›12 25, 2007

移転価格税制

Posted by skillstorage at 16:01 / Category: 節税 / 0 Comments

移転価格税制とは、海外の関連企業との取引価格の妥当性を検証するための税制のことである。
日本の法人税(実効税率)は高く40%強であるため、海外に利益を移転させ海外の低い税率で納税をした方が企業にとって得である。

そもそも税率の低い国は税率を低くして海外企業を呼び込んでおり、日本の移転価格税制というのはそれらの国に対する対抗策である。本来日本も税率を低くして企業を呼び込みトータルの納税額を増やすべきと思うのだが。

関連企業取引では、価格設定を恣意的に行うことができるため、所得を税率の低い海外に移転させる事が可能である。これまで武田薬品工業やソニーなどの大企業が相次いで処分され、申告漏れ、追加徴税は増加している。

海外に生産子会社がある場合は、輸入価格を高く設定すれば海外に利益が移転し税率が低く済む。逆に、海外に販売子会社がある場合安く出す事により、海外に利益が移転して同様の効果が得られる。

企業が追加徴税を受けるのは、企業の言い分と税務署のそれで食い違っており、市場価格が付けにくいときに問題となる。最近では企業も納税を受け入れず訴訟に持ち込んでいるケースが増加している。

何も製品でなくとも、コミッション、無形資産、管理費、融資など海外移転になりうる要素は多く存在するのだ。

□移転価格の算出
関連会社間の取引が、独立企業間価格(Arms Length Price)で行われているかが第一の検証事項となる。
市場価格の無いものは非常に難しい内容であるが、基本三法と呼ばれる方式がある。

□基本三法
1.独立価格比準法
2.再販売価格基準法
3.原価基準法

東芝社長が有機ELを嫌っている訳

Posted by skillstorage at 13:42 / Category: 日々雑感 / 0 Comments

液晶パネル、小型有機ELの大手企業協業の再編が進んでいるが、ここのところ東芝社長の発言で気になっていることがいくつかある。

まず、「有機ELの画質より液晶の方が好きだ」、そして、「テレビ向けに大型有機ELの開発をしてきたが、低消費電力という点でシャープの次世代液晶にはかなわない」という発言。

有機ELは大型テレビとしてはまだ登場しておらず、開発に苦戦している。ソニーが小型で市場に投入して薄さとコントラストで話題を呼んだが、販売価格も高く、ソニーも赤字で生産しているらしく販売後の話題もフェードアウト気味だ。

自分が東芝の社長だったらどんな風に考えるか?テレビは家電の中でも最も競争が激しく、なんとかシェアを取りたい。シャープは液晶に注力してシェアを大きく取った。液晶がここまで伸びるとは考えなかったが、規模の経済により収穫逓増実現でき、コストはどんどん安くなり、技術も向上したことで他の技術(SED、プラズマ、有機EL)よりも遥かに魅力的だ。

今後は液晶に注力したい。(SEDは捨てた)だが、有機ELは液晶の決定的な技術ハードルであるバックライト使用のためのコントラスト問題があり、有機ELが台頭したら脅威だな。

そんな風に考えているのであれば、有機ELへの期待や投資が抑制できる発言をするのも分かる気がするのだが。
もっと言えば有機ELに脅威を感じているのかも。

ところで、有機ELの研究には地方大学の名物教授がいる。その教授のBlog では東芝社長への怒り爆発である。

個人的に、徹底的に、東芝のテレビに対抗します。
LEDの中村さんが日亜化学を潰すっ言ってるのと同様、有機ELをここまで愚弄する社長には宣戦布告します。

とのこと(笑)。有機ELに命を懸けている彼の心情も理解できるけど、対抗意識でここまで大手企業社長に意見してもいいものなのかと。

あと気になったのが、「中村(修二)さんが日亜化学を潰すっ言ってる」という発言。
裁判では結局8億強で和解だったが未だに根に持っていて、こんな物騒な発言を色々なところでしているのだろう。
充分大金もらって、しかも和解しておいてこんなこと言って良いのかと思う。

そもそも、「日亜には何もしてもらっていない、自分ひとりの研究成果だ」と裁判中テレビで豪語している姿を見たが、「じゃあ、給料はもらっていなかったのか?」と思ったものだ。

しかし、発言というのは後々残るもの。こういった一連の発言を見て充分注意しないといけないと思う今日この頃である。

ゴディバとジャガーが発展途上国に売却

Posted by skillstorage at 13:21 / Category: マーケティング / 0 Comments

ベルギー高級チョコのゴディバはトルコ企業に売却され、イギリスの高級車ジャガーはインドのタタ自動車に売却となった。

それぞれ、そもそも欧州の名門企業であったが米国資本参加となり、そして今度は新興国の企業傘下に下った。

これは象徴的な出来事だと思う。ヨーロッパがかつて衰退し、新興国として米国が台頭し世界一の大国となったが、これまた衰退に向かう気配がある。

そして発展途上国が新興国として台頭。トルコもインドも高級感やブランドは皆無だが、買収を通じて手っ取り早くブランドを構築し、やがて一流ブランドを産み出す日も来るのだろう。

もはや、新興国をブランド力の無い国、安価な労働力、安価な商品という視点で見てはいけないということだ。
かつては日本もソニー、トヨタだって3流ブランド、粗悪な安物商品だった。

日本も築いた地位にあぐらをかいていると、あっという間に2流国家になってしまうだろう。

›12 19, 2007

フレッシュネスバーガーをユニマットキャラバンが買収

Posted by skillstorage at 11:42 / Category: 日々雑感 / 0 Comments

フレッシュネスバーガー創業者の栗原幹雄はかつてこんなことを言っていた。「モスバーガーはマクドナルドを卒業した人が行く、フレッシュネスはモスを卒業した人が行く」

私の場合、こんなことが頭から離れず、フレッシュネスに何度も行った。うまくない。高い。でも頼んだものが悪いのかと思い、次回は別のものを頼みに行くということを繰り返して行かなくなった。
結局モスの方が遥かにうまいし安いと思ったものだ。

「フレッシュネスバーガー」「おはち」を展開するフレッシュネス(本社東京
都港区、栗原幹雄社長)は株式約58%をユニマットキャラバンに売却して子会
社化となる予定。売却する株式は全体の58.09%。取得価格は2億4,000万円。12
月中旬には株券引渡しを終える予定。

フレッシュネスは、直営37店舗、FC160店舗(海外21店舗を含む)を展開(9月
30日現在)。直近の2007年4月期決算では、売上高こそ61億円と前期比プラス
だったものの、経常利益が3,000万円で6割減に、当期純利益は約9億6,000万円
の赤字になり、赤字幅が約7倍近くに増大した。

しかし、フレッシュネスバーガーにはそれなりのブランド力はあるだろう。店舗の高級感もありあとは味のよいハンバーガーをつくれるかなのだと思う。実は米国にも高級ハンバーガー店で成功している店は結構あるので研究すべきだと思うのだが。

味が変わらないのであれば、格安ではマクドナルドに対抗できるはずもなく生き残る事はできないだろう。

タスコもモックと同じやりかたで株主を犠牲に

Posted by skillstorage at 11:35 / Category: 日々雑感 / 0 Comments

外食チェーンのタスコシステム(札幌)は十八日、臨時株主総会を札幌市内のホテルで開き、債務超過による上場廃止を避けるための大幅増資や株式併合など議案六件を可決した。
(北海道新聞)

本日の日経新聞にも出ていたが、タスコの株式併合とディスカウントしての大幅増資が可決された。債務超過になると上場廃止になりファイナンスの手段を失うため、他に手段が無いためだ。
だがこれはMSCBよりも酷いと思う。大多数の10株以下の株主の権利が消滅してしまうためだ。
ディスカウント増資のため、買い増ししても結局高値で買うのと同じなので株主には手段が無い。
タスコはそもそも株主優待の利回りがダントツトップであり、優待目的の株主を多く取り込んできた。株価が下がるにつれ利回りが上がるため、優待を出すのも困難な状況になったのだろう。

そもそも外食事業の建て直しを早急に行うべきが、資金繰りのためのファイナンスに忙殺された気もする。

ちなみに、タスコの運営するFCは結構好きなのだが。ヤマダモンゴルなんてなかなか良いと思っていた。
また、かつてのように次々と新しい外食業態を開発する会社に復帰してもらいたい。

どうしてもTVをつくりたいキヤノン

Posted by skillstorage at 11:26 / Category: 日々雑感 / 0 Comments

テレビはキヤノンにとって悲願とされながら、未だテレビを世の中に出す事ができていない。
これまでテレビ参入に躍起になって未だSEDは開発中であり、先日は有機EL真空装置のトッキを買収しているのだが、今度はパネル製造の提携の報道だ。

松下・キヤノン・日立 薄型パネルで包括提携を検討
松下電器産業、キヤノン、日立製作所は、薄型パネル事業で包括提携する検討に入った。日立のパネル子会社に松下とキヤノンが出資し、次世代パネルの有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)を共同開発。さらに松下は日立の液晶製造子会社を傘下とし、新工場を建設することも検討している。パネルの製造・開発を協力して進めることで、世界的な競争に打ち勝つ考えだ。
(朝日新聞)

キヤノンの強みは、付加価値の高いニッチ製品と内製化である。薄利多売の家電に手を出さないことが収益性で評価されているのだと思う。
但し、技術者にとってみたらやはり家電がやりたいだろうし、他の赤字で時価総額の低い総合家電メーカーの技術者もプライドはキヤノンより上という現状があるだろう。

でもそれ以外の理由でテレビにどうしても参入したい理由がイマイチわからない。SEDに関しては、そもそも液晶の価格下落と技術向上にどうしても勝てないだろうし、有機ELもキヤノンは肝心なパネルからテレビまでの製造技術が無い。

せいぜいデジカメの画面に使うぐらいかと思っていた。
これから先キヤノンのテレビが登場する日はあるのだろうか?また登場してもテレビ経験の無いキャノン製品が売れるのだろうか?

›12 18, 2007

SEOバブル崩壊か?

Posted by skillstorage at 13:08 / Category: IT / 0 Comments

SEOで上場している企業が増加している上に、新規に創業しているSEO業者は人材派遣会社よりも増えていることだろう。

そもそもSEOは検索エンジンの不完全さがあるゆえに成り立ち、完全にGoogle、Yahoo!に依存している。また、検索エンジンの仕組み(アルゴリズム)が変更されると、これまでのノウハウが使えなくなるビジネスモデルである。

さて、SEOで上場し老舗のアウンコンサルティングは下方修正を発表した。

そして、不自然な事に譲渡価格やデューデリジェンスさえも終わっていない事業の買収を発表した。

SEO上場企業にとっては、成長性だけが株価形成の材料となりうるだろう。(株主の考えにもよるが)

下方修正後に良い材料を投資家に出す事が最重要として、先走ってこのようなIRを出したのではないだろうか?

モバイルSEO事業取得という内容自体は、携帯電話でのネット利用の爆発的成長というかバブル状態だと思う。

まあ、SEOに関しては業者に頼まないで企業のWebマスター(HP管理者)が勉強すべきことだと思う。中小企業だったらそもそもSEOが必要なのか考えた方が良いと思うのだが。

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稲畑産業が架空仕入・架空売上発覚

Posted by skillstorage at 09:19 / Category: 日々雑感 / 0 Comments

稲畑産業が架空仕入・架空売上を行っていたことが発覚した。
IRより

稲畑産業といえば、IT関連、機械、食品など様々な事業分野を持つ老舗の専門商社

今年は内部告発があらゆる業界で勃発した。
この件は内部告発というか、内部統制で発覚した問題だろう。

リスク管理室が仕入在庫の増減を不審に思い営業マネージャーに問いただしたところ、告白にいたったとある。

取引先への資金融通のため架空仕入を実施し、棚卸資産を過大計上した。その棚卸資産を減少させるために架空売上を計上した。

・2007年9月末時点の実体のない在庫の4億円


このIRだけでは詳細はわからないが、営業マンが仕入先救済のために不正を犯したのであり、営業マンの私欲のためでは無いみたいだ。

通常は仕入業者と購買に癒着があり、裏金を貰ったりと私欲の渦巻く世界かと思っていたが。

商社は客先に部材を安定供給をする責任がある。だが、仕入価格を下げないと自社利益(口銭)が少なくなる。そのため仕入業者を叩くのだが、その結果仕入業者が潰れると供給できずにもっと困る事になる。

今回の事件の詳細は不明だが、一般的に商社のビジネスで仕入への資金供給とはそのような背景が多い。商社・卸の資金供給面での存在価値である。仕入業者にしても受取手形が半年以上となると資金繰りが非常に厳しくなるからだ。

今回は発覚したが、商社でこのように仕入業者に資金供給して生かさず殺さず使っているところは多いだろうが、内部統制による発覚や仕入業者の倒産により問題が大きくなって発覚する事も多くなるのではないかと思う。

倒産件数は増加傾向なのだから。

なお、稲畑産業はこの4億強の架空仕入は回収できないはずで、営業マネージャーや仕入業者に損害賠償請求するかもしれないが、当然回収もできない(すれば潰れるのでは)だろうと思う。

›12 17, 2007

なんちゃってベンチャー

Posted by skillstorage at 12:49 / Category: 日々雑感 / 0 Comments

ベンチャー企業とは、そもそもどういう意味だったろうか?
一般的には、ベンチャー企業とは、それまでに無かった新しいサービスを展開する小企業を指すだろう。新規性の高いサービス、それもとりわけ高度な技術開発を伴う企業をベンチャー企業と呼んでいたはずである。

ところが、最近のベンチャー企業はこれに当てはまらないもの多い。例えば、人材派遣、人材紹介会社、偽装請負、SEO(リスティング)、HP製作会社、ITシステム受託開発会社、FC(フランチャイジー)、不動産会社。他にもあるかもしれないが、既存にある技術を利用したものだったり、営業力勝負なんてベンチャー企業とはそもそも呼ばなかったのだ。

ベンチャー企業じゃなくて、ただの中小企業という呼び方で良いのではないかと思う。

さて、ワイズノット、エグゼコミュニケーションなどベンチャー企業と呼ばれているが実態は中小企業であった会社の倒産や民事再生が続いている。
先日も今年の倒産件数が20%増加と新聞にあったのを思い出した。

そもそもベンチャー企業のような、開発が芽生えるかどうかわからないハイリスク企業のほうが倒産確率は遥かに高い。受託開発や、仕入・在庫がいらず誰でも開始できる人材紹介や派遣なんて資金繰りが困らないから潰れる確率は低いと思っていた。

これは上場のため無理をして潰した、もしくは上場ができなくなったため事業継続可能だが諦めたのが増えたのではないか?と考えてしまう。
(人材派遣・請負は偽装請負事件や社会保険未払いのため大幅なコスト増になっている)

上場準備して、監査法人も入れていた会社が結構ある。

考えてみると、受託開発や人材紹介は誰でもできるビジネスである。よってオーナー兼経営者は、時間が経てば競争が激化したり淘汰されるので、短期に上場でリターンを得る事を第一に考える。上場するためには成長性が何よりも優先される。そして無理な採用や店舗出展などをして市場シェアを上げようとする。そうこうしているうちに新規参入が増え、競争激化に陥り、上場まで成長を維持させる事ができなく終わってしまう。

(もっともうまく上場してもその後終わってしまう企業多数であるが、オーナー兼経営者は上場さえできてしまえば莫大なリターンを得る事ができるので大成功なのである。)

上場が出来なかった場合は、成長の為に銀行借入を行うケースも多いが、その場合は経営者の個人保証が必要で失敗時のリスクが非常に大きくなる。

そもそもリスクが嫌いで上場益を狙う経営者が多いので、たいていの場合VC等から増資を受ける事となる。だが、増資が売上高の成長よりも大きくなっても上場できない。

この場合も、オーナー兼経営者は上場という唯一の目標が絶たれ行き詰まった末、リスクが無い時点で会社を終了させようと考えるだろう。

などと考えた。

›12 14, 2007

ストラクチャード・インベストメント・ビークル(SIV)

Posted by skillstorage at 12:50 / Category: ファイナンス / 0 Comments

SIVストラクチャード・インベストメント・ビークルのことで日本名では特別目的会社と訳される。

サブプライムローン問題で一躍脚光を浴びた言葉であり、金融機関が資金調達のために募集する特別ファンドだ。SIVは、金融機関のバランスシートにのってこないことが最大の特徴であり、これがサブプライムローンの最大の問題だ。

サブプライムローンが証券化され、その価値の毀損がわからなくなってしまっているのだ。それが霜降り牛のように様々な金融機関の金融商品にまばらに組み込まれてしまっている。

65億ドルの評価損を計上したシティグループでは、サブプライム関連の保有証券のたった2割を評価損とした。また、その評価損の計上が少なすぎるという批判も浴びている。

かつて日本では山一證券が損失を子会社に飛ばし、バランスシート外しをした。鐘紡にしても関連会社に飛ばしを行った。バランスシート外しは結局飛ばしのようなものであり、正確に財務諸表に反映されないという重大な問題を抱えている。

結局山一も鐘紡も破綻した。

日本の金融機関がバブル崩壊後処理した不良債権は96兆円に上る。これもまた今回のサブプライムローン問題の被害を見積もる上で参考になるだろう。

サブプライムローン残高は全体で200兆円程度の模様で、様々な施策によって崩壊を防ごうとしている。ローン自体に関しては金利の据え置きを米国の政策として実施するが、これとて住宅価格の上昇が前提であり、価格が下落する場合債務者は金利の増加から自己破産を余儀なくされる。

いったいどれほどの被害になるのか?それとも世界中の金融機関及び国も救済に乗り出すのか?

›12 12, 2007

中国株は何故上昇するのか

Posted by skillstorage at 15:29 / Category: 政治経済(Political Economy) / 0 Comments

中国のバブル崩壊は近いと、言われている。PERの高さから考えてもバブルであることは間違いない。しかし、どうして大量のマネーが市場に投入されるのか?

それは、突き詰めていくと元の金利と為替レートが問題である。
元の低金利がインフレとして物価上昇となっている。つまり現金や銀行預金では資産価値が目減りしてしまうのである。だから、上昇する不動産、株に中国人が投資を進めた。

ところが上昇がバブルとなった。本来元は金利を下げ、為替レートもフローティング・ドル・ペッグのようなドルとの固定をやめなければならない。
このような政策は、日本も同様に行っていることであるが、長期的には経済や市場に歪をもたらす。

元が安いがために、中国は米国に輸出できる。そしてドルを外貨準備として持ち、高いドルの金利によって実質的に運用している事となる。

ドルが基軸通貨としての力があるというのが前提での政策だ。ところが米国の経済が衰退し、ドルの価値が下がりまた米国は政策的に金利の低下を進めている。

こうなると中国も日本もドル高による恩恵は受けられなくなる。

政府が為替のコントロールを行ってきた弊害だ。考えてみれば長期的にはそのようになるのは当たり前のことである。米国がドルを刷り、また輸出国がドルを持ち運用する。ドルの供給量が実質的に増えるのでドルの価値は本来下がるはずなのである。

結局ここ数年の好景気や金余り現象はドルが多く刷られただけの幻想だったのだろう。自国の通貨価値が下がって喜んでいたのが間違いである。

物価は上昇する。その兆候としての資源関連の価格の上昇だろう。

中国と日本の政府が為替の政策をどうするかが注目される。日本も実質的には115円プラマイ10円という暗黙の原則を長い間続けてきてドル・ペッグに限りなく近い。

ドルの価値は米国のサブプライムローンを発端に金利切り下げと経済状況の悪化から下落する。相対的に円は上昇するしかない。政府は外貨準備高が運用できなくなり売り浴びせるのか?
それともSWF(政府系ファンド)によって米国の弱体した企業を買い支える事で米国救済に動くのか?

現に今中国やアラブは米国株を大量に保有しつつあり、短期的には米国の経済を支える事が自国にとっても世界経済の安定にとっても重要という認識で動いているようだ。

自由市場とは程遠い世界になりつつあると感じる。

›12 11, 2007

眩し過ぎないのが良いですね。(イイワケ)

Posted by skillstorage at 11:46 / Category: 日々雑感 / 0 Comments

「眩し過ぎなくて良いですね。」とは松下のCMで小雪のセリフである。何故こんな事を小雪はCMで言わないといけないのかと言うと、プラズマテレビ(PDP)は暗いからである。
つまり、苦し紛れのイイワケなのだ。

店頭で比べてみると、明るい展示において液晶(LCD)が圧倒的にキレイに見れる。最も家庭では店頭のような明るさでは見ないが、展示で消費者は販売を決める。

LCDだって暗く写せば良いだけなのだが。
厳密には暗さが良いという点では有機EL(OLED)が圧倒的に優れている。LCDやPDPと構造が違いバックライトが不要で必要箇所だけ点灯できるからだ。
だが、これだって実際にはLCDの暗い画面で気になる人はいないのだから大した売りにはなっていない。

さて、PDPは松下が体力があり市場で圧倒的ポジションを取った。他の陣営は撤退や縮小に追い込まれている。
その点ではPDPは松下が市場を制覇しつつあるが、果たしてその市場が今後も成長していくかどうか。

PDPはLCDと比べ技術が専門家しており、応用性も狭いのだ。事実、2007年の液晶テレビのフルHDの比率は38%、PDPテレビでは10%台に止まった。

他方LCDに関しては、米国ではファブレスメーカーのVIZIO(EMSのFoxconのホンハイグループ資本)が売上トップに躍り出た。

LCDはあらゆる技術がコモディティー化しており、パネル、バックライト、半導体など必要な部材が全て外部から調達できる。調達さえできれば組み立てて売る事ができるのだ。

日本でも無名のファブレスメーカーのバイ・デザインのテレビが奮闘している。日本人というのはブランドにうるさく、三星電子やLGなどが苦戦しているのを考えると、バイ・デザインはすごい奮闘していると感心させられる。

そのような訳で、これからテレビのデジタル放送化が本格化される中で、LCDが圧倒的に優位なポジションを得ている。PDP、OLED、SED、FEDは急激なコストダウンに市場シェアを取る事ができないだろう。技術はどんなに
後は、バイ・デザインやVIZIOみたいな無名ファブレスメーカーが台頭してきて、シャープのアクオスを抜かしてくれると良いのだが。

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›12 10, 2007

日の丸半導体は死なず(寡占化される半導体市場)

Posted by skillstorage at 17:40 / Category: 書評 / 0 Comments

資本主義経済というのは、成長を前提に成り立っているものだが、成熟産業ではゼロサムゲームであり、熾烈なシェア争いになる。
あらゆる成熟産業は少数企業の寡占化に陥い衰退していくのだと思う。成熟産業は戦国時代のような過酷な領土の奪い合いにより、勝ち残ったものが市場を支配するという結果になるんだろう。

半導体産業というのは新しい産業であり、成長産業でもある。まだ30兆円程度の規模であるが寡占化になってしまっている。

特殊な構造であるのは、他の自動車産業などとは違い、製造装置メーカーが生産を支配する構造となっていることだ。半導体製造装置(EQ)メーカーは、かつては日本企業は存在さえしなかったのが、今では市場シェアのほとんどになっている。

他社の技術のコピーだったり、半導体メーカーとの癒着だったり、研究開発努力だったり色々あるだろうが、激しい国際競争を乗り越え、ここでも寡占化が進んでいった。特に前工程は特定の業者が特定の工程を抑える形で巨大化していった。ターンキーと呼ばれるように製造装置を入れることで生産ができるような設備産業なのが半導体業界だ。

そして、製造装置は競争を繰り返し、他社の追従を受けないレベルへと技術開発し、半導体メーカーの設備投資を促す新機能開発を繰り返したせいで、400mmシリコンウェハーレベルでは、設備投資できる体力のある企業の数も減ってしまった。

装置メーカーの努力が半導体メーカーの寡占化を進め、結果として衰退産業になっていくのではないだろうか。

太陽電池にしてもEQがターンキー化しているため、最近では金のある中国企業の台頭が目覚しい。

泉谷氏の「日の丸半導体は死なず」を読んで、本文にはもちろんそんなことは書かれていないがそう思った。そういう解釈をされると筆者は困るだろうが。

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スゴイ人

Posted by skillstorage at 17:24 / Category: 日々雑感 / 0 Comments

思い起こしてみると、これまでの中でスゴイと思える人との出会いは両手で収まるような気がする。
自分にとってスゴイと思える人はどんな人なのか。
頭がいい人とか、自己犠牲で何かに尽くしている人というのは沢山見てきたのだけれども、スゴイというのとは違う。
尊敬できる人というのもまた違う。

例えば、要領よく金稼いでいる奴(村上ファンドみたいな)とか、精力的な介護士(マザーテレサ)みたいなのはちょっと違う。マザーテレサとか実物に合ったらスゴイと思うのかもしれないが。

自分の中では、スゴイというのは突出した能力があり、さらにハードワーカーな人だと今日ふと思った。

そういったのは、運や地道な積み重ねだと思う。不遜ながら、自分でもデキルなんてちょくちょく思ってしまう。本当に不遜なのだが。

講演で聞いたのだがスゴイと思ったのは、ワタミの渡邊社長や日本電産の永守社長は、その人物像だけでもスゴイ、マネできない、と思ってしまった。何が彼らをあそこまで精力的に働かせるのだろう、もう充分じゃないの、何故更に上を目指すのかと考えてしまう。

自分のなりたい人物像なのだろうな。


どちらも、やっている仕事の市場としては衰退産業だと思う(外食とモーター)が、そんなことを吹き飛ばしてしまうエネルギーを感じる。

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›12 07, 2007

フルスピードの時価総額は何故高いのか?

Posted by skillstorage at 11:39 / Category: IT / 0 Comments

フルスピードの時価総額は500億弱になっている。とても信じられない。
ビジネスモデルがSEO、リスティングでありこれは検索エンジンを上位にするための技であるが、技術的な優位性があるわけではなく、単なる営業力だと思う。
まったく同じビジネスモデル企業は上場会社にもいくつかあり、非上場では数えられないほどある。
そういった意味では新規性は乏しい。
さらにコア技術が無い点では、検索エンジン(Google、Yahoo!)の仕組みの欠点を付くのがSEOであり他人のふんどし(検索エンジン)で相撲を取っているに過ぎないと思うのだが。

検索エンジンが対策したり、リスティングの仕組みを変えたら崩壊する。現に検索エンジンはSEO対策の結果、ユーザーが本当に調べたい情報が検索できないという問題が出てきている。
自分も今のところSEO対策やリスティングの無い百度をメインに検索しているほどである。

というようなビジネスモデルを知って投資している人は少ないのだろう。新興市場にはバリュエーションやビジネスモデルで投資をする機関投資家は少なく、チャートや人気で投資する個人投資家の集まりなんだなと改めて思い知らされた感じがする。

DeNA(モバゲーの)は東証1部に移ったね。

›12 06, 2007

相続税の無税化は効果があるのか?

Posted by skillstorage at 18:32 / Category: 節税 / 0 Comments

大前研一は最近よく相続税を無くすべきと言っている(書いている)。自分も無くした方が良いと思っていた。なぜならば世界では相続税の無い国があり、グローバル化した世界ではその国の居住者になってしまえば良いからで、相続税の無い国に金持ちは移り住むだろうと思ったからだ。
事実、武富士の事件のように国籍は日本のままで相続税の無い国に居住するような脱法行為が行われている。

だが、大前研一の言うほどの効果があるのか疑問である。
確かに富裕層は相続税の無い国に移動すると思うが、そもそもその移動は永続的なものではなく、また最近では先進国でも相続税の無い国が増えてきており、それだけで富裕層が取り込めるのからだ。

発展途上国が相続税を無くしたりフラットタックス化で効果がでるのは、税の問題だけでなく物価が安いから、また富裕層の消費が与える影響がでかいからだと思う。

欧州からは物価が安く税の安い東欧に富裕層が向かうのはわかるが、日本はどこから富裕層を取り込むのか?まだまだ物価も世界的には高いし。

まあ、国内の富裕層が国外脱出を防ぐ効果はすごいあるかもしれない。
株をやっていても一番頭に来るのが、税金だから。

事実、富裕層でない一般の投資家さえも、香港やタックスヘイブンに口座を作って株をやる時代だから。

税を増やすよりも、消費を増やす効果の方が遥かに高いというのは納得できるね。あと、相続で土地が分断されて見苦しいのも問題だね。
もっと問題なのは、日本の富裕層は土地成金みたいな下品な奴が多くて、不動産の不労所得でパチンコで浪費というのが我慢ならない(w


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›12 03, 2007

トヨタ社員 過労死認定

Posted by skillstorage at 15:12 / Category: 日々雑感 / 0 Comments

トヨタ自動車の堤工場(愛知県豊田市)に勤務していた内野健一さん=当時(30)=が二〇〇二年に急死したのは、過酷な勤務が原因として、妻博子さん(37)が国に遺族年金の支給など労災の適用を求めた訴訟の判決が三十日、名古屋地裁であった。多見谷寿郎裁判長は「死亡直前の一カ月間の時間外労働は百時間を超えた。職務上の精神的なストレスも大きく、業務と死亡との関連性は強い」として、労災適用を認めた。

 訴訟では、品質管理について話し合う「QCサークル活動」や、業務上の改善点などを書面にまとめる「創意くふう提案」などの自主的な活動を時間外労働と認めるかどうかが争点となった。
(東京新聞)

トヨタの強みは色々あるが、カンバン方式だとか模倣化戦略だとか市場の全てのセグメントに細かく大量に似た車種を投入するとか、政治的にはロビー活動だとか色々ある。企業戦略上はやはりカンバン方式など生産方式がメインに語れる事が多い。
自分の場合、自主研と呼ばれる日々の業務外の改善活動が1番の強みだと思う。
徹底した合理化、ネジの本数やサイズまでポカ避けだとか提案活動をしている積み重ねに強さを感じた。これは名古屋のトヨタミュージアムで見れる。

カイゼンは英語にもなっているが、まさかトヨタが自主研を業務時間外と認識しているとは思わなかった。亡くなった方は非常に気の毒でしょう。自主研はトヨタのために行い、しかも生産性を上げつための活動なのだから、どんな企業でも業務活動だろう。

日々の生産(ロボットの変わりのように人間が行う組立の流れ作業)よりもよっぽど付加価値の高い仕事なのだから。

過労死として認定されるのは当たり前だと思うのだが。
しかし、調べてみるとトヨタは実は色々問題のある会社のようです。下の本ですが売れているみたいだけれど、名古屋駅の本屋にはおいていなかった。おべんちゃら本ばかりだった。。

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内容紹介 2007年の生産台数世界一が確実となったトヨタ。年間1千億円超と、全上場企業でダントツの広告宣伝費の萎縮効果は抜群。本屋には「おべんちゃら本」が並び、雑誌は広告と区別がつかない記事を書いてスポンサーに媚を売る。しかしその実態は、欠陥車をどこよりも多く作り、どこよりも多くリコールされる不良品メーカーである。その労働現場は「自動車絶望工場」の時代を引き継ぎ、社員が工場内で若くして過労死しても労災すら認められず、正当な労組活動すら制限されるほど“思想統制”は行き届く。既存メディアがタブー視してきた、日本企業・日本社会の象徴としてのトヨタの本当の姿を伝える。

孫子の兵法(経営戦略に応用)

Posted by skillstorage at 14:52 / Category: 経営戦略 / 0 Comments

彼を知り、己を知れば、百戦して殆うからず
自社製品の市場での位置づけ、競合の製品力、戦力(営業マンの数)といった、情報が勝負を支配する。
孫子の画期的な戦略を象徴する言葉である。
負けるときは戦わない。勝てるときのみ戦をするのである。
また、間諜(スパイ)の重要性についても説いた。情報が勝敗を支配することは多々ある。

勝算の無い戦いはしない
孫氏は慎重な熟考をもとに十分な勝算がある時に初めて戦うべきと述べた。
勝利の軍はまず勝利を得てからそれを戦争しようとする。
いちかばちかの勝負は負ける確率が高い。負けると損害が大きい。企業では赤字、倒産に繋がる。計算の上、確実に儲かる商売をすべき。

兵は詭道なり(相手を油断させよ)
相手の裏をかくやり方が重要である。
敵が利を求めているときはそれを誘い出し、敵が充実しているときはそれに防備し、敵が強いときはそれを避け、敵が怒っているときはそれをかき乱し、敵が謙虚なときはそれを奢りたかぶらせ、敵が安楽であるときはそれを疲弊させ、というように敵の不意をつくのだ。

孫子にしても戦国時代の武将の戦略を使うにしても、敵は同業他社だけではなく、横柄な顧客も敵とみなすべきだと常々感じる。

顧客とはWin-Winの関係を築くのが最善という現代の企業戦略は大前提にあるが、どうしても嫌な客はいる。もう取引したくない、いないほうが良いと思う客からは徹底して金を巻き上げてしまえば良いと思う事が過去なんどかあった。少ないけど。

正しいかどうかはわからないが、自分はそうやってきた。

そんなときにも相手を油断させるのは非常に良い戦略と感じてきた。

戦争には拙速
戦国時代を見ても、戦いは時間が経つと兵が疲弊する。物資も消耗する。戦国時代というのは領土を奪い合う、いわば一定のパイを奪い合うゼロサム・ゲームであった。今日のビジネスは資本主義の前提である市場の拡大・成長が前提ではあるが、基本的に競合とのパイの奪い合いであり、競合を吸収・合併や駆逐することによって市場を独占できたら上がりだと思う。独禁法という問題は有るが。
成長市場においては、さらに迅速な戦いが求められる。見込みの無い客や商品からは迅速に撤退すべきである。

百戦百勝は善の善なるものに非ざるなり。戦わずして人の兵を屈するが善の善なるものなり
敵国を傷つけずにそのままで降伏させることが上策である。
これは素晴らしい言葉だと思う。
現代の企業活動においても、謀略・スパイ活動など巧みに行われているが、法を犯す可能性が高い余り重要視している企業は実は少ない。

M&Aでシェアを取るのも、戦わずして敵を屈服させるのと同じことである。無傷で敵を手に入れ、規模の経済を手に入れる。敵の状態(業績)が悪ければリストラすれば良いのだ。

兵とは国の大事なり

兵は従業員と同じと考える。むやみに働かせ疲弊させたりするといけない。
長期戦もいけない。

戦争とは国家の大事である。
孫子は道、天、地、将、法を5つの事とした。
道:大義、ミッション
天:環境・市場
地:状況
将:優秀な人材
法:法規、コンプライアンス

これは企業にとっても同じである。

最上の戦争は敵の陰謀を破ることであり、その次は敵と連合国との外交関係を破ることであり、その次は敵の軍を打つことであり、最もまずいのは敵の城を攻めることである。

ライバル企業のことを考えてみるとよい。敵の新開発製品が市場に投入されたら、自社のシェアが落ちる。敵がアライアンスを組んだら、自社が窮地に陥る。そんな場合だ。
ガチンコで製品の競争力で勝負をするのは、結構手間がかかることなのだ。


敵情を知って見方の事情も知っておれば、百たび戦っても危険が無く

勝利を知るためには5つの事がある。
1.戦ってよいときと戦っていけないときをわきまえていれば勝つ
2.大群と小勢とのそれぞれの用い方を知っていれば勝つ
3.上下の人々が心を合わせていれば勝つ
4.よく準備を整えて油断している敵にあたれば勝つ
5.将軍が有能で主君がそれに干渉しなければ勝つ


戦いに巧みな人は、戦いの勢いによって勝利を得ようと求めて、人材に頼ろうとはしない。

孫子は戦いの中の「勢い」についても繰り返し強調した。勢いがつけくことによって兵は鼓舞され、力は何倍にもなることを知っていたのだ。
企業においても経営者が弱音を吐いてはいけない。常に強気で、目標を示し、敵を示し、社員の競争心、攻撃心を掻き立てなければいけない。

一軍の将は怒りによって兵を起こすな。戦いが利益をもたらすかどうかという客観的基準に立って行動せよ。


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