›12 25, 2009

鳩山不況・衰退国日本

Posted by skillstorage at 18:46 / Category: 日々雑感 / 0 Comments

鳩山不況、衰退国日本。どちらもテレビや新聞で目にした言葉だ。
年末に製造業の中小企業社長と話をする機会が多いのだが、かなり疲弊しており、希望も感じられない。
聞くのは困っている状況と政府に対する悪口ばかりだ。

生産がピークの半分程度しか戻らない。円高で赤字だ。大手メーカの値下げ圧力はもう限界だ。価格競争に生き残れない。景気回復は期待できない。
他方、中国工場は絶好調だ。中国の生産が追い付かない。
そんな声も聞こえる。

総括すると、日本の製造業市場は収縮しており、中国は拡大している。
鳩山政権の政策は日本の製造業を衰退させる。

中国に工場があるところはまだ良いが、日本のみで生産していると立ちいかなくなっている現状がわかる。

小売、サービス業においても日本の市場は衰退しつつある。ヘッジファンドは日本を衰退国とみなしているという話が新聞にあった。
デフレが進み、供給過剰が広がっている。

日本は今転換期なのかもしれない。生き残るには衰退する市場からシェアを奪うか、拡大する新興国市場に出るしか思いつかない。

›12 24, 2009

トヨタ 取引先へ3割値下げ要請

Posted by skillstorage at 19:54 / Category: 日々雑感 / 0 Comments

トヨタ自動車は部品調達コストを現行の購入価格に比べ、3年間かけて3割削減する。取引先の部品メーカーなどに実質的な値下げを要請した。
(NikkeiNet)
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20091222AT1D210E621122009.html

トヨタといえばカンバン方式が有名だ。リーン生産方式だとかジャストインタイム(JIT)もトヨタ生産方式と呼ばれ、同義語のようにも使われるが、要は必要な時に必要な部材を調達して在庫を持たないというコストダウン手法だ。
しかし、現実には部材を供給する下請けメーカは部材の供給を切らしてはいけない、不良を出したら大変なことになるといったことから2次受け、3次受けと下請けになればなるほど生産の変動が多くなってしまう。これをブルウィップ効果という。

在庫を持つなというが、万が一供給が間に合わなかったら他の下請けに仕事を取られてしまうという恐怖から、現実的には在庫を密かに持っているだとか、単に在庫を下請が持つだけという話も有名だ。

また、トヨタと言えば、「乾いたぞうきんを絞る」というくらいコストに厳しい。当然下請へのコストダウン要求は非常に厳しい。コストダウンには部材を安くするだとか簡素化するといったこともあるが、今回の報道はかなり衝撃的であり、単なる知恵では3割のコストダウンは相当厳しいと感じる。

倒産も出るだろうし、リストラや賃金の低下は覚悟が必要と感じるニュースだ。そしてブルウィップ効果の理論と同じく、下請けの下請けは更に厳しい状況で、すそ野の広い自動車業界はその頂点発から派生するすさまじい影響を及ぼすのではないだろうか。

しかし、それほどまでのコスト削減をしないとトヨタでさえも生き残れないという危機感も強く感じる。現に前期の赤字と今期の赤字はすさまじい。

え?「トヨタは自社内の努力でコストダウンしないのか?」って?「日本の自動車市場は衰退しているのに、日本の電機メーカのように従業員のリストラはしないのか?」って?


プレゼントの経済学 - なぜ、あげた額よりもらう額は少なく感じるのか?

Posted by skillstorage at 19:33 / Category: 書評 / 0 Comments

最近は結婚式・披露宴に出るとお返しの品物はカタログから選べることが多くなった。株主優待もカタログで選べるのがずいぶん増えた。
何故そんなことをするのか?自分の欲しくないものを貰っても無駄だからだ。
同じことがプレゼントでも言える。
誕生日プレゼント、クリスマス・プレゼント、結婚記念日、何かのお祝いにプレゼントを送ったり、貰ったりする文化がある。
だが、プレゼントというのは価格の8割以下の満足度しか無いという。

日常で我々が買い物をするのは、買うものの価値が価格以上だからだ。それが下回っているということは、いらないものをプレゼントでもらうことが多いということだ。
考えてみると、プレゼントが前提となっている価格設定や商品が多く存在する。

宝飾品や玩具なんかはプレゼントの比率が非常に高いだろうし、お歳暮なんかもそうだ。
老舗デパートで商品を買うのは、包み紙のためだったりする。同じ商品が低価格で買えても、貰う側の立場や送る側の見栄を考えると老舗デパートで購入が必要というケースがあるものだ。

そう考えるとプレゼントというのは奥が深い。経済的には無駄ということは市場の合理性から今後は別のスタイルに変わるのだろうか。


›12 20, 2009

ホントは教えたくない資産運用のカラクリ

Posted by skillstorage at 11:35 / Category: 書評 / 0 Comments

商売の基本は「安く仕入れて高く売る」ことである。利益を出すにはそれしかないだろう。ところが、物価が下がり続けている現在においては、「高く仕入れて安くしか売れない」状態である。これがデフレの恐ろしいところなんですねー。

さて、資産運用においても利益が出たら税金を取られるが損失は税金還付ができないということと、証券会社や銀行への手数料は赤字でも戻ってこないというのが、運用成績に一番効いてくるということが実はあまり指摘されていない。

「ホントは教えたくない資産運用のカラクリ」シリーズは、タイトルは怪しいが税効果や手数料、裁定取引、さらには金融理論もわかりやすく説明する資産運用の実践書である。
橘玲のシリーズ書(元々はゴミ投資家シリーズ)に見られる思想とも似ている。リバータリアリズム(自由主義)が根本にある。

開いて最初にある文字は「恒産なくして恒心なし」
◆国や会社がつぶれても、自主独立の精神で自分の運命を切り開くべし
◆嫌な仕事はしない。会社のために働かない。誰の奴隷にもならない経済的自由を確立すべし

安間伸という筆者はかなりのマニアだ。

投資と税金篇では税金と手数料をいかに減らし、投資信託などの商品で買ってはいけない商品について説明されている。

タブーとリスク篇では、結構テクニカルというか金融理論が説明されている。低成長時代においての投資はロング(現物保持)だけでは無くショート(空売り)を組み合わせるのが大切であり、もっと理論をつきつめると「ベータを殺してアルファを取る」という戦略になる。これの言葉の意味がわかればモダン・ポートフォリオ理論と現実のギャップが埋められるだろう。

「錬金術入門」篇はアーブ(裁定低取引)が中心だ。法律上、税金上の歪みから金儲けができるという話だ。

FXやETFの登場で投資によって人生大きく差がでるようになったと思う。プロの投資家は市場平均(ベータ)を上回れば良いかもしれないが、個人投資家は絶対利益を求める必要がある。プロが取れない戦略も取れるのが強みだ。
冬休みに資産運用について来年の戦略を練ろうかと思う。



›12 15, 2009

デフレは続く

Posted by skillstorage at 09:50 / Category: 政治経済(Political Economy) / 0 Comments

あらゆるモノが安くなってきているのを実感する。これまでは中国製品が押し寄せてきたため、100円ショップやユニクロ、ニトリのような製品が安いなぁと思っていたのだが、最近ではPB(プライベート・ブランド)がかなり増えて安いと思う。
コンビニでさえ、PBで安い製品がかなり増えている。

そしてこれからは日本製品の潰し合い価格で更にモノが安くなりつつある。

通常の経済合理性で考えると、業界内で競争が激化するとある利益率を製品が保てなくなると撤退するという経営判断がなされる。しかし、日本では雇用維持だとか株主や資本コスト軽視がまかり通っているために、投下資本利益率が資本コストを低下しても事業を停止しることがなく、ゾンビのように事業維持が行われてしまう。
その結果、売るために更に安くして、赤字が増えてということが繰り返されているのもデフレの要因だろう。
これは百貨店に言っても家電量販店に行っても見られる光景である。
経済合理性で考えると、市場においては数社の寡占状態になって価格が維持されるべきところが、大変な数のメーカーが存在してしまっている状態である。

また、政府の対策も雇用維持、産業維持といった保守的な政策なため、赤字でも補助金で存在している会社ばかりだ。
こちらも経済合理性から考えるとおかしなことである。

そのようなことから価格は下がり続け、賃金も下がり続けるデフレスパイラルが続いている。

日銀は量的緩和で通貨量を増やしてもデフレが続くという状況である。

›12 13, 2009

借金地獄から抜け出す合法的裏ワザ―1億2000万の借金もわずか50万で決着!

Posted by skillstorage at 12:38 / Category: 書評 / 0 Comments

年末にかけて中小企業の倒産が増えるだろう。そして日比谷公園では派遣切りだけでなく、倒産した社員が住むところが無く年越し村として押し寄せるのではないだろうか。

さて、創業よりも廃業が多い時代であり、中小企業の多くが赤字に陥っている。すなわち、存続意義の無い会社がほとんどを占めているというのが日本の現状なのだ。
存続しているのは、中小企業の社長が自宅を担保にし個人補償を銀行と結んでいるため、倒産は人生を台無しにしてしまうのでなんとか現状を悪化させながら存続させているというのが現実である。

最近では民事再生や自己破産が増えており、それで借金がチャラになるのだが、この本では民事再生も自己破産もするべきでは無いという。では借金を踏み倒せというのかというとそうでも無く、借金を踏み越えろという。

どういうことかは読んでもらうと良くわかるが、自己破産をすると迷惑が係り借金は踏み倒せても精神的には追い詰めれられるし信用も失ってしまう。
銀行には迷惑をかけても良いが一般債務者には迷惑をかけるなという。
銀行から担保をとり返す方法も、借金を銀行から債権譲渡を受けたサービサーから激安で買い取ることで最終的に決着させる方法など、法律と実務のギャップから様々なテクニックが紹介されている。
担保なんかも結局手間が回収を上回ったら債権者は回収なんかしないという当たり前の経済合理性に基づいて行動される。

さて、この本でも他の自己破産本や借金踏み倒し本と同様に銀行を悪とみなしている。そもそも借金は契約であり返せないのであれば、契約に基づき回収されるのは当たり前のことなのであるが、それ以上に銀行のえげつない行為があるということなのだろう。

様々なケーススタディがあり、実戦的でもありリアルな借金地獄に苦しむ中小企業のおっさんの顔が生々しく浮かんでくるようである。


›12 09, 2009

フリー〈無料〉からお金を生みだす新戦略

Posted by skillstorage at 12:59 / Category: 書評 / 0 Comments

デフレでモノがどんどん安くなっていく。ユニクロの柳井社長は冗談で「ジーパンはそのうち無料になるかも」と言ったが、本当になるかもしれないのだ。
インターネットの世界では無料が当たり前だ。
当たり前になりすぎて気付いていないかもしれないが、検索エンジン、Webメール、ニュースサイト、Blog、為替情報、限りなく安くなった株の売買、その他もろもろ運営するには莫大な費用がかかっている。
ほとんどが広告モデルであり、メーカーなどが広告費を支払い、最終的に消費者が買う金額に上乗せさせられているが、消費者は気付かないだけだ。

無料でないと消費者に受け入れられない。

本書は「ロングテール」の筆者がによる無料経済からいかに金を生み出すかの理論を展開する。
Webにはまたこれまでのビジネスとは違うビジネスモデルが存在する。
消費者を一人一人をトラッキングできる能力と、消費者一人一人が個別にサービスを評価できる能力である。

ところで読みながら考えを進めていくとこのようなWeb型のビジネスモデルはリアルの世界にも着実に広がっている。
飲食店にしても、初めての店に行くにはWebからアクセスして評判を確かめるのが当たり前になってしまった。
小売の価格も簡単にネットで比較できる。

そして無料の驚異だ。これまでもデパ地下では試食は無料だった。コンビニや駅にはフリーペーパーがあふれている。

無料の代償は誰が払うのか。

バカが払う、という答えに行きついてしまうのではないか。例えば証券会社では昔は個人投資家のことをドブと呼んでいたというのが話題になったことがある。ドブに金を捨てるようなものだからだ。
小売の価格もバーゲンでは驚くほど違う。プライベートブランドも中身は同じでもメーカーラベルの貼ってあるものと値段が極端に違う。

これからは消費者は個別にトラッキングでき、格付け(信用力)の高い人は安く買うことができる時代になるのではないか。
例えば、レンタルビデオで延滞する人は高い代償を払う、クレーマーは安くは買えないなど。
究極では、土日にしか買い物ができない人は高くなってしまうというのもあるかもしれない。
現に海外旅行なんかはお盆や正月だけ驚くほど高いのだから。



›12 06, 2009

ビルト・イン・スタビライザー

Posted by skillstorage at 23:21 / Category: 政治経済(Political Economy) / 0 Comments

景気が良くなると金利の上昇圧力が生じ、円高要因となるため輸出が要請され輸入が増えることから、国内の総需要の拡大を相殺する方向に働く。

税制の自動安定化機能

所得税は累進課税になっており、所得が多いほど課税率が高くなる。
所得が増大しても税負担が同時に増大するので、消費の増大が少し相殺され、総需要の増大効果が小さくなる。
税制の自動安定化機能

所得税以外にも失業保険、社会保障制度も同様の安定化効果を持っている。
景気悪化で失業者が増大すると、失業保険の給付も増加して、失業者の消費の落ち込みを最小限にとどめる。景気の悪いときに消費を下支えする効果があるのだ。

借金地獄に克つ!―こうして自己破産・倒産の危機を突破した

Posted by skillstorage at 23:07 / Category: 書評 / 0 Comments

膨大な負債を親から引き継ぎ、倒産・自己破産することなく再建させるまでのストーリーだ。
親から繊維工場を事業承継した筆者は、ひたすら資金繰りと好転すること無い事業の切り盛りに追われっぱなしとなる。繊維業界は中国製の台頭により国内メーカーは壊滅的な被害を受け、取引先、同業他社は倒産するばかりの状況であった。
借金を返すために借金をし、銀行との交渉、リストラともはや自転車操業を何年も続けることになり、精神的に疲弊しうつ状態にまで追い込まれる。

何故、日本の中小企業の社長は企業の倒産により個人資産まで失い、自殺を考えるほどまで追い込まれるのだろうか。何故、取引先や社員をそこまで心配するのだろうか。(銀行に対する心配は無く、恨みばかりなんだが…)
ずいぶんと責任を一人で負い込みすぎていると思ってしまう。

また、企業は創業よりも潰す時の方が遥かに体力を使うということがわかる。
経営者は会社の潰し方を知らな過ぎる。自己破産するのにも金はかかるし、弁護士費用も発生する。
だが、限界までがんばりすぎて、手遅れになってしまうケースが多いようだ。

この本に出てくる繊維工場は、業界全体が衰退していった典型例だが、これからは他の製造業も同様の状況に追い込まれていくだろう。もはや中国の台頭、グローバル化は避けることはできない。そして他の産業もやがて同じような状況になっていくのではないか。
日本は沈みゆくタイタニック号のようなものではないかと、読んでいて常に思ってしまった。

この本の筆者も6年間にも渡り、常に資金繰りと倒産を考える毎日だっただろう。事業は上向くことは無く…

企業は永続(ゴーイングコンサーン)が前提だが、いつかは無くなるもの。終わり方も研究しておくべきだ。


借金地獄に克つ!―こうして自己破産・倒産の危機を突破した