東証マザーズに上場するマルマエの事業再生ADRが成立した。
マルマエに関しては上場前からある意味注目していた会社である。というのも、マルマエの事業内容は切削加工と装置組立の受託業務であり、これらの事業は下請け業と呼ばれるものであり、さらに上場時の売上高も町工場レベル、売上高の7割を4社が占めるという会社だったからだ。下請け業者が上場するということに違和感を感じると同時に、上場後の発展やメーカーへの変貌を期待したものである。
マルマエの上場が、多くの下請け業者を励まし希望を与えたのは事実である。
しかし、リーマンショック後の受注低迷と過剰な設備投資により私的整理の一種である事業再生ADRを申請するに至ったのだ。
その内容から廃業を選択せず、再生に注力する姿勢が感じ取れる。
取引金融機関の一部に対しては、負債を資本に変えるDES(デッド・エクイティ・スワップ)や負債の劣後化を行うDDS(デッド・デッド・スワップ)を行うが、大部分が李スケジュールによる返済方法の変更である。
上場維持のための債務超過回避に全力を尽くす姿勢が見て取れる。
この事業再生ADRの実施のために行われている、代表取締役の債務に対する連帯保証、私財提供には驚いた。
中小企業が上場する大きな目的の中に、「銀行借り入れに対する連帯保証の解除」があげられる。
下請け中小企業は、資金繰り、設備投資のために多大な銀行借り入れを要し、そのことが会社社長に対する過剰な責任とリスクとして重くのしかかっているのである。
今回、上場しながらもあえて非公開企業のような債務に対する連帯保証を入れたり、私財提供という私企業のような決断をしたことに大きな決意を感じ取ることが出来た。
上場を社長の資産形成といった目的であったら、このような形での事業継続はありえなかっただろう。
現在の日本においてマルマエのような下請け製造業の立場は非常に苦しい。製造業自体が、円高や新興国製造業の台頭により斜陽化している。
だから、このような決断をしたことに大きな驚きを感じたのもである。