›12 09, 2009

フリー〈無料〉からお金を生みだす新戦略

Category: 書評 / 0 Comments: Post / View

デフレでモノがどんどん安くなっていく。ユニクロの柳井社長は冗談で「ジーパンはそのうち無料になるかも」と言ったが、本当になるかもしれないのだ。
インターネットの世界では無料が当たり前だ。
当たり前になりすぎて気付いていないかもしれないが、検索エンジン、Webメール、ニュースサイト、Blog、為替情報、限りなく安くなった株の売買、その他もろもろ運営するには莫大な費用がかかっている。
ほとんどが広告モデルであり、メーカーなどが広告費を支払い、最終的に消費者が買う金額に上乗せさせられているが、消費者は気付かないだけだ。

無料でないと消費者に受け入れられない。

本書は「ロングテール」の筆者がによる無料経済からいかに金を生み出すかの理論を展開する。
Webにはまたこれまでのビジネスとは違うビジネスモデルが存在する。
消費者を一人一人をトラッキングできる能力と、消費者一人一人が個別にサービスを評価できる能力である。

ところで読みながら考えを進めていくとこのようなWeb型のビジネスモデルはリアルの世界にも着実に広がっている。
飲食店にしても、初めての店に行くにはWebからアクセスして評判を確かめるのが当たり前になってしまった。
小売の価格も簡単にネットで比較できる。

そして無料の驚異だ。これまでもデパ地下では試食は無料だった。コンビニや駅にはフリーペーパーがあふれている。

無料の代償は誰が払うのか。

バカが払う、という答えに行きついてしまうのではないか。例えば証券会社では昔は個人投資家のことをドブと呼んでいたというのが話題になったことがある。ドブに金を捨てるようなものだからだ。
小売の価格もバーゲンでは驚くほど違う。プライベートブランドも中身は同じでもメーカーラベルの貼ってあるものと値段が極端に違う。

これからは消費者は個別にトラッキングでき、格付け(信用力)の高い人は安く買うことができる時代になるのではないか。
例えば、レンタルビデオで延滞する人は高い代償を払う、クレーマーは安くは買えないなど。
究極では、土日にしか買い物ができない人は高くなってしまうというのもあるかもしれない。
現に海外旅行なんかはお盆や正月だけ驚くほど高いのだから。



Comments