›8 30, 2011

若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来

Posted by skillstorage at 07:06 / Category: 書評 / 0 Comments

本書は年功序列制度のかかえる日本企業の問題を分析したベストセラーである。
3年以内に会社を辞める者は今や35%を超えた。若者の忍耐力が無くなったなどと中高年は揶揄するが、辞めるには合理的な理由があると説明する。

その問題の核心はやはり年功序列制度にある。年功序列制度はねずみ講と同じで、中高年が若年層から搾取する構図となってしまった。これは年金制度と根本的には同じ問題である。
かつての高度成長期につくられた年功序列制度の前提には企業の業績拡大、人員増加があるのだが、もはやこれは時代にそぐわなくなってしまった。
逆に、企業が苦しめられているのは、中高年の高賃金、ポスト、そして解雇が出来ないということにある。そのしわ寄せが若年層に覆いかぶさってしまっているのだ。

もはや若者は大企業では課長にさえもなれない。賃金は平均すると中高年の生涯賃金の7割以下になってしまう。

現在の日本では、高齢者を支える社会福祉のために、生まれてきた子供は産まれながら1億5千万円もの借金を背負うと聞く。これと同じ構図が年功序列制度の企業に就職したときから若者は背負うという光景にみられるのだ。

3年以内に辞める若者は、その企業で生涯働くことの意義を考えたであろう。そして企業内でどのような人生を送るのか見えた時に辞めるという選択肢を合理的に選んだのだ。

3年で辞めなかった者、具体的には年功序列制度の下で30代になったものにとって最も読みごたえがあるだろう。それは30代になって年功序列制度の被害が直接的に受けるからだ。
賃金が上がらず、役職ポストも期待できない。上には団塊の世代からバブル期入社組の無能な管理職が大勢いる。
そんな中、結婚し、子供が生まれ、マイホームを住宅ローンで買った者たちは、完全に夢を失ってしまうのではないだろうか。

35歳を超えると転職が難しくなるという。40歳を超えるての転職はろくなところがないという。
これは、転職市場ができてまだ20年と新しく、ちょうどその年代が就職してからの年月と同じであると読んでいて気付いた。

もちろん年齢が上がるほど、体力は低下し、高い職務能力は要求される。それ以上に年功序列制度の解雇が出来ない企業においては40歳以上の中途採用ポストなど存在しないのだ。ところが、彼らは会社にしがみついて残っても今後はメリットは無くなるだろう。何しろ彼らはポストも無く、彼らの賃金上昇を支えるべき若年層も90年代末からの不景気による採用激減のためいないのだ。

今後テーマとなるのは、35歳過ぎの転職になってくるだろう。


›8 26, 2011

フランチャイズで借金地獄

Posted by skillstorage at 01:22 / Category: アントレ(起業) / 0 Comments

サラリーマン社会から脱出しての一国一城の主を夢見る人々は多い。現在のような不況下では、リストラされたり脱サラして商売でもやろうかという中高年のサラリーマンが増加している。先日もフランチャイズ(FC)本部の多数集まる展示会を見学した。
今や、FCは1万以上もの本部があり、コンビニ、飲食店、ビデオレンタル屋、不動産屋、介護デイサービスまで幅広く存在する。

FC本部にすれば、事業拡大のために運転資金が必要無いというメリットと、オーナー(フランチャイジー)の独立起業して商売人になりたいという双方のニーズが合致しているように思える。
展示会でのFCのアピールはいかに儲かるか、成功者のインタビューなどを交えて積極的にアピールしていた。

ところが、フランチャイズで失敗している人の話題がそのような展示会の場で出ることはもちろんないし、あまり情報が入ってこない。
実は、ここにFC経営の大きな落とし穴があるのである。

まずは、FCの仕組みを説明しよう。FC本部とオーナーが契約し、FC本部がオーナーに 商売のノウハウ と自社の看板(のれん)を与え、見返りにオーナーはFC本部にロイヤリティ名目のテラ銭を支払うというのがビジネスモデルだ。
契約時には数百万円もの自己資金もしくは借金をつぎ込むのが一般的だ。その資金の回収には長い年月がかかるか、もしくは回収できずに借金が膨れ上がるかだ。

オーナーは多額の資金、場合によっては全財産だけではなく借金をしてまでもそのFCビジネスに投資をするのである。
これは見方によっては宗教のお布施と似ている。出家する信者は全財産をお布施する。もう後には引けない状況なのだ。そのような境遇に陥ると、あとはひたすら信仰を深め信じ続けるのが救われる唯一の道である。

FCのオーナーも後に引けない人が大勢いる。全財産がそのビジネスにかかっていれば辞めることはできない。借金が残る。FCを信じて突き進むしか無いのである。
実際に経営不振の大手コンビニのオーナーを何人か知っている。地域には複数のコンビニが乱立し、売上不振のためオーナー夫婦は24時間体制で交代で経営に当たっている。収益はロイヤリティとしてFC本部に上納金として巻き上げられ、そのコンビニではオーナー夫婦の時給を換算すると、アルバイトを下回っているという笑い話が出るほどだった。

また、最近増加している塾経営のFCについても言及しておこう。月謝が2万円として、600万円の年収を得るには、70~80人の生徒が必要とうい計算になる。ところが、全日本私塾教育ネットワークによると、「FC塾の生徒は平均して16~20名」とのことだ。これでは、塾講師のアルバイトを雇えないどころか、教室の賃金やチラシといった固定費を支払うとほとんど何も残らない。

自分が大学生の頃、最も長続きしたアルバイトが塾講師だった。時給で2500円程度だったと記憶している。夕方の大学生にとって遊びたい時間を拘束されるという欠点を覗いては家庭教師と並ぶ良い時給であった。そこでは50人程度の生徒と大学生アルバイトが5人程度で回し、アルバイトが急に休んだ時にオーナーが代わりに教えていた。オーナーは脱サラして塾経営をしていると話していたが、今考えると生活はとても厳しかったのではないだろうか。

FC以外にも独立起業として人気があるのが、マンション経営、アパート経営だ。ワンルームマンションを購入し、「リスクは無いから」「住宅ローンは入ってくる賃料で払えますよ」とうまいことを言われるのが常套文句であるようだが、空室が発生すると当然住宅ローンの返済に生き詰まる。また、販売業者や管理会社が倒産して、予定の賃料が入ってこなくなるとういリスクも多い。

FCというのは本部は通常多くの人員で構成されており、契約や法務にもたけている。それを脱サラしたFCビジネスを何も知らない中高年が契約するというのは非常に無謀なことだと思う。会社に就職して嫌だったら辞めればよいが、FCオーナーになるとほぼ辞めることはできないのだ。よほどの覚悟が無い限りこのような世界に足を踏み入れてはいけないと思う。

世の中では退職金の積み増しによるリストラで多くの人員が職を失っている。それでも彼らは残りの長い人生を稼ぎながら生きてい中ければならない。彼らの退職金はフランチャイズ本部にとってはおいしいマーケットと映っているのではないだろうか。


›8 25, 2011

役に立つMBA 役に立たないMBA

Posted by skillstorage at 20:15 / Category: 書評 / 0 Comments

異色の経歴を持つヘッドハンター小松 俊明氏の転職の観点からMBAホルダーの価値を考察する書物である。

MBAを取得して華麗なる転職に成功をした者もいるが、MBA取得費用の割に思うような転職が出来ない者もいる。ヘッドハンターだけあって、数多くのMBAホルダーを見てきた分析と、詳しい事例が掲載されている。

個人的にはMBAというブランド力は非常に大きいと何度も体験してきた。日本の企業で客先でも、中国でもアメリカでもMBAホルダーということを知ると相手は大抵一目置くようだった。MBAホルダーはまだまだ少ないもののその知名度が大きいため、MBAというだけで「できる奴」という先入観があるのかもしれない。
また、ビジネスでは特殊な解決能力やうまく企業経営したりする能力があるという思いこみがある人も多い。

本書のテーマである転職に関して言えば、成功する人もいれば、うまくいかない人もいるという同意見だ。しかし、MBAを持っていないことに比べたら遥かに持っている方が転職上は有利である。ただし、MBAを取得する費用の1000万円以上の投資効果に見合うかどうかは、その人の能力や採用側による。

自分の知人関係で言えば、多くのものがMBA取得後に転職に成功している。
何故MBAを取得したかと言えば、彼らはやはり転職したいからだ。

大卒新卒で入社した会社の仕事が自分のやりたい仕事では無かったという者は多い。しかし、現実には一旦入社して職歴がついてしまうと他の業界に転職することは困難である。それを一気に逆転可能にするのがMBAである。

例えば、アパレル業界から証券会社、貿易会社から世界的マーケティング会社、生保から外資医療メーカ、国内メーカから外資系投資銀行、ITからヘッジファンドなど多くの転職成功者を見てきた。
さらにすごい事例でいえば、無職の期間が長くニートのような人間がMBAを取得してコンサルティング会社に就職した例もある。

このようにMBAには人生を大きく変える可能性を秘めている。本書では、いかにしてMBAを取得し人生を切り開いていったのかが何人もの例でわかる。

役に立たないMBAもあるだろう。しかし、それは一流大学卒業し成績優秀でも就職出来ない人がいるのと同様だろう。


›8 24, 2011

なぜ多重債務者がベンツに乗れるのか?

Posted by skillstorage at 04:41 / Category: 書評 / 0 Comments

世の中には借金を苦に自殺をする人が多い。借金は借りた金額もさることながら、金利が大きなプレッシャーとなる。わずか数十万円のサラ金の借金が数百万円に膨れ上がってしまった人もいる。たかが数百万円の借金が返せずに、人生に絶望し自殺してしまう人が後を絶たないのだ。

ところが、数億円、数十億円の借金を背負いながら、借金を踏み倒して平然としていたり、本書のタイトルにあるようにベンツを乗り回し人生をエンジョイしている人もまた多いのである。

本書では、合法的に、正々堂々と、借金を踏み倒す方法を豊富な事例を盛り込んで紹介している。
借金にも色々ある。事業ローン・住宅ローンをはじめとして、複数の業者からの多重借金を抱える債務者を救う借金返済術をがこんなにもあるのかと驚かされる。

例えば、「6億円の借金を踏み倒し、手元に残した1億円で再スタートを図った社長」、「4億円の借金を踏み倒し、家を手放すことなく、ベンツを乗り回し続ける社長」、「3億円の借金を踏み倒し、事業再生に成功した社長」など、合法的に借金をゼロにして、人生を再スタートさせた成功者の事例が満載だ。

また、これらの本ではあくまでも合法的な借金踏み倒し術が紹介されているのだが、読んでいればわかるのだが当然非合法に借金を帳消しにした人も多くいる。
例えば資産隠しであったり、自己破産の際の現金隠しや偽装離婚など、借金から逃れて、無借金どころか資産を持ちながら人生をやり直すこと立って可能なのだ。

借金で苦しんでいる人には、是非読んでもらいたい一冊だ。


›8 22, 2011

杉村太郎氏がガンで死去

Posted by skillstorage at 14:53 / Category: 日々雑感 / 0 Comments

思い返すと杉村太郎氏は自分の人生の節目に何度も大きな影響を与えてきた。そして毎回違った杉村太郎に触発されてきた。

初めて杉村太郎を知ったのは、恐らくまだ中学生の頃だろう。テレビ番組でシャインズというサラリーマン歌手が紹介されていた。今でもはっきりとそのシーンが思い返されるのだが、夜のライブハウスに大勢の女性が押し掛け、まるでアイドル歌手のような人気のサラリーマン歌手の2人組の一人だった。その番組では、彼らが平日昼間はバリバリのエリート・サラリーマンとして活躍している姿を追っていた。代表曲「私の彼はサラリーマン」は大ヒットし、ハイチューのテレビCMなんかにも出演していた。

まだ日本が好景気だったからだろうか。颯爽とビジネス街を走り仕事に翻弄する姿、そして夜はプロの歌手として活躍する姿というのはとても輝いて見えた。

その後時は流れ90年代後半の就職シーズンになっていた。山一証券など大手証券会社、銀行、生保などが倒産する不況で、戦後最悪の就職氷河期だった。
当時の就職指南本は「面接の達人」を誰もが読んでいる時代で、OB先輩達も勧めていた。しかし、そこで出会った杉村太郎の就職本「絶対内定」はその他の就職本と全く違う趣の書物で読んで衝撃を覚えた。シャインズ時代を知っていたので懐かしさもあったが、杉村太郎がその後就職のための私塾「我究館」を起業したことを知って驚いた。
「絶対内定」は、いわゆる就職するための本では無かった。自分と向き合い、自分はどんな人間なのかを知り、どのような人生を送りたいのか、真剣に対峙させられるような内容であった。今まで考えたことも無かった自分自身や将来のことを考えさせられ、就職してからも何度も読み返した。

就職してから自分の人生に就いて考えることが多かった。不景気な時代に就職したものの同期の同僚達は会社のサークル活動を行ったり、それこそ一生そこで働くことに疑いを持っていないようだった。しかし、仕事はつまらなかった。学生が想像していた仕事の内容とは大きく違い、とても一生働きたいとは思えなかった。

就職して4,5年もするとやっている仕事が当たり前になり、自分の人生だとか将来の夢なんか考えなくなるものかもしれない。そこそこ仕事もまかしてもらえるようになりやりがいも出てくるものだ。毎晩深夜まで働く日々が続き、結婚をして、代わり映えのない日々が過ぎていった。ある時、「絶対内定」のワークシート(自分の性格や経験や目標などを細かく書く書物)を読み返してみた。そこには学生時代の野心や夢が詰まっていた。

さらなる成長を目指して米国留学しMBAを習得しようと思った。しかし長年英語から離れていて留学に必要な英語力が短期間で身に就くのか。そんなことを考えていた時、再び杉村太郎の書物に出会った。「TOEIC900点・TOEFL100点への王道」という本で、これまた驚いた。杉村太郎は、私塾「我究館」の館長をやりながら、死んだ親友の夢のためハーバード大学ケネディ行政大学院に留学していたのだ。時間が無い中で、必死に真剣に挑むことで、何だってできるという気になった。

杉村太郎は情熱の塊だ。真剣に生きることによって道はいくらでも開けるという、自分にとってかけがえのない大切な生き様を教えてくれた。
「死ぬ気でやれよ、死なないから」、「本気でやれよ、楽しいから」とはよく言ったものだ。杉村太郎自身が一番自己実現を求め突っ走って生きているのを感じさせられた。

MBA習得から数年経った。また人生の刺激が欲しく、必死になって生きたいとよく思う。
そんな時、杉村太郎は何をやっているのだろうかと思ったものだ。

就職対策だけでなく、ビジネスマンのための英語塾など幅広くやっている一方で、ハーバード大学ウェザーヘッド国際問題研究所研究員になったとのことだった。
自分も現状に満足せず、真剣にがんばろうといつも鼓舞された。

そんな自分にとって人生のメンターのような存在の杉村太郎氏だが、47歳という若さで亡くなった。原発不明癌で闘病生活を送っていたという。


›8 17, 2011

トリプルA 小説 格付会社|黒木亮

Posted by skillstorage at 08:54 / Category: 書評 / 0 Comments

これまで謎のベールに包まれていた格付会社の生い立ちからリーマンショックに至るまでの内部事情や様々な金融機関での事件を取り扱った黒木亮の大作である。
黒木亮の小説の特徴でもある実話に基づいたフィクションであり、約8割が実話を元にしており残りの約2割が主人公をはじめとした登場人物の物語といった構成だ。これまでの作品同様、金融業界で起こった様々な事件や案件を精緻な取材を元に細かく解説されているため、格付会社の舞台裏やストラクチャードファイナンスについて学ぶのにも最適な書物だ。

格付会社の80年代後半からの黎明期から日本で定着し、やがて金融業界で重要な地位に至り、リーマンショック後の存在意義の疑念に至るまで細かく知ることが出来る。

主人公の乾慎介はM大学を卒業して和協銀行の銀行員になったが、障害児の子供を持ったことにより人生が大きく狂うこととなる。多忙な銀行を辞め日系格付会社に入るものの、障害児の子供の将来の資金のため最大手の米系格付け会社マーシャルズ・ジャパンに入社する。
マーシャルズは上場後、収益拡大のために投資家のための格付といった理念から、債権や企業の格付からストラクチャードファイナンスへと傾倒していくこととなる。マーシャルズ・ジャパンの代表となった投資銀行出身の三条誠一郎の収益至上主義と対立し、結末では驚く展開となる。

他の登場人物は、日比谷生命保険会社社員の沢野寛司と証券会社出身でマーシャルズに入り、リストラされその後2番手のS&Dに入る格付アナリストの水野良子がいる。3人の主な登場人物が交わることはほとんどないが、それぞれが格付会社に翻弄されることとなり、ストーリーに深みを与えるために重要な役割を演じる。

山一証券が不良債権の「飛ばし」で大問題となり、社長が野沢に交代後倒産することとなるが、これもまた非常に細かく裏話も交えて紹介されている。
また、前三井住友銀行頭取で現在は日本郵政社長の西川善文は、小説上では名前が変えられているが、独裁的な銀行運営を行い、米国投資銀行のゴールドマンサックスと結託していく様子も書かれている。

SPC法を成立させた女官僚片倉さゆりは、民間企業は官僚にひれ伏すのが当たり前と考えている傲慢な人物だが、これは片山さつきのことであろう。
登場人物や企業は実名が多いが、裏話などリアルな内容に及ぶ者や会社名は、実名を控えているが容易に推測がつくだろう。

ムーディーズ、S&Pはどちらも2000年以降、金融業界において存在感が急上昇したが、その背景には収益拡大や利益相反によるいい加減な格付があったことがわかる。

米国ではNINJAローン(No Income No Job No Asset)と呼ばれるような、低所得者層、ヒスパニック移民層にまでサブプライムローンを売りさばいた。
年収を遥かに超える支払い金利と元本であるにもかかわらず、住宅市場の価格上昇という過去のデータを元に算出された格付は、CDO(Collateralized Debt Obligation)に組み込まれ、証券化された際には日本国債以上の格付となったのだ。

商業用不動産においても証券化によりREITが流行した。米国で不動産バブルの時、人の住んでいない高級住宅が多いのを見て驚いたことがある。
商業も工業も無いような地方都市の郊外に、町がどんどんとできていくのだ。日本のバブルと同じように不動産の価格が上昇するからそれを見込んで買う人が後を絶たなかった。日本よりもましなのは、住宅ローンがノンリコースローンであるため、不動産価格が購入時より低く時価評価が低くなった場合(Underwater)に、借金が返せなくなっても不動産を処分すれば借金が人が負わない点がある。しかしそれは貸し出し銀行と証券化によって債権を保有したもの、その債権にかけられたCDS(Credit Default Swap)という保険に大きく跳ねかえり、大規模な金融危機となった。

格付会社の国債に対する格付けは不明点だらけである。日本国債はボツワナ以下の格付けとなったため、カントリーシーリング(国内企業はその国の格付け以上の格付を取れない)により日本企業の資金調達にも大きな影響が出た。しかし、その後日本市場を重要視した格付会社は、財政状況の悪化と膨れ上がる国債にもかかわらず、日本国債の格上げを続けた。

ストラクチャードファイナンスでは、収益性デリバティブ商品を格付で投資家にお墨付きを与えることにより「トリプルA」の格付をとるようにローンを組み合わせて、ローリスクハイリターンの金融商品を作り出し、レバレッジをかけた機関投資家に対して売りさばき、リーマンブラザーズの破綻で一気にクラッシュした。

この小説はリーマンショック後の大混乱と主人公の乾慎介の新しい人生の出発で幕を閉じているが、現実世界ではまだまだ大波乱が起こっている。S&Pは米国債を格下げしたが、米国債は買われ続け金利が低下している。この小説で格付会社への理解を深め、今後の経済の行方にたいして思いをめぐらしている。

›8 11, 2011

もぐさでほくろ除去

Posted by skillstorage at 01:33 / Category: 健康法 / 0 Comments

もぐさと言えば、腰痛・肩こりなどのお灸を思い浮かべるかもしれないが、実は「ほくろ」を取るためにも使えるのだ。
ほくろ除去はレーザー照射による除去が美容整形外科などで行われているが、もぐさお灸での除去も原理的には基本的に同じだ。
レーザーは局所的に熱エネルギーを集中させることにより局所を焼き切るイメージであるが、もぐさを用いてもレーザほどの熱量はないものの、ほくろを焼くことによって炭化させるのだ。

実際にやってみたところ、3火(もぐさを3回お灸する)を3日間やったところ、ほくろの周りが水膨れをおこしほくろが浮き立った。その後数日間でほくろの黒い皮膚の固まりがポロっと取れた。取れた個所は陥没したが、やがて時間とともに皮膚が再生され埋まっていった。

ほくろ以外にもシミやイボに対しても行ってみたが同様に除去することが出来た。

これが病院でほくろ除去を行えば1個数万円かかることを考えると、もぐさは千円もしないでほくろを取り放題である。
顔のほくろを実際にとって見たが、もっとほくろを取りたくなったもののほくろがもう無くなってしまった。


›8 10, 2011

ハローワークに行って考えたこと

Posted by skillstorage at 01:31 / Category: 日々雑感 / 0 Comments

平日の昼前に時間があったので通りかかったハローワークを覗いてみた。初めての経験ではあるが、失業者に交じり求人情報を見れる端末を案内してもらい使ってみることとした。ちょっとした興味本位で思いついたことであったが、ハローワークには多くの失業者と思われる人たちが必死で端末にかじりついていた。
20代から60過ぎと思われる人まで男女問わず、ごった返している状態だ。

ハローワークを使って中途採用を行った経験があったので、彼らがいかに仕事を見つけるのが困難なのか想像は容易かった。
企業がハローワークに求人を乗せると応募者が殺到する。最近では年齢制限が厳しく制限されているため、採用を意図していない50代、60代からの応募も殺到するのだ。

応募者が失業に至った経緯はそれぞれ違い、倒産であったり解雇であったりと複雑な事情を抱えているものばかりだ。
40歳を過ぎた応募者の多くが大卒新卒者とそれほど変わらない賃金の求人に殺到するのだ。それでもその求人の採用に至る人はほんの一部でしかない。

ハローワークの端末の前に座り観察をしながら、自分が彼らのような状況であったらどうするかなど考えさせられた。
勤務していた会社以外では使えない職務能力を持つものが、40歳を過ぎてから失業したら何を売りにして生きていけばよいのか。
もちろん技術や営業経験など広い範囲での経験が役に立つと必死でアピールすることになるのだが、それは誰もが当たり前のように経験してきていることであり、多くの失業者の中から採用されるには注目される突出した能力が必要なのだ。

失業して1年、2年と求職活動している人もいる。家族を養っていかなければならなず、住宅ローンも抱えているかもしれない。子供は学校に行くのに父ちゃんは会社にいかず求職活動を続けるというのはどれほど辛いものだろうか。

これこそが会社に依存してきた人生の大きな代償なのだろう。
彼らは、不景気な社会の呪ったり、前勤務先を恨んだりするのだろうか。もしくは自分の不遇な人生を嘆くのであろうか。

いかなる状況においても自分の直面している事実を受けれなければならない。現状に対して自分自身に全ての責任があると考え直さないといけない。

勤務先に依存しない能力を身につけ、仕事以外にも自己啓発をしなければいけないし、資格も取得しておくべきだ。
どんな状況におちいっても生きていける能力があれば、何も怖いものはない。

›8 09, 2011

クリスタルボウルで瞑想

Posted by skillstorage at 10:32 / Category: 健康法 / 0 Comments

1日5分でも瞑想することによって心の安らぎや落ち着きを得ることが出来る。
ストレス社会で忙しく生きる中でもわずかな時間を瞑想に割くことで、生活に変化を感じることができるようになるはずだ。

瞑想を行っている時の難点は、周りの雑音が気になったり雑念がわいて、なかなか心を無にすることができないことだ。

ある日、クリスタルボウルの音に出会った。
クリスタルボウルは、古代から伝わる不思議な音を出す楽器だ。
音楽とは言い難いが、叩けば鐘のような音がし、なでると高音と重低音の混ざったなんとも不思議な音が出る。

クリスタルボウルは古くからヒーリングに使われ、この音を聞くと脳波がアルファー波からシータ波に変わるという。
要するに瞑想の状態と同じ効果があることから、瞑想と組み合わせることで相乗効果が得られるのだ。
精神の高ぶっているときなどに聞くと非常に効果があるのが実感できる。


›8 03, 2011

普通の人がこうして億万長者になった|本田健

Posted by skillstorage at 05:24 / Category: 書評 / 0 Comments

長者番付にランキングされている億万長者にアンケート調査を行った結果を元に、普通の人がどのようにして億万長者に成り得たのかその実態にせまる書物である。
米国で話題になった書物「となりの億万長者」にも通ずるところがあるのだが、億万長者になった人の行動には一定の傾向があり、また日々の生活スタイルにも特徴があることが歴然となった。
多くの人がイメージする億万長者イメージ像とかかけ離れており、実際には億万長者は収入の範囲の身の丈に合った生活をするどころか、むしろ一般人よりも質素な生活を好む傾向が明らかになっている。
本書では、アンケートに記載された億万長者の考えや経験がふんだんに盛り込まれており興味深い。

また、億万長者になる過程で多くの人が死ぬほどの苦労や困難に直面したという事実に注目した。誰もが人生に置いて困難に直面する。それに対してどのように向き合い、乗り越えていくかが人間の価値が試される場面である。億万長者は、それを乗り越え現在の地位を獲得しているのだ。

平凡に生活しているだけでは億万長者になることができない。しかし、ちょっとした差の積み重ねや考え方の切り替えによって億万長者になり得たという事実がまた希望を与えてくれる。


›8 02, 2011

ウェルテル効果|1年間に3万人の自殺者

Posted by skillstorage at 09:00 / Category: 日々雑感 / 0 Comments

日本は先進国の中で際立って高い自殺率となっている。97年まで2万人強だった自殺者数は98年からその後ほぼずっと3万人を超えており、身内や知人の中でも自殺した人がいるのではないか。なにしろ、年間3万人の自殺者という数字は、交通事故死者数の6倍以上である。

ウェルテル効果とは、メディア等による自殺の誘発する効果のことである。
ゲーテの「若きウェルテルの悩み」を読んだ若者が、主人公と同じ方法で自殺する事件が相次いだことから名づけられる。

日本では、かつて90年代前半に「完全自殺マニュアル」が発行され大ヒットとなったのと同時に、この本で書かれている方法で自殺する人が相次いだことがある。
また、有名人の自殺の直後は自殺率が上昇するというデータも見られている。

予断ではあるが、「完全自殺マニュアル」は自殺を勧める本ではなく、個人の自殺する自由を主張し、様々な自殺方法を紹介している本だ。倫理的に自殺はいけないという価値観を破壊し、生きるのも死ぬのも人間の権利としている点が学生時代に読んだ時に画期的に思えた。

1年間に3万人の自殺者の内訳として、病気を苦にする自殺者が1万5千人程、借金など金銭面での生活苦にする自殺者が1万人弱のようだ。
病気のうち鬱病が半分程度を占めている。鬱病の発症がリストラや失業が多いことも良く知られている。
実際、自殺者数と失業者の相関のデータもあり、深い関連性がある。なんと自殺者のうち無職者が60%も占めているのだ。

何故、98年から自殺者数が大幅に増加したのか。金融危機が発端という話や、住宅ローンの「ゆとりローン」というサブプライムローンのように数年後急上昇する返済額が支払えなくなってしまう商品のせいという話など色々がるが、全てに原因があるのだろう。

「ゆとりローン」はバブル崩壊後にも関わらず、景気回復を前提とした賃金の年齢に応じた上昇を前提に設計された。その後も景気刺激策として住宅ローンの優遇政策は継続的に行われてきた。
住宅ローンの返済に生き詰まって精神を病んでいる人は恐ろしく多いし、返済できずに自殺を選ぶ人もまた多いのであろう。

そもそも住宅を購入するという行為が無謀な者が多い。現在の賃金が維持されていることや、場合によっては賃金の上昇や残業やボーナスが支払われることを前提にローンを組んでいるような馬鹿もいるのだ。
現実には、住宅購入者の多くが身の丈に合っていない行為をしているのである。
まず、新築で購入するということは、多くの場合不動産取得時点で価値が劣化してしまい、その後に売却しても住宅ローンの借金が残るという状態に陥ってしまう。
また、住居は習得すると固定資産税もかかるし、将来のリフォームに備えた積立や維持費も必要なのである。その点を忘れて毎月の費用がかさんでいる人が多い。
そして、多くの人が結婚後子供との生活が前提で家を買うが、子育てが終わる20年後にはそのような広い家は不要なのである。

失業して収入が無い人もまた悲惨である。住宅ローンなど借金が無いとしても、養育費や生活費が必要だ。
それ以上に就職活動しても採用されないという社会に不要な人間という烙印を押されることがたまらなく辛いだろう。

これらの点で悩んで自殺を考えている人がいたらどうか冷静になって思いとどまってもらいたい。借金苦でも失業でも自殺する必要はないからだ。
借金苦に関しては、自己破産や住宅の任意売却などで借金をチャラにして人生をやり直すことはいくらでも可能だ。失業しても働かないで生活保護を受けることもできる。
仕事が無いからといって社会から認められていないということでは無い。無報酬でボランティアをやっている人の方がよほど社会に貢献しているとも思える。

将来に絶望してしまっている人も多いかもしれない。最近は、朝起きて新聞を読むと辛くなる。不景気は続き暗い記事ばかりだし、少子高齢化や財政破綻寸前の日本の将来が明るいとはどうしても思えないのだ。しかし、それさえも大したことは無いだろう。日本では飢え死にする人はいないし、平日仕事をして週末には休んで遊べるという環境なのだ。

辛いのが人生でもあるし、その中に楽しみや喜びもある。自分の不遇や環境をも笑い飛ばし、ひたすら前に進む楽観主義者が一番得をするのだ。


›8 01, 2011

大震災の後で人生について語るということ|橘玲

Posted by skillstorage at 01:30 / Category: 書評 / 0 Comments

この本は、私たちの世界を変えた「2つの災害」について書かれています。ひとつはもちろん東日本大震災と原発事故、もうひとつはいまから14年前に日本を襲い、累計で10万人を超える死者を出した「見えない大災害」です。

この「見えない大災害」によって戦後は終わり、日本は新しい社会へと移行しはじめました。しかしほとんどのひとはこのことに気づかず、3.11によってはじめて、私たちはこれまで目をそむけていた人生の経済的なリスクに正面から向き合わざるを得なくなったのです。「まえがきより」

衝撃的なまえがきで始まる本書は、橘玲の知と思考の集大成と呼べる。

これまでの日本の経済成長を基盤とした我々の生活は、国の成長が止まり経済衰退と人口減少が始まることによって価値観の変化が求められている。
日本企業や産業は国外に流出し、雇用機会が減少する状況が続いている。国の借金は膨大に膨らみ、少子高齢化による社会保障の負担増に対して、どのように解決すればよいのかその方法さえもわからない現状がある。

戦後の日本経済の発展は奇跡的ではあったが、もはやその経済力を発揮することができなくなりつつある。
我々の生活は依存することによって成り立っていた。それが4つの大きな神話として本書では問題提起されている。

不動産神話、会社神話、円神話、国家神話。

どれもが当たり前のように安全で、生活の基盤を支えると思ってきたものだ。しかし、この神話の前提である日本の経済成長は崩壊しつつある。
その暗澹たる日が訪れた時、我々はどのようにして生きていけばよいのだろうか。

製造業中心の日本の大企業は海外に生産を移管させることにより、国内産業の空洞化とそれに伴う高い失業率はやがて内需企業であるサービス産業をも不況へと向かわせることとなる。リストラや倒産にあった失業者を受け入れる企業はもはや国内には存在しない。人口は少子高齢化による現象のみならず、労働人口の国外流出も見られるようになり、立ち並ぶ高層マンションは売れなくなり、空き家が増加する。景気対策の国債発行は償還のめどが立たず借金は膨大に膨れ上がる。為替は大きく変動し、円を基軸とする国内産業は大きな痛手を蒙る。そして膨れ上がった社会福祉に対して拠出するあてがもはや無くなるのである。

本書は未来を予測する本ではないが、新しいパラダイムで自立した生活を如何にして獲得するか、その方法を提示してくれる。

不動産価格は上がり続けると思われてきた。何よりも安心な資産であり、賃貸より持ち家は得で、35年もの借金をしてでも購入するのが当たり前のように思われてきた。
会社は解雇できないし、潰れない、年齢とともに賃金が上昇するのが当たり前と思ってきた。
資産の全てを日本円をベースとして保有するのがこれまで最もリスクが低く、高いリターンを得ることができた。
国家は破綻しない。定年後は年金で暮らし、病気の時など生活の保障は国が手厚く面倒を見てくれるのが当たり前だと思ってきた。

しかし、パラダイムの変化は、やみくもに不安や絶望に陥れるだけではない。誰もが持っている個人の能力を発揮する機会と日本を中心とし考えず世界全体で資産運用を考えることで、国家や会社に依存せず自立して生きる道は開かれる希望があることを本書は教えてくれる。