2005年06月11日
●多角化戦略
規則正しい生活というのは非常に重要だと思います。
ですが、ビジネスの現場では残業もありますし、接待で朝帰りも、休日出勤
も徹夜もあります。
このような突発的な不規則な生活の時の方が集中力が増したり、特別な力が
発揮され、非常に効率的なことがあるかと思います。
それも、やはり規則正しい生活があればこそかと思います。
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▼ 多角化戦略 ▼━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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事業を拡大するために、事業範囲を広げることを多角化という。
ひとつの事業だけを永続することは、競争が激しくなったり、経営環境や市
場の変化によって困難になることがある。
その際、企業は多角化によって、事業のベクトルを変え、企業存続に勤める
必要がある。
□ アンゾフの成長ベクトル
製品と市場を分析することで成長の方向性を定めることができる。
(1)既存市場・既存製品 :市場浸透戦略
(2)既存市場・新製品 :新製品開発戦略
(3)新規市場・既存製品 :新市場開拓戦略
(4)新規市場・新製品 :多角化戦略
この(4)が多角化戦略であり、新製品、新規市場を狙うということで、
従来の自社のビジネスから離れて事業を展開することになる。
□ 多角化戦略の種類
(1)水平型:自社の能力をいかし、新規市場をターゲットとする。
例えば、バイク製造業が車製造を行い販売する。
(2)垂直型:上流工程や下流工程にも手を広げること
(3)集中型:自社のコアコンピタンスを生かす形の展開
例えば、酒造会社のバイオ技術を生かす薬品業種展開
(4)集成型:従来の事業に関係ない分野への進出
大型スーパーの銀行業務への進出など
□ M&A
多角化戦略を行う場合、自社で保有する技術が無い場合、1から自社でその
能力を身に付けるより、すでに存在する会社を取り込むほうが早い場合があ
る。
そのような時に、買収という手段を使う。
買収を行うには、自社にメリットがなければならない。
□ シナジー
多角化を考える上で、シナジー効果(相乗効果)を検討する必要がある。
つまり、既存事業と多角化する事業において、何かしら既存のノウハウが生
かせる、とか共通事項がなければならない。
1+1=2かそれ以上の効果を狙う。
□ Critical Success Factor(CSF)
Key Success Factor(重要成功要因)とも呼ばれる。
多角化において特に考慮すると良いのだが、新規事業においての成功要因を
書き上げることが重要である。
□ Parenting Characteristic
本来の事業(M&Aによる多角化では、親会社の事業)の特性を指す。
このCSFとParenting Characteristicがどれくらい共通しているかが、
多角化において重要である。
□ Parenting Opportunities
本来の事業もしくは、買収によって得られる事業、多角化する事業において、
まだ改善の余地のある内容である。
Parenting CharacteristicとParenting Opportunitiesの差異を分析すること
も同様に重要である。
これは、既存事業と今後の事業(買収する事業、多角化する事業)でどれだ
けシナジーが発揮できるかということを意味する。
例えば、技術を優れている会社が、流通を優れている会社を買収する場合、
シナジーが期待できる。
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駄目な奴、努力しない奴が多い時代だからチャンスが多い。
●ベストプラクティス
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━Vol.211
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世の中、金融戦略で成長している企業も多くあります。例えば、株式市場で
何度も株式分割をしている企業。
これは非常に興味深いと思っています。株価がどんどんあがり、株式分割し
て株価を下げてもまた上がるという繰り返し。
某証券会社社長がこの手法を嫌い、この会社を「地獄に落ちろ」と批判して
いました。
このようにして株券を安くして誰でも株式を買えるようにしたり、株価が上
がる期待感を持たせることで、恐ろしい程の資金調達が行われる。
その資金を元に株式交換という手法で次々にM&Aを繰り広げる。
批判が多くあるということは、恐ろしい弊害や被害を被っている人がいると
いうことでしょうか。
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▼ ベストプラクティス ▼━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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ベスト・プラクティス(best practice)とは、最も効率的・効果的な実践
方法のことである。つまり、経営においては業界内において最も優れた企業
のことである。
業界内において、ベスト・プラクティスは複数あることもある。
何故ならば、差別化によって優れている企業もあれば、コスト優位において
優れている企業もあるからである。その中間に位置する企業もある。
企業はベスト・プラクティスを目指すため、指標「ベンチ・マーキング」に
よる数値的管理を用いて努力を行う。
但し、ベスト・プラクティスを目指すことが最善の経営戦略とは限らない。
コスト優位戦略をとって、業界内の最安値企業(コスト・リーダーシップ企
業)に勝つことは困難であるし、ベスト・プラクティス企業に近づけば、同
じような企業が業界内に乱立してしまうからである。
□ ERP
以前にも紹介したが、ERP(enterprise resource planning)というコン
ピューター・システム業界(System Integration)におい
て90年代後半にもてはやされた手法がある。
通常システムの導入というもは、企業のワークフローをヒアリング(用件定
義)し、属人的な業務、マンパワー業務を極力排除する形で設計し、プログ
ラム設計し、システム化された。
要するに企業の業務にあわせて、システムが導入されていたのだ。
これをオーダーメイドシステムと呼ぶ。
ところが、ERPによって、ベストプラクティスが組み込まれたパッケージ
ソフト(最善のワークフローが含まれている)に企業の業務を逆に当てはめ
てしまおうという考え方に変わっていった。
理由はいろいろあると思う。
そのほうが、導入コストは安いし、自社の業務をベスト・プラクティスに近
づけるという経営目標にマッチしていたりと。
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モノマネはつまらない。コロッケのモノマネは面白いが。
2005年06月07日
●ファウンドリー
日本で今年Blogが大ブレイクしていますが、米国では昨年から大ブレイ
クして、ネットの世界が大きく変わった気がします。
日本ではまだメールマガジンも多いですが、そのうち日本もメールマガジン
は廃れ、Blogの配信が主流になる気がします。
私のBlogの使い方としては、いくつかのBlogサイトが更新されたら
わかるようにして、そのBlogから情報収集してます。
もうニュースサイトはあまり見ません。
他にも自分のキーワードを登録しておいて、そのキーワードに関連したBl
ogができたり更新されると教えてくれるサービスも出来てきていますね。
何よりすごいと思うのは、米国でのブッシュ対ケリーをめぐるBlogでの
中傷合戦。TVなどでも米国では選挙で競争相手の政策を批判したりする広
告があるのですが、Blogでの中傷合戦は迫力が違いますね。
日本もそうですが、マスコミでのコメンテイターの意見よりも本人が誰かも
わからないBlogerの意見がパワーを持って来ているところにすごさを
感じます。
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▼ ファウンドリー ▼━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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ファウンドリーとは製造を専門に行う業者のことである。特に半導体チップ
の製造専門企業のことを一般に指す。
ファウンドリーはファブレス企業(製造を行わず、企画・設計に従事する企
業)から設計データを受け取り、その設計書に基づいて半導体チップを生産
する。
日本企業は企画・設計・製造を一環して行う特徴があるが、海外ではファブ
レス企業、ファウンドリー企業のアライアンスによってコストを押さえ込み、
専門分野に特化することで競争力をつけるところが多い。
特に、アメリカ企業が企画・設計(一番付加価値が高く、儲けもでかいと言
われている)を行い、台湾系企業がファンドリーとして製造のみを行うこと
により競争力を高めている企業がある。
専門的になればなるほど競争力が増すから。
ITは企画企業、製造(プログラミング)企業、サポート企業と分業が最
も進んでいる業界である。
アメリカが全ての企画元、製造はインド、中国、サポートはアイルランドや
インドとなっている。アウトソーシングからの分業である。
製造業も当然同じ流れになるだろう。
世界一人件費の高い日本で単純労働を続けるとボーダレス社会でのグロー
バル競争力の低下に歯止めが利かなくなるから。
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ロジスティックやサプライチェーンも重要ですね。
●企業の社会的責任(CSR)
前回もちょっと書きましたが、リサイクルショップというのは非常に素晴ら
しいと思います。何しろゴミはモノによっては捨てるのにお金がかかります
し、第一まだ使えるのに捨てなければいけないときは、非常にもったいない
と思うものです。それが誰か他の人に使ってもらえるのですから、うれしい
です。オークションも発展してきているので、今後このような第2次、3次の
利用はもっと増えるでしょう。それにしても生活に必要なもので新しい商品
が必要だと思うのは、消費財ばっかりになってきてますね。
こんな時代でモノをつくる製造業はかなりシンドイと思います。
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▼ 企業の社会的責任(CSR) ▼━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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□ Corporate Social Responsibility
産業が発展するにつれて、産業の発展が環境を破壊することとなった。
消費者も産業製品が必要であることを理解しているが、同時に環境への配慮
を真剣に考えるようになってきている。
前世紀に森は伐採されまくり、オゾン層は破壊され、都市はスモッグで空気
はひどくなった。
このような環境破壊の対価を誰が払うのか?
企業が払わないと誰も払ってくれない。政府が規制すれば、産業は発展しな
くなる。だから企業が製品コストに環境への配慮を取り入れるのが今の段階
でベストとなっている。
当然消費者がコストを被るのだが、消費者だって環境にやさしい企業を選択
したがる。
産業の発展は地球環境が健全であることが前提である。
資源というものは人類の資産なのである。
短期の利益ばかり考えずに長期的利益を考えると環境への配慮が非常に大切
だとわかる。
実はエコロジー(環境)とエコノミー(経済)は英語では語源は一緒なのだ。
□ 企業の社会的責任の活動
多くの企業が環境破壊のイメージを払拭しようと、チャリティー活動や社員
のボランティア活動を推奨している。
環境問題だけに限らず、ステークホルダー(企業を取り巻く関係者)への利
害への配慮も社会的責任の一環として注視されつつある。
□ コーポレートシチズン(Corporate Citizen)
消費者は企業の取り組みを注意して見守っている。最近話題な言葉はコーポ
レートシチズンだ。この言葉は企業も社会の一員として、倫理的行動を求め
られるということを意味している。
そのため、企業は社員の行動規範を規定し、IR活動で企業の情報公開を行
い、社会貢献をキーワードに環境保全に取り組み、従業員のボランティア活
動を支持し、地域や環境団体へ寄付し、法令を厳格に遵守するのである。
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環境への配慮を必須事項として企業は捕らえないといけない時代になった。
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もうソーシャルネットワーキングは飽きたな。
2005年06月06日
●オフショアリング
最近自分が日本人であることがどんなに恵まれているかと思うようになった。
アメリカも日本もヨーロッパも発展途上国の悲惨な生活環境に比べると、ま
るで楽園のようなのだ。
東南アジア諸国の賃金の低さを見よ!
同じ労働でも単価が全然違うのである。
だが、グローバル社会はそんな先進国の優位性を破壊するかもしれない。
アメリカでは昨年雇用無き景気回復(ジョブレス・リカバリー)と呼ばれる
減少が深刻化した。つまり、景気は回復したのだが、雇用が全然無いのだ。
これは、単純労働がどんどん賃金の安い海外に移ってしまっているのが、原
因として上げられる。
だが、先進国、特にアメリカは自国の都合の良いように世界のルールを変え
てしまう。やはり後進国は搾取される身なのか。日本もアメリカの属国なの
だ。
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▼ オフショアリング ▼━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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オフショアリングとは海外への雇用やサービスの移転(アウトソーシング)
のことである。
製造業の仕事がどんどん海外の人件費の安い国へ流れているのはご承知の
通りである。労働集約的な業務というのは、誰でもやれる仕事だけど、機械
ではなくて人がやらなければならない仕事なので、人件費の安い国へ真っ先
に委譲された。
次に発展途上国が技術力を持ち出したので、日本の簡単な知識・技術があれ
ばできる業務も海外に委譲された。
そして、付加価値が高いと言われた知識集約産業であるソフトウエア業界も
海外に委譲されるようになったのだ。
特に米国はIT先進国であるが、人件費も世界一高いので、知識集約業務の
中でも指示(仕様書)があればできるプログラミング業務というのは、イン
ドなどにどんどん発注されるようになった。
そして、ついにアイデアだけを先進国でつくり、仕様だとかプログラミング
一切を海外に発注する企業が沢山でてきた。
ビジネスウィーク誌では、ソフトウェア業界におけるこのような現象を危惧
する興味深い内容が掲載されている。
http://www.businessweek.com/magazine/content/04_09/b3872001_mz001.htm
このような状況が続いたら、(というより間違いなく続くのだが。。)
今後世界はどのようになるのであろうか。
企業としてのブランドに関して、ソフトウエアだったら米国、製造業だった
ら日本、ファッションだったらイタリヤ・フランスという世界の構図は変わ
らないだろうか。これらの国は死守しようとすることは間違いない。
でも、実際に作っているのは、人件費の安い国ということになる。
□ リストラ
オフショアリングは企業のリストラクチャリングの一貫として行われる。
企業がデフレ社会で売上増加に苦しんでいる中での、企業の回復(株価回復
も含めて)の最も楽な方法が人件費の削減(リストラ)である。工場閉鎖だ
とか2000人レイオフなどと公表すると一気に株価が回復するのである。
そして、自国の労働者を使わないでも、人件費の安い国に発注することで
同じ品質のものが製造できるほどグローバリゼーションは進んでしまったの
だ。そして経営状況の悪い企業は真っ先に飛びつく。
もっとも国単位の視点で見ると雇用が海外に移るということは、非常に恐ろ
しいことであり国益を損なうとも考えられるが、今や企業は自社のブランド
を守る為に何でもありの世界だ。
もしかしたら、日本も税率が高いので企業はタックスへイブンだとか、税率
の安い国に移ってしまうかもしれない。
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2009年にトータル・イクリプスが日本で見られるらしい。
2005年05月29日
●スターバックスというブランド (2)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━Vol.140
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今年もよろしくお願い致します。
スターバックスを通じて「ブランド」について考えていきます。
「ブランド」はどうやったらできるのか?
悩ましいですが、スターバックスに行ってコーヒーを飲んでいるとぼんやり
とわかる気がします。
単なる製品の良さだけでもない、接客態度だけでもない、雰囲気やBGMだ
けでもない、ロゴだけでもない。全てなのかもしれない。どれか1つが欠け
ただけでもブランドが成り立たないのかもしれない。
日本企業は製品の良さ(品質)に固執しすぎたのかもしえないとも思います。
時計だったら、その時間を測るという本質だけなら日本製の1000円の
時計の方がスイスの100万円の時計を凌駕しているかもしれない。
フランス製の鞄メーカーのタオルは、日本の工場が製造していてブランド・
マークを付けているだけだが、その工場が数100円で販売している同じ
タオルにブランド・マークを入れただけで価値が100倍にもなる。
あるブランドメーカーはその製品の品質の高さでブランドを確立したが、21
世紀になって自社製造を辞め、他社からのOEM供給に自社ブランドのロゴ
をつけて販売している。
今後しばらく「ブランド」を研究していきます。
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▼ スターバックスというブランド (2)▼━━━━━━━━━━━━━━
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□ 旧スターバックス時代
ハワード・シュルツはスターバックスに経営陣として入社した。
1983年
ハワード・シュルツは仕事で行ったイタリアで、売れるコーヒーの売り方を
発見した。
イタリアでは多くのコーヒーショップがスタンド形式となっており、コーヒ
ーを生活の一部として楽しむことができる。
当時のアメリカでは、安物のコーヒーで時間潰しのコーヒーショップが主流
であった。
イタリアでのコーヒーの楽しみ方をアメリカに持って帰れば間違いなく売れ
る、そう確信した。
スターバックスは最高級のコーヒー豆を扱い、顧客に美味しいコーヒーの
呑み方を指導していた。だが、ただの豆屋だった。
客にコーヒーを店で飲ませなかったのだ。
ハワード・シュルツの「スターバックスは豆を売るだけでなく、スタンド
形式で客にコーヒーを飲ませるべきだ」という提案は経営陣には受け入れ
られなかった。
ハワード・シュルツの思いとスターバックス経営陣との思いは食い違った
まま時は流れた。
1984年
スターバックスはピーツコーヒー&ティー社を買収した。
ピーツはスターバックスの生みの親とも言える。サンフランシスコにあった
ピーツは早くからヨーロッパスタイルの美味しいコーヒーを提供する店とし
てコーヒー通に有名だった。そしてスターバックスもピーツに影響されて
コーヒーマニアが作った店だったのだ。
ピーツの買収はスターバックス創業のコーヒーマニア陣には念願だったかも
しれない。だが、ピーツの買収には銀行からの多額の借金がありスターバッ
クスにとってそれは足かせとなり、自由に動くことはできなくなった。
経営陣と従業員との間に対立が出来はじめ、従業員は団結し、動労組合を
結成した。
ハワード・シュルツはイタリア風コーヒースタンドを実験店舗としてスター
バックスブランドで何とか出させてもらえた。好評だったが、経営陣には
認めてもらえなかった。
□ 独立
1985年
ハワード・シュルツは退職した。
自分の思いを実現させるために。
ハワード・シュルツはイタリア風スタンド形式コーヒーショップをつくる
ため独立したのだ。
スターバックスを退職する際、スターバックスの経営陣とイタリア旅行を
した。そこで500件近いイタリアのエスプレッソ・バーを見学し、バリスター
の手法、メニュー、エスプレッソ抽出技術をビデオ、メモを取り習得して
いった。
立ち上げる店の名前はイタリア風にイル・ジョナーレ(Il Giornale)と
した。
ハワード・シュルツは単なる家族経営の店をつくろうとしたのではない。
全米に展開するコーヒーショップをつくりあげようと考えていた。
そのためには、投資家を説得し、資金を集めて最初からブランドを構築し
大々的にスタートさせる必要があった。
資金を集めるのは非常に困難だった。コーヒーのようなローテク産業に
対して投資以上のリターンを期待するものが少なかったのだ。
また、ハワード・シュルツの抱くコーヒーショップがアメリカで流行ると
いうことを理解できる者も少なかった。
1年間をかけて242人に呼びかけハワード・シュルツのビジネスモデルを
説明したが217人に断られたと言う。殆どの人の断られたのだ。
このように断られても、次の人と会う際にははつらつとし、自信に満ちた
表情で説明する必要がある。これは並大抵の人間ではできないことだ。
営業マンとして長年優秀な成績を残したハワード・シュルツだからこそ
できたのではないだろうか。
多くの投資家はハワード・シュルツの人柄と夢に投資した。ビジネスモデル
に投資したものは少なかったのではないだろうか。
スターバックスも出資してくれた。これは競合したくないからか、顧客にし
たいからだったのか、もしくは両方だったのかもしれない。
独立、起業するために多額の資金を集めること、経験ある経営陣を入れる
ことは困難だったろう。断られても、次に会う人には明るく振舞うことが
ハワード・シュルツの素晴らしい能力のひとつだったに違いない。
経営陣には、コーヒーショップ経営者のデイブ・オルセンを迎えることが
できた。
シュルツは営業マンであったため、外交、資金調達、ブランド確立、企画
に従事し、デイブが社内運営、人材教育、品質管理といった内部オペレー
ションを行い、よいコンビとなった。
イル・ジョナーレはシュルツの確信どおり当初から大人気となった。
これまでのコーヒーショップとは違い、高級感あふれる店の雰囲気に、焙煎
りエスプレッソ、くつろげるイタリアンな空間として画期的だった。
だが、イタリアを意識しすぎたメニュー、BGM、バリスターの制服、立ち飲
み方式の評判はいまいちだった。
シュルツはすぐに改善し、アメリカ風新スタイルコーヒーショップとして
新しいブランドを築き上げた。
1件目が成功したが、利益よりも規模の拡大を優先し、他店をオープンした。
3店舗目はカナダでオープンした。
□ 買収
1987年
イル・ジョナーレは順調に業績を伸ばしていた。
他方、スターバックスは業績が悪化、ピーツブランドを優先させるため、
スターバックスを売却することとなった。
シュルツはすぐに飛びついた。
嫌がらせ、脅迫とシュルツの買収を妨害する者がいたが、シュルツは困難
を乗り切り、買収するのに必要な金を調達し、ついにスターバックスを
自分のものとした。
□ 新しい組織(従業員との関係)
ハワード・シュルツは貧民町で生まれ育った。シュルツの父は、仕事にやり
がいを感じることなく、一生を終えた。
父の死、自分の成功を恐らく照らし合わせたのだろう。
シュルツはスターバックスを誰もが働きたいと思う会社に育てようと決意
する。
社員が働きたいと思う会社は、社員の士気が高く、接客もすぐれ、結果とし
て顧客満足度が高くなるとも考えたろう。企業のブランドは社員ひとり一人
が象徴している。これはどんなブランド店に行っても感じることだ。
□ 社員が働きたがる人気企業にする
シュルツは、高い給料、福利厚生で実現しようとした。
週20時間以上勤務するパートタイマーにも健康保険の適用範囲に入れるこ
とを取締役会に上げた。
当時からアメリカでは企業は株主最優先主義という考えがあった。資本主義
なら当然のことなのかもしれない。従業員は使い捨て、そう株主も経営陣も
考えるところがある。
シュルツの提案には株主から大きな反発があった。
シュルツは次のようにして説得した。
福利厚生を良くすることで、水準の高い人材が集まり、また離職率も
低くなる。結果としてリクルーティング費用を抑えることができ、コ
スト削減となり、株主に還元することができる。
当時アメリカの小売・ファーストフードの年間離職率は150%~400%であっ
たが、スターバックスのバリスターの離職率は60~65%の低水準に抑える
ことができた。
*その結果の採用コストの削減と福利厚生費用の増大の関係については
不明。
シュルツのこの試みは成功し、従業員に優しい会社として有名になり、
ホワイトハウスにも呼ばれた。
どこの経営者でもできるけれども、やらなかったことを実践しただけであっ
た。結果としてスターバックスの知名度は上がり、費用対効果としてはずば
抜けた効果があった。
1990年
経営陣は社外の施設にこもり、スターバックスの価値観と信条を反映させ
たミッションステートメントを起草した。
ミッションステートメントは全社員の意見を反映させ、完全なものにした。
さらに従業員に業務横断的なプロジェクトチーム(店舗、事務所、向上とい
った非管理職社員で構成させるチームをつくり、チームメンバーは業務から
離れ会合を持ち、社員の成長や意思決定、市場拡大に関する提言を纏めて
経営陣に報告した。
これは社員の経営参加とも言える。
従業員に経営参加・提言を行わせると次のような効果が現れる。
・経営意識の醸成(経営指標の意識、役割の明確化)
・現場の問題点を経営陣と共有
・忠誠心・士気向上
さらには、経営陣を従業員が監視するというルールもつくった。
(通常監査役が行う仕事。ただし監査役は経営陣と同一のため形骸化され
ている)
1991年にはスターバックス社員向けストックオプション「ビーンストッ
ク」を開始した。どの社員も従業員でありながら株主であり、ビジネスパー
トナーとなった。
これには次のような効果がある。
・株主の視点で行動(利益を考えて行動)
・士気の向上(自分の労働が結果として株式配当として還元されるため)
・経営陣との調和(労働者としての対立の減少)
持ち株会とは違うストックオプションというのが重要だ。
日本ではまだ完全なストックオプションは無い。それどころか持ち株会
では完全な誤解をしている企業が多い。持ち株会は株価が下がれば、価
値が減少するのだ。ストックオプションは価値が上昇したときに売却す
る権利だから従業員は損をしない。
日本で持ち株会を行う理由は、安定株主の獲得が第一目的で資産形成の
ためにはほとんどなっていない。(昨今の株価低迷も原因だが。。)
ましてや、従業員をビジネスパートナーとみなすところは皆無だろう。
ハワード・シュルツは従業員を大切にした。これはアメリカ企業では驚く
べきことである。そして結果としてスターバックスを一流のブランドへと
成長させた。ブランドは従業員ひとりひとりの心のこもった行動と言える。
プロダクトの価値以上に従業員の顧客への接客が重要だと認識する必要が
ある。
(参考)
●スターバックス成功物語
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822241130/httpskilcomen-22
ハワード・シュルツ自身によるスターバックスの成功の軌跡。
「コーヒーから大金を産んだ男」、「ブランドをつくって金を儲けた」とか
色々言われているが、彼が本当にコーヒーを愛していることがわかる。
●スターバックスのミッションステートメント
http://www.starbucks.com/aboutus/environment.asp
なぜみんなスターバックスに行きたがるのか? | |
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イメージできないような未来は決してやってこない。
●スターバックスというブランド(1)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━Vol.139
☆☆☆ 【SkillStorage.com】経営戦略入門 ☆☆☆
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週末読売新聞を読んでいたら、消費者金融と銀行の関係とCMについての
コラムがあった。
銀行がやっているキャッシュローンのCMをしょっちゅう目にする。
ラーメンを食べに北海道まで行く話
子犬を見て、子犬と海辺で戯れる話(これは消費者金融)
やさしそうな受付のお姉さんが登場するCM(これも消費者金融)
その他、もろもろCMの題材は腐るほど転がっている。
銀行は悪の象徴のような消費者金融と提携し目先の利益に走るようになって
しまった。
消費者がそれを望んでいるなんていうのは、言い分けにすぎない。
金を借りるのは敷居が低いと洗脳し、金を借りて目先の楽しみを優先せよ
というのか。
その後の悲劇は週刊誌や「ナニワ金融道」を見ればわかる。
金が返せないととことん追いつめられて、人生台無しになるのだ。
ゼロ金利と言われる世の中で消費者金融の金利は恐ろしく高い。
消費者金融には手を出すな!これだけは肝に銘じてもらいたい。
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▼ スターバックスというブランド(1) ▼━━━━━━━━━━━━━━
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シンプソンズというアメリカで大人気の大人向けブラックアニメがある。
(日本ではCCレモンのCMで有名)
そのシンプソンズで3,4年前スターバックスを取り上げた話があった。
主人公の男の子のバートがショッピングモールに行くと、そこはスター
バックスだらけなのだ。バートの大好きなおもちゃ屋に行くと、もう店じま
いをするという。スターバックスになるという。
しばらくたってバートがそこのショッピングモールにいくと、店のほとん
どがスターバックスになっているという話だ。
かなりのブラックユーモアだが、そこまでスターバックスは世界中に店舗
恐ろしいほどのスピードで拡大していったことが知られている。
□スターバックス・コーヒー
スタバ(スターバックスの略)の特徴と言って何を思い出すだろうか。
おそらく下記のような内容ではないだろうか。
多分思い浮かべるイメージは下記だ。
(1)エスプレッソコーヒー
入れるのが難しく、時間がかかる。スターバックスではほとんどのコーヒー
を独自の技術でエスプレッソを抽出し提供している。もちろん豆もこだわっ
ていて世界最高級のアラビカ種の豆を使用している。
そのため、コーヒー通をも満足させられる。
(2)高級コーヒーショップ
スターバックスのコーヒーは高い。もちろん良い豆を使っているので、コス
トが高いのだが、通常のフランチャイズでコーヒーを販売している店よりも
2倍くらい高くなる。
だが、店に入るのに敷居は低い。一部のコーヒーマニアしか入らない店や、
時間を潰すのが目的の店とはまったく違う。
(3)全店禁煙
コーヒーといえば煙草だった。これは日本だけでは無いだろう。全世界的に
禁煙ブームとなっている中、映画「スモーク」は大ヒットした。
コーヒーと言えば煙草だが、実は相性が良くない。
禁煙の店舗にして初めてコーヒーの香りの良さを体験できた。
(4)莫大な店舗数
全世界で5500以上の店舗を持っている。全て同じスターバックスのブランド
で同じ味のコーヒーを提供している。
日本でも400店舗を突破している。
日本では全て直営店舗のため、フランチャイズ
だが、思い浮かべるイメージと、実態はあまりにも違うと筆者は仰天した。
(後述)
□ハワード・シュルツ
スターバックスと言えば、ハワード・シュルツと言われる。
だがスターバックスを誕生させたのは、彼ではない。
アメリカにしてはめずらしいコーヒーマニア3人組によってつくられた。
そして、マニアックなコーヒー豆店としてコーヒー通の間のみに知られた
店舗だった。
後にハワード・シュルツがスターバックスに転職(従業員としてというより
は経営陣として)し、退社し、自らのブランドでコーヒーショップを立ち上
げ、そしてスターバックスを買収してしまうのだ。
だから、スターバックスを考えるに当たっては、やはりこの男がどのような
人物かを知ることが最重要であり、スターバックスがどのようなコーヒー豆
屋だったかというのが2番目に重要であると思われる。
(何がこれほどまでにハワード・シュルツを魅了したのかが重要と言う意味)
ハワード・シュルツはニューヨーク郊外に貧民街で生まれ育った。
アメリカで通信販売やインターネット販売をする時、何かを問い合わせる
とき、必ずと言ってよいほど郵便番号を聞かれる。
アメリカでは、郵便番号ごとにマーケットのセグメンテーションを行うこ
とが多い。日本とは違い、貧富の差が激しく、エリアマーケティングが有効
なのだ。
アメリカでは生まれた場所が貧しければ、まず一生貧しいままで終わる。
裕福だったら、裕福な人生を歩む。
日本もそうだが、その傾向が強い。ただし、時たま脱線して貧乏な家庭
から成功して巨額の富を生み出す者が現れる。それは半端無い巨額な富だっ
たりする。それこそがアメリカンドリームだ。
ハワード・シェルツはその一人だ。そしてこの男の魅力は語りつくせない。
大学を平凡に卒業後、ハワードはゼロックスの優秀な営業マンだった。
(営業マンだったということが重要だ。営業マンというのは、顧客に最も
密接しており、言葉と人間力でプロダクトを売り込む。)
その後、ハマープラスト社に転職した。そこでは年収7万5千ドルもらい、
また結婚を予定している恋人もいて十分満足していた。
貧民街出身のハワードは、もう十分な成功だと思っていた。
ハマープラスト社の営業担当責任者だったとき、大量のコーヒーメーカーを
注文してきた会社があった。それがスターバックスだった。
興味を持ってシアトルに行ったときにスターバックスに寄ってみた。
スターバックスはコーヒー豆屋だった。だが、そのコーヒーはハワードが
今まで飲んだことのないコーヒーだった。それはエスプレッソコーヒーだ。
当時アメリカではろくなコーヒーがないことは有名だった。ヨーロッパ人と
話したり映画を見てアメリカの話題になると、必ずといってよいほどまずい
コーヒーの話になったほどだ。
エスプレッソコーヒーを飲み、焙煎工場に行き、経営者の話を聞いて、話を
聞いてのめり込んでいった。
スターバックスの店デザイン、雰囲気、文化、思想すべてが好きになった。
ハワード・シェルツはスタバで働きたいと思った。
年収と職場、地位、車、同僚、住居など全て諦める決意をした。
営業マンとして優秀だったハワードは、色々なアイデア(アメリカ中に店舗
をつくることなど)を経営陣に話し積極的にアピールした。
ハワードは従業員としてスターバックスで働くのではなく、経営陣として
スターバックスで働きたかったのだ。
そしてついにシアトルに出向いて面接を受けた。
だが、次の日に、採用不可の通告の電話が入った。
スターバックスの経営陣にとってハワードは革新的・営業マン的でありすぎ
たようだ。ニューヨーカーのバリバリの営業マンが経営に入ったら、コーヒー
文化、品質の良いコーヒーを出すというスターバックスの基本的な経営理念
が壊されるのではないかと思われたのだろう。
だが、粘り強く経営陣のひとりジェリーを解きふせ、何とかしてスターバッ
クスの株の一部を購入することと営業責任者の地位を手に入れた。
これは非常にすごいことだと思う。就職、転職でどうしても入りたい会社が
あるからといって、一度断られたのに電話して覆すことができるだろうか。
1982年
スターバックスで働くようになっても、ニューヨーカーのハワードがシアト
ルの田舎の従業員に溶け込めるには時間がかかった。
ただ、ハワードのコーヒーの味利き、コーヒーの知識は十分になっていて、
理解され信頼せれてされていった。当たり前のことだが、ハワード・シェル
ツはコーヒーに魅了されていたのだ。単にプロダクトが売れるからという
だけでなく、そのプロダクトを愛していたのだ。
ハワードはスターバックスへの理解が深まるにつれて、スターバックスが客
に対して傲慢的であるところを感じていた。
これは意外な視点だと思う。コーヒーマニアにとっては当たり前なことだっ
たコーヒー通だけに対する売込み、接客というのを、一般市民まで格式を
下げようと訴えたのだ。
自分のプロダクトを愛するものは、買いたい奴だけが買えば良い、売り込み
なんかしなくたって良いものは売れる、と考える傾向がある。
だが、世の中は完全に情報平等な社会ではない。ハワードは根っからの営業
マンだった。顧客志向にスターバックスを変えていく努力をしていった。
□ミッション・ステートメント
スターバックスのミッションステートメントには以下の文章がまず、第一
に掲げられている。
The Company's objective is to establish Starbucks as the most
recognized and respected brand in the world.
http://www.starbucks.co.jp
この文章にはコーヒーという文字はない。
目的は、「スターバックスを最も世界で最も認識され、敬意されている
ブランドに育てること」
このミッションはどのようにスターバックス文化を育てているのか。
以下あくまでも、筆者の周りのスターバックス通に聞いて回っての
意見である。
「何故、君はスターバックスに行くのか?」
まず10代後半から20代前半の若者に聞いて回った。
返って来た回答ランキングは以下だ。
1.お洒落だから
2.ゆったりとくつろげるから
3.恋人や友達といける
20代後半~はこうだった
1.くつろげる(時間を潰せる)
2.お洒落だから
3.コーヒーが美味しい
(筆者の周りの主に女性陣を中心に聞いて回った。スターバックスを利用
する一般客層の平均とはずれているかもしれないので念のため)
かなり偏ったアンケートだったかもしれない。
だが、若者層にいたっては「コーヒー」なんて言葉は殆ど聞かなかったし、
「美味しい」と言う者がほとんどいなかったのだ。
それどころか、「スターバックスはまずい」「苦い」という意見まであっ
たほどだ。
これは驚くべき事実である。
まあ、「コーヒーは違いのわかる大人の飲み物」といわれるので、子供達
にとっては味なんかわからないのかもしれないが。
まるで、子供にバドワイザーを持たしたときのような回答だった。
30代になると、さすがに「スターバックスのコーヒは他と違って美味しい」
と言う人がいた。
筆者がスターバックスを取り上げた理由はここにある。
ちなみに筆者もスターバックスは好きだ。
それはコーヒーが好きだからではなく、むしろあのふかふかのソファーに
くつろげるから、街中歩きながら飲んでも格好がよいから、マークがオシャ
レだからと言った理由に近いと思う。
スターバックスのミッションステートメントを何度も読み直した。
ブランドとはまさにこれだと思った。
スターバックスをここまで大きくしたハワード・シュルツは自伝とも言える
本「スターバックス成功物語」で、いかにコーヒーが好きか、コーヒーの文
化を広めようと思ったかをしつこいほど訴えている。
だが、スターバックスのブランドがコーヒーの味を凌駕しているような状態
において、最も重要なのはブランドがどのようにして形成されていったか?
であり、そこは何故かあまり語られていないところである。
その点について探っていきたいと思った。
(つづく)
(参考)
スターバックス成功物語 | |
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