膨大な負債を親から引き継ぎ、倒産・自己破産することなく再建させるまでのストーリーだ。
親から繊維工場を事業承継した筆者は、ひたすら資金繰りと好転すること無い事業の切り盛りに追われっぱなしとなる。繊維業界は中国製の台頭により国内メーカーは壊滅的な被害を受け、取引先、同業他社は倒産するばかりの状況であった。
借金を返すために借金をし、銀行との交渉、リストラともはや自転車操業を何年も続けることになり、精神的に疲弊しうつ状態にまで追い込まれる。
何故、日本の中小企業の社長は企業の倒産により個人資産まで失い、自殺を考えるほどまで追い込まれるのだろうか。何故、取引先や社員をそこまで心配するのだろうか。(銀行に対する心配は無く、恨みばかりなんだが…)
ずいぶんと責任を一人で負い込みすぎていると思ってしまう。
また、企業は創業よりも潰す時の方が遥かに体力を使うということがわかる。
経営者は会社の潰し方を知らな過ぎる。自己破産するのにも金はかかるし、弁護士費用も発生する。
だが、限界までがんばりすぎて、手遅れになってしまうケースが多いようだ。
この本に出てくる繊維工場は、業界全体が衰退していった典型例だが、これからは他の製造業も同様の状況に追い込まれていくだろう。もはや中国の台頭、グローバル化は避けることはできない。そして他の産業もやがて同じような状況になっていくのではないか。
日本は沈みゆくタイタニック号のようなものではないかと、読んでいて常に思ってしまった。
この本の筆者も6年間にも渡り、常に資金繰りと倒産を考える毎日だっただろう。事業は上向くことは無く…
企業は永続(ゴーイングコンサーン)が前提だが、いつかは無くなるもの。終わり方も研究しておくべきだ。
借金地獄に克つ!―こうして自己破産・倒産の危機を突破した