›3 14, 2009

エネルギー|黒木亮

Posted by skillstorage at 13:23 / Category: 書評 / 0 Comments

サハリンBを中心として、複数のビジネススローリーが並行して展開する作品である。筆者の黒木亮の作品は他にもいろいろ読んでいるが、総合商社、都市銀行での経験と実話に基づくリアルな内容と高度な金融知識での小説の展開なので面白いだけでなく、非常に勉強にもなる。

商品(コモデティ)の中でもとりわけ重要な原油、LPGといったエネルギーに焦点をあて、黒木氏特有の実話を交えて複数の物語が交錯する。

新聞等の報道を見ると、この小説は実話を元にしていて、日々のニュースの裏で繰り広げられるビジネスが非常に泥臭いことが分かる。

海外プロジェクトファイナンスで、必死になってビジネスを成功させようとする者達のたくましさを感じられた。

小説の主人公は、上位総合商社の男であるが、大勢の人間(同じ組織、他の商社、海外企業)がチームとなって大きなビジネスを築きあげるしか、プロジェクトを成功させることができないことが良く分かる。

下位総合商社(後に大手自動車会社に呑みこまれる)の役員のイランへのコネクションと日本の官僚との癒着は、昔ながらの商社マン姿を感じさせられる。情報を取り動かすためにはワシントンのイスラエル・ロビイストを使うことも厭わない。

また主人公の妹が環境保護団体として主人公と利害が反する活動を行っているのが、その葛藤との戦いもある。

シンガポール市場での石油デリバティブに絡む物語も並行展開するが、こちらは最後までメインストーリーと絡むことは無かった。

エネルギーとファイナンスを学ぶのにも非常に優れた書物だと思った。


›3 11, 2009

電子タバコ

Posted by skillstorage at 19:07 / Category: イノベーション / 0 Comments

今年に入ってから少しづつ雑誌、テレビ等メディアで電子タバコが紹介されている。今月に入ってから自分の周りでも電子タバコを使う人が出てきた。

電子タバコとは、充電式のタバコで味のあるカートリッジを付けタバコの変わりにするものである。実際のタバコと外観はほとんど同じで、吸引時に先端が赤く光り、更に水蒸気変換機が入っており、吸引して吐く際には煙(水蒸気)が出るので実際にタバコを吸っている感覚もするし、傍から見るとタバコを吸っているように見える。
味もマルボロ風味やメンソール風味がある。

このような電子グッズに飛びつくのはイノベーター的な市場先駆者であり、まだこれが実際に市場を形成するかわからない。
ただ、雑誌やブログでも掲載が増えてきており、たばこの値段の高騰やタスポ効果もあるのでこれは代替品として非常に伸びる可能性がある。

更に、タバコと違い有害物質が無いので、禁煙補助器具としての利用も考えられる。禁煙場所が増えているが、タバコでは無いので飛行機の中や飲食店でも吸える。今のところ電子タバコの認知度が低いので、外観が実際のタバコそっくりで煙(水蒸気)も出る電子タバコを飛行機内や禁煙場所で吸う勇気は自分には無いが。

複数のメーカーから製品が出ており、価格帯も違う。安いものは若干重い。本物のタバコと比べるともちろん非常に重い。充電は電子タバコの種類によってコンセントやUSBがある。

体にはまったく害が無いというのが売りなのだが、吸ってみるとタバコとはやはり違う。タールとニコチンが入っていないからだ。水蒸気は煙に非常に近く違和感は無いのだが。ニコチン入りとかでないのだろうか?

そろそろ芸能人等が使い始めて、一般市民にも認知され品切れや数カ月待ちという状況が出てくる予感がする。


›3 09, 2009

監査法人|DVD

Posted by skillstorage at 12:40 / Category: 書評 / 0 Comments

NHKドラマ「監査法人」はフィクションではあるが、どれもが記憶にある上場企業を舞台にしたドラマだった。
資本関係の無い会社に在庫を飛ばす(飛ばし)手法はカネボウ事件であったし、IT企業の売上高計上はメディアリンクス、IXIなど新興企業で見られた。ドーナツ屋がフランチャイズで加盟金を売上計上したのは、米国のドーナツ屋がドーナツ製造装置の販売を前倒しで売り上げ計上したのに似ているし、若い社長が世間を騒がす姿はホリエモンにも重なる。
銀行の不良債権隠しは、もう誰もが知る内容かと思う。

終始、この番組は暗かった。(笑)
しかし面白かった。会計士を目指す人は減るのではないか思わされる内容で、結局監査法人の会計士は組織の政治に翻弄されるのであれば、会計士本来の独立した「Integrity」というのは何の意味も無いし、会計士が出す適正意見とハンコに対するリスクというのが非常に重いことを考えると、一歩間違えば犯罪になってしまう職業だと再認識させられる。

最後は監査難民の話になるが、なんだか奇麗事であり得ないなあと思わされる内容であったのが残念だった。

しかし、会計士という仕事を理解する上で非常に役立つ番組であったことは間違いない。