›11 30, 2007

厳しくなる製造業

Posted by skillstorage at 16:02 / Category: オペレーション / 0 Comments

ものづくり白書によると、工場用立地が増加している。2002年から増加しており、立地件数は02年の2倍以上、敷地面積も2倍以上である。

これは、国内製造業の回復のための設備投資の一貫とした用地取得である。07年も国内製造業は増収増益傾向にあり設備投資意欲も旺盛である。ところが、利益率の増加は過去数年間の伸びから鈍化している。

国内製造業の復活と盛んに報道されたが、大企業は確かに利益率も向上し、売上も伸びているが、製造業の大部分を占める中小企業にいたっては大企業ほどではないことをデータが示している。

但し、利益率は悪くとも親会社(メイン顧客)への生産義務(生産しないと他社に取られるという焦り)から、中小企業も旺盛に設備投資をしているのではないかと思う。

設備投資をすると、キャッシュはその時点で出て行くが、その後金利負担と減価償却費(会計上の費用)負担が響いてくるだろう。

さらに、昨年の今頃と比べて経済状況はどうか。昨年は絶好調という雰囲気が、今年はサブプライムローンによる信用収縮から、萎縮している状態であろう。

中小企業にとって痛いのは、日本よりも韓国・台湾といった製造業国家の方が国から手厚い施策により優遇されている点である。

また、研究開発費の伸びについても、中国・韓国と比較すると伸び率は停滞している。

液晶テレビ、半導体は特にそうだが、日本の技術がそれらの国に移管が進んでいる。上場企業をウォッチしていると、液晶・半導体の装置メーカーがそれらの国の顧客からのコストダウンが効いてきているように感じる。

もちろんこれはマクロ的に感じる事であり、個別には大企業の恩恵や県などの施策を享受している企業が伸びている。

円の為替レートは株価に連動する。

Posted by skillstorage at 13:34 / Category: 政治経済(Political Economy) / 0 Comments

Wall Street Jarnalの記事にあったが、円とS&P500インデックスのグラフはほぼきれいに一致している。
これはキャリートレードの影響であり、つまりヘッジファンドを筆頭に投資家が円を借りてきて投資をすることによる為替の影響が非常にでかいということだ。

株に投資するときは、円を借りるため円安に触れ株価が上昇する。サブプライムローン問題のように株から資金を引き下げる局面では円を返すため円高に触れる。

円を借りるのと投資には微妙に時間差があるだろうから、円の動きを見るとインデックスの動きがわかるかもしれない。

このことからも確信できるように、米国は景気停滞することが見込まれているので、長期的には円高に行くだろうな。

›11 29, 2007

円高で日本人は得する(トヨタは損するが)

Posted by skillstorage at 11:31 / Category: 政治経済(Political Economy) / 0 Comments

ものづくり白書によると、2006年の製造業の経常利益は25兆円強(12.4%増)である。全産業で58兆円強である。

製造業の付加価値生産額はGDPの21%であり、サービス業に押されて長期的には減少傾向である。

さて、円安が国の経済に大きな影響を及ぼすように報道されているが、この点には常々疑問を感じていた。日本の産業が製造業に依存しているのは否めないが、最も景気に重要な指標は消費である。円安が消費には繋がらない。海外製品が、値上がりし購入できなくなる。

貿易収支であるが、わずか8兆円弱(9.2%減)である。輸出額が75兆円あっても、輸入も増加しているということである。

何故円安が問題になるかというと、打撃を受けるのが国内でロビー活動で影響力が大きい、セットメーカー(最終製品メーカー)の発言力によるものだ。具体的には海外販売比率の高い、トヨタ、キャノンは経団連の地位もあり絶大だ。
だが、下請けメーカー、部材メーカーにとってみれば資源・材料は輸入品に頼っており、むしろコストとしては円高が望ましいのではないか。

下請けメーカー、部材メーカーが日本のセットメーカーに依存しているのも円安が歓迎される理由になると思う。

だが、経済学的にも、円の力は国力である。安くて良い筈が無い。円高によって、日本人の購買力が増強され消費が刺激される影響の方が遥かに大きいと思うのだが。

次に投資するべきものは何か?

Posted by skillstorage at 11:12 / Category: 資産運用 / 0 Comments

ここ数年間の世界のマネーは株に集中した。日本株の上昇、その後ユーロ(これはユーロ高による)、中国を筆頭としたBRISc(新興国)へと移り、順調な上昇を続けていた米国はサブプライムローン問題により金融が崩壊し、マネーは株から急速に離れつつある。

個人的にはうまくこのトレンドに乗れて資産を急速に増やす事ができた。(^^)
日本株の上昇後、ユーロ、中国、インドにポートフォリオを移した。インデックスベースのミューチャルファンド(投資信託)のため手数料が少なく、アクティブファンドよりも高いパフォーマンスが得られた。
個別には日本の新興市場企業にもハイリスク・ハイリターンで一部組み込んでいたが、新興市場の信用収縮からこちらは多大な被害を受けたのですが。(^^;)

さて、次のトレンドとしてはうまみのある話を聞く事はほとんどない。実体経済や収益性というよりも、オイル・金・資源(コモディティ)といった投機に世界のマネーが動いているが、株のバブルよりたちが悪いと思う。それらは本源的な価値がそれほど変わるものでなく、(資源は環境問題から上げるが)ドルの相対的価値下落だと思うのだが。

中国に関してもバブルが膨らみ、数年以内に弾ける(来年オリンピック特需が終わった時点から)と多くのものが考えている。

中国株もそもそもバブル性が高いと思う。中国は、株価・不動産だけでなく、消費者物価も6.2%のインフレであり、金利が短期%弱、長期でも5%弱と低いため、実質タンス預金、銀行預金では価値が減少してしまうため、実態の収益性以上の投資が株・不動産に集中していると考えられるためだ。

中国の経済成長率は11.5%であり、過去数年間の株価・不動産の上昇は高すぎる。

これまでは、高いパフォーマンスのポートフォリオが主流だったため、なかなか低利回り安定(安定な金融商品を探すのも今後は困難になるのでは?)に移せなく、大きな損失を抱える人や遅れて過去のトラッキングレコード(パフォーマンス履歴)で購入して大損害を受ける人が増えるのではないかと思う。

›11 28, 2007

日本製造業の構造的欠陥

Posted by skillstorage at 10:09 / Category: オペレーション / 0 Comments

ものづくり白書に企業の課題として熟練労働者の退職と労働力確保が書いてある。つまり労働力・技能といった目には見えない経営資源の喪失が重大な問題として認識されつつある。

だが私は少子高齢化といった国内構造的問題以外にも、企業側(メーカー)の構造にも問題があると思う。

国内メーカーのほとんどが労働集約型の労働力に依存している。つまり機械やロボットが作業できない、代替出来ないから人間を使っている。よって賃金は低ければ低いほど良いという前提があるだろう。他方、開発サイドは知識集約業務であるため、本来成果に応じて給与を上げなければならない。日本のメーカーであれば、本来開発者は高賃金のはずであるが、同一企業内で労働者の賃金格差をつけたくないだとか、労働組合の反発とかから大部分を占める低賃金労働者の基準に近くなっているようだ。

このことから賢い人間は国内メーカーでは働きたいとは思わないだろう。知識集約業務を行っても成果に応じた賃金が得られないのだから。それよりも、サービス業・金融・商社といった低賃金者があまりいない業界の方が高給を得られるから。もっとも企業の国際競争力の観点からは日本メーカーが圧倒的なのだが。

製造業でもものをつくらない製造業(ファブレスメーカー)は、労働者は高付加価値の知識集約業務に専念できるため高賃金を得られる傾向がある。キーエンスなどはまさにその例だろう。

自分が理想と思う日本のメーカーは、世界中から超優秀な知識労働者に開発させ、世界中の低賃金の労働者に生産させる会社である。もっともこのような体制をつくると労働者間の格差が問題となるので、現実的にはファブレス企業として開発体制に特化し、労働集約業務はEMSや外注にアウトソーシングということになるだろう。

マクロの視点で考えると、90年代のように国内製造業の空洞化に拍車が掛かる内容ではあるが、少なくとも現在の知識労働者が低賃金、労働集約労働者が高賃金(例え請負や派遣を増やしても充分高い)の体制は限界があると感じるのだが。

›11 27, 2007

米国は1兆ドル毎年刷るのか

Posted by skillstorage at 19:16 / Category: 政治経済(Political Economy) / 0 Comments

米国の貿易赤字が1兆ドル近い。そうなると外貨として中国、日本、中東、欧州に至るまでドルが1兆ドルもばら撒かれることになる。各国の貿易黒字がそのまま外貨準備高となるのだが、その前提はドルの利回りと為替レートにあった。日本にとってドルの金利は高く、欧州もドルに合わせてわずかに金利を下げる政策を取っているが、それでも若干高いということは、自国の通貨で持つよりも利回りが良いという投資目的でもあった。

しかし、ドルを印刷するということはその分ドルの価値が本来低下する。経済学での金利平価理論だ。(最もそれが理論どおりでないため、円キャリートレードが起こるのだが。。)
また、ドルの利回りも高いままであれば米国は国内の景気刺激として金融緩和政策が使えない。
高い金利のままではサブプライムローン問題を抱える米国は、景気対策を打ち出す事が困難である。

米国は金利は下げたいがなかなか下げれない。
このような米国の陥ったジレンマからドルの価値が急激に低下しているのではないか。最近ではメディアもドル崩壊論など書いているので、かなり危機的な状況にある模様。

当然、いつまでもドルが基軸通貨として毎年1兆ドルも刷るだけで繁栄することはできないだろう。というか許されないだろうな。

›11 22, 2007

書評「大前流心理経済学 貯めるな使え! 」

Posted by skillstorage at 14:44 / Category: 書評 / 0 Comments

大前研一の新書「心理経済学」を読んだ。大前氏がBBTでもずいぶん時間をかけて書いたと言っているとおり、近年の著書の中では抜群の内容だと思う。

読んでいて、ふんだんにデータを用いて、マクロ経済学の理論では通用しない現象を日本人特有の心理現象として分析している。
ケインズやクルーグマンの理論の通用しない現象など非常に面白いと思った。

例えば、1500兆円というGDPの3倍もの貯蓄をゼロ金利に近い利回りでしか運用しない日本人特有の現象。これなんか自分も疑問に思うところだ。世界的には10%以上の利回りで運用するのが当たり前だと思うからだ。リスクフリーレートで考えても6%とか無い限りは、貯蓄は実際には目減りしていると思うからだ。

日本人の円安歓迎思考についても経済学的に考えると本当に馬鹿げているし。

さて、このような日本人特有の心理現象と世界の一般的な思考方法とを比べる事によって、様々な問題点が浮き彫りになると同時に、ビジネスチャンスというか金儲けのタネを見つけることが出来たんで、お勧めです。

但し、データとか引用にソースが無いのは相変わらずで、論文としては全く通用しないものなんですけど。個人的には、大前氏の将来予想はどうでも良くて、過去の分析に重点を置いて読むと良いかと思います。


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キャッシュフロー倍率(PCFR)

Posted by skillstorage at 14:23 / Category: ファイナンス / 0 Comments

キャッシュフロー倍率とは、price-to-cash-flow ratioと言い株価に対するキャッシュフローの割合を見る指標である。
財務諸表上(PL、BS)での指標では、売上高利益率、ROE、ROAなどでは減価償却を含んでおり実際の現金の動きとは乖離があるため、キャッシュフロー倍率によって設備投資を織り込んでいることがわかる。

例えば100億設備投資するにすると、キャッシュフロー上はその年に100億のマイナスになるが、減価償却費では10億のマイナスが10年続く(定額法10年残存価格ゼロの場合)ためである。

キャッシュフロー倍率(PCFR) とPERを比較してみると面白い。PERは株価に対する期間収益の割合の指標であるが、PERが高く、PCFRが低い場合がある。これは、利益よりも株価が高く、
キャッシュフローよりは株価が低いということで、設備投資を積極的に行っている可能性が高いことがわかる。

もっともキャッシュフローの中身を正確に見ないと設備投資かどうかは判断が付かないので注意が必要である。

›11 18, 2007

個人資産1500兆、GDP500兆、パチンコ産業30兆

Posted by skillstorage at 10:55 / Category: 日々雑感 / 0 Comments

GDPの公式
総需要=C+I+G+X 
(消費:C、民間投資:I、政府支出:G、輸出:X)

からすると、この「個人資産1500兆、GDP500兆、パチンコ産業30兆」の数字は何か重要な意味がある気がする。

›11 07, 2007

ドリコム下方修正

Posted by skillstorage at 17:04 / Category: 日々雑感 / 0 Comments

やっぱりドリコムという感じか。
昨年の動きを見ていると、何故下方修正を出したのだろうか?
前回は明らかに下方修正になると誰もが思っただろうが、下方修正を全然出さなかったのに。

予想どおり赤字。しかも半期でこれほど悪いとは。

上場でアレだけ盛り上げておいて、この有様とは、一般株主は上場後に売り抜けたネットベンチャーが憎いでしょう。(ネットベンチャーのVCが上場前に株価を上げて、仕事も本体から発注していたのだから)

現状でもまだ異様に高い株価は、売れないからかそれとも何かを期待しているからなのか。

サイバードMBOで上場廃止

Posted by skillstorage at 17:03 / Category: ファイナンス / 0 Comments

投資ファンド・ロングリーチグループがTOBで株式取得し上場廃止にするそうだ。

堀主知ロバート社長は「モバイル市場が急拡大する中、今後の成長ためには広告事業や会員プラットフォーム拡大に思い切った投資が必要。短期的にはP/Lをき損する恐れが出てきた。株主には、中長期的視点・短期的視点の方がいると思うが、短期的視点の株主の期待に応えられなくなる可能性があるため、MBOを決めた」とのこと。

以前もMBOの問題点は指摘したが。->MBO

だけどもMBOしても再上場するのが前提だろう。高い株価で上場して上場益を得て、株価が悪化したら究極のインサイダーと言われるMBOで非上場。そしてまた上場というのは、市場の乱用にも思えるのだが。

他にもNECの子会社上場、すぐに上場廃止など大企業の子会社上場も全て利益相反に当たると個人的に思うのだが。