大前研一の新書「心理経済学」を読んだ。大前氏がBBTでもずいぶん時間をかけて書いたと言っているとおり、近年の著書の中では抜群の内容だと思う。
読んでいて、ふんだんにデータを用いて、マクロ経済学の理論では通用しない現象を日本人特有の心理現象として分析している。
ケインズやクルーグマンの理論の通用しない現象など非常に面白いと思った。
例えば、1500兆円というGDPの3倍もの貯蓄をゼロ金利に近い利回りでしか運用しない日本人特有の現象。これなんか自分も疑問に思うところだ。世界的には10%以上の利回りで運用するのが当たり前だと思うからだ。リスクフリーレートで考えても6%とか無い限りは、貯蓄は実際には目減りしていると思うからだ。
日本人の円安歓迎思考についても経済学的に考えると本当に馬鹿げているし。
さて、このような日本人特有の心理現象と世界の一般的な思考方法とを比べる事によって、様々な問題点が浮き彫りになると同時に、ビジネスチャンスというか金儲けのタネを見つけることが出来たんで、お勧めです。
但し、データとか引用にソースが無いのは相変わらずで、論文としては全く通用しないものなんですけど。個人的には、大前氏の将来予想はどうでも良くて、過去の分析に重点を置いて読むと良いかと思います。
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