›3 23, 2015

狭小邸宅

Posted by skillstorage at 04:16 / Category: 節税 / 0 Comments

新鋭小説家が現代の「蟹工船」と呼ばれる不動産・住宅販売の現場をまるで湯気の出そうなドキュメンタリータッチで描いている作品だ。

主人公は、都内有名私立大学を卒業したものの就職活動に失敗し、都内の不動産販売会社の営業マンとなった。
そこはブラック企業で、販売不振な社員には殴る蹴るの暴行が平気で行われている会社だった。

大量に新卒を採用しては殆どが辞めていく会社だ。
主人公もまた冴えないセールスマンで、売れない日々が続き、夜遅くまで働き、休日も一切無い環境で罵倒や暴力に耐えながら仕事を続ける。

住宅販売は難しい。一生に一度の買い物であるため慎重に比較検討される。
そもそも住宅を検討するのであって、営業マンの対応で売買が決まるものでもない。

それでも、売れる営業マンは売れるし、売れない営業マンは全く売れない。

上司からゴミ以下の扱いを受けても、主人公は辞めないのだ。

売れなすぎて、もう会社にも居られない状態となる。何しろ営業マンは居酒屋やデイサービスのブラック企業と違い、売れなければ会社にとってただの経費の無駄遣いでしかなく、低賃金過労者でさえないのだ。

売れなければ辞めるだけ、だが辞めさせられるまでの1ヶ月の間、誰も手を付けなかった蒲田の売れ残り物件と向き合うこととなる。
サンドウィッチマンと呼ばれる看板をクビにぶら下げ、チラシを配ることを続けると、何と奇跡的に売れたのだ。

誰も売ることができなかった問題文献を手がけたことで、社内の評価はガラリと変わる。

売れる上司の指導を受け、クロージング技法を学ぶことで成約を連発するのだ。

家を買おうと思ったことがある者なら分かるだろう。なかなか良い条件の物件は無い。たらい回しでゴミ物件を見せて、最後にそこそこの物件を見せてクロージングする。更には、掘り出し物ですぐに売れると焦らせ買わせる。

要するにクロージングテクニックを用いて、充分に比較検討する時間の無い医者や弁護士といった忙しいけど金を持っている客を食い物にする技法だ。
そもそも建売住宅で家が建った後に販売しているのは、全て売れ残り商品なのだ。

不動産の営業は成果報酬による歩合が賃金の殆どだ。
売れるようになった主人公は、高価なスーツに身を包むようになる。

しかし、心がすさみ、友人や恋人を傷つけ、やがて嫌な自分になっていくことで精神が崩壊していくのだ。


営業のSPIN技法

Posted by skillstorage at 00:51 / Category: 経営戦略 / 0 Comments

同じ製品を売っているにも関わらず、営業マンによって販売成績が大きく違う。
つまり、営業マンの販売手法に製品は大きく影響されるのだ。

Amazon.com創業者のジェフ・ベゾスは、「広告を出すのは駄目な商品をつくった代償」と言っていた。
本当に良い製品であれば、広告は要らないし営業マンも要らない。それでも多くの企業は広告と営業マンに依存している。

ところが、過去に営業マンとして成功していた人も時間が経ってそのセールス手法が通用しなくなってくることも多い。
特に、高額商品であるような住宅、不動産、自動車、工作機械などの設備などは購買側も慎重に検討することなる。
情報が昔に比べて非常に多く取れるので、営業マンのセールストークに左右されないように慎重に比較対象し、相見積もりをするのだ。

また、企業の購買担当者は、かつて有能だった営業マンのクロージング手法に陥らないよう徹底した教育を受けているのが現状だ。
例えば、不動産では「掘り出し物件で、すぐに売れてしまいますよ」と購入を急かせるのが常套手段だし、工作機械なんかでも競合他社と比較対象されないようにし、さらに納期などの話をして購入を急かせるクロージング手法がある。
更には、客先から必ず指摘される他社比較を客の感情を害さないように反論するテクニック(Yes,But手法)「そうですね、仰ることはもっともです。しかしですね、・・・」を駆使する。

このようなクロージング手法は、知性の高い客には通用しないばかりか、情報社会の現代では反感を買ってしまうのだ。

そこで、SPIN技法は営業マンの販売手法を徹底的に観察して得られた方法であり、クロージングは行わない、客先で商品の説明をしない、客の話を聞くことに主眼を置き、営業マンは話さない、という過去の販売手法とは正反対の方法なのだ。

営業マンに関わらず、誰しも話すのは気持ち良い。スラスラと話をして聞いてもらえると効果があると思いがちだが、実際は逆なのだ。
これからは営業マンは購買を経験してみると良い。営業マンのセールストークを聞くのは時間をムダにしているし、時に耐え難いこともあるのだ。
更には、しつこい訪問や電話も過去にはマメなフォローとして営業マン必須だったが、必要であれば客から連絡をするのだ。

SPIN(スピン)では、戦略的質問技法と呼ばれる営業手法で4つの質問(状況質問・問題質問・示唆質問・解決質問)を駆使して顧客のニーズを導くことを特徴としている。

4つの質問とは下記である。これらの頭文字を取ってSPIN。尚、SPINは、米ハスウェイト社の登録商標である。
・状況質問(Situation)
・問題質問(Problem)
・示唆質問(Implication)
・解決質問(Need-Payoff)

全て質問する技法であり、客から話をさせ、客に「XXようなものが欲しい」とソリューションまで話させるのだ。

売りたければ売り込んではいけない。売り込まない、話さない営業スタイルが売れる秘訣なのだ。

›3 19, 2015

「原因」と「結果」の法則

Posted by skillstorage at 04:25 / Category: 日々雑感 / 0 Comments

現在の自分の置かれた環境(結果)は何が「原因」だろうか?
今働いている職場、その不満、給与、結婚相手、住んでいる家、仕事の内容・・・

自分で選択した「結果」なのだ。

ところが、人は環境のせいにする。
しかし、運や環境や不可抗力でなんらかの結果になるということは実は少ないのだ。

犯罪者が、自分の犯した罪に責任があるのと同様に、今の自分は自分自身に責任があるのだ。

ただ、漠然と毎日が過ぎていくのであれば、それが「原因」となって将来の「結果」は自明なものとなる。
将来(結果)を変えるためには、今の行動(原因)が必要なのだ。

「原因」と「結果」の法則は、ジェームス・アレンが100年以上前に書いた書物ではあるが、今でも読み継がれ多くの成功者を生み出した書物である。薄い本だが、多くの示唆に満ちている。



›3 05, 2015

マイナス金利の世界

Posted by skillstorage at 03:38 / Category: ファイナンス / 0 Comments

先進国の4分の1でマイナス金利が発生するという前代未聞の現象が起こっている。
マイナス金利とは「お金を借りると金利が貰える」ということだ。

名目上のマイナス金利であってもデフレであれば実質金利はプラスである。

 実質金利 = 名目金利 - インフレ率

例えば、名目金利がマイナス金利で-1%として、インフレ率がデフレでマイナス2%とすると、実質金利はプラスとなる。

 実質金利 = -1-(-2)= +1%

過去長いこと日本はデフレであったが、金利が低くてもデフレであったため実質金利が高く、投資よりも貯蓄が資産投資効果があったのだ。
しかしそれでも金利はいくら低くてもプラス(0より大)であった。

それがマイナスになったため、混乱が起こっている。

そもそもリスクフリーレートとは無リスク金利と呼ばれ、国債の金利が前提となっている。
全ての投資活動はリスクフリーレート以上であり、リスクプレミアムが加算されるというのが、ファイナンス理論の大前提なのだ。

何故マイナス金利になっているかというと、先進国の中央銀行が量的緩和の一環として国債を大量に買っているからある。

何故、中央銀行が国債を大量に買うかというと、通貨価値を下落させたいからだ。物価の安定などと言っても、結局は通貨価値を下落させることにより輸出の競争力をつけたいのだ。もちろんデフレに苦しむ中で、通貨価値を下落させることは物価の上昇を意味し、インフレ政策とも言える。

金利をコントロールしても通貨価値がこれ以上は下落しないから、量的緩和をすることでマイナス金利になっているのだ。

さて、貨幣の価値が無くなる現象と一部の経済誌、マスコミは騒いでいるが、実際には通貨価値が高いからマイナス金利なのだ。

金利裁定取引というのがあり、長期的には低金利の通貨が高くなり高金利の通貨は安くなるのだ。

ユーロ圏の金融機関はスイスフランのマイナス金利で調達し、住宅ローンを販売してきた。
スイス中銀が為替介入を行いユーロとスイスフランが固定されていたから、大きな利ざやを得ることができたのだ。それもスイス中銀が為替介入を断念したことにより、スイスフランが高騰し、ユーロ圏の金融機関は巨額の不良資産をまた抱えることとなってしまった。

世界中の先進国が量的緩和をしたせいで、既に世界は過剰流動性(バブル)に至っているのかもしれない。

さて、マイナス金利になるほど低利回りの日本国債だが、それは国債価格が高く推移しているということだ。しかし、国債を発行するだけで日本国政府が資金調達できるのであれば、税金の徴収は必要無いということになってしまう。

市場とは乖離した、日本銀行の政策的な買い入れにより市場原理とは反する原理が働いているだけだ。

やがて、日本銀行が国債を買い続けられなかった時、市場原理が働き、スイスフランで起こったこととは逆に国債の暴落、金利暴騰が起こるだろう。スイスとは比べ物にならない規模で。

その時期はまだ誰にもわからないのだが。。