›6 30, 2011

期限の利益の喪失

Posted by skillstorage at 14:30 / Category: ファイナンス / 0 Comments

期限の利益とは、期限の到来までは債務の履行をしなくてもよい、という債務者の利益のことである。その期限まで支払をしなくてよいということだ。
期限の利益の喪失とは、「債務者の期限の利益」を喪失させることによって、期限の到来前であっても、債務の履行を請求できることを意味する。

住宅ローンを例に出すと、借金を返済するのは20年だとか35年という長期間だ。しかし、契約書には「期限の利益喪失条項」という条文がある。
ある条項に触れた場合、債務者は期限の利益を失い、全額を一括して支払わなければならないということになる。
当然、そのような事態の場合一括で支払うことは困難なため、差押や破産などを行うことになる。

企業の借金も同様である。

›6 28, 2011

衰退する生命保険市場

Posted by skillstorage at 11:25 / Category: 日々雑感 / 0 Comments

「あなたに万が一のことがあったら残された家族はどうなるのですか」
友人の紹介の保険のセールスマンから言われたセリフであるが、これほど頭に来たことはめったにない。
人の不安を煽るセールスと友人や親戚の紹介というのが日本の生命保険の典型的な手法である。

生命保険の掛け金は莫大で、多くの人にとって人生でマイホームの次に高い買い物となるだろう。
そして運が悪く死亡すると自分以外のものがもらえるという点は、運が良ければもらえるギャンブルと同じ商品設計である。

そもそも多くの日本人が必要のない生命保険に入っている。
また、日本の生命保険の市場規模は突出して大きく、40兆円にもなる。これは人口で割った保険市場としては圧倒的に世界一なのだ。

このような現状は是正されていくだろう。
まず、消費者の世帯収入は減少傾向にあり、無駄な生命保険というのは家計管理において見直されるべきものである。
そもそも生命保険の商品要素を充分に理解して加入している人が少ないのだ。

人口減少が続く日本で生命保険に支払える金額は減っていくだろう。

●金持ちは保険に入らない
知人の金持ちは高級車を何台も所有し、ヨットも所有している。そんな彼は保険には絶対入らないのが主義だという。
先のセールスマンに残された家族は、、なんてキメ台詞の営業をかけられても、彼には残された家族を養えるだけの貯蓄が充分にある。
しかし、彼が保険に入らないのは別の理由にありそうだった。それは、自分が自動車保険のフルカバレッジ(全額補償)に入っていることを告げた時、その彼は笑いながらこういった。
「だから、お前らは金持ちになれないんだよ」

例え月額2000円の保険であっても、それを運用するのと掛け捨てでは20年後、30年後には莫大な差が出るのだ。

日本人は保険に過剰に入りすぎている。身の丈に合っていないということをまずは自覚すべきではなかろうか。

›6 27, 2011

プラス思考トレーニング

Posted by skillstorage at 11:45 / Category: 健康法 / 0 Comments

プラス思考、楽観主義は訓練で身につけることが出来る。
人間の性格というのは変えるのが難しいが、物事の事象に対する捉え方、考え方は訓練で変えることが出来るのである。

プラス思考が精神状態に優位に働くことは合理的に説明できる。
たまにプラス思考に対する反論として、「ネガティブ思考をしておくことで起こった結果に対して備えることが出来る、もしくは落胆しないで済む」という意見がある。
確かに最悪の状況を考えて、その状況に対する対処があれば悩みは少なくなる。
しかしながら、一般的には、起こりうる結果よりもその前の時間のほうがずっと長いのだ。その間にネガティブ思考であれこれ悩むことにより、行動が抑制され思考も集中できず、精神的にも不安定な状況が続いてしまう。
これは大きなマイナス要素である。

プラス思考をすることによって、思いがけない機会を手にしたり、積極的な行動が思いがけない幸運を運ぶこともある。また思考法は幸福度にも大きな影響を与えていることが様々なデータからもわかっている。例えばラテン国家の国民の多くが楽観主義者であり、衣食住など生活環境で日本よりはるかに劣る国家でも幸福度は高いことがわかっている。
このように合理的に考えて、是非ともプラス思考、楽観主義を身につけるべきだと思う。

まずは、悲観的でマイナスな方ばかり考えてしまう習慣を断ち切るべきだ。
一旦ネガティブ思考にはまると、泥沼のように悪い方悪い方へと想像をふくらますことになる。
このような状況に陥る時は自分自身に問いかけて確認してみてほしい。

自分のことが好きか
自分に自信があるか
人の目が気になるか

目標が高すぎないか、比べる人のレベルが高すぎないか、再確認してみよう。
完璧主義な人は、ちょっとしたミスや自分の理想と違うだけで落ち込んでしまう。上昇志向は努力の糧だが、逆に自分を苦しめているかもしれない。

そんな時は、自分より不遇な環境の人、だらなしない人、レベルの低い人と比べればよい。会社にも取引先にも、町を歩いていても沢山見つかるはずだ。
彼らと比べたらどんなに幸せか、恵まれた境遇にいるか、能力が高いか、きっと自信がわいてくるだろう。

鏡を見て自分自身に語りかけてみよう。

自分が好きだ
きっとうまくいく

鏡の中の自分はどんな顔をしているだろうか。朝顔を洗う時、歯を磨く時、トイレで手を洗う時、鏡の中の自分をマジマジと見て、にんまりと笑って語りかけるだけで大きな効果がある。

心の持ちようを変えるのは大変だが、プラス思考になることばを沢山集めて気持ちを切り替えるのも良いだろう。
「なんくるないさー」(沖縄の方言で「なんとかなるよ」という意味)というのはとても良い言葉だ。

プラス思考になるためには様々なテクニックがあるが、一番大切なのは無理にでもプラスに考えることだ。

›6 23, 2011

インネクストが循環取引による粉飾決算

Posted by skillstorage at 14:01 / Category: ファイナンス / 0 Comments

札幌証券取引所アンビシャスに上場するインネクストは、過去の決算で循環取引などの不正経理があったと発表した。2007年6月期から10年7月~11年3月期までに、架空売り上げの計上が約24億円、粉飾利益が約10億円とのことである。

インネクストについてはあまりにも小規模な会社でありながら上場したことから、以前より注目していた。
インネクスト(上場後ストップ安)

今回の粉飾発表によると、第7期については、売上の70%が粉飾であり、毎期損失を計上していたことになる。
上場後、売上高が急成長したことで「デロイト トウシュトーマツ日本テクノロジー Fast50」を受賞していたが、粉飾によるつくられた企業イメージであった。

発表資料から読み取ると、3期連続の赤字であり、売上高も町工場レベルであり、上場した時からずっと粉飾決算を発表していたことになる。
循環取引の実態は今後明らかになるだろうが、決算数字を修正するともしかしたら債務超過になるかもしれない。

ところで、直近の有価証券報告書を見ると、平均年齢43.4歳、平均年間給与が4,275千円と異様に低いことも気になっていたところだ。

インネクストは検査装置メーカであるが、循環取引、粉飾決済ではこれまでも上場企業では破たんしたプロデュース、エフオーアイがあった。

このような過去の事例と、粉飾決済を行った経営者には重い処罰が課せられるにもかかわらず、何故粉飾を続けたのだろうか。
経営者にとって上場維持と企業存続がそれほどまでに大切なのだろうか。
不思議なのは、非上場の中小企業と違い、上場企業の社長には銀行債務の個人保証が課せられることが無い。つまり、倒産しても会社の借金を個人で背負う必要が無いので、倒産に対する個人リスクが低いはずだ。それにもかかわらず、敢えて重い処罰を受けるような粉飾を続け、しかも循環取引はいつかかならずばれる時が来る粉飾なのだ。
今回の粉飾決算の発覚まで、どのような気持ちで経営にあたっていたのだろうか。

通常の神経であれば、発覚を恐れ、その時に課せられる重い処罰を考えるとまともな神経ではいられないのではないかと思う。
プロデュース、エフオーアイの社長も、粉飾発覚前には会ったことがあるが、まるで平然としていたことを後から考えてみると驚かされる。

粉飾よりも、それを実行した人間の精神状態に興味を持ったものである。

そういえば、ホリエモンが実刑判決を受け刑務所に入ることになった。最後の記者会見ではモヒカン姿だったが、そんな状況にもかかわらず前日までブログやTwitterで平然と発言していたし、不安や心配など何もないような印象を受けた。いったいどういう神経をしているのだろうか。


›6 22, 2011

労働生産性と付加価値

Posted by skillstorage at 19:10 / Category: オペレーション / 0 Comments

労働生産性とは、従業員一人当たりにつき、どれほどの付加価値を生み出したかを測る指標であり、「付加価値生産性」とも呼ばれる。
財務計数の基盤を適切に表現すべきため、単に労働者の生産性を示すだけでなく、企業のすべての財務計数に先行すべきである。

以下の計算式で表すことが出来る。

労働生産性=付加価値÷労働量(従業員数)

付加価値とは利益概念であり、次の項目がある。
・人件費
・減価償却費
・支払利息
・租税公課
・賃貸料
・税引前利益

先ほどの労働生産性の計算式を分解する次のようになる。

労働生産性=(資本ストック÷労働量)×(付加価値÷資本ストック)
       =資本装備率×資本生産性

ここで資本ストックとは、生産に使われる固定資産である。

資本装備率とは労働装備率とも呼ばれる。
資本生産性は設備投資効率とも呼ばれる。

更に労働生産性は次の式になる。

労働生産性=売上付加価値率×1人当たり売上高


運転資金の管理
経営上必要な運転資金需要には、売上、仕入れにかかる所要資金、現金・預金・棚卸資産にかかかる資金需要がある。
厳密には、売上再建に含まれる未回収の利益は、資金需要として考慮しなければならない。資金需要の大きなものは支払利息などを含む営業費と売上原価である。

営業費の資金需要は、

 月営業費×売上債権サイト÷30

売上原価の資金需要は、

 月売上原価×(売上債権サイト-買入債務サイト)÷30

買入債務の残高は、

 月売上原価×買入債務サイト÷30

税引き前利益は資金の供給であるが、その半分ほどは後に税金その他で社外流出してしまう。また、一部は売上債権中に未回収として残っている。

一般的には下記のように簡略化して捉える。

 売上、仕入に関わる所要運転資金=売上債権残高-買入債務残高

全所要資金は、

 (売上債権-買入債務)+現金預金+棚卸資産

›6 21, 2011

「脳内革命」と脳内ホルモン

Posted by skillstorage at 09:43 / Category: 健康法 / 0 Comments

今から15年ほど前になるが、「脳内革命」という本が空前の大ヒットとなり、シリーズで550万部以上の売上をほこった。
それまでの西洋医学とは別の東洋医学の側面から、脳の病気への影響を解明し、脳内ホルモンの働きの影響や健康法を紹介し多大な影響を与えた書物である。

その後、筆者の春山茂雄氏は、週刊誌によるバッシングや個人の経営する病院の経営拡大と破産、そしたまた新たな医院の設立を行っている。そんな波乱万丈でさぞかしストレスと過労がかかるだろうと思われるのだが、最近の春山氏の写真を見るととても70歳代とは見えず、少なくとも20歳は若く見える表情と笑顔であった。

さて、脳内ホルモンについてはそれまで認知されることはほとんどなく、西洋医学で治療に用いられることもなかったようだが、最近になって初めて読んでみて理解できる点が多くあることに驚いた。そして「脳内革命」で書かれた内容の多くが「うつ病」などの精神障害の治療法と似ていることに気付いた。

脳内ホルモンは、本書では脳内モルヒネとも紹介され、苦痛を快楽に変える効果や、病気を治癒する効果があると紹介されている。
この成分はベータエンドルフィンであり、マラソンランナーの体験するランナーズハイが有名である。

マラソンは長時間苦痛を味わうスポーツであるが、苦痛が長時間続いたりすると苦痛を緩和させ逆に快楽になるというのがベータエンドルフィンの効果である。
プロのマラソンランナーでなくてもこれは体験でき、ジョギングを続けていても感じることがある。

脳内ホルモンは脳汁とも言い、「うつ病」と関連の深い脳内物質にはセロトニンがあるが、これら脳汁をコントロールすることができれば精神の病だけでなく、癌をはじめとした多くの病に効果があるのだ。

さて、脳内ホルモンを分泌させる良い方法は、右脳を使うことが脳内革命では紹介されているが、本ブログでも紹介してきた以下の方法についても詳しく紹介されている。

プラス思考、腹式呼吸、自律訓練法、ストレッチがあり、他にも食事療法についても紹介されている。
薬や外科の処置のようにすぐに効果があるものではないが、脳汁のほんわかした効果が体験できるのだ。

自己流で脳内ホルモンをいかに出して精神状態をよくするかをここ最近のテーマにしていたのだが、15年前の「脳内革命」に似た内容があって驚いた次第である。
また、精神と肉体の結びつきは想像した以上に大きく、ストレスが体に与える悪影響、脳内ホルモンの与える効果や癌細胞を殺すNK(Natural Killer)細胞とやらについての理解を深めることが出来た。
見えないものがとても重要なのだ。

本ブログで紹介した各種方法

人生が変わるポジティブシンキング
逆腹式呼吸法
自律訓練法
真向法

›6 20, 2011

五十肩の治療と予防

Posted by skillstorage at 18:40 / Category: 健康法 / 0 Comments

五十肩とは原因不明の肩の痛みの総称であり、50歳だけでなく、40代でも30代でも五十肩である。
四十肩、三十肩という呼び名もあるが、一般的には五十肩と呼ばれる。

五十肩の特徴として、腕を肩より上に持ち上げると痛むという特徴がある。

五十肩は、力仕事をする人に多いと思われがちであるが、実際にはほとんど力仕事をしない事務的な仕事をする人が多いようだ。
詳しい原因は分かっていないが、筋肉や筋の疲労や老化に原因があるのではないかと言われている。

そこで治療法であるが、月並みではあるがストレッチとマッサージが効果が高い。これらを継続することによって症状が緩和される。
また、予防には適度の運動が必要だ。急激な筋肉への負荷はかえって五十肩の原因になってしまうが、適度な運動で血液の循環をよくし、筋肉をほぐすことによって予防することができる。

›6 18, 2011

ステルスマーケティング

Posted by skillstorage at 12:00 / Category: マーケティング / 0 Comments

ものを買う動機について真剣に考えたことがあるだろうか?
ブランドものなんかは、雑誌などのマスメディアの影響はもちろんのこと、モデル、俳優といったオピニオンリーダーからの影響を多く受ける。
最近では読者モデル、人気ブロガーの消費者に与える影響も絶大なものがある。

自分の憧れる人が使っているから、真似をして使ってみたいという動機は非常に大きい。しかしそれ自体が実は仕組まれた広告戦略の一種だとしたらどうだろうか?

問題となっているのは、ステルスマーケティングという手法だ。

消費者に宣伝と気づかれないように宣伝行為をすることであり、例えば、影響力のある芸能人やブロガーが報酬を得ていることを明示せずに、第三者的な立場を偽装して、特定の企業や製品について高い評価を行うことである。

いわゆる「やらせ」である。

消費者から見たら、ステルスマーケティングを判別することが難しい点が問題なのだ。

最近では、ステルスマーケティングの警戒から、芸能人がブログで本当に好きな商品を紹介したにもかかわらず、ステルスマーケティングと疑われ炎上した事件も起こっている。

このようなことから、商品を紹介する影響力のあるブロガーは、その商品が企業から報酬を得ているのかを明示する者も出てきている。
ただ、このように騒がれているのは一部であり、映画の中には登場する製品のほぼ全てが広告、つまり企業からの報酬や提供を受けているという例も出てきている。

ブランドというものは機能や品質で選ばれるものではなく、感情で選ばれるものであることがこのような巧妙なマーケティング手法が発達した背景にあるのだろう。

›6 14, 2011

赤字会社の買収による節税スキーム

Posted by skillstorage at 13:47 / Category: 節税 / 0 Comments

企業を売却してハッピーリタイアしたいと考えている社長は多い。中小企業の社長は、サラリーマンと違い会社の連帯保証や従業員とその家族への責任感まで背負い、そのプレッシャーは計り知れない。不景気による廃業を考えようものなら、借金の返済、従業員の解雇、取引先への迷惑など様々な問題に直面する。

国税庁公開統計情報によると法人の黒字申告割合は25.5%とのことで、多くの中小企業が現実には赤字経営を強いられている。M&Aで売却できる事例の多くは黒字の優良企業だと思われている。
しかし、赤字の企業であっても実は活用法がある。

買い手にとって魅力のある事業であったり、シナジー効果が得られたり、企業の再生ができると見込まれた場合は充分に売却できる可能性がある。
売り手企業の過去の累積赤字(繰越欠損金)を利用して、買い手企業は買収後に買い手企業の利益のでる事業をその会社に移すことにより、利益を相殺することが可能だ。つまり大きな節税メリットがあるのである。

しかし繰越欠損金の使用制限というものが存在する。
黒字企業が節税目的に赤字の会社の買収を繰り返すことは節税の域を超えて脱税とみなされるからだ。
例えば、買収後に買い手企業と合併したり、買い手企業の黒字子会社と合併して繰越欠損金の利用により節税を行おうとする場合は、制限事項があるのだ。

いずれにしても、赤字企業であったり債務超過企業であってもその企業の価値が無いという訳ではない。
企業には財務諸表には見えない、人材、技術力、営業権といった価値が存在するのだ。

赤字で会社を清算したいと思っている社長も多いだろう。しかし、倒産に伴い失うものは大きい。売却することで、企業が存続し、債務を引き継いでくれるのであればM&Aは良い選択肢となるだろう。

›6 13, 2011

排出権商人|黒木亮

Posted by skillstorage at 19:28 / Category: 書評 / 0 Comments

「空気が大金に化ける」。21世紀のマネーゲームは、環境問題の温室効果ガス排出削減義務が「排出権」の名で取引されることによって巻き起こされている。
京都議定書により、日本は多大な国益を失った。政治の場で環境問題という名のもとに国家どおしが国益を優先させたのだが、京都という名前を付けたことの代償はあまりにも大きかった。
日本は、2012年まで8%の削減を義務ずけられ、当然達成できないため他国から排出権を買わないといけないのだ。これによる日本の購入額は1兆円と推定され、排出削減義務を負わない中国、インドといった国々は排出権削減を行い、その排出権を売ることで多大な利益を享受できる。

「排出権商人」は、排出権商人と呼ばれる連中、それは商社、プラントエンジニアリング会社、投資銀行などが、海外の大規模プロジェクトを実施していき、国際的なマネーゲームを巻き起こしていくリアルな小説だ。

黒木亮の特徴である、実話を盛り込み、徹底した取材に基づいて描いた詳細なビジネスの現場を描きだす手法は、排出権ビジネスの良い教科書にもなる。

物語の主人公である冴子は、国内有数のエンジニアリング会社で働く40代半ばで独身の総合職だ。男社会で中年女性が主人公で活躍する姿というのもこれまでには無い設定で面白い。この年になると結婚や出産は諦め、仕事中心の人生として孤独に生きていかなければならない。

物語では、主人公を取り巻くエンジニアリング会社のビジネスシーンが中心となって進むが、IHIを彷彿させる売上・利益達成のために手段を選ばない大規模かつ組織ぐるみの粉飾というストーリーがある。またそれに伴い、エンジニアリング会社の株価下落で儲けようとする空売り専門ファンドが登場し、対決していくこととなる。

この小説にあるような大規模プロジェクトの仕事に関わったことはないのだが、多大なプレッシャーとストレスが読んでいて伝わってくるほどだ。
ビジネス最前線で大きな額のマネーを動かしている連中は相当にタフな神経でないとできないだろう。エンジニアリング会社の次期社長を狙う専務は、中期計画達成のため手段を選ばない。中国の若い大富豪も同様だ。
彼らも成り上がるために、血のしょんべんを出すような激務や神経が擦り切れるほどのぎりぎりの勝負を挑んできたことが分かる。

ビジネスマンとしてあるべき姿を考えさせられる小説だった。

ところで、福島原発事故から日本では原発の停止と火力発電等のよる温暖化ガス排出が相当量増加することとなった。
経産省の試算によると、原発停止により追加で購入しないといけない化石燃料費は毎年約3兆円とのことである。
これにより、また世界的に排出権取引の価格が上昇しているのである。

現在の排出権取引現場を知ることはできないが、多大な利益を得る者がいることだろう。



›6 11, 2011

今夏は省エネブームで扇風機が在庫不足

Posted by skillstorage at 11:03 / Category: 節約術 / 0 Comments

省エネ・節電ブームで扇風機の売れ行きが上昇し、これから夏にかけて在庫切れや価格の上昇がおこりそうだ。
これまで家庭ではエアコンの普及が進んだが、エアコンだけよりも扇風機と一緒に使うことでエアコンの温度設定を上げ節電につながり、また夜間には窓を開けて扇風機でしのぐことによって大幅な節電効果が期待できる。

例えば、6畳の部屋で冷却能力2.2kWのエアコンであれば消費電力は約440Wである。
扇風機であれば、10分の1以下の約30Wで強風が利用できる。

kWh当たり電気代を22円として90日間1日8時間使用すると計算すると、
エアコンでは約7000円であり、扇風機では、わずかに500円弱となり、電気代に大きな差がつく。

これは6畳の部屋での代表的な計算に過ぎないため、広いリビング、複数の部屋、またエアコンの種類によっても電気代は大きくかさんでくる。

また、エアコンと扇風機の併用の節電効果も実際は大きい。
体感温度でいえば、エアコンのみ24度に比べ、扇風機併用では28度設定で同等に感じるという調査もある。
エアコンは設定温度を1度上げるだけで約10%の節電効果があるとされているので、これは大きな効果である。

尚、扇風機のブームとして部屋の場所を取らない、縦型スリムタイプが主流となりつつある。
これはデザイン的にもすぐれており、お勧めだ。値段は高いがダイソンの羽無し扇風機は子供のいる家庭では安心して使うことが出来るだろう。



›6 06, 2011

自動車の技術革新で消えゆく産業

Posted by skillstorage at 18:20 / Category: イノベーション / 0 Comments

電機業界(エレクトロニクス)においては、ここ20年間で何度も技術革新が起こり、その度に日本式経営の利点が逆に首を絞めることとなった。
例えば、ウォークマン(テープ再生機)のような典型的な精密部品をすり合わせた機械は、日本式の利点であったが、デジタル化によって無意味となった。

その点、自動車業界においてはこれまで技術革新が無かった。既存のエンジン式自動車の延長で、ちょうど昔の電機業界と同じ産業構造をしている。
例えば、系列、部品業界からセットメーカへの垂直統合生産、下請け構造があり、これが日本の自動車業界の強みとされていた。
今後これは自動車業界がEV(電気自動車)化が進むことにより、同じ現象がみられるだろう。

自動車の場合、充電というインフラが必要なため電機業界のような急激なイノベーションによる既製品の変更は無いだろうが、産業のすそ野が広いため被害は甚大になる。
例えばEV化によってにより消える部品にはこんなものがある。
エンジン関連でシリンダヘッド、ピストン、冷却ファン、トランスミッション、点火装置、排気系・吸気系部品、潤滑系部品、燃焼系部品、ベアリング系、シャフト系。
それ以外にガソリンスタンド、修理工場、販売店が不要になるなど想像を絶する産業構造の変化が起こるだろう。

エンジンに使われるある部品だけ突出した技術とシェアを持っている企業というのは、その部品が必要なくなったら存在意義が無くなるのだ。
そのような会社は沈みゆく船なのか。技術の転用が他にあれば良いが、そのようなことは稀だろう。
日本では、このような会社も規模を小さくしたり(従業員を解雇など)、会社を解散してしまうといった選択が非常に難しい社会である。

グローバル社会で、このような在り方が通用する訳が無いのだが。


›6 04, 2011

デューデリジェンス(Due diligence)

Posted by skillstorage at 11:38 / Category: VC(ベンチャーキャピタル) / 0 Comments

デューデリジェンスとは、M&Aや投資などの取引に際して行われる、対象企業の資産調査のことであり、略してデューデリと呼ばれる。
M&Aにおけるデューデリジェンスは、M&Aの一連のプロセスの中で、過去の決算書・事業計画・業務説明がなされた後の基本合意が終了してから行われる。
何故ならば、デューデリジェンスによって、対象企業は丸裸にされ、基本的に全ての会社情報を晒すことになるかである。

デューデリジェンスでは、対象会社の経営陣や従業員等へのヒアリングをはじめ、法務、財務、ビジネス、人事、IT環境といったさまざまな観点からの詳細な調査が行われる。

買収を行う企業にとっては、基本合意までに与えられた情報が信ぴょう性があるのか、粉飾決算や資産価値の毀損、簿外債務などのリスク事項が存在しないかを念入りに調べる必要がある。

デューデリジェンスは、大きく以下の3つに区分することができる。
(1)業務デューデリジェンス
企業組織、生産・販売及び財務活動、研究開発活動等の監査である。
就業規則、規程、取締役議事録、株主総会議事録、組織運営体制、内部統制等について調査を行う。

(2)財務デューデリジェンス
直近財務諸表及び過去の決算書の調査、資金繰りの実態、含み損等の簿外負債の監査である。

(3)法務デューデリジェンス
定款、登記事項等の法的事項、重要な契約の内容、係争事件等の法的事項の監査である。

デューデリジェンスを行う過程でも交渉は必要である。例えば、従業員の詳細な個人情報、製品のコア技術情報、顧客情報、経営戦略会議や営業、生産の議事録の提示に関しては、企業の根底を成す重要な情報であるため開示には慎重にならざるを得ない。

現実に、最近増加している中国企業による日系企業の買収においては、基本合意、デューデリジェンスにおいて企業情報や機密情報を全て公開した後に、最終合意に至らないケースも見られる。
これでは、機密情報を相手先企業に無料で教えたことになる。
つまりデューデリジェンスでは極力情報を出さないように交渉し、例えば、最も重要で出したくない情報については、最終合意後、さらに買収資金の一部が支払われた段階で初めて公開するなどの防御策が必要である。

デューデリジェンスでは、規模にもよるが外部の専門家であるFA(Financial Advisery)によって行われる場合もある。例えば、公認会計士、弁護士といったチームである。
粉飾隠しや法的リスクに関しては、デューデリジェンスを専門に行っているチームでないと見逃す場合があるからだ。

›6 03, 2011

車を買うならハイブリッド車、電気自動車は辞めておけ

Posted by skillstorage at 21:35 / Category: 節約術 / 0 Comments

ハイブリッド車、電気自動車はガソリン代を大きく節約できるのは事実だ。
しかしそれは購入後のフローが節約できるという話であり、購入する初期投資というストックを見落としている。
ハイブリッド車、電気自動車はよほどの距離を載らない限り費用対効果でマイナスである。
例えばあるハイブリッド車と同等のサイズのガソリン車は新車で約35万円安い。
この35万円の差を何年、何km乗れば回収できるのかを考えなければならない。
仮に10年という長期間乗り続けると仮定しよう。(実際にはもっと短期間で買い替えると思うが)
年間35,000円、月額約3000円もハイブリッド車は割高ということになる。
ガソリン車で毎月使うガソリン代はいくらだろうか。

ガソリン代が月額3000円以上節約できるほど乗りこなせれば、元が取れるという計算になる。