先進国の4分の1でマイナス金利が発生するという前代未聞の現象が起こっている。
マイナス金利とは「お金を借りると金利が貰える」ということだ。
名目上のマイナス金利であってもデフレであれば実質金利はプラスである。
実質金利 = 名目金利 - インフレ率
例えば、名目金利がマイナス金利で-1%として、インフレ率がデフレでマイナス2%とすると、実質金利はプラスとなる。
実質金利 = -1-(-2)= +1%
過去長いこと日本はデフレであったが、金利が低くてもデフレであったため実質金利が高く、投資よりも貯蓄が資産投資効果があったのだ。
しかしそれでも金利はいくら低くてもプラス(0より大)であった。
それがマイナスになったため、混乱が起こっている。
そもそもリスクフリーレートとは無リスク金利と呼ばれ、国債の金利が前提となっている。
全ての投資活動はリスクフリーレート以上であり、リスクプレミアムが加算されるというのが、ファイナンス理論の大前提なのだ。
何故マイナス金利になっているかというと、先進国の中央銀行が量的緩和の一環として国債を大量に買っているからある。
何故、中央銀行が国債を大量に買うかというと、通貨価値を下落させたいからだ。物価の安定などと言っても、結局は通貨価値を下落させることにより輸出の競争力をつけたいのだ。もちろんデフレに苦しむ中で、通貨価値を下落させることは物価の上昇を意味し、インフレ政策とも言える。
金利をコントロールしても通貨価値がこれ以上は下落しないから、量的緩和をすることでマイナス金利になっているのだ。
さて、貨幣の価値が無くなる現象と一部の経済誌、マスコミは騒いでいるが、実際には通貨価値が高いからマイナス金利なのだ。
金利裁定取引というのがあり、長期的には低金利の通貨が高くなり高金利の通貨は安くなるのだ。
ユーロ圏の金融機関はスイスフランのマイナス金利で調達し、住宅ローンを販売してきた。
スイス中銀が為替介入を行いユーロとスイスフランが固定されていたから、大きな利ざやを得ることができたのだ。それもスイス中銀が為替介入を断念したことにより、スイスフランが高騰し、ユーロ圏の金融機関は巨額の不良資産をまた抱えることとなってしまった。
世界中の先進国が量的緩和をしたせいで、既に世界は過剰流動性(バブル)に至っているのかもしれない。
さて、マイナス金利になるほど低利回りの日本国債だが、それは国債価格が高く推移しているということだ。しかし、国債を発行するだけで日本国政府が資金調達できるのであれば、税金の徴収は必要無いということになってしまう。
市場とは乖離した、日本銀行の政策的な買い入れにより市場原理とは反する原理が働いているだけだ。
やがて、日本銀行が国債を買い続けられなかった時、市場原理が働き、スイスフランで起こったこととは逆に国債の暴落、金利暴騰が起こるだろう。スイスとは比べ物にならない規模で。
その時期はまだ誰にもわからないのだが。。