を出すことはつきものであった。また社員がビジョンを知りたいということも伝える努力を考えた。遠回しな表現で伝え、諦めずに伝えていることによって徐々にではあるがその重要性について認識はしてくれているようである。このようなことは時間が掛かるということも認識した。

だが、このような動きはあまりにも経営サイド寄りであり、自分の業務がますます現場の社員から冷ややかな目で見られ始めていることも気になっていた。

マネジメント日誌003 「ミッション」

Posted by skillstorage at 09:37 / Category: マネジメント日誌 / 0 Comments

入社してからの3ヶ月間、特に社長から個別に指示は与えられなかった。ただ、話す機会はあったので、考え方や方針を探り出すように心がけた。この社長は創業者であり、オーナーであり、実質指揮官である。小さな町工場から売上高30億近くを稼ぐ中小企業へと発展させた。全て社長の意思決定によって会社が動いていた。

だが社長はエンジニア出身であり、経営については自身の判断のみで動かしている状況を心配し、コンサル出身の私を採用し会社のミドルへと配置したのである。

だが、実質的に私は社長直轄の部署ではあるが、管理部門のためいわゆる現場へは口を出せない立場にいる。

そのような状況から会社をより良くするにはどうすれば良いか、毎日が苦悩であった。現場は過剰な業務、納期に追われている。自分だけが社内で業務が与えられていない情況である。将来を考え自分で業務を作っていかなければならないのだ。それができなければ私は用済みとなってしまう。

現場からは冷ややかな目で見られている状況は続いている。なんとか自分の居場所を探し出さなければならない。そんなことから社長の考えをなんとか知ろうと努力したのだ。

ここの社長はビジョンを示すのが非常に下手であることがわかった。特に将来への展望など持ち合わせていないのかもしれない。ビジョンを持つには年を取りすぎてしまったのか。いずれにしても、誰もがただ客の引き合いが多くなりすぎて、それをこなす事で精一杯のように感じる。

私は自社に類似する企業を調べまくった。そうするとやはり伸びている会社はビジョン、経営手法が優れていると感じさせられた。現場社員からも将来の方針がわからないという不安が聞こえてきた。

そこで私は社長のビジョンをつくるのを手伝うことこそが今会社に最も求められていることだと感じた。そしてそれこそが自分のミッションだと思った。

そして社長にビジョンと経営計画をステークホルダー(社員、株主、取引先など自社の関係者)に示しましょうと提案した。

だが、そのような提案に社長は激怒し一蹴された。

›6 19, 2006

マネジメント日誌002「コミュニケーションの問題」

Posted by skillstorage at 15:29 / Category: マネジメント日誌 / 0 Comments

入社して3ヶ月が経った。以前として社員の中には溶け込んでいない。だがポツリ、ポツリと話を色々してくれる人は増えている。コミュニケーションには非常に時間が掛かると認識させられた。

特に今回は経営戦略の企画及びその指揮という経営者側のポジションである。当然社員達は警戒しているし、コミュニケーションが取りにくいのはしょうがない。私は常に彼らより上のポジションとして振舞わないといけない。自分のようなマネジメントというポジションでさえこのような緊張感、孤独感を感じるのであるから、世の中の経営者の孤独感というものは計り知れないと思った。

私の場合、会社では本来の自分よりもしっかりとした、より大人の自分を作り上げ振舞っている。その分家庭、そして友人と会うときには本来のいい加減な自分をこれまで以上に露呈している。そうでないとなかなかバランスが取れず、精神的な調和が取れないのだ。やはり友人達とは楽しんで話すことが出来る。学歴もほぼ同じ、仕事のポジションも同じため、趣味が似ていて、価値観が近いからだ。彼らには本当の自分をさらけ出すことが出来る。また同じようなポジションにいる

社員と話すことは飲み会が中心だ。あとは休憩時間に少々話す程度だ。

ベンチャー企業のため、社員の教養レベルは低く感じる。大卒者はわずかだ。普段の会話もこれまでの自分が所属していた組織、友人達とは異なる。飲み会においてさえ居場所が無く感じる。

だが、このような飲み会には積極的に参加し、ノムニケーションでコミュニケーションを深める必要性は大きいことを認識している。組織内での派閥(インフォーマルグループ)を把握しておかないといけないからだ。
まだ3ヶ月しか経っていないが、この会社の問題点の多くがコミュニケーションの不足、不調和から来ていることが肌身に感じられるのだ。

目標とする組織は、社員から活発に会社を良くする提案が出てくるような組織である。

今の社員は不満を抱えながら、それさえも口に出来ないような組織なのである。

ワンマン社長は会社を自らの意思決定で強引にも引っ張る。いかに社員が従順し、社長を慕い、モチベーションを上げるかが良い企業とされている。当社もそのような流れの中、ヒット商品が出てきて急成長して来た。しかし、今後もさらに会社を伸ばしていく為には、この組織体系を崩す必要が出てくる。

社長はもう60歳を超え、一線で活躍できなくなりつつある。また会社も業務拡大が続き、社長の指揮統制にも限界が出始めている為だ。また、若い社員も増え、社長の考えがダイレクトに伝わっていないとも感じる。

私の責務として、コミュニケーション向上がとても重要であると今認識している。

・一般社員の抱える不満・不安をミドル層に上げるシステム
・社長のビジョン、経営計画を一般社員に伝えるシステム

今は社長と一般社員の考えには乖離が激しく、まだ社員からの信頼を得ていない自分がどのような役割を果たすことができるのか、とても苦悩している。

参考)コミュニケーション


マネジメント日誌001

Posted by skillstorage at 09:19 / Category: マネジメント日誌 / 0 Comments

これから小説風にマネジメント知識を学べ、マネジメントの心情も知ることのできる「マネジメント日誌」を連載していきます。これまでの知識が体系だって理解できるよう勤めます。

ハイテク機器ベンチャー企業の経営戦略指揮者として採用され1ヶ月が経った。この企業は長年細々と活動していた企業だが、近年自社の技術がヒットし急激に成長するベンチャー企業となった。従業員もここ3年間で2倍となったため様々な問題が勃発している。特に社長でありオーナーでもある人物は、典型的なワンマン経営者であり、全指示が彼の元から発せられる。経営幹部(役員会に名を連ねる人物たち)はイエスマンもしくは、そもそもマネジメントに対する知識が無く、自分の部署の業務で精一杯という感じである。

私のミッションはこの企業の急速な成長に伴う様々な問題を解決し、経営を安定軌道に乗せ5年を目標に上場させることである。

1ヶ月間を過ごしたわけだが、第一印象は、社員が非常に暗いというか仕事に対して情熱だとかやりがいというものが感じられないことであった。ワンマン経営者そしてイエスマンで固まる経営幹部の下において、ただ従順に仕事をこなすだけというイメージである。
当然私の立場はマネジメントサイドのため、社員からは警戒感を持って見られている。経営幹部の連中も何を考えているのかはイマイチまだつかめていない状況である。

だが、1ヶ月しか経っていないなりにも感じるのは、社長の考え、経営方針と実際の現場の不満というギャップは非常に深まっており、今後会社の急速な成長に社員が着いてこれるのかが心配である。また社員は小さいベンチャー企業であることからも全社員が猛烈に働き、必要とされていない人材はいないことである。

しいて言えば、私は今までいなかったポジションでの採用ということもあり、社員から「こいつは必要な人物なのか?」とう視点で見られていることをひしひしと感じる。またこのようなワンマン経営者の下にいるため、当分私の意見、経営戦略は実行できそうもない。そうなると給与に見合った仕事が実行できなくなる。

それよりも必死で働いている社員の気持ち、すなわち「今忙しいのだから、何か手伝えよ」という感情に答えるべく、緊急性の高い雑務を手伝うことがメイン業務となりつつある。

要するに一般社員は会社の将来なんかより、足元の仕事、納期に間に合わせることだけしか頭が行っていないのである。

なんとか自分の居場所を作りつつ、組織力のある会社にしていかなければならない。孤独感と責務の非常に高い仕事であるが、一般社員に流されないように仕事を進めていかなければならない。過度にストレスが溜まるが、そのストレスは日々完全に解消されなければならない。高いモチベーションを社員にも示す必要があるからだ。

だが、業務においても日常の生活においてもガンバルことをこれで決意できた。暫くは充実した生活を送れそうだ。