›11 28, 2007

日本製造業の構造的欠陥

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ものづくり白書に企業の課題として熟練労働者の退職と労働力確保が書いてある。つまり労働力・技能といった目には見えない経営資源の喪失が重大な問題として認識されつつある。

だが私は少子高齢化といった国内構造的問題以外にも、企業側(メーカー)の構造にも問題があると思う。

国内メーカーのほとんどが労働集約型の労働力に依存している。つまり機械やロボットが作業できない、代替出来ないから人間を使っている。よって賃金は低ければ低いほど良いという前提があるだろう。他方、開発サイドは知識集約業務であるため、本来成果に応じて給与を上げなければならない。日本のメーカーであれば、本来開発者は高賃金のはずであるが、同一企業内で労働者の賃金格差をつけたくないだとか、労働組合の反発とかから大部分を占める低賃金労働者の基準に近くなっているようだ。

このことから賢い人間は国内メーカーでは働きたいとは思わないだろう。知識集約業務を行っても成果に応じた賃金が得られないのだから。それよりも、サービス業・金融・商社といった低賃金者があまりいない業界の方が高給を得られるから。もっとも企業の国際競争力の観点からは日本メーカーが圧倒的なのだが。

製造業でもものをつくらない製造業(ファブレスメーカー)は、労働者は高付加価値の知識集約業務に専念できるため高賃金を得られる傾向がある。キーエンスなどはまさにその例だろう。

自分が理想と思う日本のメーカーは、世界中から超優秀な知識労働者に開発させ、世界中の低賃金の労働者に生産させる会社である。もっともこのような体制をつくると労働者間の格差が問題となるので、現実的にはファブレス企業として開発体制に特化し、労働集約業務はEMSや外注にアウトソーシングということになるだろう。

マクロの視点で考えると、90年代のように国内製造業の空洞化に拍車が掛かる内容ではあるが、少なくとも現在の知識労働者が低賃金、労働集約労働者が高賃金(例え請負や派遣を増やしても充分高い)の体制は限界があると感じるのだが。

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