›3 25, 2010

非ケインズ効果

Posted by skillstorage at 17:51 / Category: 政治経済(Political Economy) / 0 Comments

景気対策にケインズ理論が未だ大きなウェイトを占めている。世界各国の景気対策も財政出動頼みだ。
つまり景気が悪化したら財政支出を拡大することになる。
家電業界のエコポイント、自動車業界の補助金制度、製造業の工場休業に伴う雇用補助金も財政支出によって効果を発揮した。
そのような財政出動で一時的に景況回復しても、政府の借金は増えていく。

非ケインズ効果とは、財政赤字が累積しさらに財政支出を増やすことにより将来的な増税負担が国民に強いられる恐怖心から、逆に消費を貯蓄に回してしまい景気が悪化してしまう現象である。
日本国は現在の負担を先送りにし借金地獄に陥りつつある。いかにして借金を返済していくのか、増税はいつなのか、そのような当たり前の再建プランを国民に提示しないかぎり、不況でかつ将来の増税や社会保障の減少が怖いというのは当たり前の消費者心理ではないだろうか。

設備投資を促す施策が必要

Posted by skillstorage at 17:51 / Category: / 0 Comments

企業の競争力を測る指標に生産性がある。例えば日本の労働生産性に関しては米国の7割程度と低い。
http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/h20/h20/html/k2120000.html

最も米国の場合製造業もサービス業も中小企業が少なく、大企業の寡占化によって効率化と規模の経済があるため生産性が高いのだと思う。

企業の生産性は企業の付加価値(利益)に直結する。付加価値を上げるためには、安い賃金で雇うか、M&Aにより規模を拡大し効率を向上させるか、効率の良い設備を導入するかが重要だ。
安い賃金で雇うのは高齢化して移民を受け入れない日本の環境では困難である。米国やヨーロッパのように移民を受け入れれば確実に生産性は向上するが、それを望まない日本国民が多いだろう。
M&Aも有効だが、日本は企業と労働者の関係が家族的で、敵対的買収も一般的では無く、合併・吸収後の解雇も困難な環境である。
敷居が低いのが設備投資を促すことだと思う。

製造業もサービス業も、現代では多くが設備に依存した装置産業である。品質が良く効率の良い設備によって生産されることが人件費の高い日本で競争力を維持する方法としては良いのだと思う。ところが、最近では日本企業は設備を更新せず古く生産性の低いものを使っている企業が多く、むしろ中国のような発展途上国が最新の設備を使っているケースが見られるようになった。

人件費でも設備でも負けている。そんな状況だからこそ政府のできる政策として設備投資を援助する補助金や税制が効果的なのではないか。
このままでは設備に依存してる企業は設備投資の減少から国内では立ちいかなくなり、海外に活路を求めたり、海外企業に負けてしまい、ますます日本の競争力が低下してしまうのではないかと心配だ。

為替政策

Posted by skillstorage at 17:50 / Category: 政治経済(Political Economy) / 0 Comments

景気対策として国が取れる対策は財政政策と金融政策だけである。だが国際的な批判を受ける覚悟と莫大な資金があればもう一つの政策が取れる。
それが為替政策である。為替政策とは、自国の通貨の為替レートを都合の良いように支配することである。
自国の通貨が安ければ、自国の輸出産業が潤い、高ければ輸入産業が潤う。

為替政策を世界中の批判を受けながら強引に行っている国家が中国だ。かつて日本が製造業の輸出で急成長していたのは安い円のおかげで品質の悪い日本製が売れた。その後日本製の品質は世界一にまでなったが、プラザ合意後の円高によって急速に競争力を失った。
中国は発展途上であり、品質は悪いが安い人民元のおかげで急成長しており、過去の日本と同じパターンである。現在米国を中心に中国の為替のペッグ(固定相場)が批判されている。しかしここで元の切り上げを行うと中国の多くの製造業が倒産してしまい競争力を失っていまう懸念がある。

中国がすごいのは世界中で批判を浴びても決して屈しないところであり、日本とは対極的である。その根底には軍事力の担保があるのだとは思うが。
また為替を維持するための外貨資金も潤沢にある。

元の切り上げ動向は注目され、欧米の経済紙では毎日のように報道されているが、このように考えるとすぐには無いということがわかってくる。いつ元の切り上げが行われるのか。中国の産業も輸入と輸出で成り立ち、今は主に先進国への輸出が主力である。それが米国のように国内消費が中心となり輸入に頼るようになると強い元が有利になるということは間違いないだろう。

›3 24, 2010

雇用保蔵|潜在失業者

Posted by skillstorage at 19:08 / Category: HR(人事) / 0 Comments

昨年に完全失業率5.7%という過去最悪の数字は日本中に衝撃をもらたらした。
その一方でスペインのように失業率が20%を超える国もあり、先進国の中では失業率は小さいほうだという意見もあった。

雇用保蔵とは、経済白書に登場した言葉で、最適な雇用者数と実際の常用雇用者数との差とのことである。
その数字は約600万人に当たり、潜在的な失業率は14%に達する。

ご存知の通り日本は解雇が非常に制限されている。街中にあふれる失業者をはるかに上回る数の社内失業者が存在するということで、解雇が制限されなければ失業者は増加するということだ。

解雇が制限されることにより失業者が押さえられているという見方もあるが、逆の見方もある。これからの時代新規採用や転職による就職活動は非常に厳しくなり、企業は不要な人材を多く抱えなければならなくなる。そのことによる国際的な競争力の低下の弊害の方が大きいのではないかという意見である。

労働組合に守られ、能力のない者が雇用と収入を維持される一方で、若者や倒産による失業者の雇用機会が奪われる。成熟し衰退期を迎える日本経済で企業にとっては大きな足かせになるのではないか。また成長機会に恵まれている企業も新規採用を抑え、出来る限りアウトソーシングと非正規社員の採用をしようと思うのではないだろうか。

企業と労働者が対等で公平な市場であれば、企業は能力が無ければ解雇できるが、労働者もより良い報酬の企業を選択できる機会が増え、自己啓発による能力向上努力も行うのではないか。弱肉強食の自然の掟と同じだが、現在の社会は既得権益に守られる者と奪われる者をつくりだしてはいないだろうか。

›3 22, 2010

団塊の世代の夢想した生活|太陽の季節|石原慎太郎

Posted by skillstorage at 10:30 / Category: 書評 / 0 Comments

昔から退職時期を迎えている団塊の世代のお父さん方って結構単純でパターン化できると思っていた。価値観が多様化されていなかったので少ないパターンに分類できるのだ。

彼らの世代を大きく2つに分類するならばモラトリアム(自由な猶予期間)を体験したかどうかが重要だったと感じる。それは大学に行ったかどうか、裕福な家庭に育ったかどうか、といった議論も多くされているので結局そのような価値観に通ずるのだと思う。

団塊の世代の連中が育った環境は日本は敗戦処理で、多くの国民が貧困層であったもののその後の高度成長期でほとんどが中産階級意識を持つに至った。彼らの世代の多くは大学まで行くことのできない家庭で育ち、中学、高校卒業後すぐに働かざるを得ない環境だったし、労働が美徳として育ったと言われている。

充分に青春を謳歌することなく社会に出たものと、いわば時間を持て余す大学生活を送ったもので価値観の形成が違うのは無理が無いと思う。そのため団塊の世代を親として持つ団塊ジュニアは理解力のある父、ない父、厳しい父、友達のような父と極端に分かれているのではないかと思っていた。

昭和30年代の貧しい中で石原慎太郎は「太陽の季節」を大学生の時に発表し、その小説の中で描かれた裕福な家庭で甘やかされて育った男子達を描いて衝撃を与えた。親から買い与えられた自動車を乗り回し、夜はクラブで遊びまくりナンパに明け暮れる。週末は海辺の別荘でヨットに誘う。大学に通いながらも特に目的を持たずモラトリアムを謳歌する。当時ではおよそ考えられなかった裕福な生活だったに違いない。だが、それから50年経つとほとんどの日本の若者は、太陽族と呼ばれた得意な学生と同じ生活をすることになってしまった。

今はまた不況で、現在の大学生は実にシビアな見方をしている。戦後最も優秀な人材はこの中から生まれてくるのではないかと思う。彼らは、浪費や無駄な遊びを軽蔑し、また国の将来をこれまでの世代が無関心だったのとは対照的に心配している。
コミュニケーションのあり方も変わり、右傾化などと言われているが、それは彼らを全く理解していない。

彼らを理解する本はまた別の機会に紹介したい。


›3 21, 2010

史上最強の投機家ソロス

Posted by skillstorage at 18:47 / Category: 書評 / 0 Comments

ジョージ・ソロスほど有名で成功したウォール街の人間はいない。ソロスの成功には過去の虐げられた少年期の影響が思想に大きな影響を与えている。

ハンガリーのユダヤ人であったソロスは少年時代にナチスドイツの迫害に合う。生きるためにナチスがユダヤ人の資産を没収する仕事をして生き延びてきたのだ。
生きるために同胞を不幸にする仕事に加担するということはどんなに辛かっただろう。

その後、旧共産国家を資金面で支援している。

ソロスが有名になったのは、ポンド売りでイングランド銀行と勝負をして勝ったことやマレーシア、タイなどアジア危機で新興国国家とも対決したことだろう。
各国のトップはソロスを名指しで批判した。

国家の金融政策をめちゃめちゃにして莫大な利益を上げた。しかしソロスにとっては各国の中央銀行や政府の対応が馬鹿だから儲けただけだ。実際にイギリスがソロスのポンド売りで敗北した時には、イギリス国民の多くはソロスを拍手喝采し、政府を罵倒した。そして皮肉なことにイギリスはポンドの下落とともに経済復興していったのだ。

マレーシアのマハティールなんかもずいぶんとソロスを批判した。しかし、ソロスの思想がわかるにつれてソロスの目指す国家像、世界像がわかってくる。

ソロスは金融市場をより合理的な完成されたものに導きたいと思っている。政府の介入というのは市場の効率性を破壊するものであり、戦争も政府によっておこされる。政府が介入しても市場はやがてもとの姿に戻ろうとする強い圧力が働き、そこにアービトラージ(裁定機会)が発生して金儲けができる。

ソロスの人生の前半は不幸の連続であった。今は大富豪だが何か崇高な目的のために巨額のマネーを動かし続けているのではないかと思う。


›3 20, 2010

中卒の組立工、NYの億万長者になる。

Posted by skillstorage at 18:56 / Category: 書評 / 0 Comments

本屋でなんとなく手にした本だが、心底おどろいた。
世の中には凄い人がいるものだとつくづく感心し、人生は努力によって道が切り開けるのだからこういう生き方ができたら楽しいだろうなと希望がわいた。

何しろ筆者は中卒だ。田舎から長野にあるオリンパス光学に卒業後出稼ぎにやって来る。当時は中卒の組立工でもオリンパスは人気企業でほとんど入社ができなかったという。
組立工といってもイメージできないかもしれないが、昔の日本は今の中国やベトナムの労働者がやっていた仕事を国内でもやっていた。
ひたすら単純作業の組立を朝から晩までやる仕事だ。そのような過酷な仕事でも喜んでやっていた時代があったのだ。

中卒で大企業に入っても将来なんか無いことは馬鹿でもわかる。だからこの筆者は英語を勉強した。社内の勉強会に最初は出たが自分で1年間勉強してから再度勉強会に出てスラスラと英語を話し、会に参加しているメンバーや講師の外国人を驚かせた。もちろん1年でスラスラと話せるはずもなく暗記しただけだが、それでも昔の日本で英語など話せるものはほとんどいなかったのだから驚愕したのだろう。

そのような努力とアピールから、なんと中卒にもかかわらずNY勤務の機会を得たのだ。もちろん前代見もんだった。

しかし大企業ではやはり中卒はネックだった。大卒社員が何もせずに出世するのに中卒は出世できない。これには怒り狂った。

そして退職し、成果報酬の営業マンとなる。オリンパスの医療機器を売って歩合を貰う。これまた大変な仕事だろう。当時の米国では日本人に対する差別は非常に激しいものがあった。
だが歩合で売ってプロ野球選手をはるかに凌ぐ数億円の年収を得るようになっていく。

そしたらまた嫌がらせを受ける。歩合の比率の低下だ。大企業の社長の報酬をはるかに超える収入を歩合の営業マンが手に入れているのを許せなかったのかもしれない。

このように挫折と復帰と成功の繰り返しだ。しかしまた成功していく。最終的には米国に広大な土地を持つ大金持ちになっていくのだ。
このようなことができたのは間違えなくアメリカでビジネスをしたからだ。日本も今でこそM&Aが中小企業でも売却を選択肢にできるようになりつつあるが、それでもアメリカのようにはいかない。日本では中小企業を売って億万長者になったなんて話はほとんど聞かない。銀行の個人保障があり売る時は上場でもしないかぎり二束三文だ。

アメリカだからここまで大成功できたのは間違いないが、日本でもまったくチャンスが無いわけではない。それに日本にチャンスが無いと思えば中国やインドみたいなチャンスがごろごろ転がっているところに今はだれでも行ける。人生をより良くしようと思ったらリスクを犯したり、何か代償も必要だ。

結局成功者とはそんな豪快な生き方をしている人なんだと思う。



マネーはこう動く―知識ゼロでわかる実践・経済学

Posted by skillstorage at 17:37 / Category: 書評 / 0 Comments

藤巻健史氏の金融講義の本は分かりやすくお勧めである。
本書はリーマンショック前に藤巻氏が出版社の社員への研修とご子息への講義を書籍にしたものである。
金融理論はMBAの授業のように理路整然としており、わかりやすく、なおかつ世界標準の知識が身に付く。藤巻氏はMBA取得後にモルガン銀行で勤めおり現場の雰囲気も伝わってくるのも良い。

日銀の量的緩和、金融政策、財政政策について書かれ、今後の日本経済を占っている。

この本がリーマンショック前というのがさらに面白い。本の中で藤巻氏は次のように予想している。
・サブプライムローン問題は米国株価に織り込み済みだ
・日本の金融緩和により長期金利は上がる
・インフレの時代が突入する
・新興国株は流動性に問題があり手を出さない
・インフレ対策には不動産と株
・円安になる

このようなことから次のようなポジション(アセットアロケーション)を取っているようだ。
・長期金利で円借金をして不動産を購入
・米国株も購入

このポジションをリーマンショックで解消していなかったらとんでもない資産下落になっている。
リーマンショック後で日本以外の先進国が金融緩和を行いマネーをじゃぶじゃぶに市場につぎ込んだせいで日本の金利は相対的に低くなくなった。
そのため円高となった。
不動産は下落した。
新興国株はリーマンショック後にとても落ち込んだが金融危機前まで回復した。

リーマンショック前に読んでいたら懐疑心なく読んでいたかもしれない。しかし自分は世界各国の不動産と米国株バブルは強く感じていたが、世界同時株安までなるとは思わなかった。

しかし、理論通りに世界経済は動かない。そこにアービトラージ(裁定取引の機会)が存在し、またひと儲けできるのではないかと思う。


›3 15, 2010

ブタとかバカとか

Posted by skillstorage at 15:08 / Category: 政治経済(Political Economy) / 0 Comments

なんと日経新聞にも載ったので認知度があがったであろう豚と馬鹿について紹介しよう。
豚とはPIIGSで、ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペインの頭文字だ。
馬鹿とはSTUPIDで、スペイン、トルコ、英国(UK)、ポルトガル、イタリア、ドバイの頭文字だ。

信用不安の可能性のある国をこのような呼び方をしている。
非常にバカにした侮辱的な呼び方ではないか。
どの国も財政赤字に苦しんでいる。幸いにも日本がこの中に入っていないが、いずれ国債の発行額の大きさから、信用リスクについて攻撃され、恥ずかしい呼び名がつく日が近いと思う。

›3 09, 2010

ベーシックインカムの議論は本気?

Posted by skillstorage at 11:13 / Category: 政治経済(Political Economy) / 0 Comments

ベーシックインカム(basic income)とは最低限所得保障であり、政府が全ての国民に対して(世帯では無く国民個別に)毎月最低限の生活を送るのに必要とされている額の現金(5万円-8万円程度)を無条件で支給するという概念である。
昨年、新党日本がマニフェストに掲げたり、貧困対策活動家が主張したり、ホリエモンが取り上げたりしたため、これまで経済学的にも政策的にもナンセンスだったのに取り上げれる機会が増えているようだ。
ナンセンスというのは、ベーシックインカムの概念自体が悪平等主義、社会主義的であり、ソ連の失敗を連想させるからであろう。ただし、最近議論されているベーシックインカムは、現在の政治体制を批判する意味合いで使われているようであり、大きな政府で政府の運用コストが高く、失業者や社会的弱者に個別にアプローチが十分にできないのであれば、運用コストがすこぶる安いベーシックインカムにした方が合理的かつ効果的であるといった主張が多くみられる。

ベーシックインカムが議論になるのは、やはり貧困層の増加が原因だろう。そして貧困対策が政府が十分にできないためだろう。失業率が上昇し、賃金も上がらない状況においては貧困層がどんどん増加する。それらに対して生活保護など個別に対策をするとなると公務員の仕事が増えるため大変な運用コスト増になってしまう。

また少子化対策としても、ベーシックインカムが効果的と議論される。子供手当のようなものだが、国民を年齢で差別せず一律に支給するため支出の少ない子供を産んだ方が得なのだ。併せて年金の減少や廃止も考えられる。現行の年金制度は年寄りが得をする仕組みであり不公平感が大きい。そうすると、社会保障制度が簡素化され、行政コストの大胆な削減が可能となり公務員をリストラ解雇できる。

そのようなことから現在の大きな政府を維持するよりもコスト削減が見込めるため、ベーシックインカムに必要な財源が確保できるのではないかと議論されている。
つまり、ベーシックインカムを主張する人の多くは、現在の政府の無駄を批判するためにレトリックとしてわざとナンセンスな政策を持ちだしているのではなかろうか。

実際にベーシックインカムが適用されると、デメリットが大きいことが目に見えている。まず働く意欲が減退される。より良い生活をするためや趣味として労働をすれば良いなどと思うかもしれないが、衣食住に困らなければ、労働に対して大きなインセンティブがわかないだろう。働くと損をするというモラル・ハザードにより、企業も雇用を確保できなくなり、雇用コストの上昇、賃金の上昇、インフレと悪循環に陥る。
政策も大衆迎合的に、どの政党がベーシックインカムの給付額を増やすかとか議論するのではないだろうか。

これまで人類は日々の生存のために狩猟や農耕といった労働をして存続してきた。これは他の動物も同じで自然の法則である。
日々の生存が保障されている世界というのは自然の掟に反する行為でうまくいかないと個人的に思う。しかし逆にそれこそが人類の英知という人もいるのだろう。

›3 06, 2010

若者を見殺しにする国 私を戦争に向かわせるものは何か|赤木智弘|超ネガティブ

Posted by skillstorage at 20:05 / Category: 書評 / 0 Comments

前回のリチャード・ブランソンとまったくタイプの違う人間。
こちらもまた違う理由で、思うところがあって読んでみたのだが。

赤木智弘という男は今は30代半ばで、90年代半ばからフリーターやニートや引きこもりといった生活をしてきた若い貧困層と呼ばれる代表格の存在だ。

社会的に底辺な層で、結婚もできないような若い世代のことが良くメディアで取り上げられるようになってきた。何故このような層ができてきたのか。

赤木智弘という人物の文章の能力にはすごいものを感じた。

「丸山眞男をひっぱたきたい」で一躍有名になった。このような思想と表現に驚いたものだ。

三一歳、フリーター。希望は、戦争。
 戦争は悲惨だ。
 しかし、その悲惨さは「持つ者が何かを失う」から悲惨なのであって、「何も持っていない」私からすれば、戦争は悲惨でも何でもなく、むしろチャンスとなる。

そして自分と同年代だ。だが、「朝まで生テレビ」で見た時にはとても異様に感じたのを覚えている。

彼は、1995年には既にHTML言語を習得し、HPを公開していたという。95年というと自分が思い出す限りでもインターネットという言葉がちょうど認知された年だ。それはWindows95がモデムから電話回線でインターネットに簡単に接続できることからやがて爆発的にインターネットの時代が来るきっかけの年だ。
この年に大学に入学した世代(ナナロク世代)にネット企業が多い。

だが、彼らよりも技術的に先行していた赤木氏は何故こうも悲惨な現状になってしまったのか?
文章から見る限り技術も頭の良さも本来備えている人物だと思う。日々のつぶやきを読んでもそれは感じられる。

能力なんかよりも性格に起因するのではないか?ネットで赤木氏の本の書評を読むとそのように書かれているものも多かった。赤木氏の言うように社会の問題なのか。

人生で敗北者になる者の方が成功者になる者より相対的に数が多いのか。いや、むしろ能力が普通にあれば、ちょっと努力をすれば相対的には平均以上の生活ができると思う。

自分も超氷河期と呼ばれる時代に就職した。同じ年代で就職した者も入社した会社によっては赤木氏のような人生を送っているのかもしれない。派遣の方が自由で良いといって自ら派遣を選んだ者も多かった。自由を犠牲にしてまでサラリーマンには成りたくないと言っている者も多かった。

彼らは今何をしているのだろうか。



リチャード・ブランソン|ヴァージン社長|超ポジティブ

Posted by skillstorage at 15:45 / Category: 書評 / 0 Comments

尊敬する起業家、いや尊敬する男としていつも真っ先に思い浮かぶのがリチャード・ブランソンだ。
起業家としては冒険家としてのほうが有名かもしれない。レコード会社、航空会社で成功した彼は派手やかな生活をしていると思われがちだが、実は彼の人生は挫折の繰り返しだった。

思うところがあって、久し振りにリチャード・ブランソンにまつわる本を色々と貪るように読んだのだが、何度も目頭が熱くなった。

イギリスの名門小学校で問題児となり、運動神経抜群だったのに、足の複雑骨折で挫折したり、中卒で、仲間と出版社を立ち上げるが何度も挫折を繰り返す。レコード会社を立ち上げてからも、航空会社をつくっても、何度も何度もより大きな困難が彼を襲う。

だけども、彼は諦めない。冒険家として有名になったのは何故か。もともと起業家特有のチャレンジ精神、命の危険を感じるスリルを求める性格からか。もっと大きなのは小さな航空会社の知名度向上だった。
だが、冒険家になるのはそんなに甘くなかった。ここでも挫折の繰り返しだ。

そんな繰り返しが結局成功に至るプロセスなんだと思い知らせてくれる。あきらめないことで人間が成長し、交渉力がつき、度胸もどんどん据わってくる。

自分もこんな風に生きたいと思わせてくれるので、やはり定期的に読みなおして鼓舞させてもらおうと。


›3 03, 2010

トヨタの看板 豊田章男

Posted by skillstorage at 09:08 / Category: 日々雑感 / 0 Comments

トヨタの社長である豊田章男氏はこれまでマスコミを避けてきた。そのためさまざまな噂が飛び交っていた。
ところが、米国での公聴会以来メディアでの露出が多い。
公聴会で生まれて初めて謝罪したのではないか、甘やかされて育った、など巷ではこれまで情報が無かったから色々なことを言う人が多かった。
経済評論家にも初期の豊田章男氏の対応に対しては批評が多く、無能とまで言う人もいた。
しかし米国でもCNNのラリー・キングLiveに出たり(Podcastで無料で見れる)、中国にも行き、日本ではニュースステーションにも登場した。
生まれて初めての困難な状況だろうが、しっかりとメディアで受け答えている。マニュアル的で優等生的な発言にも思えるが、グローバル企業で世界中で誰もが知っている企業の社長としてふさわしい対応と見えた。
急激なマスコミ露出によりイメージが世界中に残ったはずであり、あとはこのイメージ戦略をどのように使うのかが見どころだと思う。