›10 31, 2007

利益相反(NOVAの事例から)

Category: アントレ(起業) / 0 Comments: Post / View

上場企業は公益性が問われる。企業の利益は企業自身、株主、債権者へと適正に配分されなければならない。これが非上場企業との違いである。非上場であれば、オーナー経営者であり公益性が無い。つまり株式会社としての根本である「経営と所有の分離」がなされていない。

これがなされていない為に、多くの非上場企業では、オーナー経営者が公私混同して会社の資産を個人の資産と錯覚し、会社の所有物を私物化したりと問題が多いのである。利益相反にあたる。このようなことから、銀行も融資の時には昔から非上場企業には「個人保証」を要求するのである。つまり貸し倒れの時には、オーナー経営者も資産も没収し、なおかつ全額返済しろということである。

このような会社にはとても投資はできない。何故ならば投資した金がオーナー経営者の懐に入る危険性があるから。

上場企業はこのような利益相反がないよう監査されているはずであった。ところが現実にはNOVAの事例からも分かるとおり、公然と利益相反がされていた。

そもそもNOVAは上場企業でありながら、7割もの比率でオーナー経営者の猿橋が株を保有していた。(オーナー個人と資産保有会社で)
経営と所有が分離されていないため、株主総会の議決権をオーナーが持っており、独裁者となりガバナンスが効かなかったであろう。
(ジャスダックにはこのようなオーナー比率の高い企業が多いので今後批判がでるであろう。ただし1部上場にも資産管理会社などを使ったオーナー比率の高い企業もある。)
さらに、ギンガネットというオーナーの別会社からの仕入れが行われていた。これは利益相反にあたるため通常は認められないはずである。事実、NOVAの資産(現金)がギンガネットに流出してしまっている。
そして超豪華で贅沢三昧の社長室。

上場企業でなければ何の問題もなかったであろうことが、上場企業では許されないのだ。今後は特別背任、株主代表訴訟が待ち構えているであろう。

上場企業であるがために、銀行の個人保証も無く、NOVAを倒産させても別会社の資産や事前に売却した株で資産形成できた可能性があるからだ。非上場企業であれば、利益相反会社のため個人保証がつけられているだろうから、猿橋個人に無限に責任が及んでいたであろう。

ただし、筆者は猿橋の高い能力も評価している。駅前留学、お茶の間留学、ノバうさぎは猿橋個人のアイデアで大ヒットした。そもそも英会話を映画館と同じ価格設定にした点に起業家としてのセンスの高さを感じる。猿橋自身が消費者の視点に立ったサービスを考えたのだろう。消費者は英会話学校で英語の勉強をしたいのではない。外人と英語で話したいだけだと気づいたのだろう。
事実、その後英会話ブームになったが、日本人の英語は上達したわけではない。英語がうまい日本人は英会話学校にいかず、自分で勉強した人か実践で覚えた人がほとんどだと思う。

猿橋のそのような起業家センスはあってもマネジネント能力、公益性や思慮が足りなかった点が問題であった。上場する過程ですくなくともガバナンスを効かせ、利益相反を解消させ、経営と所有を分離するべきであったと思う。

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