年末にかけて中小企業の倒産が増えるだろう。そして日比谷公園では派遣切りだけでなく、倒産した社員が住むところが無く年越し村として押し寄せるのではないだろうか。
さて、創業よりも廃業が多い時代であり、中小企業の多くが赤字に陥っている。すなわち、存続意義の無い会社がほとんどを占めているというのが日本の現状なのだ。
存続しているのは、中小企業の社長が自宅を担保にし個人補償を銀行と結んでいるため、倒産は人生を台無しにしてしまうのでなんとか現状を悪化させながら存続させているというのが現実である。
最近では民事再生や自己破産が増えており、それで借金がチャラになるのだが、この本では民事再生も自己破産もするべきでは無いという。では借金を踏み倒せというのかというとそうでも無く、借金を踏み越えろという。
どういうことかは読んでもらうと良くわかるが、自己破産をすると迷惑が係り借金は踏み倒せても精神的には追い詰めれられるし信用も失ってしまう。
銀行には迷惑をかけても良いが一般債務者には迷惑をかけるなという。
銀行から担保をとり返す方法も、借金を銀行から債権譲渡を受けたサービサーから激安で買い取ることで最終的に決着させる方法など、法律と実務のギャップから様々なテクニックが紹介されている。
担保なんかも結局手間が回収を上回ったら債権者は回収なんかしないという当たり前の経済合理性に基づいて行動される。
さて、この本でも他の自己破産本や借金踏み倒し本と同様に銀行を悪とみなしている。そもそも借金は契約であり返せないのであれば、契約に基づき回収されるのは当たり前のことなのであるが、それ以上に銀行のえげつない行為があるということなのだろう。
様々なケーススタディがあり、実戦的でもありリアルな借金地獄に苦しむ中小企業のおっさんの顔が生々しく浮かんでくるようである。