›7 21, 2010

マネー・ゲーム 株価大暴落

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映画マネー・ゲーム 株価大暴落を見た。2001年の作品で米国のITバブル崩壊と投資銀行の悪徳商法が描かれているように感じたが、むしろリーマンショックで明らかになった投資銀行や証券会社の手口なんかが垣間見れた気がした。
というのも、サブプライムローンを売りさばくのに、この映画を参考にした金融機関もあったようで一時期話題になったようだ。

ストーリーは、主人公のセス(20歳位)は大学をドロップアウトして学生相手のカジノを自宅で開いて儲けていた。厳格な彼の父親にばれて勘当されるほどの事態になり、父の理解を得たいセスはまともな仕事をしようと考える。
そんな折、セスのカジノ経営に目をつけた振興証券会社の社員が採用試験を受けるよう説得する。

その証券会社では、未経験の若者で野心家、金儲けの才能のある者、闘争心のある者を中心に採用活動を進める。若くして何千万円も稼げるかもしれない仕事だ。
その仕事は非常に厳しいノルマのある株販売だ。

セスは持ち前の話術や交渉を磨きをかけて、電話による販売で頭角を現すようになる。この電話セールスは必見だ。リストからひたすら電話し、気の弱そうな者には容赦無く販売にこぎつける。
しかし、この販売は明らかな悪徳商法で、売る株はボロ株どころか絶対に損をする商品だった。それでもそれを売るのが当たり前のように社員はガンガン販売攻勢をかけ、解約は受け付けない。

やがてそんな会社で働いているセスを父親は更に激怒する。カジノ経営どころか、客が皆損をして、ひどければ家庭が崩壊するのだ。セスが売りつけたサラリーマンも泥沼にはまって家庭が崩壊していく。そして販売手数料も違法であり、やがてFBIの手が及ぶこととなる。

この映画の中で、投資銀行の映画「ウォール街」や不動産販売の映画「摩天楼を夢見て」が出てくるのも面白い。
そしてリーマンショックを思わせるのは、金儲けのために何でもする企業姿勢なんかがそのまんま何も変わっていないからだ。

思えば投資銀行は空売りでも儲け、MSCBみたいな投資家が絶対損をするような金融商品を開発したり、CDOみたいなクソ混ぜ商品なんか販売しまくってぼろ儲けしてきた。そのスタイルはこの映画から10年近くたっても変わらなかったことを見ると、これからも変わらないのではないかと思う。

何も投資銀行だけではない。この映画の重要なテーマである電話にある販売方法は、オレオレ詐欺だとか、無価値なものを電話で売りつけてくる会社なんかもそうだ。
電話を受ける方も、気が弱かったり、無知だと買ってしまったりするのだろう。
こうして成り立っている企業やビジネスが沢山存在するのが事実だ。

営業方法としては巧みな交渉術なんかはとても参考になるのだが、その前提には倫理感というのが必要だと思った。

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