›10 14, 2014

iPhone6を見るとAppleのものづくりの凄さがわかる

Posted by skillstorage at 01:30 / Category: イノベーション / 0 Comments

Appleの桁外れの収益性は、iTunes、クラウドといったソフト・サービス、そして携帯電話のキャリアにのった資金回収と販売モデルにある。
携帯電話端末は、いまや中国の新興メーカ小米の台頭に分かるように、低価格化が進んでおり、いずれは端末は無料で配る時代も来るのではないかと思う。
Googleが検索やAndroidを無料にして、広告やサービスで課金する流れだ。Appleも今は消費者から買ってもらっているが、イノベーションによる低価格化では限界が来るだろう。消費者から見えない形で、広告主や携帯電話キャリアから資金を回収するという潮流がある。
しかし、それでもiPhone6には魅せられる。携帯電話の月額料金は最低でも8000円程度になるとすれば、かなりの消費割合を占めることになるが、iPhone6を一括8万円以上で購入するという選択肢を選ばないのは、やはり販売戦略によって消費者を錯覚させる効果が高いことがわかる。

ところで、iPhone6が高額であっても買われるのは、AppleのiOSの使いやすさだけでなく、やはりモノとしての価値も高いからだ。
最初に見た時には、カメラ部分が飛び出しており、とてもスティーブ・ジョブズは許可をしなかっただろうと残念に思った。その感想は今でも変わらないが、分解レポートを見てみると組立技術、加工技術の高さを思い知らされる。
もっともその技術は、工作機械であり、鴻海(Foxconn)の組立技術によるものなのだが、これを何百万台という台数を一度に生産して販売する、しかも在庫リスクが無く既に資金回収済みというのには驚かされる。
通常は初期ロットは、少なく生産し消費者もメーカも様子を見て、不具合を直して再生産という常識が既に覆されている。

分解レポートは様々なサイトで報告されている。
http://blog.livedoor.jp/lancer2000/archives/51936324.html
http://gigazine.net/news/20140919-ifixit-iphone-6plus/

分解して驚くのは、まずは切削加工の痕だろう。これには毎度のことながら驚かされる。試作加工をそのまま量産、しかも世界最多の出荷台数に適応するという常識離れだ。
電子部品類は、これまで日本製が圧倒的であったが、今回からは台湾製が数を伸ばした。やはり小型化という改善だけであれば付加価値が少なく、今後日本の部品メーカが生き残るためには他社では出来ないイノベーションを見出すしか無い。
むしろ、分解しても決して見えることのない切削機械、レーザ加工機といった工作機械に高い関心がある。

専門家が見ると、切削、溶接など全ての加工に先端技術が使われているそうだ。先端技術でありながら、最先端技術ではない。

それは最先端技術であれば、材料はサファイアガラスなど更に高級になり、加工技術も歩留りが低く、機差もあり、設備が高額な工作機械になってしまう。
量産販売されている機械で最高のスペックを引き出しているのだ。

そして数ヶ月の生産が終われば全て廃棄にしてしまい、次のモデルでは新しい工法、新しい設備で再度生産しているそうだ。

最も、一般消費者は分解なんてあり得ないし、薄い形状とUVレーザで繰り抜かれた裏面のリンゴマークを楽しむぐらいだが。それさえもケースに入れてしまって見えていない人が大多数かもしれないが。