›7 24, 2008

最低賃金制

Posted by skillstorage at 17:16 / Category: HR(人事) / 0 Comments

最低賃金法によると、最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければならないとされている制度である。最賃(さいちん)と略される。労働基本権として世界中の多くの国で導入されている。

景気が悪くなると最低賃金をめぐる議論が活発になると思う。
労働者側は、生活水準の維持やや社会情勢の不安から賃金上昇を要求するし、企業側は需要減少、競争力維持から賃金はむしろ下げたいと思うだろう。

週末も、テレビでこの賃金の問題とワーキングプア問題について政治家が議論をしていた。
最低賃金を高卒初任給の平均水準を目標とするという政府案から様々なメディアで議論されている。

政治家においても労働者の立場に立つ政党と企業側の利益が雇用維持・安定、そして国益につながると考える政党があった。

あまりにも労働者側保護的な発言をする政治家の話を聞いたが、世界の経済状況や日本のおかれてる状況(国際競争力)を理解しているのか疑問に感じた。
製造業では、かつてのように国内の労働者が生産に絶対的に必要な状況ではなくなっているのを分かっているのだろうか。

■労働分配率
企業が利益のうち労働者に還元する率が労働分配率である。

国民経済計算の方法によると、日本はかつて世界で最も労働分配率が高く2001年以降は減少傾向だがそれでも世界的には高水準である。
現在は、企業側も将来への備えや負債の削減にむしろ分配したいのだろう。
先進国の経済は、高度成長期のように伸びないことを考えると当然のことだし、このような企業側の考えは、むしろ労働者側にも永続的な雇用維持(会社存続)というメリットが本来あるはずだと思う。
労働者はむしろ今手にする賃金の方を優先したいというのは、機会損失コストを考えた経済合理的ではあると思うが。

政策として労働者保護の観点から最低賃金を引き上げると、結果として企業は雇用を減少させたり、海外に移転するだろう。そうすると、労働者は「もっと安い賃金でも働きたかった」と後悔することになるし、当然企業が税金を日本に落とさなくなる。

中国でも労働者保護のために法律がどんどん改正されている。日本を含め外資系企業は中国では主に安い賃金の労働集約作業を求めていたのだが、そのメリットが失われつつある。かといって中国で知識集約労働者はまだ少ないし、需要も少ない。
それを最低賃金を引き上げたことで、世界環境が悪い状況では企業はさらに安い賃金を求めて他国に出ていかざるを得なくなる。

やはり最低賃金というものはこれだけ情報が広がり、労使の力関係も平等に近づいた時代では意味をなさないと思うのだが。
以前中国で聞いたのだが、ある工場の労働者はとなりの工場の募集賃金が若干高いので昼休みに作業着のまま面接の長蛇の列ができたいたそうだ。これが今の時代の労使関係だと思う。
隣の工場に行かれたくなければ、賃金を上げるか他を採用するしかないのだから。

エーワン精密とナステック

Posted by skillstorage at 17:14 / Category: 日々雑感 / 0 Comments

株式会社ナステックという会社がエーワン精密の株を取得して、アクティビストとして様々な要求をしている。
・期末剰余金の配当に関して、配当性向を80%
・1年間で株式総数30,000株、取得価額の総額15億円を上限として、自己株式取得をする。
・社外取締役1名を選任する。

このナステックという会社は、エーワン精密と似たような会社(事業会社)であり、以前から何故保有しているのか気になっていた。同じ商品(コレットチャック)を売っているので、同業の情報を得るためなんだろうかと。

そしたらアクティビストだったようだ。

しかし、エーワン精密も創業者梅原勝彦氏の資産管理会社と従業員持株会で44%を保有しているので、まあ買収することもできないし、要求も通らないだろうし、残りの株を買い占めることもできないしナステックという会社は目的がよくわからず本当に気になるところだ。

ナステックの佐藤真理子社長のインタビューとかあったら聞いてみたい。

なお、エーワン精密は町工場としてはとても良い会社だけども、資金需要もあるわけでもなく成長を目指しているようにも見えないし、何故上場したのかわからないところがある。

エーワン精密については本が出ているが、町工場としては圧倒的に強い。

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›7 17, 2008

日本も本格的不況の兆し

Posted by skillstorage at 14:46 / Category: 日々雑感 / 0 Comments

サブプライムローンからフレディマックとファニーメイの破産懸念と米国金融初の金融収縮が世界中に飛び火している。
欧米(米国、英国、スイス)に関しては基幹産業の金融が住宅ローン債権の問題から巨額の債務を背負うことになる。新興国に関しては、基幹産業の輸出(製造業)が米国、先進国の不況入りから販売不振となっている。

日本は輸出産業の問題よりも、官製不況を中心とした構造的問題から不況入りすると見ている。経済の要である消費に関しては、少子高齢化、ワーキングプアの問題がある。


□ ワーキングプア対応

日雇い労働者、非正規雇用者の問題がグッドウィルのような派遣業者に問題があるとされているが、そのようなところへの規制によって結果として労働者が雇用機会が奪われると感じる。

現状、1000万人が200万円以下の年収と言われている。内訳とすると、30代の2人に1人は、時給1000円以下の賃金という計算になる。

このような労働者には消費の余裕が無いのは確かであるが、雇用を生み出す企業側もこれ以上の賃金で日本人労働者を雇用する余裕が無いのが実態だろう。
日本企業の生産性は、先進国と比べ低く、人件費はトップクラスに高い。そのため賃金が上昇するのであれば、海外で生産せざるを得ない。要するに日本の労働者が世界的に競争力が無いのが元凶である。本来は高い教育水準と真面目な気質で日本人労働者は競争力があったのだが。

□ 日本の状況

つまり、国内の賃金は上がらないし、国内消費も増えないということになる。
日本の産業基盤である輸出型製造業においても、高い人件費、日本の実効税率(約40.7%)の高さを嫌い、今後も海外で生産を続けることになると思われる。日本に製造業が回帰するためには逆の条件を満たさないといけない。


□ 新興国の状況

世界の工場と言われる中国においても状況は深刻である。つい最近も上海に行ったが、大家は不動産利回りが借入金利より遥かに低いと言っていたし、インフレ、賃金の上昇、過剰な労働者保護、利上げと製造業の環境としては非常に悪い。中国外国為替取引センターが発表した最新のデータによると、7月16日の人民元対米ドルレート基準値は1ドル=6.8128元となり、1ドル=6.82元を突破とのことである。

インドもソフトウェア産業が主流であるが、やはり米国経済に依存している。デカップリングと一時は言われはしたが、産業輸出型企業は先進国に依存している。

ロシア、ブラジル等はコモディティ、資源高ではあるが、先進国需要低迷の影響は受けると思う。

□ 世界の状況

ここ数年続いた金余り現象(資産バブル、過剰流動性)は収縮に向かっている。インフレと景気停滞のスタグフレーションが世界に遅いかかろうとしている。世界経済を牽引する先進国消費が停滞し、失業者も増加する。しかし、このような不況は何度も体験してきたことであり、5年以内にまた回復するのであろう。

利益率と利回りの違い

Posted by skillstorage at 14:31 / Category: ファイナンス / 0 Comments

ある会社の社長が言いました。「うちの会社の経常利益率は1%程度だ。こんなことなら金利の高いドルで運用した方が良いと思うのだが。」
笑ってしまいますが、これは実話です。

笑えない人はファイナンスを勉強しましょう。分からない人は、営業や経理や社長業に就いたら恐ろしいことになるでしょうし、金融商品も手を出したらいけませんよ。

笑えない人へのヒント:総合商社は1%を割る経常利益率で、銀行借入比率がとても高く、なおかつ借入金利は1%以上なのですが、ちゃんと存続できていますね。

›7 01, 2008

米国スタグフレーション発世界大不況

Posted by skillstorage at 14:29 / Category: 政治経済(Political Economy) / 0 Comments

米国がインフレと不況が同時進行するスタグフレーションの状況に陥っている。
インフレは資源高が原因であり、不況はサブプライムローン問題を発端とする金融不況、そしてインフレに伴う消費意欲減退とかなりの悪循環に陥っている。

スタグフレーションにおいては金利政策の舵取りが非常に困難であり、有効性に乏しい。
インフレ対策として金利を上げれば、景気は更に悪化する。金利を下げてもインフレが進み、結果として景気は悪化する。

これまで米国はドルを基軸通貨として、事実上ドルを大量にばら撒いたツケが来るのではないかと思う。ドルをいくら刷ろうが、水割りを薄めただけであり、本質的にはドルの価値が下落するだけなのである。

米国が輸出国である新興国や日本の経済発展を促した。アラブ諸国の産油国も同様である。
米国は本来貿易赤字で経済が悪化するはずのところをドルをばら撒くことで、逆に経済成長を遂げていた。
日本、アジア新興国、アラブ諸国は貿易黒字をドルで外貨準備高として保有し続けた。国際経済学からすると貿易黒字国通貨は高くなり、貿易赤字国通貨は安くなるところが、輸出国家は自国の経済発展の要である貿易黒字を維持するため、ドルをペッグ(固定)している。
日本といえど、事実上ペッグである。

このような背景から、欧州通貨ユーロの価値が相対的に上昇する。アジア、アラブ通貨はドルとペッグである以上、ドルと同じ価値の金券に過ぎないからだ。欧州もまたインフレ対策として利上げをするが、そうなるとドル売りユーロ買いが起こりユーロの価値上昇に拍車がかかる。そうなると米国の信用不安、欧州企業の貿易赤字と世界経済が傾くほどのインパクトへと繋がる。

貿易黒字国は、自国の発展のためには米国経済回復が必要という共通の認識で動いていると考えられる。貿易黒字国の稼いだ外貨(主にドル)は政府系ファンド(SWF)が米国へ投資することによってドルが循環し、米国は繁栄し世界経済が安泰というストーリーで世界が動いている気がする。

しかし、今の悪循環はドルの限界を表していると思う。米国の不況から新興国、日本の輸出が減り不況が広がると観測されている。アラブ諸国の石油は、値上がりのため状況は良いだろうが、将来的な問題は多く感じる。そもそも原価無料で生産量も調整できる原油の価格が高騰し続けるのはおかしいからだ。

世界経済でインパクトの大きい新興国、日本の経済が傾けばドルの価値は一段と下落する。だが、自国通貨をドルと切り離すと貿易がさらに落ち込みダメージが大きいと考えているのだろう。国内消費で経済が回るような規模ではないから。

米国経済に依存しない経済成長を描けるかが、今後の国の発展につながると思う。

ところでイランが野放しにされているのも原油価格高騰による外貨収益によるものである。インフレが20%近い状況にあるイランであるが、経済をコントロールできる状況においている。マフムード・アフマディーネジャード大統領が「ドルは紙くず」と言ったのは的を得ているとつくづく思う。