›7 04, 2006

自社株買い

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上場企業が市場で売られている自社の株式を購入することを自社株買いという。

株価が自社が考えているより安いと判断した場合によく行われる。この場合のメリットは自社は株価はもっと高いはずですよと市場に訴求する高価がある。他のパターンとしては、余剰キャッシュの解消によるバランスシートの圧縮や、株主還元の実施、株式持ち合い解消として使われる。


自社株買いによって、バランスシートでは消却額の資産(現金)および同額の自己資本が減少し、バランスシートを圧縮される。

例えば、自己資本が100万円、発行済み株数100株、株価1万円という企業があったとする。
この会社が1割の株を自社株買いしたとすると、

10株を株価1万円で購入するので、10万円を支出(バランスシートの現金を使う)される。
自己資本は1割減って90万円となる。
バランスシートの左右がバランスされた。

ところで、利益は変わらず自己資本が減少するので、一株あたりの利益(EPS)が増加した。流通する株式は減り、1株あたりの価値は上がったといえる。これによってPERが向上した。

株主還元はどのような場合に起こるのか。PBRが低い企業、すなわち実際の資産に対して株価が安いパターンである。
簡単のため、全資産が現金で200万円あり、負債ゼロ、自己資本比率100%で時価総額が100万円の企業で考えてみる。

自己資本が100万円、発行済み株数100株、株価1万円で考える。
ここで簿価は、パターンA:総資産200万円、パターンB:総資産50万円の2パターンを考える。

パターンAは割安株、パターンBは割高株ということになる。

株式の10%を買い戻すとなると、10万円になる。
パターンAの場合、
総資産の減少は、10万/200万で5%の減少になる。
パターンBの場合、
総資産の減少は、10万/50万で20%の減少になる。


株式を10%買い戻すのに、総資産(純資産)の減少比率が異なる。

要するに割安株の場合は5%の差額が株主に還元されたと考えられる。

他方、割高株の場合、10%が株主資本の毀損とも言える。但しPBRで計るのは絶対的ではない、相対的に自社の株価が割安か割高かを判断した上で、初めて株主価値を図れる。

ところで、割安株(株主が自分で判断して)を保有していると過程した場合、自社株買いがどのような効果があるだろうか。まず、EPSの増加から一株当たりの価値が増加される。

それ以外に配当か、自社株買いでどちらが得だろうか?理論上は配当を行っても株価に影響は無いし、配当を行わない場合でも株主価値に変化は無い。ところが、配当に対しては日本国居住者は20%の税が掛かる。それならば配当を出さないで自社株買いを行ってくれたほうが株主利益があるのか?
いや、株主も長期保有とはいえ、配当を貰わないのなら株価が高くなったときに売却することが目的となる。その際のキャピタルゲイン税もどうように20%かかるので、単なる税の引き伸ばし高価しか無い。

これは生命保険を利用した企業の税の先送り(ガン保険の5年後90%変換など)と同様である。

さらに実際には配当による株価の向上効果は存在する。特に成長の鈍化した企業などは、配当によって企業の財務状況のゆとりをアピールできる(シグナル効果)から株価は上昇するのである。

そう考えると、一般的には成長の鈍化した割安株は配当が株主に望ましいと思う。成長の高い割安株はハイリスク・ハイリターンだが、自社株買いになるか、買い戻さないで割安であることを別の手段でアピールする必要性がある。

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