›6 14, 2011

赤字会社の買収による節税スキーム

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企業を売却してハッピーリタイアしたいと考えている社長は多い。中小企業の社長は、サラリーマンと違い会社の連帯保証や従業員とその家族への責任感まで背負い、そのプレッシャーは計り知れない。不景気による廃業を考えようものなら、借金の返済、従業員の解雇、取引先への迷惑など様々な問題に直面する。

国税庁公開統計情報によると法人の黒字申告割合は25.5%とのことで、多くの中小企業が現実には赤字経営を強いられている。M&Aで売却できる事例の多くは黒字の優良企業だと思われている。
しかし、赤字の企業であっても実は活用法がある。

買い手にとって魅力のある事業であったり、シナジー効果が得られたり、企業の再生ができると見込まれた場合は充分に売却できる可能性がある。
売り手企業の過去の累積赤字(繰越欠損金)を利用して、買い手企業は買収後に買い手企業の利益のでる事業をその会社に移すことにより、利益を相殺することが可能だ。つまり大きな節税メリットがあるのである。

しかし繰越欠損金の使用制限というものが存在する。
黒字企業が節税目的に赤字の会社の買収を繰り返すことは節税の域を超えて脱税とみなされるからだ。
例えば、買収後に買い手企業と合併したり、買い手企業の黒字子会社と合併して繰越欠損金の利用により節税を行おうとする場合は、制限事項があるのだ。

いずれにしても、赤字企業であったり債務超過企業であってもその企業の価値が無いという訳ではない。
企業には財務諸表には見えない、人材、技術力、営業権といった価値が存在するのだ。

赤字で会社を清算したいと思っている社長も多いだろう。しかし、倒産に伴い失うものは大きい。売却することで、企業が存続し、債務を引き継いでくれるのであればM&Aは良い選択肢となるだろう。

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