›7 05, 2005

バリュエーション

Category: ファイナンス / 0 Comments: Post / View

バリュエーションとはファイナンスの用語で、企業価値評価のことである。
ファイナンスの基礎については、過去の記事やグロービスのファイナンスの
本で学習して欲しい。
ライブドア騒動で興味を持っている人は多いでしょう。
但し、これまで紹介してきたグロービスのファイナンスや、企業財務入門は
かなり基礎的な内容である。
前者は、ケースが具体的(非常に基礎的)である。後者は、やや細かく書い
てある。ただし、どちらもデリバティブについては少ししか載っていないし、
ファイナンス(デリバティブ)で最も重要な概念である、ブラック・ショー
ルズについても語られていない。

それ以前に、企業価値算出について複数のメソッドが存在することも理解
できないであろう。(前置き長くてスマソ)

□ バリエーションの方法

バリュエーションには伝統的な方法と、新しい方法があるのだが、それぞれ
・伝統的な方法
―DCF(ディスカウント・キャッシュフロー)
―マルチプル
・新しい方法
リアル・オプション
EVA


ディスカウント・キャッシュフローと呼ばれる要するに将来の価格を
現在価値に算出する方法が基本である。それがわからないと、これから先
は読んでもわからないので、まずは過去記事でもご覧になってください。
・ファイナンスと貧乏サラリーマン

ここでは、APV、Flow-2-Equity、WACC、EVAについて紹介する。
面倒くさい用語の説明は抜きにして、例を見て、その結果が一致することを
確認して欲しい。

【例題プロジェクト】
売上高:1,000,000(/毎年が永久につづく)
コスト:売上高の60%
初期投資:1,100,000
税率:34%
全額資本で調達した場合のコスト:20%
負債の合計:360,655.74
(負債/資本+負債=25%で、市場価値とする)
負債の利子:負債の10%


□ APV(Adjusted Present Value)

売上高    1,000,000
コスト     600,000
粗利      400,000
-)
税金      136,000
CF      264,000

ここでCFは負債を無いと想定した(Unlevered)キャッシュ・フロー。

NPV(正味現在価値)は資本コストで割って、初期投資を引いて、
(264,000/0.2)-1,100,000=220,000
APV= 220,000+タックスシールドの現在価値
  = 220,000+(0.34×360,655.74)
  = 342,623

ポイントは負債無しの資本コストでFCFを割り引いて、
その後タックスシールドを負債のコストで割引くところ。


□ Flow-2-Equity

売上高    1,000,000
コスト     600,000
粗利      400,000
-)
利息       36,066
税引前利益   363,934
-)
税金      123,738
CF      240,197

Re(資本コスト)=Ro+(D/E)(1-T)(Ro-Rd)
* Dは負債、Eは資本、Oは全体、Tは税率
        =0.2+(1/3)(1-0.34)(0.2-0.1)
        =0.222
CFの現在価値=240,197/0.222
      =1,081,967
NPV=資本の現在価値+負債の現在価値-初期投資
  =1,081,967+360,655.73-1,100,000
  = 342,623

WACC(Weighted Average Cost of Capital)

WACC=(D/V)Rd(1-T)+(E/V)Re
*V=E+D
    =0.183
CFの現在価値は、264,000/0.183=1,442,623
*APVのときのCFと同じのをWACCで割引き

NPV=1,442,623-初期投資
  =342,623

ちなみに、WACCは重要なので、もう少し述べておきたい。
WACCは負債のコストと株主資本のコストを加重平均した値
企業価値=FCF(フリーキャシュフロー)÷WACCである。

FCFは下記のように求める
EBIT×(1-T)
+ Depresiation(減価償却)
+/- Capital Expenditure(投資の増減)
+/- NWC(運転資本の増減)

資本構成が変わるとWACCが変わってくる。


・EVA
EVA=NOPAT-(WACC×Captal投資)
  =264,000-(0.183×1,100,000)
  =62,700

EVAの現在価値=62,700/0.183=342,623


米ABC社は1ヵ月後\で100万円支払いがある。
現在の交換レートは\150/$、1ヶ月金利は\:2%、$:4%である。

これをヘッジしてみる。
通常では、ABCは米国の会社なので、1ヵ月後の$から\への為替リスク
が発生する。

ヘッジは、
「現在のドルのレートに固定したい。」

ということで、
(1)1ヵ月後の支払い金額\を現在の価値\に直す。
(2)その額を$で借りる。
(3)$を\に現在の為替レートで交換する。
(4)\を貸し出して1ヶ月後に返してもらう。
(5)その額は100万円なので、それをそのまま支払いに当てる。

(1)
1ヵ月後の\1,000,000は現在の\998,351.14である。
(1,000,000/(1+2%)^(1/12))
これを150で割って、$に変換すると、
$6,655.67

(2)この金額を借りる。

(3)(4)\998,351.14を貸し出す。

(5)この額は1ヵ月後の100万円である。

そして、貸出先からは、$6,655.67の1ヵ月後の価格が変換される。

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実際のファイナンスは実は非常にくだらないところ(ベータ)で浪費する。

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