›3 20, 2010

中卒の組立工、NYの億万長者になる。

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本屋でなんとなく手にした本だが、心底おどろいた。
世の中には凄い人がいるものだとつくづく感心し、人生は努力によって道が切り開けるのだからこういう生き方ができたら楽しいだろうなと希望がわいた。

何しろ筆者は中卒だ。田舎から長野にあるオリンパス光学に卒業後出稼ぎにやって来る。当時は中卒の組立工でもオリンパスは人気企業でほとんど入社ができなかったという。
組立工といってもイメージできないかもしれないが、昔の日本は今の中国やベトナムの労働者がやっていた仕事を国内でもやっていた。
ひたすら単純作業の組立を朝から晩までやる仕事だ。そのような過酷な仕事でも喜んでやっていた時代があったのだ。

中卒で大企業に入っても将来なんか無いことは馬鹿でもわかる。だからこの筆者は英語を勉強した。社内の勉強会に最初は出たが自分で1年間勉強してから再度勉強会に出てスラスラと英語を話し、会に参加しているメンバーや講師の外国人を驚かせた。もちろん1年でスラスラと話せるはずもなく暗記しただけだが、それでも昔の日本で英語など話せるものはほとんどいなかったのだから驚愕したのだろう。

そのような努力とアピールから、なんと中卒にもかかわらずNY勤務の機会を得たのだ。もちろん前代見もんだった。

しかし大企業ではやはり中卒はネックだった。大卒社員が何もせずに出世するのに中卒は出世できない。これには怒り狂った。

そして退職し、成果報酬の営業マンとなる。オリンパスの医療機器を売って歩合を貰う。これまた大変な仕事だろう。当時の米国では日本人に対する差別は非常に激しいものがあった。
だが歩合で売ってプロ野球選手をはるかに凌ぐ数億円の年収を得るようになっていく。

そしたらまた嫌がらせを受ける。歩合の比率の低下だ。大企業の社長の報酬をはるかに超える収入を歩合の営業マンが手に入れているのを許せなかったのかもしれない。

このように挫折と復帰と成功の繰り返しだ。しかしまた成功していく。最終的には米国に広大な土地を持つ大金持ちになっていくのだ。
このようなことができたのは間違えなくアメリカでビジネスをしたからだ。日本も今でこそM&Aが中小企業でも売却を選択肢にできるようになりつつあるが、それでもアメリカのようにはいかない。日本では中小企業を売って億万長者になったなんて話はほとんど聞かない。銀行の個人保障があり売る時は上場でもしないかぎり二束三文だ。

アメリカだからここまで大成功できたのは間違いないが、日本でもまったくチャンスが無いわけではない。それに日本にチャンスが無いと思えば中国やインドみたいなチャンスがごろごろ転がっているところに今はだれでも行ける。人生をより良くしようと思ったらリスクを犯したり、何か代償も必要だ。

結局成功者とはそんな豪快な生き方をしている人なんだと思う。



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