›4 30, 2009

ドルは極めて弱い

Posted by skillstorage at 18:10 / Category: 政治経済(Political Economy) / 0 Comments

オバマ大統領が「米ドルは極めて強い。」、「ドルに代わる国際通貨は必要ない。」と言った。
あえてこのようなアナウンスを出すというのは、実態はドルは極めて弱い、ドルに変わる国際通貨が出現するとドルの信頼が無くなり米国は大変な状況に陥る、という現状がある。

ゴールドマン・サックスなど証券会社アナリストも日本円は弱い、新興国通貨は弱いなど米ドルの強さをアピールしている。

実際には、米ドルは様々な指標から弱体化していている。米国経済の不況の長期化、通貨の希薄化は他の先進国通貨の信頼から比べると大きく揺らいでいる。

ドルは極めて弱いというのが経済学、ファイナンス理論からは言える。実情はドルは為替レートから今は確かに強い状況にある。オバマのメッセージはドルの通貨信頼性維持のための希望ということになる。

証券会社アナリストの為替予測はそもそも当たらないというのが一般的だ。実際過去データを調べた結果からアナリスト予測とは逆の結果になった方が多いというデータもある。
(ファンドマネージャーの投資結果がサル以下であるという事実と同じか(笑)

極めて弱いと思われる米ドルだが、弱いと日本も中国もアラブも困る。大量に米ドル債を保有しているからだ。他の新興国も大いに困る。
そう考えると、極めて弱いドルをなんとか強いドルにしたいと思う人の方が多そうだから(各国の財務省は自国通貨を犠牲にしても米ドルを助けるということもできるほどの力を持っているのだ)、現実に米ドル為替がどのような動きをするかは不明である。

(通貨の強さというのはその国に対する信用に過ぎないのであるから、信用が無くなれば通貨は紙くずと化す)
(米国は無理に信用をつくるだけの政治力、暴力装置を持っていると考えるか)


›4 02, 2009

空売り屋

Posted by skillstorage at 12:37 / Category: 書評 / 0 Comments

「空売り屋」は同タイトル小説を含んだ黒木亮の短編集である。個人的には「村おこし屋」が面白かった。
村おこしはビジネスである。ただし一部の者が国からぼったくるビジネスであり、大局的には価値のある事業では無いことがよく分かる。
自分の知らなかった世界であるが、読んで納得した。田舎にいくと過疎化が進んだ村ほど立派なテーマパークや施設があって驚かされるものである。
この小説にも登場するような立派な日帰り温泉(スーパー銭湯や健康ランドのようなもの)があるところを知っているから。

それでいて、どこか中途半端なのだ。
その理由は利害関係者が食い込むために、不味い料理しか出せなかったり、いろいろ複雑な理由があるのだ。

この小説の悪役が読んでいるとホリエモンの思想そっくりで、経歴も福岡の進学校から東大(一番入りやすい文Ⅲ)というのも明らかに意識しているなと感じていたのだが、読み終えて参考文献にホリエモンの「稼ぐか勝ち」があった(笑)。まあ、思想だけそっくりだけどやっていることや外見は違うのだけれども。

空売り屋も、エマージング屋も面白い。これらはやはり金融屋の話だが、短編小説では考えられないほど深い内容だと思う。