›7 01, 2008

米国スタグフレーション発世界大不況

Category: 政治経済(Political Economy) / 0 Comments: Post / View

米国がインフレと不況が同時進行するスタグフレーションの状況に陥っている。
インフレは資源高が原因であり、不況はサブプライムローン問題を発端とする金融不況、そしてインフレに伴う消費意欲減退とかなりの悪循環に陥っている。

スタグフレーションにおいては金利政策の舵取りが非常に困難であり、有効性に乏しい。
インフレ対策として金利を上げれば、景気は更に悪化する。金利を下げてもインフレが進み、結果として景気は悪化する。

これまで米国はドルを基軸通貨として、事実上ドルを大量にばら撒いたツケが来るのではないかと思う。ドルをいくら刷ろうが、水割りを薄めただけであり、本質的にはドルの価値が下落するだけなのである。

米国が輸出国である新興国や日本の経済発展を促した。アラブ諸国の産油国も同様である。
米国は本来貿易赤字で経済が悪化するはずのところをドルをばら撒くことで、逆に経済成長を遂げていた。
日本、アジア新興国、アラブ諸国は貿易黒字をドルで外貨準備高として保有し続けた。国際経済学からすると貿易黒字国通貨は高くなり、貿易赤字国通貨は安くなるところが、輸出国家は自国の経済発展の要である貿易黒字を維持するため、ドルをペッグ(固定)している。
日本といえど、事実上ペッグである。

このような背景から、欧州通貨ユーロの価値が相対的に上昇する。アジア、アラブ通貨はドルとペッグである以上、ドルと同じ価値の金券に過ぎないからだ。欧州もまたインフレ対策として利上げをするが、そうなるとドル売りユーロ買いが起こりユーロの価値上昇に拍車がかかる。そうなると米国の信用不安、欧州企業の貿易赤字と世界経済が傾くほどのインパクトへと繋がる。

貿易黒字国は、自国の発展のためには米国経済回復が必要という共通の認識で動いていると考えられる。貿易黒字国の稼いだ外貨(主にドル)は政府系ファンド(SWF)が米国へ投資することによってドルが循環し、米国は繁栄し世界経済が安泰というストーリーで世界が動いている気がする。

しかし、今の悪循環はドルの限界を表していると思う。米国の不況から新興国、日本の輸出が減り不況が広がると観測されている。アラブ諸国の石油は、値上がりのため状況は良いだろうが、将来的な問題は多く感じる。そもそも原価無料で生産量も調整できる原油の価格が高騰し続けるのはおかしいからだ。

世界経済でインパクトの大きい新興国、日本の経済が傾けばドルの価値は一段と下落する。だが、自国通貨をドルと切り離すと貿易がさらに落ち込みダメージが大きいと考えているのだろう。国内消費で経済が回るような規模ではないから。

米国経済に依存しない経済成長を描けるかが、今後の国の発展につながると思う。

ところでイランが野放しにされているのも原油価格高騰による外貨収益によるものである。インフレが20%近い状況にあるイランであるが、経済をコントロールできる状況においている。マフムード・アフマディーネジャード大統領が「ドルは紙くず」と言ったのは的を得ているとつくづく思う。

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