›4 03, 2015

国際金融のトリレンマ|日米と欧州と中国

Posted by skillstorage at 00:49 / Category: 政治経済(Political Economy) / 0 Comments

国際金融のトリレンマでは、以下の3つの政策は同時に実現することができず、同時に2つしか実現できない。

・為替の安定(固定相場制)
・独立した金融政策
・自由な資本移動

そのため、各国はそれぞれいずれかを犠牲にして残り2つを実現している。
・日本やアメリカは固定相場制を諦めた
・欧州(ユーロ圏)では、金融政策の独立を諦めた
・中国では資本移動の自由を諦めた

今のところ上手くいっているのは、固定相場を諦め金融政策と資本移動を自由化している日米であり、ユーロ圏では各国が独自の金融政策が取れないという重大な問題を抱えたままである。
欧州中央銀行は金融政策をコントロールしているが、国債を購入し量的緩和を行う方針に対しても各国の国債購入比率に対しても同意を取るのが非常に困難なのだ。
また、ユーロ圏内各国で産業構造が違い、輸出国のドイツと輸入国のギリシャでは本来為替が変動しなければ釣り合いが取れないにも関わらず固定相場のため、ギリシャが弱体化しドイツが潤うという構図だ。

中国に関しては、資本の流入を自由にしているが資本の流出には制限がかかっている。
経済成長と莫大な労働力による供給があり流入した資本の不動産等への投資もあるため、穏やかなインフレで済んでいるが経済成長が失速すればインフレが加速し重大な問題となるだろう。

また中国では流入する資本がある一方で流出に制限があるため、莫大な資金があり今回のアジアインフラ投資銀行(AIIB)による途上国インフラ整備投資も中国金融政策の一つの手段ではなかろうか。