スマイル・カーブとは台湾のコンピューター製造業エイサー(Acer/宏碁電脳)
の会長スタンシーが提唱した概念である。
これはパソコン製造業界の描く付加価値曲線を表し、縦軸に付加価値、横軸
に製造工程(左からコンポーネント製造、アセンブリー、ディストリビュー
ション<流通>)のグラフを描くと、アセンブリーが付加価値が低いため、
ちょうどUを描きあたかもスマイル(笑顔)のように見えることから名付け
られた。
要するに付加価値の高い部分は川上のキーデバイスの製造と川下の流通(こ
れにはブランド、サービス、ロジスティックも含む)ということだ。
□ ファーストフード・モデル
また、エイサーはそのビジネスモデルがファーストフード経営に似ていると
ころも注目された。
ファーストフード業界では、食材の鮮度が重要で、品質管理にはかなり力を
入れている。パソコンにおいてもそれは同様で、コンポーネントは時間が
たつと流行からすぐ遅れてしまう。そのため、新鮮な食材を扱うかのように
重要なコンポーネントは空輸をするほどだ。
さらに、ファーストフード経営の特徴であるセントラルキッチン方式も採用
している。これは、ファーストフードは食材をある程度加工、もしくは調理
を済ませて配送し、販売店では最小の労力で調理することができる仕組みに
している。
エイサーもまたコンポーネントは販売店の近くの低賃金国家で生産し、素早
い配送を可能にしている。
ものづくり国家日本にはエイサーだとか台湾企業・韓国企業の電化製品は
なじみが無いのだが、実は世界的にはかなりの売れ行きを見せている。
エイサーは圧倒的な高品質を誇る日本企業、低価格の韓国企業との先進国で
の競争を避けるため、後進国に販売地域を集中させ圧倒的なシェアを取る
ような戦略も立てた。
また、ブランドも劣るためあえてOEMによるIBMへ供給する戦略も効果
を発揮し注目を浴びた。
□ ムサシカーブ
ムサシとは宮本武蔵で、刀の軌道が∩でスマイルカーブの∪とちょうど逆に
なっている。
これはソニー中村研究所の理論で、スマイルカーブと正反対の理論であり、
組立加工工場こそ付加価値を生むというものである。(参考まで)
エイサー
http://global.acer.com/
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