上場企業は公益性が問われる。企業の利益は企業自身、株主、債権者へと適正に配分されなければならない。これが非上場企業との違いである。非上場であれば、オーナー経営者であり公益性が無い。つまり株式会社としての根本である「経営と所有の分離」がなされていない。
これがなされていない為に、多くの非上場企業では、オーナー経営者が公私混同して会社の資産を個人の資産と錯覚し、会社の所有物を私物化したりと問題が多いのである。利益相反にあたる。このようなことから、銀行も融資の時には昔から非上場企業には「個人保証」を要求するのである。つまり貸し倒れの時には、オーナー経営者も資産も没収し、なおかつ全額返済しろということである。
このような会社にはとても投資はできない。何故ならば投資した金がオーナー経営者の懐に入る危険性があるから。
上場企業はこのような利益相反がないよう監査されているはずであった。ところが現実にはNOVAの事例からも分かるとおり、公然と利益相反がされていた。
そもそもNOVAは上場企業でありながら、7割もの比率でオーナー経営者の猿橋が株を保有していた。(オーナー個人と資産保有会社で)
経営と所有が分離されていないため、株主総会の議決権をオーナーが持っており、独裁者となりガバナンスが効かなかったであろう。
(ジャスダックにはこのようなオーナー比率の高い企業が多いので今後批判がでるであろう。ただし1部上場にも資産管理会社などを使ったオーナー比率の高い企業もある。)
さらに、ギンガネットというオーナーの別会社からの仕入れが行われていた。これは利益相反にあたるため通常は認められないはずである。事実、NOVAの資産(現金)がギンガネットに流出してしまっている。
そして超豪華で贅沢三昧の社長室。
上場企業でなければ何の問題もなかったであろうことが、上場企業では許されないのだ。今後は特別背任、株主代表訴訟が待ち構えているであろう。
上場企業であるがために、銀行の個人保証も無く、NOVAを倒産させても別会社の資産や事前に売却した株で資産形成できた可能性があるからだ。非上場企業であれば、利益相反会社のため個人保証がつけられているだろうから、猿橋個人に無限に責任が及んでいたであろう。
ただし、筆者は猿橋の高い能力も評価している。駅前留学、お茶の間留学、ノバうさぎは猿橋個人のアイデアで大ヒットした。そもそも英会話を映画館と同じ価格設定にした点に起業家としてのセンスの高さを感じる。猿橋自身が消費者の視点に立ったサービスを考えたのだろう。消費者は英会話学校で英語の勉強をしたいのではない。外人と英語で話したいだけだと気づいたのだろう。
事実、その後英会話ブームになったが、日本人の英語は上達したわけではない。英語がうまい日本人は英会話学校にいかず、自分で勉強した人か実践で覚えた人がほとんどだと思う。
猿橋のそのような起業家センスはあってもマネジネント能力、公益性や思慮が足りなかった点が問題であった。上場する過程ですくなくともガバナンスを効かせ、利益相反を解消させ、経営と所有を分離するべきであったと思う。
SNSのgree(まだ生きていました)がユーザープロフィールにアバターつけたことが発端で、社長の田中氏の日記の内容から炎上に発展したようです。
アバターは結構金になるというのは周知の事実。アバターで上場している企業もある程。
日本人は結構こういったのに金をかけるというところから、ユーザー数、利用者数がしょぼく収益源もこれとなく、かといって運転資金の必要なgreeがアバタに目をつけたといった格好でしょう。
アバタでちょっと売上上がれば上場も近づいた気がしますが、これで負け組みに転落かな。
起業家にとって必要な素質は何か?
これは良く題材にあげられる。サラリーマンや役人との決定的な違いがあるのか?
Jerry Kaplanの提唱した起業家の素質(Best Quality Entrepreneur)がある。
1.「自分は世界を変えられる」と信じる
2.目標を実現させる情熱を持つ
3.楽観的
4.不確実性に耐えられる
5.他人に対する思いやりを持てる
これはそれぞれ違った側面の性質であり、よく素質を表しているなと思う。
映画「ウォール街」を見た。25年くらい昔の話なのだが、驚く事に現在の日本の株式市場で繰り広げられている物語そっくりだ。
当時の米国は日本の躍進から製造業が衰退し、不景気であったが、ウォール街ではM&Aや企業再生のマネーゲームが繰り広げられていた。
主人公のフォックス(チャーリー・シーン)は父が旅客機製造会社の労働組合長を勤める家庭に育ち、父を尊敬する面があるものの、今の時代(80年代前半)では、ものをつくるのはバカらしいと意見が対立していた。ウォール街の証券会社に勤め、金持ち顧客の獲得に必死である。
フォックスはウォール街で成功している投資家ゲッコー(マイケル・ダグラス)をなんとか顧客にしたいと必死にアプローチする。
フォックスの父はそんな息子の姿を単なる営業マンとバカにし、ウォール街で繰り広げられるマネーゲームを競馬と同じと軽蔑する。父との討論で、子は「パパの5倍の年収を稼いでいる」というのに、父に金をせがむ姿が哀れ。
フォックスはゲッコーに食い入るが、ゲッコーは上昇志向の強いフォックスに若き日の自分の姿をダブらせ、かわいがることになる。
だが、ゲッコーの容赦ないまでの貪欲さにフォックスはためらうが、結局金儲けと野望のために自分の父の会社の情報を売り、イケナイ領域に入る事となる。
ゲッコーの姿は現代の村上ファンドやハゲタカ外資ファンドと同じである。資本主義原則に乗っ取った強欲な金儲け。
だが、素晴らしいプレゼンテーションで人を惹きつける。だが、そんな姿さえも年を取ったフォックスの父は傲慢で信用できないと否定する。
ゲッコーがある株主総会での発言はそれは素晴らしいものだった。
現状の経営陣の怠慢を訴えるのだが、持ち株比率が3%も無いが高級の経営陣を非難する。
大衆映画とは思えないようなファイナンス用語が多数出る。IPO、増資、企業再生、ゴールデンパラシュート、ホワイトナイト、インサイダー取引、SEC、オフショアバンク。等
フォックスやがて父の会社が窮地に立ち、ゲッコーと株を取得し企業再生を行おうとする。だが、ゲッコーにとっては金儲けにすぎず、企業再生ではなく解体で儲けようとする姿を知り、フォックスはゲッコーと対立することになる。
すごいのは25年前なのに、携帯電話(でっかい)やパソコン(ワークステーション)による株取引が当たり前のように行われ、なんとそれを金持ち投資家が船の上で行っている場面があった。
今とちっとも変わらないじゃないか。
監督はオリバー・ストーンで、彼の父はユダヤ人でウォール街の株の仲介人だったそうだ。
この映画は製造業の地道なものづくりを否定した米国の不況に問題提示したものだと考えられるが、その後の米国の繁栄は製造業の復活ではなかった。
知的所有権、IT、インターネット、オフショア・アウトソーシング、軍事力、基軸通貨ドルの世界配布。
こんな形で米国が復活するなど、当時誰が考えただろうか?
今の日本はどうだろうか。製造業が10年以上にもわたり衰退したが、自動車、エレクトロニクスを中心に復活しつつある。米国と違い、軍事力も基軸通貨も無い日本が反映する方法を考えさせられた。
ビジネス英語の勉強にもぴったりだ。スクリーンプレイを買ったので何度も見て、ゲッコーのプレゼンテーションを学びたいと思う。
思い返すと、マイケル・ダグラスの作品は良い題材が多い。特に好きな役者という訳でもないのだが。。
http://skillstorage.com/archives/000020.html
色々な役がはまる役者なんだろう。
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