›6 20, 2008

過酷な競争下のFPD産業と展望

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FPDの大型液晶パネル(4G以上)の市場規模は5兆円を超えるが、1ライン投資額は1000~5000億円かかる。日本は技術で先行したが、小型パネル向けで古い設備を抱えることになってしまい、現在の日本企業シェアは10%以下に落ち込んだ。
大型液晶パネル市場シェアは、サムソン、LG Philipsと韓国だけで45%にもなるシェアを取り、続いてAUO、CMOと台湾が30%のシェアを取る。ようやくその次に日本のシャープが来るといった状況だ。
液晶パネルラインも太陽電池のように、外製の装置産業であり投資能力を考えると日本はどうしても弱くなってしまうと思われる。現に90年代後半から日本企業のシェアは60%から10%に低下したと言われる。
プロダクトライフサイクルで初期の儲からない段階でシェアを取り、成長期、成熟期で後発の新興国が急激に追い上げてくるというパターンだ。

ノートPCの生産は、自社で部品を調達し組み立てる方式から、OEMによって組立まで行うようになり垂直統合から水平分散が加速された。現在ではノートPCは80%以上が台湾ODMメーカー(Quanta、Compal、Wistron等)によるOEM生産である。「EMS/ODMの台頭」参照。
InnoluxなんかはHonHai(Foxconn)グループであり、パネル生産も手がけている。

台湾企業が台頭したのは、日本からの技術移転がきっかけである。三菱電機がCPT、東芝がHannStar、IBMがAcer、富士通がCMO、シャープがQuanta、富士通がAUOといったよう日本企業が業績悪化(98年度は総合電気5社が赤字計上)から設備投資が抑制される中、拡大する市場に対応するために提携していった。
台湾企業は日本の企業の業績悪化でリストラを断行しているのを機会と捉え、積極的に設備投資を行った。これには台湾政府の優遇税制の後押し、専業特化の大胆な投資、日本が既に確立した研究開発結果と実績を利用できるという多大なメリットがあったと思う。さらにデジタル製品の水平分業化が加速された。

ところでFPD業界とりわけ液晶テレビ業界は製品ライフサイクルのどこに位置しているのだろうか。先進国の地上波デジタル化が数年間で実施され、その後は成熟期を通り越して一気に衰退期に向かうと思うが、他方圧倒的な人口の新興国の薄型テレビニーズがある。新興国にとってはまだ成長期に入ったばかりだと思うので、全体としては成長期後半ではないかと思う。

そう考えると、ここ2、3年でさらに業界の再編が加速し集約されていくのではないかと思う。価格の下落はその間さらに進むだろう。プラズマ、有機EL、SEDと他のFPDに関しては、プラズマが大型用途というメリットは薄れ、省エネという観点からも松下一極体制という点からも非常に不利と思う。有機ELもLCDを置き換えるには価格と製造工程からして不可能であり、差別化商品としてニッチに展開されると思う。SEDに関しては最近では話題さえも聞かなくなった感があり、市場に出るのかも疑わしいのではないだろうか。

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