›8 09, 2006

21世紀の恐竜、総合商社(双日がMSCB発行した訳)

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兼松、双日と劇薬MSCBによって資金調達をしてきた。あたかも資金調達ができ、その資金で経営てこ入れ(再建)ができるように見えてしまうようではあるが、この資金調達は既存株主の損害の上に成り立っている。
MSCBはライブドアの時にも話題になったが、既存株主は大損害を受け、そのため双日などは一部の株情報掲示板では炎上する始末である。
株主以外からみても、MSCBによる資金調達をする企業は信頼が置けないと見える。双日は経営てこ入れを行うのに社員の更なるリストラ、給与削減といった方法を取らずに、逆に出した利益を還元しないといけない株主をおろそかにしているようにしか見えない。

逆に言えば、このような手法を使ってしか資金調達ができない危ない会社にも見える。

双日の経営者はHPで次のように書いている。
(MSCBは、)「株価への影響を抑えながら資本調達を行うという当社の方針に最も適している、との判断」
http://www.sojitz.com/jp/ir/message/index.html

目的は株式価値の向上などとうたっているが、どこが株式価値の向上につながるのか。
優先株償却を何故MSCBで実施するのか。そもそもは期間利益によって行うと発表していた。もっともそんな利益は出せないということなんだろうが。


MSCB引受証券(野村)は総額3000億のキャシュを双日に与え、社債を株に転換させ、売り浴びせ(空売り)、株価が下落させ儲ける。双日は時価総額と同等のキャッシュが労せず入る。他方、株主は持分が希薄化し、株価も下落する。

そして被害を受ける株主の98%が個人・その他のいわゆる一般株主だ。
http://www.sojitz.com/jp/ir/stkholder/stock.html

株価は下落すると、割安株に見えてしまう。そこでPERやPBRなんか見て安いと思ったら大間違いだ。EPS(一株当たり利益)を単位とする指標を盲点とさせてしまうのもMSCBの恐ろしいところだ。

野村が社債から株に転換が進むに連れ、発行株数が増え、どんどんと一株当たり利益の価値が下落する。株価の下落にあわせて発行株数が増加するので、既存株主の損害は計り知れない。

恐ろしいことに双日を単なる指標を見て割安と判断している記事まで出ている始末だ。

考えてみれば、優先株は双日の有利子負債を恐れた(経営状況が酷いから)銀行がエクイティにスワップしたのが発端だと思う。銀行は優先株を早く消却したいと望んでいるはずである。商社の利益率はゴミみたいだし、とても期待収益を超える利益率が出せない産業だけあって損切りしたいのかと思う。そこで経営陣に既存株主犠牲を伴うMSCB発行を促したのではないか。

結局双日は財務指標である自己資本比率はデット・エイクティ・スワップやMSCBによってよく見せられるが、経営的には何も変わっていないということを見抜けない株主は大損をしてしまう。

さて、総合商社だが今までもさんざん商社不要論だとか出てきたが、21世紀になって恐竜は存続できるのだろうか。

これ面白い
「双日は地獄だぜ」


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