›6 04, 2011

デューデリジェンス(Due diligence)

デューデリジェンスとは、M&Aや投資などの取引に際して行われる、対象企業の資産調査のことであり、略してデューデリと呼ばれる。
M&Aにおけるデューデリジェンスは、M&Aの一連のプロセスの中で、過去の決算書・事業計画・業務説明がなされた後の基本合意が終了してから行われる。
何故ならば、デューデリジェンスによって、対象企業は丸裸にされ、基本的に全ての会社情報を晒すことになるかである。

デューデリジェンスでは、対象会社の経営陣や従業員等へのヒアリングをはじめ、法務、財務、ビジネス、人事、IT環境といったさまざまな観点からの詳細な調査が行われる。

買収を行う企業にとっては、基本合意までに与えられた情報が信ぴょう性があるのか、粉飾決算や資産価値の毀損、簿外債務などのリスク事項が存在しないかを念入りに調べる必要がある。

デューデリジェンスは、大きく以下の3つに区分することができる。
(1)業務デューデリジェンス
企業組織、生産・販売及び財務活動、研究開発活動等の監査である。
就業規則、規程、取締役議事録、株主総会議事録、組織運営体制、内部統制等について調査を行う。

(2)財務デューデリジェンス
直近財務諸表及び過去の決算書の調査、資金繰りの実態、含み損等の簿外負債の監査である。

(3)法務デューデリジェンス
定款、登記事項等の法的事項、重要な契約の内容、係争事件等の法的事項の監査である。

デューデリジェンスを行う過程でも交渉は必要である。例えば、従業員の詳細な個人情報、製品のコア技術情報、顧客情報、経営戦略会議や営業、生産の議事録の提示に関しては、企業の根底を成す重要な情報であるため開示には慎重にならざるを得ない。

現実に、最近増加している中国企業による日系企業の買収においては、基本合意、デューデリジェンスにおいて企業情報や機密情報を全て公開した後に、最終合意に至らないケースも見られる。
これでは、機密情報を相手先企業に無料で教えたことになる。
つまりデューデリジェンスでは極力情報を出さないように交渉し、例えば、最も重要で出したくない情報については、最終合意後、さらに買収資金の一部が支払われた段階で初めて公開するなどの防御策が必要である。

デューデリジェンスでは、規模にもよるが外部の専門家であるFA(Financial Advisery)によって行われる場合もある。例えば、公認会計士、弁護士といったチームである。
粉飾隠しや法的リスクに関しては、デューデリジェンスを専門に行っているチームでないと見逃す場合があるからだ。

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