›11 29, 2014

日本に必要なのはリバタリアン党だ

Posted by skillstorage at 04:05 / Category: 政治経済(Political Economy) / 0 Comments

米国で若者を中心に支持を伸ばしているのがリバタリアン党だ。
リバタリアン党の政策は自由主義だが、リベラルと違い平等にするための規制や政府介入、分配を一切否定し「小さい政府」を尊重する。
現在の先進国ではリベラル勢力が強く、「大きい政府」による福祉社会が一般的だが、その政治思想は実は大きな犠牲を伴っている。

そもそも財源が無いのに社会的弱者への分配を大きくするあまり、借金(国債)を積み重ね、そのしわ寄せは弱者やこれから産まれる子供たちの代に負担がのしかかる。
また、社会的弱者になった方が得なため、生活保護者が勤労しようと思わない。海外からの移民が来れば、外国人の彼らのために国民の税金が使われることとなってしまう。
農業や地方居住者のような産業の競争力の無い特定の地域、団体などに税金が使われてしまう。

日本で若者の投票率が著しく低いのは、支持する政党が無いからではなかろうか。
また、政党も選挙のためには、大多数を占め投票率も高い高齢者の支持する政策を提言しなくてはならなくなってしまう、という悪循環に陥っている。

米国で支持を集めているリバタリアン党は、若者の期待を背負っている。
代表的なのはロン・ポールであり、リバタリアンの多くが政府の担っている福祉、軍事、教育、治安維持、財政政策、金融政策は不要であると主張している。

ロン・ポールは、金融政策の量的緩和は通貨価値の下落(インフレ)であり、庶民の資産を奪う行為と避難し、中央銀行は金本位制に戻すべきとまで主張している。

先進国全般に言えることだが、過去の経済成長率のシナリオのまま、社会福祉を拡大させ続けている歪みがきている。
若者が親のスネをかじって生きなければならない現象は先進国共通だ。正社員になれず非正規の低賃金で、結婚もできず将来の希望も持てない若者が増加しているのだ。

日本では、特定の団体が政治の票田になっていることから、大きく歪んだ社会構造となっている。
本来、市場原理に委ね、自由貿易を推進することによって生活環境は向上するのだ。国内の農業などを守るため、高い農作物を買わざるを得ず、電力も自由化されていないため、世界一高い電気代を支払わなければならない。地方都市への地方交付税のため、都会のサラリーマンの税金が使われる所得移転が起こる。医療や土建など規制や保護の対象となっている産業は、国外の安価で優れたサービスを国内では利用できない。

米国では、ティーパーティー運動(TEAはもう税金はたくさんだ(Taxed Enough Already)の意)が記憶に新しい。
ウォール街を選挙した「We are the 99%」という富裕層以外の一般市民がリベラルで社会福祉と分配の拡大を要求したのに対し、ティーパーティー運動は、「政府は介入するな」と不干渉主義を唱えた。
両者は対立しているように見えたが、リベラルのオバマ民主党政権が期待した効果が無かったことから、小さい政府を主張するリバタリアン党の支持が拡大しているということだ。

共和党から大統領選に出馬を予定しているランド・ポール上院議員は、ロン・ポールの息子であり若者から支持を集めている。
しかしながらロン・ポールは、右派の支持を狙ってか、本来リバタリアンは海外への軍事介入を否定しているのに対し、彼は非常に好戦的なタカ派へ態度の変貌を遂げている。

日本と米国は歴史的にも民族的にも大きく異なる国家だ。米国は、インディアンから土地を奪った移民が作り上げた国家であり、その生い立ちから移民を否定できない。
その結果、米国で生まれた者は全て米国民となる。不法移民も多く、低賃金の労働集約業務を支えている。

それば欧州のような福祉国家となり、不法移民が国民と同等の権利が与えられたら、ただでさえ赤字の財政は破綻するのだ。
また、インディアンの末裔以外、全て移民かその子孫であるという事実から、開拓精神にあふれているのも、君主に支配され続けてまた困った時はお上頼りという日本国民とは大きく民族性が異なる。

とはいえ、日本は人口ボーナスという人口増加が止まり、労働者数が減少する少子高齢化社会の人口オーナスに入り、経済のパイは規制緩和と自由貿易推進による労働生産性の向上でしか拡大できない。
それでも高度成長期のような展開はあり得ない。そうなれば必然的に緊縮財政を取り、社会福祉を減らさざるを得ないのだ。

公務員を削減し、政府の役割を減らす、不干渉主義の政策が求められているのだ。

臆病者のための裁判入門 |橘玲(著)

Posted by skillstorage at 00:32 / Category: 書評 / 0 Comments

「裁判は弁護士にとって金儲けのビジネスである」、「保険会社は保険金を支払わないことで儲ける」
資本主義経済でビジネスの視点で考えれば当たり前のことが本書を読むと実感できる。

本書は外国人である知人の保険金不払い問題に巻き込まれた筆者が裁判に参加することによって、日本の司法の問題と一般市民が裁判沙汰に巻き込まれた時にどのように対応すれば良いのかについての体験談と指南書である。
筆者の知人の乗ったバイクが高級車との接触事故を起こした。その知人は日本語があまり話せないことをいいことに、保険会社は保険支払を行わず事故の当事者が保険請求をせず自腹で処理するというでっち上げを行ったのだ。保険の支払はたかだか12万円程度だが、筆者と知人は本人訴訟による裁判を起こすこととなる。

読み進めると保険会社の理不尽さに対する憤りが増すことだろう。
そして、誰もが当事者になりかねない。

そもそも自動車保険に対する不信感がある。
ちょっとした自損の修理を保険を使って修理などすると、自動車保険の等級が下がり保険料が値上がりしてしまう。
保険は万が一のための商品ではあるが、その万が一怒った時にもし支払われなかったとしたら、何のための保険だろうか。

保険はギャンブルと同じだ。違うのは運が悪く事故を起こした時に貰えるという点だ。

本書のケースでは、少額請求であり、当事者が外国人であることを保険会社が巧妙に利用した保険金不払い問題であり、金融監督庁が介入すべき重大な問題だと思われる。
しかし自体はそんなにうまく進まない。

筆者が法テラスで相談したヤミ金ウシジマ君の登場人物そっくりの弁護士は、裁判は弁護士にとってビジネスであり、保険会社が保険金を払いたくないのもまたビジネスであると身も蓋もない正論を言う。
弁護士は儲からない裁判など相手にしない。

裁判には正義など無いのではないかと思ってしまう。

そして一般市民は少額であれば裁判など起こさず泣き寝入りしてしまうのだ。
しかし、筆者らは、たかだか12万円の請求に対し、それを遥かに上回るコスト(時間を含めた経費)を使い裁判を進めていくことになる。

結果として、虚偽の説明と処理をした保険会社の社員がその後社内でどのような処罰を受けたのか、受けていないのか、この酷い保険会社名が分からないのが残念であり、また裁判結果に対しても読むものは納得しないだろう。
それでもそれが現実であり、しかも画期的な裁判結果であるという事実を知ることが、起こりうる一般市民の民事裁判を考える上で重要な意味があった。

›11 16, 2014

SHIFT上場からみる新興市場(IPO)

Posted by skillstorage at 11:56 / Category: IT / 0 Comments

新興市場はライブドアショック以降、崩壊したような状況が長らく続いた。
ごく少数のネット企業が大企業に成長したものの、多くの会社は業績が低迷したり廃業にまで至ってしまった企業もあった。

とくに上場企業というメリットを活かして、既存株主に損害を与える不当な資金調達(ファイナンス)が横行したりもした。
更に、粉飾が相次ぎ、刑事告発を受けた企業もあり、監視委による課徴金納付命令の勧告なども相次いだ。

象徴的だったのが、マザーズ上場、半導体製造装置メーカのエフオーアイ(破産)は、売上高118億円の公表が実際には2~3億円しか無く、他にもジャスダック上場、装置メーカのプロデュースも循環取引を行っていたことが発覚した。
IT企業特有の循環取引による売上拡大という粉飾が製造業にまで拡大したのだ。

その後、鳴りを潜めていた新興市場だが、アベノミクスによる株価上昇に符号し新規上場が相次いでいる。
その中でやはりベンチャー企業の中には、いかがわしい企業も紛れ込んできる。

ベンチャー企業というのは、現在ではなく将来の成長性が期待されている企業である。そのため、現状において批判することはなかなかできないのは勿論のことだ。
それでも現状を公開されている目論見書を読み取ることで見えてくることも大きい。

新興市場の上場する企業の前提として、急成長の段階にあるということだ。その売上高の急成長が意図的につくられたものでないか判断することが重要だ。
勿論、粉飾していれば犯罪になる。

しかし、犯罪にならないケースを要注意と見ている。親子上場が過去には多く見られた。子会社を上場させることだ。しかし、これは利益相反という重大な疑念がある。
同様に上場廃止のMBOも利益相反が含まれる。

親子上場の場合、大抵は販売先の大部分が親会社にある。親会社が多く発注して儲けさせれば、子会社の経営数字は良くなる。反面、親会社はその分経営数字が悪くなるのだが、親会社は大企業のため僅かな数字にしかならない。

そうやって、大企業の子会社を高値で上場させ、株価が下がると今度は100%子会社化として安く買い取るという錬金術となった。
同様のことを同一の会社で行うのがMBOだ。

錬金術とはいえ、必ず損をする者がいる。それが一般株主だ。

ベンチャーの上場にも、株主が取引先上位者という例が多々ある。
SHIFTにおいては、ワークスアプリケーションズがそれに当たる。

単にサービスが良いから使っているのか、上場のためになのかの判断は難しい。分からなければ、見送れば良い。しかしもしかしたら上場後も業績急上昇が続く可能性だってある。
過去にはドリコムというネット企業があったが、株主数社が取引先の多くを占めていたが、上場後は株主は株を売り取引が無くなり、業績が悪化し株価が暴落するということもあった。
http://skillstorage.com/archives/000656.html

どちらも典型的に下請け的な業務内容ということだ。
このような労働集約的な企業をベンチャーと呼ぶか疑問もあるが、他社と差別化し突出した企業にするには常人には知れない経営手法が必要だろう。
それが理解できないが、労働集約的業務を更にコンピュータで処理でき、他社ではできない特殊な自動化プログラムのアルゴリズムが存在するのかもしれない。

IPO投資を賭博と考えるのなら、それはそれで良い。しかし、資産形成と考えるのなら、せめて目論見書をよく読んでIPO投資したいものだ。

因みに、SHIFTは上場後今のところ株価は上昇を続けている。