›6 06, 2011

自動車の技術革新で消えゆく産業

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電機業界(エレクトロニクス)においては、ここ20年間で何度も技術革新が起こり、その度に日本式経営の利点が逆に首を絞めることとなった。
例えば、ウォークマン(テープ再生機)のような典型的な精密部品をすり合わせた機械は、日本式の利点であったが、デジタル化によって無意味となった。

その点、自動車業界においてはこれまで技術革新が無かった。既存のエンジン式自動車の延長で、ちょうど昔の電機業界と同じ産業構造をしている。
例えば、系列、部品業界からセットメーカへの垂直統合生産、下請け構造があり、これが日本の自動車業界の強みとされていた。
今後これは自動車業界がEV(電気自動車)化が進むことにより、同じ現象がみられるだろう。

自動車の場合、充電というインフラが必要なため電機業界のような急激なイノベーションによる既製品の変更は無いだろうが、産業のすそ野が広いため被害は甚大になる。
例えばEV化によってにより消える部品にはこんなものがある。
エンジン関連でシリンダヘッド、ピストン、冷却ファン、トランスミッション、点火装置、排気系・吸気系部品、潤滑系部品、燃焼系部品、ベアリング系、シャフト系。
それ以外にガソリンスタンド、修理工場、販売店が不要になるなど想像を絶する産業構造の変化が起こるだろう。

エンジンに使われるある部品だけ突出した技術とシェアを持っている企業というのは、その部品が必要なくなったら存在意義が無くなるのだ。
そのような会社は沈みゆく船なのか。技術の転用が他にあれば良いが、そのようなことは稀だろう。
日本では、このような会社も規模を小さくしたり(従業員を解雇など)、会社を解散してしまうといった選択が非常に難しい社会である。

グローバル社会で、このような在り方が通用する訳が無いのだが。


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