›3 20, 2010

マネーはこう動く―知識ゼロでわかる実践・経済学

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藤巻健史氏の金融講義の本は分かりやすくお勧めである。
本書はリーマンショック前に藤巻氏が出版社の社員への研修とご子息への講義を書籍にしたものである。
金融理論はMBAの授業のように理路整然としており、わかりやすく、なおかつ世界標準の知識が身に付く。藤巻氏はMBA取得後にモルガン銀行で勤めおり現場の雰囲気も伝わってくるのも良い。

日銀の量的緩和、金融政策、財政政策について書かれ、今後の日本経済を占っている。

この本がリーマンショック前というのがさらに面白い。本の中で藤巻氏は次のように予想している。
・サブプライムローン問題は米国株価に織り込み済みだ
・日本の金融緩和により長期金利は上がる
・インフレの時代が突入する
・新興国株は流動性に問題があり手を出さない
・インフレ対策には不動産と株
・円安になる

このようなことから次のようなポジション(アセットアロケーション)を取っているようだ。
・長期金利で円借金をして不動産を購入
・米国株も購入

このポジションをリーマンショックで解消していなかったらとんでもない資産下落になっている。
リーマンショック後で日本以外の先進国が金融緩和を行いマネーをじゃぶじゃぶに市場につぎ込んだせいで日本の金利は相対的に低くなくなった。
そのため円高となった。
不動産は下落した。
新興国株はリーマンショック後にとても落ち込んだが金融危機前まで回復した。

リーマンショック前に読んでいたら懐疑心なく読んでいたかもしれない。しかし自分は世界各国の不動産と米国株バブルは強く感じていたが、世界同時株安までなるとは思わなかった。

しかし、理論通りに世界経済は動かない。そこにアービトラージ(裁定取引の機会)が存在し、またひと儲けできるのではないかと思う。


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