›1 28, 2009

大不況でのサバイバル術-サラリーマン編

Posted by skillstorage at 22:49 / Category: 資産運用 / 0 Comments

大企業でも赤字決算になるような状況である。中小企業への影響は更に大きい。毎月の試算状況や運転資金は経理でも無い限り一般社員は知る余地が無い。いつつぶれるか分からないような中小企業で働くサラリーマンの自己防衛策を述べてみたい。

(1)キャッシュ・アウトの確認
まず、家計で毎月いくら現金が必要なのかをちゃんと把握しよう。次にライフイベント表(子供がいつ学校に入って入学金が必要になるか等)を作成して、現金が必要なタイミングを把握しよう。

(2)キャッシュ・インの確認
そして収入源の確認だ。現在の会社の給与明細、源泉徴収票から可処分所得(税引き後の所得:手取り)をきちんと確認しよう。

(3)自己価値の確認
また、会社が潰れた場合や自主退職した場合など想定して、どれだけ運転資金が必要か確認しよう。転職した場合どれほどの賃金が貰えるものなのか、転職の意思は無くとも人材紹介会社とは付き合って客観的に自分の市場価値というものを把握した方が良い。

さて、それぞれを把握したら問題が見えてくるはずだ。対策をそれぞれ考えよう。

(1)キャッシュ・アウトの削減
不景気下ではまず支出を減らすことが何より重要だ。
子供の高い教育費、住宅ローン、自動車ローン、生命保険、その他維持費、飲食費、減らせるところは減らして、今後景気は5年は回復しないという悪いシナリオを前提に考えるべきだろう。

身の丈に合っていないような生活は改めるべきだ。住宅を売り賃貸にするなど高額なものほど当然効果は大きい。
食費は外食を減らせば下げれるし、酒も煙草も辞めることはできる。
税金が見逃されがちだが、支払っている税金を、生活を変えたり、ちょっとしたことで下げることは可能だ。これには知識が必要だが。

(2)キャッシュ・インの増加
サラリーマンで所得が1つであれば、自己の市場価値を向上させ給与アップや転職で収入を増やすのが最も重要なことだ。しかしながら、不景気下にあっては非常に困難なことも事実である。

資産運用はできる限り分散することだ。結果的に昨年からは日本円による銀行預金、タンス預金が他の資産よりも運用利回りが良いだろうが、現金は運転資金として保持する必要はあるが、運用益がでる他の資産にも分散しておかないと、急激な円安、インフレには対応できない。

配偶者が専業主婦であればアルバイトやパートをするなりして収入を少しでも増やすことが重要だ。サラリーマンも勤務先の給与以外でも収入を持ちたい。特に働き盛りの20~30代であれば不景気で仕事量が減っても体力は有り余るはずだから。
収入面に関しても税金の知識は重要となる。

(3)自己価値の向上
零細企業で働いていて、その会社でしか通用しない能力しか無いのであれば大問題である。できるだけ客観的に自己が高く評価できるような能力を身に付けるべきである。
資格は最も客観的に評価できる尺度だと思う。

自分の職種に関連している資格を探して取得すべきである。何から資格を取って良いかわからないのであれば、まずはFPがお勧めである。3級であれば2か月も毎晩テキストをやれば簡単に受かるだろう。
家計の資産運用、不動産、ライフスタイル、税金と分かり資格が自己の生活の節税や効率化に役立つ。相続や確定申告、住宅ローン減税、老後の年金や生命保険、投資方法までの知識がつき知っているだけで生涯の金銭価値で数百万円以上の価値があるようなこともある。人生が大きく変わるかもしれない。

この資格をステップに興味が持てる分野があれば、この基礎知識をベースにステップアップしていけば良い。例えば税理士を目指すような気になるかもしれない。

営業系や経理系であれば、貿易実務や簿記、語学に自信があれば、TOEICや中国語検定とそれを裏付ける資格はやはり重要である。

これまで大企業、中小企業でも会社が潰れて転職活動を始めた者を見てきたが、キャリアアップの転職とは違い苦労していた。90年代後半の金融機関の不良債権による倒産は、若い人は良いが中間管理職、上級管理職は実は他社で活かせる能力が無かったり、人脈も無かったりでとても苦労していた。収入も大幅に下げての転職となる人が多かった。
仕事ができる人よりも、コツコツ資格を取っている人の方が一般的に転職は強かった。

自己技術、能力も1つの分野に特化すると危険である。技術の代替で無くなってしまうような産業、海外の安い人件費に置き換わってしまうような産業も存在する。そのような場合は、持っている能力どころか資格も使い物にならなくなってしまう。
IT技術者(プログラマー、SE)も米国では、インド人の人件費によってとても下がってしまった。日本でも安い中国人技術者が大量に押し寄せている。
鉛フリーやRoHS問題で扱えない材料が増え、海外競合とのコストで勝てず潰れてしまった会社もたくさんある。

自分の仕事が衰退産業に属すると感じたら、思い切って全く違う業界の資格を取っておくのも有効だ。

「FP技能士(ファイナンシャル・プランナー)」


›1 22, 2009

不況における中小企業社長の心理

Posted by skillstorage at 19:28 / Category: 日々雑感 / 0 Comments

トヨタ、ソニー、東芝といった日本を代表する製造業が赤字に転落するような大不況である。
日本国の歳入は税金のうち所得税、法人税で33兆円で40%弱をまかなっている。30%は公債発行という国民への借金である。
このような国のこのような経済状況下で、中小企業(とりわけ円高と下請け圧力で苦しむ製造業)は果たして生存できるのだろうか?と客観的に見ても感じる。

ゼネコン不況がそうであったが、製造業も流通も多くが大企業が消費者への販売を担っており、中小企業は下請けや上流で叩かれる立場にあり、大企業の業績不振によってその被害は甚大になる。

さらに製造業のようにグローバル化した経済環境下においては、コストも円も高い日本の中小企業は競争力も交渉力も持たない。さらに信用力も低いため資金調達も困難で、できたとしても高い金利を背負うことになる。

中小企業の社長というのは経営に対する責任だけでなく、借りた金の担保も保障も必要ということである。

セイフティネットにより長生きさせようという国の施策があるが、景気回復が見込めない中で社長というのはどのような心理になるものであろうか。

短期的な不況であれば、運転資金と赤字を賄えればいずれ儲かって借金も返せて幸せになると思うだろう。しかし、今の状況でそのように思えるのだろうか?

銀行は信用保証協会の保証によって中小企業が潰れても取りっぱぐれが無ければ貸す、少しでも回収できない可能性があれば貸さないなどという状況をよく聞く。

セイフティネットにより融資や補助金で金が入ったら、それを今後もじり貧で消滅する会社に突っ込んでがんばろうと思う社長がどれほどいるか?

小説「マネーロンダリング」では、借りた金を返さず、裏金として海外にプールする零細企業の社長夫婦が登場する。

むしろこのような感覚が多いのではないかと思わずにいられない。中小企業の社長は会社を潰したら悲惨である。自殺して償ったりするくらいである。家も車も売れる資産は全て無くなり、返せない借金のために生きるか、自己破産するか、いずれにしても再起は非常に困難である。

それよりは借りた金を、返さずに残りの人生にうまく使えないかという倫理や犯罪の一線を越えてしまうような心理が働かないのだろうかと思う。

自分はまだそのような状況になったことは無いし、同情もしないが、そういった心理になるのではないかとただ思う。


マネーロンダリング


ジム・ロジャーズが語る商品の時代|コモデティ

Posted by skillstorage at 18:32 / Category: 書評 / 0 Comments

90年代後半からジム・ロジャースはコモデティ(商品)の時代になると言っていた。現に2000年以降は株価の上昇も大きかったが、コモデティの上昇も大きかった。
サブプライムローン問題以降は、急激にコモデティに投資マネーが流れ、そしてその投資マネーも収縮しコモデティは急落している。
結局コモデティはまず需要ありきなのだと思う。
ただ、しばらく続く金融収縮によるデフレ対策による米国・欧州によるバラマキと財政赤字解消のためにインフレに誘導され、そしてそれは制御不能のハイパーインフレへ向かう可能性が十分にある。
そんなときまたコモデティの価格は急上昇することは間違いない。

この本を読みなおしてみて、ジム・ロジャースはサブプライムローンの問題を予測しているし、バブルはやがてはじけることも予測している。
中国は不動産を中心としたバブルがはじけて、立ち直り、そして発展するという大胆な予測をしている。

ジム・ロジャーズが注目しているのは、サブプライムローン問題以前の中国ではなく、立ち直った後の中国であることがよくわかる。

最近、米国の不況の影響が最も大きく高い失業率で苦しむ中国の東莞、シンセン地区に行った。治安が悪い、失業者が暴動を起こしているなどという日本のメディアの報道とは違い、繁華街は日本以上に賑わい、平日の夜のレストランさえ満席だった。もちろん以前に比べると活気は落ちているかもしれないが、日本、米国と相対的に比べるとまだ希望が感じられた。

価格はどんどん下がっている。円高なので海外はとても安く感じるが、商品価格下落は指数のとおりなのだろう。

商品の時代が来ることは確実だと考えるが、買いたい商品がまだ十分にできていない。米国にはジム・ロジャースのインデックス連動のETFが上場されているが、日本は最近できたETFと投資信託くらいしか複数の商品のポートフォリオが組まれていないのが難点だが、景気の底が見えてきたら参戦したいと思っている。

ジム・ロジャーズが語る商品の時代

›1 21, 2009

ハイパーインフレはいつくるのか?

Posted by skillstorage at 18:24 / Category: 政治経済(Political Economy) / 0 Comments

貨幣は何かと考えてみると、中央銀行である日本銀行が発行している借用証書である。
バランスシートでみればわかるが、負債に発行銀行券がある。
つまり国民から無利子で調達する負債であり、その借用書として貨幣が出回っていると考えることができる。

日本銀行のバランスシート
2008年12月の日銀バランスシートを見ると、発行銀行券が81兆円であり、2001年5月では57兆円であり、貨幣が増加していることがわかる。

オバマ新政権にせよ、欧州にせよケインズ理論により財政赤字を膨らましてでも公共事業や景気刺激策を行おうとしている。また金融機関やビッグスリーのような経済の基盤事業は税金の投入による救済も行われようとしている。
サブプライム問題とリーマンショックにより世界不況に突入しており、好景気下で有効だった減税による景気刺激はもはやなかなか通用しないのだろう。(赤字の企業や消費者からはそもそも減税できない)。かといって公共事業なんかがこれだけインフラが整った先進国で有益なものがつくれるのかは大いに疑問だ。

マクロ経済学の重要な公式を基本ベースとした政策を行っているので、経済学の知識は重要だと痛感する。

総需要=C+I+G+X 
(消費:C、民間投資:I、政府支出:G、輸出:X)

  総供給=C+S+T+M
(国内総生産と輸入:M、消費:C、貯蓄:S、租税:T)


フィッシャーの交換方程式
PT=MV
(P:価格、T:取引量、M:流通貨幣量、V:貨幣の流通速度)

マネーの流通量をまずは増やし(M)、マネーの流れをよくすること(V)により、物価(P)は上昇するのが基本公式である。実際には不景気下では取引量(T)もマネーの流通速度も上昇しないので現状ではデフレが進んでいる。供給されたマネーが流通せずに貯蓄に回されてしまうのである。消費者にせよ企業にせよ、先の見えない不況では不安なのでキャッシュフローを抑え、貯蓄で生き延びようというのは当たり前のことだろう。

デフレにおいてはマネーの価値は非常に高い。ゼロ金利でもタンス預金でも物価が下落しているので実質金利は高いということになる。資産をマネー以外で持っていたり、借金があるとその負担は重くなる。

国家は財政赤字が続き、デフレが続くと借金の負担がでかくなる。しかもデフレなので不景気のため財政赤字は増える一方であり、デフレ解消のためには政府の借金の削減という観点からもインフレになることが望ましいということがわかる。

将来的にはハイパーインフレの時代が来ることは確実だと思われる。だがいつかは予測はできない。

›1 11, 2009

不景気とデフレが進行する不況経済

Posted by skillstorage at 20:49 / Category: 政治経済(Political Economy) / 0 Comments

米国、欧州とだんだんとデフレになりつつある。90年代後半の日本と同じ現象であり、対処も金融機関への税金投入による救済、ゼロ金利、量的緩和とタイムマシンで戻ったような感覚がする。
オイル価格、株価、為替と変動が激しく何が起こるのか、今年の予想はどうなるのか誰もはっきりした予測はできない状況だろう。

このような状況なので、経済学の理論で各国の政策がどのような影響を及ぼすのか、やはり自分で考えるしかないのかと思う。ちまたには不況本、サブプライムローン問題の分析本があふれているが、経済理論を軸に書いているものは根本的に共通したところがあり、予測に関しては独自の理論を振りまいている部分があるという感じだ。
もっとも多くのそれらの本は、経済理論などまるで知らないような連中が勝手なことを書いている酷い状況でもあるのだが。

さて、インフレ、デフレは流通通貨量(マネーサプライ)の量による。過剰流動性と言われた昨年までの世界経済から一転して貸し渋り、信用収縮の世の中と変わった。さらにマネー流通がリーマンショックで劇的にしぼみ、これからはマネーを大量に供給するのが中央銀行や政府の景気対策となっている。

そのような状況で、現金の価値が非常に高くなっている。現象が顕著に見られるとデフレになる。

デフレにより、債務者損失(借金負担がでかくなる)、マイホーム保持者は資産価値の下落が起こり、逆に債権者利得が生じる。

□デフレの種類
需要面と供給面のデフレ(費用デフレ)
需要面では消費デフレ、財政デフレ、信用デフレ
さらに円高による輸出減少による輸出デフレ
供給面のデフレ、技術革新(生産性の向上)、派遣従業員によるコスト低下
土地、株式などの資産の急激な値下がりによる資産デフレ

このように教科書に書いてあるデフレを列記しても、デフレ要素が大きいことが分かる。
日本で10年前から議論されていたデフレ・スパイラルに先進国が陥る事態が考えられる。

しかし、日本最大の債務者は日本政府であり、米国も同様であることを考えるとデフレがどれほど国家の危機に繋がるか分かる。デフレを回避するためにあらゆる手段を講じないと国家が危機的な状況に追いやられる。

金融緩和と赤字財政(バラマキ財政)、さらには過去に例が無いインフレターゲットまで考慮にいれ必死になった対策が行われる

流通通貨量が多くなっても、商品の購買が増えないような世界同時不況であるためインフレにはなかなかならない。景気が回復したときには流通通貨量と貨幣の流通速度が上がり、フィッシャーの公式(経済学の教科書に登場する基本公式)からもインフレがいっきに起こりハイパーインフレになる可能性がある。それがいつになるかは誰も予測できないが。

フィッシャーの交換方程式

PT=MV
(P:価格、T:取引量、M:流通貨幣量、V:貨幣の流通速度)