›9 22, 2014

問屋・商社といった中間業者が生産性低下の原因

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どの業界にも生産者と小売の間に介在する問屋・商社が入り込んでいる。もちろん問屋・商社が必要な業界や製品は存在する。
問屋・商社の機能には以下のものがある

(1)調達機能
  例えば、数円単位の電子部品の集合からなる電子機器は1つづつ調達するコストが高くなってしまうので集約する必要性が有る
(2)物流機能
  在庫をストックし、流通させる機能である
(3)金融機能
  購入側はモノを受け取ってから手形で支払いたい、販売側は知らない会社には前金で売りたい、その中間に介在して支払条件や与信を負担する機能
(4)情報提供機能
  多くの商品やメーカーの知識からユーザー(顧客)に最適な情報提供ができる機能

問屋・商社は歴史がある会社が多く、中小企業でも名家が多い。そして驚くことに現代でも大した仕事をしていないにもかかわらず収益が非常に高い企業が存在する。
これはその業態で培った顧客との信用や経験といった歴史があるからだろう。

しかしながら、実は問屋・商社の存在意義は高度な流通ができ、情報化社会では年々低下している。例えば、紙を運ぶには(本や雑誌や新聞として手元に届くまで)驚くほど複数の問屋が存在する。
しかし、ペーパーレスの時代では電子書籍化がどんどん進み、紙自体の存在が不要になる。物質的なモノとしての価値がゼロで、内容と販売だけが介在する世界だ。
紙にかぎらず、このような革新的な変換は多く存在する。

農家にしても、農協を通さず、直接販売する流れも加速している。
今のところ、全国の農家が出荷したコメや野菜などの農産物のうち、農協に卸した金額の割合が2012年度に50%を割り込んでいるのだ。

国内で生産性が比較的高い製造業でさえ、問屋・商社の弊害が大きい。
例えば、工具、ガス、溶材といったものは問屋・商社だけでなく、ディーラーと呼ばれる販売店が存在する。工具、ガス、溶材なんかは単価が小さいために、過去にはそれなりに問屋・商社・ディーラーの存在感があった。しかし、わざわざ人が運ぶのは当然コストがかかる。ネットで購入し宅急便で届くのが当たり前になってきている。

これを妨害する事件が過去に起こった。MonotaRoという工具通販のネットストアに対して、全日本機械工具商連合会が妨害したというのだ。当然このような行為は不正競争防止法に触れることとなる。

MonotaRoパブリシティ情報より
「これは当社の提示している価格が現在の機械工具流通業者が提示している価格を下回っている事より、全機工連の地方組織である両毛機工会が全機工連に対して、各メーカー並びに卸業者に圧力をかけ、 各メーカー並びに卸業者から当社への販売を妨害する決議を求めたのに対し、そうした決議は違法なので、止めて欲しいと申し立てたものです。」
https://www.monotaro.com/main/media/n/645/

当時の全日本機械工具商連合会の中道真蔵という人物は工具問屋の山善の社長だった人物だ。

この工具、ガス、溶材の問屋・商社・ディーラーという存在は、小単価のモノを売るだけでなく、工作機械など高単価の製品を売るのにも介在しているのだ。
そもそも工作機械なんかはネットや展示会でみて、メーカーの営業を呼べば買えそうなものだが、そうではない。大企業以外にはメーカーの多くは直販をしないのだ。

どうやら、過去から商圏を持っていて、重要な販売網であった問屋・商社・ディーラーという存在を今でも恐れていて、これら中間業者を飛ばすと悪い噂を流されたり、競合メーカーの製品を担がれてしまうことを心底恐れているようだ。
また、メーカーは吹けば飛ぶような零細企業や町工場に手形や後払いで売りたくない。トンズラして逃げられる可能性や倒産して入金されない可能性があるからだ。

そんなこともあって零細企業や町工場は非常に高い値段(中間業者のマージン分)を支払って買わなければならず、メーカーは薄利に苦しむ結果となっているのだ。

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