›1 22, 2009

不況における中小企業社長の心理

Category: 日々雑感 / 0 Comments: Post / View

トヨタ、ソニー、東芝といった日本を代表する製造業が赤字に転落するような大不況である。
日本国の歳入は税金のうち所得税、法人税で33兆円で40%弱をまかなっている。30%は公債発行という国民への借金である。
このような国のこのような経済状況下で、中小企業(とりわけ円高と下請け圧力で苦しむ製造業)は果たして生存できるのだろうか?と客観的に見ても感じる。

ゼネコン不況がそうであったが、製造業も流通も多くが大企業が消費者への販売を担っており、中小企業は下請けや上流で叩かれる立場にあり、大企業の業績不振によってその被害は甚大になる。

さらに製造業のようにグローバル化した経済環境下においては、コストも円も高い日本の中小企業は競争力も交渉力も持たない。さらに信用力も低いため資金調達も困難で、できたとしても高い金利を背負うことになる。

中小企業の社長というのは経営に対する責任だけでなく、借りた金の担保も保障も必要ということである。

セイフティネットにより長生きさせようという国の施策があるが、景気回復が見込めない中で社長というのはどのような心理になるものであろうか。

短期的な不況であれば、運転資金と赤字を賄えればいずれ儲かって借金も返せて幸せになると思うだろう。しかし、今の状況でそのように思えるのだろうか?

銀行は信用保証協会の保証によって中小企業が潰れても取りっぱぐれが無ければ貸す、少しでも回収できない可能性があれば貸さないなどという状況をよく聞く。

セイフティネットにより融資や補助金で金が入ったら、それを今後もじり貧で消滅する会社に突っ込んでがんばろうと思う社長がどれほどいるか?

小説「マネーロンダリング」では、借りた金を返さず、裏金として海外にプールする零細企業の社長夫婦が登場する。

むしろこのような感覚が多いのではないかと思わずにいられない。中小企業の社長は会社を潰したら悲惨である。自殺して償ったりするくらいである。家も車も売れる資産は全て無くなり、返せない借金のために生きるか、自己破産するか、いずれにしても再起は非常に困難である。

それよりは借りた金を、返さずに残りの人生にうまく使えないかという倫理や犯罪の一線を越えてしまうような心理が働かないのだろうかと思う。

自分はまだそのような状況になったことは無いし、同情もしないが、そういった心理になるのではないかとただ思う。


マネーロンダリング


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