›8 25, 2011

役に立つMBA 役に立たないMBA

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異色の経歴を持つヘッドハンター小松 俊明氏の転職の観点からMBAホルダーの価値を考察する書物である。

MBAを取得して華麗なる転職に成功をした者もいるが、MBA取得費用の割に思うような転職が出来ない者もいる。ヘッドハンターだけあって、数多くのMBAホルダーを見てきた分析と、詳しい事例が掲載されている。

個人的にはMBAというブランド力は非常に大きいと何度も体験してきた。日本の企業で客先でも、中国でもアメリカでもMBAホルダーということを知ると相手は大抵一目置くようだった。MBAホルダーはまだまだ少ないもののその知名度が大きいため、MBAというだけで「できる奴」という先入観があるのかもしれない。
また、ビジネスでは特殊な解決能力やうまく企業経営したりする能力があるという思いこみがある人も多い。

本書のテーマである転職に関して言えば、成功する人もいれば、うまくいかない人もいるという同意見だ。しかし、MBAを持っていないことに比べたら遥かに持っている方が転職上は有利である。ただし、MBAを取得する費用の1000万円以上の投資効果に見合うかどうかは、その人の能力や採用側による。

自分の知人関係で言えば、多くのものがMBA取得後に転職に成功している。
何故MBAを取得したかと言えば、彼らはやはり転職したいからだ。

大卒新卒で入社した会社の仕事が自分のやりたい仕事では無かったという者は多い。しかし、現実には一旦入社して職歴がついてしまうと他の業界に転職することは困難である。それを一気に逆転可能にするのがMBAである。

例えば、アパレル業界から証券会社、貿易会社から世界的マーケティング会社、生保から外資医療メーカ、国内メーカから外資系投資銀行、ITからヘッジファンドなど多くの転職成功者を見てきた。
さらにすごい事例でいえば、無職の期間が長くニートのような人間がMBAを取得してコンサルティング会社に就職した例もある。

このようにMBAには人生を大きく変える可能性を秘めている。本書では、いかにしてMBAを取得し人生を切り開いていったのかが何人もの例でわかる。

役に立たないMBAもあるだろう。しかし、それは一流大学卒業し成績優秀でも就職出来ない人がいるのと同様だろう。


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