M&Aレシオとは、M&A仲介行のレコフの企業価値研究所によるM&Aの視点で見た上場企業の割安度を見る指標である。週末に日経新聞で取り上げられた。
レコフのHPによると、買収に投下した資金を何年分の営業キャッシュフローで回収できるかを示すものとある。式で示すと下記になる。(日経新聞より)
M&Aレシオ = (時価総額×50%-現預金) / EBITDA
分子を見ると、時価総額の50%ということで、発行済株数の半分以上を取得し経営権を取得する必要金額から企業のもつ余剰現金を引くということになっている。
分母は、金利支払い前の営業キャッシュフローである。
M&Aレシオに似た指標として、EV/EBITDA倍率(簡易買収倍率)がある。
こちらは、株式時価総額+(有利子負債 - 現金同等物) が分子で、
EBITDAが分母で同じである。
そっくりであるが、EV/EBITDA倍率を使わず何故わざわざレコフはM&Aレシオを開発したかは不明だ。EV/EBITDA倍率では図れない問題があることを示さないとM&Aレシオのメリットが見えてこない。
指標だから使う人のメリットが何かしらあるはずである。
また、EBITDAは税前利益に支払利息、固定資産の減価償却費を加えたキャシュフローであるので、EV/EBITDA倍率の方が有利子負債が含まれているのでが相応しい。
買収するのには時価総額の半分しか費用は発生しないが、現預金を戻していることを考えると有利子負債という金利負担のある負債をコストとして上乗せするべきである。
もし乗せないのであれば、分母はEBITDAではなく、税引き後のFCF(フリーキャッシュフロー)でなければつじつまが合わないのだ。
何故そうしていないのか、レコフはきちんと説明しないと意味の無い指標なのだが。