›10 20, 2005

金利裁定取引

Category: 政治経済(Political Economy) / 0 Comments: Post / View

ここ最近は国際金融リスク管理という問題に取り組んでいる。銀行の外為や
商社の財務部、投資銀行などこの分野を扱うプロの給料は概して高い。
ところが製造業は、従業員の給料というのが市場ではなく、社内の特別な
仕組み(全従業員平等感を与える仕組み)で決まるため、リスクヘッジを
行っている人の給料は低い。

市場における人材の流動化が激化するにつれて、優秀な製造業の人員は外資
に奪われる。国家公務員も同様に。そして日本の富は海外に移る。余談だが。

さて製造業は海外にモノを売り、A/R(売掛金)で将来受け取る。そのとき、
財務担当者は何を考えるか。米国に売ると前提で考えてみよう。

(1)ドルと円の金利の違い(IRP)
(2)スポットレートとフューチャーレートの違い(CIA)
(3)日米のインフレ率の違い(PPP)
(4)将来の為替レート予測

□ 金利平価理論

通常、金利平価理論(Interest Rate Parity)が働く。
これは、金利差が為替の先物レートとスポットレートの差に等しくなけれ
ばいけないというものだ。

(1+i(YEN))/(1+i($)) = F/S
単位はYen/Usd

例えば、円の金利が0.5%、ドルの金利が5%だとする。
もし1年後の価格がスポットレートと同じだとしたら、誰もが円を売って、
ドルを買うでしょう。

もっと言えば、できる限り円で借金をして、ドルを買うでしょう。
そうすれば、確実に稼げるのだから。

フォワード(先物)価格は両者の金利と為替が均衡になるように設定される。


金利裁定取引(CIA:covered interest arbitrage)を今回取り上げる。

実は以前簡単に紹介したのだが。
http://skillstorage.com/archives/000323.html

フォワード価格が、為替交換の対象国の金利から得られる額に違いがある
時、裁定(アービトラージ)が生まれる。

□ 例題
舞ちゃんはニューヨークで働く為替ディーラーだ。現在彼女は100万ドルの
運用資産を持っている。
金利裁定取引でリスク無しに金を増やせるかどうか考えている。
舞ちゃんはスイスフランに注目した。

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スポットレート:SF1.6/USD
フォワードレート(3ヶ月):SF1.58/USD
米国3ヶ月金利:2.00%(3ヶ月)
スイス3ヶ月金利:1.50%(3ヶ月)
============================================================
両方で運用をした場合の比較をしてみよう。

(1)米国
100万ドルは3ヵ月後、1,020,000USDとなる。

(2)スイス
100万ドルを現在の為替レートでスイスフランに直して、

 100万USD * 1.6

SF1,600,000を得る。これは3ヵ月後、

 SF1,600,000 * 1.015 = SF 1,624,000.00

となる。

フォワードレートでこの金額をドルに直すと、

 SF 1,624,000.00 / 1.58 = 1,027,848.10

米国で運用したときよりも27,848.10USDだけ得する。

通常なら、金利の高い国にお金は預けたいところだが、
この場合、フォワード価格あらかじめが決まっているので裁定を
利用して儲けることができたのだ。

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