›10 02, 2007

ウォール街

Category: ファイナンス / 0 Comments: Post / View

映画「ウォール街」を見た。25年くらい昔の話なのだが、驚く事に現在の日本の株式市場で繰り広げられている物語そっくりだ。

当時の米国は日本の躍進から製造業が衰退し、不景気であったが、ウォール街ではM&Aや企業再生のマネーゲームが繰り広げられていた。

主人公のフォックス(チャーリー・シーン)は父が旅客機製造会社の労働組合長を勤める家庭に育ち、父を尊敬する面があるものの、今の時代(80年代前半)では、ものをつくるのはバカらしいと意見が対立していた。ウォール街の証券会社に勤め、金持ち顧客の獲得に必死である。
フォックスはウォール街で成功している投資家ゲッコー(マイケル・ダグラス)をなんとか顧客にしたいと必死にアプローチする。
フォックスの父はそんな息子の姿を単なる営業マンとバカにし、ウォール街で繰り広げられるマネーゲームを競馬と同じと軽蔑する。父との討論で、子は「パパの5倍の年収を稼いでいる」というのに、父に金をせがむ姿が哀れ。

フォックスはゲッコーに食い入るが、ゲッコーは上昇志向の強いフォックスに若き日の自分の姿をダブらせ、かわいがることになる。
だが、ゲッコーの容赦ないまでの貪欲さにフォックスはためらうが、結局金儲けと野望のために自分の父の会社の情報を売り、イケナイ領域に入る事となる。

ゲッコーの姿は現代の村上ファンドやハゲタカ外資ファンドと同じである。資本主義原則に乗っ取った強欲な金儲け。
だが、素晴らしいプレゼンテーションで人を惹きつける。だが、そんな姿さえも年を取ったフォックスの父は傲慢で信用できないと否定する。
ゲッコーがある株主総会での発言はそれは素晴らしいものだった。

現状の経営陣の怠慢を訴えるのだが、持ち株比率が3%も無いが高級の経営陣を非難する。
大衆映画とは思えないようなファイナンス用語が多数出る。IPO、増資、企業再生、ゴールデンパラシュート、ホワイトナイト、インサイダー取引、SEC、オフショアバンク。等

フォックスやがて父の会社が窮地に立ち、ゲッコーと株を取得し企業再生を行おうとする。だが、ゲッコーにとっては金儲けにすぎず、企業再生ではなく解体で儲けようとする姿を知り、フォックスはゲッコーと対立することになる。

すごいのは25年前なのに、携帯電話(でっかい)やパソコン(ワークステーション)による株取引が当たり前のように行われ、なんとそれを金持ち投資家が船の上で行っている場面があった。
今とちっとも変わらないじゃないか。

監督はオリバー・ストーンで、彼の父はユダヤ人でウォール街の株の仲介人だったそうだ。
この映画は製造業の地道なものづくりを否定した米国の不況に問題提示したものだと考えられるが、その後の米国の繁栄は製造業の復活ではなかった。

知的所有権、IT、インターネット、オフショア・アウトソーシング、軍事力、基軸通貨ドルの世界配布。

こんな形で米国が復活するなど、当時誰が考えただろうか?

今の日本はどうだろうか。製造業が10年以上にもわたり衰退したが、自動車、エレクトロニクスを中心に復活しつつある。米国と違い、軍事力も基軸通貨も無い日本が反映する方法を考えさせられた。

ビジネス英語の勉強にもぴったりだ。スクリーンプレイを買ったので何度も見て、ゲッコーのプレゼンテーションを学びたいと思う。


思い返すと、マイケル・ダグラスの作品は良い題材が多い。特に好きな役者という訳でもないのだが。。
http://skillstorage.com/archives/000020.html
色々な役がはまる役者なんだろう。

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