›2 27, 2007

資本政策

ベンチャー企業が上場するまでの過程で、エクイティでの資金調達を行いつつ上場してさらにエクイティで資金調達するというのが一般的だ。

この過程で、創業者の持ち株比率が低下していくこととなる。株式会社は持ち株比率の高い人がその分だけ議決権を持てる仕組みである。

資金調達も必要だが、議決権が低下したくないというのが創業者の本音だろう。

そのようなことから資本政策がある。

資本政策とは、資本の増大を政策的に実行していくことである。
ストックオプションの発行、事業承継、税制適格要件、株価、株式分割、ベンチャーキャピタルの議決権、外形標準課税など様々な要因を検討していかなければならない。

また、株価の算定にはDCF(ディスカウンテド・キャッシュ・フロー)と呼ばれる、将来のフリー・キャッシュフローを現在価値に割り引いて算定する方式や、類似上場企業のPERと比較する方法、純資産から算定する方法など様々ある。

さて、ここでまたドリコムを取り上げてみよう。
ドリコムが上場時に創業者を初めとして株主が売り抜けたことは何度か書いた。

上場時の目論見書を見ると、資本政策がわかる。発行価格、割当先、ストックオプション。だが不明瞭な点も多く残る。

ドリコムの場合は、株式分割を行ってきているので、分割後の株数に全て計算するとわかりやすい。
当初、社長、取締役に割当て、同一価格でGMO、サイバーエージェント、テレウェイブに割り当てている。
その後GMOとサイバーエージェントとテレウェイブに再度増資しているが、価格は35倍近い金額で割り当てている。その後も増資を行い最終的に上場前に450倍近くに膨れ上がっている。

しかも算定方法はDCF法と明記されている。何で1年間そこらでそんなに株価が変動するんだっつーの!

ライブドアなどネットベンチャーも同様の資本政策が取られてきた。一番おいしいのは創業者になる。創業者の議決権を配慮しての高い価格での増資なのか、それともIPOの価格を吊り上げるための価格設定なのかはわからない。
だが、最終的にとんでもなく高い株価がIPO時につけられたのは事実である。そんでもって初期価格で取得した株主、創業者(内藤)とGMOとサイバーエージェントとテレウェイブは売り抜けている。GMOとサイバーエージェントとテレウェイブは全株売却しているのである。

しかもGMOとサイバーエージェントとテレウェイブは株主でありながらドリコムの顧客でもあったのだ。

IPOする企業の目論見書は色々見ているが、ドリコムは彼らの政策が大成功(上場後投資家に高値で売却できた)した典型例だと思う。

問題なのは、その後株価が低迷して一般投資家が大損害をこうむっている点だ。最もごく少数が大儲けして大多数が小額ずつ損するスキームなんだが。

他にも同じような資本政策で上場した企業もあるが、IPO時の株価が上場前の株価以下の企業も出てきており、もはや一般投資家を欺くことができなくなってきている。

まあ、ドリコムだけじゃなくて上場後高値で売り抜けて株価が低迷している企業は多いんだけど、おかげでまともな企業まで上場時に株価がつかなくなったりしてしまう事態になりつつある今日この頃。

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